概要
アメストリス国の大総統キング・ブラッドレイの妻。本名は不明。
お喋り好きのごくごく普通の老婦人で、夫を唐変木と言いつつも彼の身を常に案じており、早く引退して後任に職を譲ってほしいと思っている。
夫婦仲は良好のようで、自宅にエルリック兄弟が訪れた際にはついつい夫との惚気話を二人に聞かせてしまうほど。遠縁の子として引き取ったセリムを実の息子同然に可愛がっており、誰の目から見ても良き妻であり良き母である。
その夫と息子の正体はホムンクルスであるが、彼女は二人の正体やその企みについては全く知らない。
ブラッドレイ(ラース)やセリム(プライド)はブラッドレイ一家としての生活を「家族ごっこ」と称し、ホムンクルスとしての矜持を優先させているが、どちらも夫人に対しては割り切れない感情を抱いている。人生すべてをお父様の計画通りに生きてきたブラッドレイにとって、唯一自分で選んで手に入れた妻は特別な存在であり、彼なりに深い愛情を抱いている。セリムもまた理解できないと言いつつも、自分に愛情を注いでくれる彼女を内心では「母親」として慕っていた事が窺える。
偽りの「家族ごっこ」が本当の家族になっていたのは、彼女の家族への無償の愛があったからこそである。
「約束の日」ではマスタング達に保護という名目で身柄を拘束されるが、その後軍上層部に命を狙われたことで彼らに協力するようになり、ラジオ放送でその事実を証言したことでセントラル市民に衝撃を与えた。
戦いが終わった後、夫や息子に関する全ての事実を聞かされた上で、生き残ったセリムを再び育てている。そう言った意味では他の主要人物にも劣らない鋼のメンタルの持ち主。
ちなみに夫とは普通に恋愛結婚だったらしく、ブラッドレイも他のホムンクルスたち(主にラスト)に恋愛相談をしていたらしい。オマケの裏表紙漫画で描かれた二人の馴れ初め話では、ブラッドレイの「最強の眼」でも見切れないビンタを喰らわせている。
なお、このビンタが切っ掛けで当時25歳のブラッドレイは彼女との結婚を決意したらしいが、ブラッドレイとセリムにとっては恐怖の対象らしい。