概要
剣術の達人の事を指す言葉。
日本の戦国時代~江戸時代にかけて自身の剣術によって地位を確立した人物などがそう呼ばれることが多い。ただし、史実において剣豪の多くは明確な史料が遺されておらず、後年の創作の影響が強いともいわれている。
創作作品においては、ファンタジーや歴史創作などのバトル系の作品において日本刀を使用する剣術に長けた剣士キャラがこの呼称で呼ばれることが多い。
逆に西洋式の剣を使用するキャラクターが剣豪と呼ばれる機会は少ない。
なお史実では剣豪という言葉の初出は、日本国語大辞典によると昭和三十年の今日出海による「天皇の帽子」という小説が初出である。
江戸時代の中期以前に記された書物では「上手」「名人」「達者」「達人」などと記される事が多い。
代表例
史実
- 宮本武蔵(二天一流。最も有名な剣豪の一人)
- 佐々木小次郎(巌流。武蔵との決闘が有名だが実在性には疑問符がつく)
- 宮本伊織(武蔵の養子。若くして小倉藩の筆頭家老となる。剣術に係る記録は残っていないが、創作では義父に迫る剣才の持ち主とされることも多い)
- 塚原卜伝(鹿島新当流。数々の戦国武将に剣術を指南した。上泉と並び彼もまた剣聖と呼ばれる)
- 足利義輝(室町幕府13代将軍。卜伝に師事し新当流を修める。討ち死に間際の奮戦ぶりから「剣豪将軍」とも呼ばれる)
- 上泉信綱(新陰流の始祖。その門下からは綺羅星のごとく高名な剣豪が排出した。戦国最強の剣豪として名高い剣聖)
- 疋田豊景(新陰流。上泉信綱の甥と言われ、修行の旅にも同行した。数多くの有名武将に剣術を指南した上泉信綱の代表的な門弟)
- 柳生石舟斎(柳生新陰流の祖。上泉信綱の弟子。彼の考案した無刀取りを完成させたことでも有名。本来の名は宗厳)
- 柳生宗矩(柳生新陰流。石舟斎の子。徳川将軍家師範になり新陰流(江戸柳生)の空前の隆盛を築く。その思想は現代剣道にも影響を与えた)
- 柳生十兵衛(柳生新陰流。宗矩の子。江戸柳生の技法を改革し、多くの門弟を育てた。江戸を追放された時期があり、創作物の題材として多用される。本来の名は三厳)
- 柳生兵庫助(柳生新陰流。石舟斎の孫で宗矩の甥。尾張徳川家に剣術を伝授し、もうひとつの柳生新陰流「尾張柳生」を築く。本来の名は利厳)
- 柳生連也(柳生新陰流。兵庫助の子。尾張柳生の技法を完成させたとして名高い。本来の名は厳包)
- 丸目長恵(タイ捨流の祖。上泉信綱の弟子の1人)
- 東郷重位(示現流の祖。島津家の家臣で後に兵法師範となる)
- 松林蝙也斎(願立流の祖。夢想願流とも。仙台の伊達家に仕えた剣豪。相手の太刀を足で踏み落とす「足譚」の使い手)
- 鐘捲自斎(中条流または鐘捲流。一刀斎や小次郎の師とされる)
- 伊藤一刀斎(一刀流の祖。弟子の小野忠明を通じて後世の剣術界に大きな影響を与えるが、同時代の記録に乏しく謎が多い)
- 小野忠明(一刀流。柳生宗矩と並ぶ将軍家指南役。その流派からは多くの支流が生まれ、現代剣道の母体のひとつにもなった)
- 善鬼(一刀流。一刀斎の弟子で小野忠明の兄弟子。流派の継承をかけて忠明と決闘を行うが敗れて斬殺されたとされる。実在性は怪しい)
- 大谷吉継(豊臣秀吉の家臣として知られる戦国武将。敦賀城の城主時代に一刀斎から一刀流剣術を学んだとされる)
- 真田幸村(上記の吉継の娘婿で、同じく一刀斎の下に入門し、一刀流剣術を学んだとされる。この名前で知られるが本来の名は信繁)
- 林崎甚助(神夢想林崎流の祖にして居合の始祖)
- 立身三京(立身流の祖。林崎甚助と並ぶ居合の祖として知られ、その後多くの流派に分岐する)
- 辻月丹(無外流の祖。近江の剣術家で禅にも通じていた)
- 松村宗棍(琉球の武術家で、示現流免許皆伝。後の空手に大きな影響を与えた)
- 近藤勇(新撰組局長。江戸時代後期に創始された剣術・天然理心流の四代目継承者)
- 沖田総司(新撰組一番隊組長。天然理心流を若くして修めた天才と呼ばれた剣客。永倉曰く「猛者の剣」)
- 永倉新八(新撰組二番隊組長。神道無念流の達人。沖田・斎藤をしのぐとも評された剣豪)
- 斎藤一(新撰組三番隊組長。流派は諸説ある。沖田・永倉と並び、組内で最強と言われた剣豪。永倉曰く「無敵の剣」)
- 服部武雄(新撰組諸士調役兼監察、御陵衛士。北辰一刀流で二刀流の使い手。自身が戦死した油小路事件では、奮戦し、新撰組側をてこずらせた。沖田・永倉・斎藤をしのぐ程だったとも。)
- 桂小五郎(神道無念流。維新の三傑の一人に数えられる元勲。地元で柳生新陰流を習得し、江戸の練兵館では入門から一年足らずで塾頭に登り詰めた天才)
- 坂本龍馬(土佐出身の幕末の志士。地元で小栗流を修めた後に江戸で北辰一刀流を学ぶ。長年薙刀の免許しか確認されていなかったが、近年剣術の免許皆伝を示唆する記録が発見された)
- 伊庭八郎(心形刀流宗家の御曹司。徳川直参旗本で、将軍の警護を勤めた。戊辰戦争に参加、隻腕の剣士としても知られる)
- 山岡鉄舟(一刀正伝無刀流の開祖。明治維新の最大の功労者の一人に数えられる幕臣。剣だけでなく禅に深く精通していた)
- 仏生寺弥助(練兵館の斎藤弥九郎の下で新道無念流を学び、「斎藤道場の閻魔大王」の異名で恐れられた。桂小五郎や高杉晋作を打ち負かしている。ただし、同志に酔わされた末に暗殺され無地位で終わった。)
- 男谷精一郎(直心影流の達人である幕臣で、後に自身独自の派閥である「男谷派」を名乗る。実力の高さと温厚な人格者ぶりから「幕末の剣聖」と称された。本来の名は信友)
- 榊原鍵吉(直心影流の剣豪である幕臣。明治維新後に武士道精神と武芸の衰退を憂いで撃剣興行を行い、現代における剣道の礎を築いた)
- 中山博道(現代における居合道の母体となった夢想神伝流の創始者)
- 国井善弥(鹿島神流の第十八代継承者。戦後に米海兵隊員の銃剣術使いを打ち負かした逸話で有名)
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剣豪(グラブル):グランブルーファンタジーに登場するジョブのひとつ。