概要
アメストリス軍が密かに開発していた不死身の兵隊。青白い肌に赤いラインが入ったガリガリの体躯に、本来両目がある部分に目がなく、額の中央にぎらぎらと光る一つ目が特徴の不気味な外見をしている。レイブン中将らが示唆していた「完全なる不死の軍団」の正体。
魂一つ分の賢者の石を人形達に注入・定着させたものであり、理論的には鎧に魂を定着させたアルフォンス・エルリックやスライサー兄弟やバリーなどとほぼ同じものである。
ただし、アル達との決定的な違いとしては、定着している魂が賢者の石の魂なので完全に正気を失っており、知能は低下し理性もなくなっている。ただ本能だけで元の肉体に戻る事のみを目的に活動しており、その為に周囲にいる人間を感知して、相手に噛み付いてその肉を食らう事で肉体を取り込もうとする(視覚ではなく魂の気配で周囲にいる人間の存在を感知しているらしい)。
この為に、認識した人間はそれが誰であろうが見境なく襲う為、実際は兵器としては全く成立していない。しかしその物量とタフさで、あらゆるものを押し切ろうとする特性は厄介極まりない。
このように事実上の「量産型ホムンクルス」とでも呼べる存在であり、実際にホムンクルスのエンヴィーからは「出来損ない」と呼ばれている。
身体がどれだけバラバラになっても死ぬ事はないので、物理攻撃に対する耐性は極めて高いが、その肉体はホムンクルス達のそれとは異なり、あくまで生物としての恒常性を有しない「器物」でしかないので再生能力はない。それでも完全に「殺す」為には肉体を燃やして完全消滅させるか、核の賢者の石を消滅させる必要があるが、一方で相手に噛み付く以外の攻撃をする知性はないので、手足を捥ぐ事で機動力を削いだり、顎を砕く事で殺さずとも完全に無力化する事ができる。
実は、アメストリスに存在する錬金術師の大原則の1つである「人を作るべからず」は、一個人がこのような人造の軍隊を勝手に製造して保有する事を防ぎつつ、同時に軍部上層部(正確にはそれを裏で操るホムンクルス達)が、不死の軍団の技術を独占する為に制定されたものである。
作中では「約束の日」に、アメストリス軍上層部が反乱軍(東方司令部&ブリッグズ連合)を倒す為に解き放つが、碌に起動実験や試運転もしていなかった段階で起動させた為に、完全に制御を失って暴走してしまい、将軍を初めとした中央司令部の人間も、そして東方司令部やブリッグズの人間も見境なく手当たり次第に襲って暴れ回り、エドワード達やアームストロング少将らを大いに苦戦させる。なお、一部の人形兵はエンヴィーに吸収されて彼の復活に利用されている。
最終的には、全ての人形兵が破壊・無力化されて全滅した模様。
原作序盤を基とした実写映画版では、第五研究所でこれの試作型が大量に作成されていた。
旧アニメ版には登場しないが、第4話で民間の錬金術師・マジハールの手により同様の手法で生成されたキャラが登場している(しかし出来はお世辞にも良いとはいえず、主人の命令も聞かず勝手に出歩く始末で、ラストには「所詮は二流」と嗤われた)。むしろこちらが元ネタかもしれない。