概要
鋼の錬金術師において登場する、地神イシュヴァラを主神とするイシュヴァラ教を崇める東部の砂漠地帯の少数民族・イシュヴァール人達の事。並びにその居住区を指す。
イシュヴァール人は、髪の毛が銀色で肌が褐色、目が赤いという民族的な特徴がある(黒人っぽいアメストリス人も結構いるが、彼らは黒髪が多く目も一般的な色である)。ただし、旧アニメ版のイシュヴァール人の方は黒髪の者も多く、必ずしも銀髪という人種的な特徴はなかった。
イシュヴァールの民族衣装は、サバイのような布を巻いたゆったりとした白いローブであり、主にイシュヴァラ教に従事する僧侶が着ている。一般人は男性は一般的な服装の上からサバイのような布だけ巻いている者が多く、女性は黒や白のフード付きのローブを着ている者が多い。
砂漠という過酷な土地と厳しい戒律の下で生きてきた民族だけあって、全体的に非常に屈強で強靭な民族であり、特に厳しい修練を積んだイシュヴァラ教の武僧は、「一人でアメストリスの一般兵士10人分に相当する」とされる程の凄まじい戦闘力を有している。特に厳しい土地で生きてきた事からゲリラ戦を得意としており、下記の内乱では数で勝るアメストリス軍を個々の卓越した戦闘力とゲリラ戦で大いに苦しめた(アメストリスの国力弱体化を狙ったアエルゴの支援もあったが)。
また、過酷な環境で生きてきた少数民族である為か、イシュヴァラ神への信仰心が皆一律に強いのは当然だが、同族に対する仲間意識や家族・親族同士の繋がりや情も非常に強い。
アメストリスは元々は小国で、周辺国や土地への侵略戦争を繰り返して領土拡大をしてきた国であり、イシュヴァール人の領土も他地域を軍事的に制圧して得たついでに統合したものなのだが、イシュヴァラ教を認めるという条件下で併合、傘下に置いていた(位置的には国土東南部)。
しかし、イシュヴァラの教義において「神の作りしものを人が作り変えてはいけない」という戒律があり、特に錬金術の軍事方面での発展を国是とするアメストリスとは、元より相容れにくい土地でもあった(旧アニメ版のイシュヴァールでは、錬金術もそれ程異端視はされていない)。
そして、軍将校(に化けたエンヴィー)がイシュヴァール人の子供を銃殺した事件を皮切りに、アメストリスへの不満が爆発して一気に内乱(イシュヴァール内乱)が発生・国内に拡大し、アメストリスとの対立は決定的となり、遂には国家元首であるキング・ブラッドレイの命令下で、国家錬金術師を始めて実戦投入しての民族浄化作戦・「イシュヴァール殲滅戦」が実行される。
アメストリス軍と国家錬金術師によって、イシュヴァールの人間は無抵抗の一般市民に至るまで徹底的に大量虐殺され、イシュヴァールの土地はその悉くが焦土と化した。
更に同時に、国軍に所属していたイシュヴァール人やイシュヴァール系ハーフの軍人達も、「内乱に加担している」といういわれのない容疑で全員が軍籍を剥奪された上で、軍によって拘束・処刑された(表向きは処刑とされているが、実際はその殆どが賢者の石錬成実験の素材にされた)。
さらに内乱の途中で、イシュヴァラ教最高責任者のローグ=ロウの一団が、自らの命と引き換えに民族の助命をブラッドレイに請うたが、ブラッドレイは一切聞き入れずにその交渉の場でそのまま彼等全員を拘束し、見せしめとして他の捕虜達と同等に扱った末に全員を処刑した。
その後は、生き残ったイシュヴァール人の多くはアメストリス国内でスラムを作り、目立たないように細々と生活しているが、中にはテロまがいの行動に走る者や、エドを人質に国軍撤退を要求する事を考えた者や、傷の男のような者まで登場するなど、アメストリスに対する禍根は未だに根深い。
後に、最終決戦後に誕生したグラマン大総統による新政権では、ロイ・マスタング主導の下で「イシュヴァール復興政策」が始動し、イシュヴァール人の難民達の支援や彼等の土地の復興と、イシュヴァールとアメストリスの新たな未来に向けた和解交渉が進められる事となった。
関連項目
ロゼ・トーマス:旧アニメ版では彼女を始めとするリオールの人々は、イシュヴァール人に近い人種である(クォーター以下であり、目の色はアメストリス人に近い)。
ロイ・マスタング アレックス・ルイ・アームストロング リザ・ホークアイ
バリー・ザ・チョッパー:旧アニメ版でイシュヴァール残党狩りに参加していた