「我殺す、故に我在り! それが俺が俺である証明だァ!!」
概要
過去にアメストリスの中央(セントラル)を震え上がらせた連続猟奇殺人犯。元は肉屋で、動物の肉を切り分けるうちに包丁を振るうことに快楽を感じるようになり妻を惨殺、その後も夜な夜な町に出歩いては辻斬りを行っていた極悪人。他者を形容する時は男女問わず見立てた肉質で表現する癖がある。
自分が殺人鬼である事に誇りを持ち、己の存在意義は殺す事と宣って憚らず、方法序説(ハガレン世界にデカルトがいるかは不明だが)の命題をもじった「我殺す、ゆえに我あり」を信条としている。
23人を殺した罪で軍により捕縛され、表向きには処刑されたが、ホムンクルス達の策略により錬金術で身体から魂を引っ剥がされた上で鎧に植え付けられてしまった。
スライサー兄弟と共に第五研究所の警備を行っており、侵入してきたアルフォンスと格闘する事となる。
一見裏表のない脳筋に見えるものの狡猾な面もあり、アルフォンスに純粋な戦闘では歯が立たないと見るや鎧の体にかこつけて「お前が実在するアルフォンスなる人物である証拠はない」と嘯いて動揺させ、隙のできたアルフォンスの不意を突いて攻撃するが、援軍に駆けつけたロスとブロッシュによって妨害される。
その後は膠着状態となるも、エルリック兄弟の潜入を知ったホムンクルス達が第五研究所を爆破した混乱に乗じて脱走した。
その後はしばらく身を隠していたがホークアイ中尉の強さに惚れ込み、勝手に東方司令部に居着く。奇しくもヒューズ中佐殺害犯を追っていたマスタング大佐と協力関係を結び、ファルマン准尉のアパートに下宿することとなる。その後もリン・ヤオと協力してヒューズ殺害の濡れ衣を着せられたマリア・ロスの脱獄を手助けしたりする。
アルフォンス、ホークアイと共に再び第五研究所地下に潜入した際には「殺した女房に似ているから」とラストに襲いかかるも一瞬でバラバラに切断されて再起不能に陥る。
死んだふりをしてその場を切り抜けるも、鎧が完全に破壊された為声が出せずそのまま死んだものとされてしまい、戦いが終わった後も放置される。
アルフォンス達が去った後、鎧と魂を仲立ちする血印を思わぬ相手の爪で引っ掻かれたことで破壊され、その数奇な生涯を終えることとなった。
(引っ掻いたその人物はそれが何かを理解した上で故意に破損させようとしており、狙い通り破損しバリーが死亡した瞬間、安堵の表情を浮かべながら自身も死亡した)
ちなみに鎧はそのまま残っていたので、後にダリウスに包丁をパクられた。
死刑囚ナンバーは66。鎧の名称は「スカルヘッド」。この鎧を作成したのはアルフォンスの鎧「オウガーヘッド」を作成した職人と同一人物であり、意匠が似ていないことも無い。
なお元々バリーはスライサー兄弟同様に第五研究所で倒される予定だったそうだが、作者の直感で首の皮一枚繋がり、その後も登場するようになったらしい。
2003年版の設定
2003年版では明確な生前の容姿が登場しない原作とは異なり初登場はひょろっとした優男として現れ、女装をしてアメストリス軍の食堂に食材の卸売を行っていた。
性別に関係なく切り刻んでいた原作と違って、今作では若い女性だけを狙う殺人鬼となっている。
物語が始まる2年前にウィンリィ・ロックベルを拉致して切り刻もうとしており、過去編では助けに来たエドを騙し打ちにした挙句右腕の機械鎧をチェーンソーで切り落として追い詰め、半泣きで錯乱させるほどの恐怖のどん底に追いやっている。
また、イシュヴァール殲滅戦で国家錬金術師の行った殺戮に感銘を受けたとも語っているが、エドワードが国家錬金術師になったことを知った際には「国家錬金術師め…オレをこんな姿にしやがって!」と逆恨みして襲い掛かっているので、詭弁の可能性が高い。
鎧人間にされた後は、軍に雇われ暗殺を生業とするようになる。
第五研究所崩落(ちなみに本作では、第五研究所を爆破したのはホムンクルスではなくバリー)後は軍の命令を受けてウィルソン傭兵団と共にイシュヴァール難民を殺しまくっていたが、傭兵団のアジトに殴り込んだ傷の男に胴体を引き裂かれた挙句に頭を踏み砕かれて倒される。
余談
モデルは恐らく切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)。実際のジャックの正体も、バリー同様に肉屋だったとする説もある。
一度は死ぬ展開を取り消し、また愛嬌のあるキャラクター性からも作者も改めて殺すのは惜しかったようだが流石に快楽殺人鬼を生き残らせるわけにはいかず、殺さないという選択肢はなかった模様。
戦闘シーンにて切り付ける場所に応じて「〇〇(例. 肩ロース)、いただき〜♪」と肉の部位に例えた掛け声をあげたり、猟奇殺人の被害者の中に「(自分の店で売ってる)肉の味を不味い、と言ったことで殺された者」がいるなど、本業である肉屋としてのプライドは最低限(?)持っており、むしろ仕事を楽しみすぎた故に歪んで快楽殺人に手を出したとも言える描写もチラホラあった。殺した人物の名前や殺した日、状況などは一字一句間違えず覚えており引っかけにも動じないなど、意外にも殺人に対しては誠実(?)な一面が窺える。
原作者曰く、前述の最初の犠牲者となった妻はオーバーな表現ではなく本当にラストにそっくりな絶世の美女であったらしい。