ピクシブ百科事典

目次[非表示]

「運命? 運命などに、おれの人生を左右されてたまるか。おれは自分の長所によって成功し、自分の短所によって滅亡するだろう。すべて、おれの器量の範囲内だ」

「敵にはただ一つ誤算がある。俺がここにいた事だ。」

概要

担当声優


石黒監督版同左
宇宙を
マインカイザー
藤崎竜Die Neue These
往け、羽翼となりて
Binary star

「常勝の英雄」と呼ばれる戦争の天才。旧姓はミューゼルであり、上級大将昇進の際に、断絶した名門ローエングラム伯爵家の名跡を継いでローエングラム姓を名乗るようになる。

豪奢な金髪に蒼氷色(アイス・ブルー)の瞳と彫刻のような比類なき美貌をもち、過度のシスコンっぷりを作中で如何なく発揮する貧乏貴族出身の青年。乗艦はブリュンヒルト

アンネローゼを奪ったゴールデンバウム王朝を憎悪し、親友ジークフリード・キルヒアイスと共に銀河帝国の現体制を打倒せんとする。

軍人としての目覚ましい功績と皇帝の寵愛を受ける姉の影響で異例の速さで昇進を続け、数々の戦役に勝利し周囲から絶大な支持を集めた。為政者としても手腕を発揮し、開明的な改革者として社会の不文律を一掃した。

紆余曲折の末、23歳にしてローエングラム王朝の初代皇帝に即位。後に首席秘書官でもあるヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ(ヒルダ)と結婚し息子のアレクサンデル・ジークフリード・フォン・ローエングラム(アレク)をもうけるが、症例のない新病「変異性劇症膠原病」(皇帝病)によって25歳で崩御する。

後世にて獅子帝と呼ばれる。

性格

気が強く怒りっぽいが竹を割ったような気質であり、覇気と活力に満ちた王者に相応しい性格の持ち主。天才型にありがちな他人を見下すような所が無く、偏見無しに真っ正面から人と向き合う小気味よい人物である。

権力主義・門閥貴族・世襲制等、腐敗した専制政治を嫌悪する実力主義者。
行動的で自己主張をはっきりと行うため、不敵な態度もあって幼少の頃から敵を作りやすく喧嘩沙汰は絶えなかった。学校では主席だったものの成績などに価値を見出さず、現実での行動力や結果を出す手腕を重視するタイプの人間だった。

物事の核心を突き、躊躇無く物言う性分に加え寵姫の弟という優遇される立場、さらに軍事上での才幹も相まって貴族や将校達から「生意気な金髪の孺子(こぞう)」とやっかまれたが、それらを振り払う実力を持ち合わせ帝国軍将兵の畏敬と忠誠を一身に集める。

戦闘においては安全な場所で戦争を指揮し兵士たちを死地へと向かわせる権力者を忌み嫌い、常に最前線で自ら指揮を取る事にこだわった。

無二の親友キルヒアイスを失ってからは、彼の遺髪をおさめた銀(OVA版では金)のペンダントを身につけ、生気に影が差すようになったが、後の妻ヒルダや幕僚達に支えられて持ち前の英気を少しずつ取り戻していった。

為政者としても善政を敷き、基本的に民に寛大な名君であったが本質的にラインハルトは好戦的な軍人であった。そのため個人的な嗜好のもとに戦いを行うこともあり、ヤン・ウェンリーとの最後の対決となった「回廊の戦い」に代表されるような”本来なら回避し得た”戦争を引き起こしてしまった点に関しては批判を受けることとなった。

外伝では、彼の叩き上げの出世時代がよく語られている。下っ端の頃は無能な上司に頭を抱えたり、出世のためにひたすら地道な努力と苦労を重ねているためか銀英伝ファンからは「外伝のラインハルトの方が感情移入できる」と言われることもしばしば(藤崎竜版コミックスでも、原作序盤であるアスターテ会戦以前の様子が詳細に記されている)。

能力

政戦両略に秀でた当代随一の天才である。

軍事面

用兵家としてはただ一人を除いて常勝の神話を保ち続けた、偉大な人物である。宿敵ヤン・ウェンリーが理詰めの心理作戦を得意とするのに対し、ラインハルトは大胆且つ直感的な戦術を得意としており、この点で両者は相性が悪かった。

智勇の均衡においては勇に傾斜するとされ、果断速攻が持ち味であり持久戦術は得意ではない。

彼は常に大多数の兵力を整え、万全の態勢で戦闘に挑むという姿勢を崩さなかった(ただし、そういう兵力に対する手筈を自分で踏めるようになったのはアムリッツァ会戦後あたりからである)。無論戦略面と戦術面の双方に長けており、ヤンも認めるところである。

事戦略においては自軍が必ず勝てる状況を作り上げる事で戦う前から勝利を手にしており、戦術レベルはともかく戦略レベルではヤンはラインハルトに一度も勝利出来なかった(ラインハルト自身はその事で自分自身を評価していないが、ヒルダの策謀もラインハルトの戦略構想の上でこそ成り立つものであった)。
戦争の天才と称され、卓抜した戦略眼を有し、戦略の重要度も理解していたが気質としては戦場で直接勝ちを納めることに拘る戦術家であったという。
相手に対し堂々と胸をさらす、正道的な戦術を好み、必要に迫られた時以外は奇策を用いることを好まない(第四次ティアマト会戦では敵艦隊の目前を横断するという奇策を用いたが、「今回限りだ。これに勝ったらこんな邪道は二度と使わん」と発言している)。
ヤンからはこの気質を利用され、バーミリオン会戦において手痛い敗北を喫することになる。

バーミリオンの結果からヤンとの間には能力差が有るように解釈されがちだが、レグニッツァの遭遇戦やガイエスブルグ要塞によるイゼルローン要塞攻略戦等では、両者がほぼ同じレベルの戦術思考能力を持っている事を窺い知ることが出来る。
バーミリオンの会戦はラインハルトが敢えて自身が不得手とする持久戦術を執った事が敗因の一つである(ただしヤンもまた積極的攻勢という、あまり行ったことの無い戦術を採ってはいたが)。
その結果、前述の気質から我慢しきれず、結局攻勢に出て陽動にかかってしまった。

またヤンにとってのユリアン・ミンツのような戦術面での思考をサポート出来る参謀が居なかった事も大きかった。
ラインハルト自身、キルヒアイスが生きていれば、自分はヤンの死体と対面するはずであったと発言している。

実際、バーミリオン星域会戦自体が『ほぼ同数の戦力という互角の状況下の元、自らの手でヤンを討ち取りたい』というラインハルト個人の欲によるところが大きかった面があり、『戦う前から勝利する』という得意の方針を貫いていなかった(元々ヒルダもハイネセン自体を占拠し、同盟政府からヤンへの降伏命令を出させる案を主張していた)。
無用の犠牲を嫌うキルヒアイスがもし生きていれば、会戦自体に至らなかった可能性も十二分に有り得たはずである。

仮に会戦に至ったとしても、キルヒアイスがいたなら防御戦法を続行して味方の来援を待ち、陽動に乗せられずに済んだであろう事は想像に難くない(実際ラインハルトの欲に諫言出来たであろう人物は彼しかいない)し、持久戦法を徹底していれば物量において圧倒的に優位だった帝国軍が勝利していたのは自明の理である。

しかし結局それらの戦略的優位を保持しておきながら、キルヒアイスがいなかったがために、ヤンに勝る武人であろうとする覇気が裏目に出てしまった点が、実際のバーミリオン星域会戦の結果であったのだろうが。

回廊の戦いでは、オスカー・フォン・ロイエンタールの采配ミスでヤン艦隊の攻勢を招いてしまった際、ヤン艦隊の艦列の隙を見抜いたラインハルトの攻撃指示によってヤン艦隊を後退せしめた。帝国も勇将であるファーレンハイトシュタインメッツらを失ったが、ラインハルトの執った「ヤンの最も恐れた」物量を活かした突撃戦術によって最終的に艦隊運用の要たるエドウィン・フィッシャー提督を戦死させヤン艦隊を崩壊する一歩手前まで追い込む事も成功している(その途上でラインハルトが病に倒れた為、結果的には回廊戦の決着は会談による講和決着という流れとなった)。

艦隊指揮における能力のみならず、白兵戦技術にも長けており、特に外伝でその姿を確認できる。時として決闘の代理者として出場した経験もあり、火薬式拳銃の早撃ちや、サーベルによる二次試合をこなした(しかも対戦相手は、筋金入りの殺し屋であった)。

政治面

卓抜した政治感覚を持った優れた為政者でもあり、政治の実権を握ったのちは帝国の不公正、不文律を改め民衆の絶大な支持を集めた。

「体制に対する民衆の支持を得るには主に二つのものがあればよい。公平な裁判と同じく公平な税制度。ただそれだけだ」という発言に、彼の見識の高さが表れている。

当時の帝国外の人間からも「これといった失政はない」と評され、民主主義の信奉者であるヤン・ウェンリーをしても「改革における専制政治の有用性」を認識せざるを得なかった。ただし、ラインハルトにとって”政治”とは戦略を構築するために後天的に努力して得た能力であり、必ずしも得意とするモノではなかった。占領地の統治などでもミスが多かったため、「征服者としては一流、統治者としては三流」と後世評されることもあった。ラインハルト本人も「皇后の方が政治見識がある」と認識していたようである。

また、人事においても意外な失敗もあり、レンネンカンプのハイネセン高等弁務官任命、ロイエンタールの新領土総督、ヨブ・トリューニヒトの新領土高等参事官任命などがそれに上げられる。レンネンカンプについては、当時まだ若手の士官であったアルフレット・グリルパルツァーブルーノ・フォン・クナップシュタインをその配下につけたことも失敗(レンネンカンプの性格的欠点が二分されてコピーされることになった)の部類に入れることができよう。
また、ラインハルト自身が清廉潔白であったことの裏返しなのか、人事においては清濁織り交ぜた人事を心がけていた(それが覇者の度量であるとも考えていた)節があり、ハイドリッヒ・ラングのような公人としては害にしかならないような者も蔓延らせてしまった(後に粛清したが)。
これについてエルネスト・メックリンガー「望遠鏡が顕微鏡を兼ね備えていなくても、批判には値しない」という旨の発言を残している。

また、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムやトリューニヒトのような者に権力を与えた事例からか、民主共和政体の有用性には懐疑的であった。
裏を返せば、彼にとって政治形態というものは実力のある人物が上に立てる仕組みであれば、誰であろうが構わなかったのである。実際、逝去の際には「いずれにせよ、生ある者の中でもっとも力のある者が宇宙の覇権を握ればよい。我が子アレクサンデル・ジークフリードがその力量を持たぬのなら、ローエングラム王朝などあえて存続させる必要はない」とまで言っている。

トリューニヒトの高等参事官任命については、ラインハルトは「断る」ことを期待し、断ればそれを理由に閑職を与えて辺境の惑星に島流しにするつもりで任じたのだがトリューニヒトが思惑に反して応じたため、今更撤回する訳にもいかず任命の運びとなった。これについてラインハルトは「奴の神経は巨大戦艦の主砲の砲身より太いらしい」と嘆息している。

尤も、これらの失敗は見方を変えれば最終的に帝国を利する結果を生じさせた、とも言える。
劇中の地球教徒が指摘している場面があるが、ロイエンタールの反逆はもともと野心をくすぶらせがちで将来的に帝国の敵となる可能性もあったロイエンタールと、帝国のガンとなりうるトリューニヒトを同時に始末する結果を生み出した。
レンネンカンプの高等弁務官就任に関してもラインハルトはもともと彼の失敗も想定しており、「その上で同盟に非があればその責を問うて同盟完全併合の口実にする」との考えを示してパウル・フォン・オーベルシュタインを納得させている場面も存在する(そして彼の当初の想定通り「同盟に非がある形」でレンネンカンプが害される結果となったが、その事実をオーベルシュタインから聞かされた際のラインハルトは何故か憮然とした様子であった)。

民政尚書カール・ブラッケや工部尚書シルヴァーベルヒなど、有為の人材を適所に配置して帝国を開明的な方向に導いた例も存在しており、あくまで上記の「人事上のミス」は「そのほか多くの成功人事」の中の一部である。
ラインハルトの治世下において、少なくとも帝国の本国内で「内政への不満」を動機とした民衆暴動の類は発生しておらずラインハルト自身も帝国の内政機能を停滞させてはいない。
ロイエンタールも反逆の際の布告にはラインハルトに失政が無いため、「君側の姦を除く」という理由しか書きようが無かった、と劇中でも語られている。

たび重なる外征により国家に要らぬ負担を強いた事実もあり、政治家としてトータルで見ると毀誉褒貶の分かれる人物であるが、こと内政に関しては「理想的な開明的専制君主」であると言うのが作中で一貫した評価である。

欠点と汚点

しかし、如何に天才とはいえ彼も一人の人間である。故に決して非の打ち所のない専制君主でもなく上記も含めて本人の性格上、政戦両略ともにいくつかの欠点や汚点を残しているのも確かである。

軍事面

ラインハルトの軍事能力もあくまで戦争といった攻勢に偏っており、守勢に関してはかなり劣る部分があった。
その好戦的性格故か、本人も含めて身内を敵から守るという保身にあまり気を使わなかったが故にテロリズムに対する防衛や対抗意識が薄いという致命的な欠点も有しており、少年時代には姉・アンネローゼの政敵であったベーネミュンデ侯爵夫人の刺客など幾多の暗殺者に狙われる機会が数多くあれどもまったく保身に配慮しなかったがために地球教のテロや陰謀に対して後手に回ったりその存在すら軽視や失念をして取り返しの付かない最悪の事態に発展させてしまうこともあった。

臣下からはこうした事情を危惧してセキュリティを盤石な物にするため新宮殿の建設を急ごうと進言したが当の本人は「自分に宮殿なんていらない。ホテル暮らしでも構わない」とあまりにも防衛に対して無関心過ぎる発言をしていたほどである。
この結果、セキュリティが疎かになり姉・アンネローゼや妻となったヒルダを危険に晒して窮地に陥れ、下記のようにキルヒアイスが不慮の死を遂げる原因を作ってしまった。
またヤン・ウェンリーの死もラインハルトがテロに対する監視や防止を怠ったが故に起きた最悪なケースの一つであり、彼にもう少しなるべく敵を作らず、騒乱や事件が発生するのを未然に防ぐという防衛意識や想像力があれば防げていたものだった。


またラインハルトの完璧主義的な戦略構想は時としていくつかの弊害も生じてしまっていた。
良くも悪くもラインハルトの戦略により最初から勝利はほぼ確定済みで、後はほぼ消化試合同然で敵に楽に勝てて目的を果たせるというあまりにも極端すぎる優位性は理屈で言えば正しいものの、逆に言えばまともな敵の戦いや障害に接する機会が失われるということでもあり、軍全体がその優位性に慢心や自尊心を抱いたり強敵や脅威に対する緊張感や危機感が失せてしまっていた。

このため堕落しきった門閥貴族や腐敗した同盟軍など落ちるところにまで落ちぶれた軟弱愚昧な敵将兵ばかりを相手にしてきたせいでラインハルト直属の上級大将以上の幹部達以外の大将級以下の将校達は全体的に難敵との戦闘経験が不足しており、ラインハルトの構想を実行し命令に従うだけの存在になり自主性が失われ、有能過ぎるな幹部達の指揮に依存しがちで縮めようのない能力格差が生まれてしまっている。

結果、想定外の事態が発生して窮地に陥ればたちまちに機能不全を起こしてまともな対処もできずに大失態を晒し、宿敵であるヤン・ウェンリー率いるヤン艦隊や第二次ラグナロック作戦におけるアレクサンドル・ビュコックら実戦経験豊富な強敵に対しては手も足も出ず、謀略に対しても後手に回ってばかりであった。
ミッターマイヤーはこうした醜態を「勝ち慣れたことでむしろ逆境に弱くなった」と苦言を漏らしたほどで、常勝無敗である皇帝ラインハルトが負けるはずはないし、彼に率いられている自分達はとても強くて戦う敵も全て弱いから楽勝だという自意識過剰は皮肉なことに門閥貴族大貴族である自分達が勝ちたいと思えば必ず勝てて当たり前だという腐敗した楽観論と同じものであり、根本的な部分は何も変わっていなかったのである。

皮肉にもラインハルトの構想やその幹部らといったあまりにも強力過ぎる指導性は中堅の陣容が欠落し、部下に依存心を植え付け、経験を積んだり成長する機会を奪ってしまっていたと言える。

さらにこの傾向はラインハルトら歴戦の勇士たちですら例外ではなく、アムリッツァ会戦において調子に乗って失敗したビッテンフェルトを始め、特にリップシュタット戦役ではメルカッツに苦戦する以外はほぼ完勝同然であったにもかかわらず、戦勝後は勝利の高揚感から完全に油断した結果、戦勝記念式典の警備が杜撰になりラインハルトを狙う暗殺者の行動を許した上にこの時は幹部達も予想外の展開に完全に呆然として動けず、唯一暗殺者を阻んでラインハルトを庇ったキルヒアイスを失うという取り返しの付かない事態を引き起こしてしまった。

ラインハルト達はヤン艦隊との戦い以外は最初から最後まで優位になって勝利しすぎるために自分達が負けたり窮地に陥るという想像力を欠如させているために最終的に油断し、最終的な勝利を得ることはできても、たった一度の致命的な敗北によって作中では一度としてラインハルトが望む『完全な勝利』を果たすことは叶わなかった。

政治面

上記の「失政はない」という評価もあくまで彼が政治の実権を握ってから以降のものであり、それ以前には即位後に実施すれば非難は避けられないような所業に手を染めていた事実もある。

時として政戦両略の目的のためとはいえ守るべき無辜の民衆等に対して辛辣かつ悪辣な所業に手を染めたこともあり、例えば同盟軍による帝国領侵攻において彼はオーベルシュタインの提案により焦土戦術を用い、民衆から食糧を取り上げたて飢えた民衆を利用して同盟軍を消耗させる作戦を執った。
結果的にこれにより大勝利を収めるものの5000万から1億もの民衆には過度の負担をかけており、戦後は取り上げた食糧を民衆に返す補償はしたもののこの作戦によって民衆に多大な犠牲が出たことも確かであり、同盟軍との衝突だけでなく食糧不足による飢餓の犠牲も少なからず出ていることは間違いなく、例えラインハルトが補償をしようとも彼が民衆に犠牲を強いたことは確かなのである。

さらにリップシュタット戦役においてはブラウンシュヴァイク公によるヴェスターラントの民衆200万人が核攻撃により虐殺されるのを事前に察知しておきながらこちらもオーベルシュタインの提案によりあえて虐殺を見逃し、その一部始終を公表して貴族連合軍への民心を失わせるという謀略を実行した。

焦土作戦は自分から民衆の食糧を取り上げながらも最終的にラインハルト達が民心を手に入れ、ヴェスターラント虐殺はキルヒアイスによって厳重に緘口令を布かれたり、貴族連合の非道さと彼らを倒そうとするラインハルトの英雄としての姿をクローズアップするなど、どちらも最終的には何も知らない民衆を利用して事態を解決し、自分が利益を得るという事実上のマッチポンプを行っていることになる。
焦土作戦に対してはキルヒアイスに「本当は俺もやりたくないが、勝つためには仕方がない」と後ろめたさを感じていたが(事実キルヒアイスも内心不満を感じてはいたがラインハルトの心中を察していたことに加え作戦を翻すだけの代案を用意できなかったことからこの時は何も言えなかった)、ヴェスターラントの方では当初のラインハルトは箴言してきたキルヒアイスへの反感もあってか「好きでやった訳ではないし理由は充分のはず」「トータルすればこの方が民衆のためだ」と、民衆の犠牲を容認し正当化する考えにまで至り、一時は自分の忌み嫌う生前のルドルフと同じ穴の狢にまで陥りかけてしまう。

最終的な犠牲の数はオーベルシュタインの予想通りに少なくはなったものの、そのために利用されて犠牲になった者達の遺族は真相を知るなりラインハルトに憎悪を抱き、特にヴェスターラントの一件は後年、遺族の一人によるラインハルトの暗殺未遂事件が発生してしまっている。
ヴェスターラントの暗殺者はこうした情勢を「虐殺の実行者であるブラウンシュヴァイク公は敗北と死で罪を贖ったのに、非道に加担して利益を得たラインハルトは償いもせず虐殺を忘れるばかりかその華麗さに目が眩み崇拝する大衆に持てはやされているだけだ」と激しい非難を浴びせており、これによりかつてキルヒアイスからの「人としてなさねばならぬことをなさらなかった」という箴言の意味をようやく理解し、それは自分がルドルフと同じことしてしまっていたことに改めて気づかされ、その因果応報という形で最愛の友を喪うことになってしまった事実を突きつけられた。(その後、男は絶望と悲憤と共に獄中自殺したが、皮肉極まりないことにこの出来事が結果的に己の憎むローエングラム王朝が存続の危機からを脱することになるという彼からすれば復讐心が報われないばかりかむしろ本末転倒を招いてしまったというあまりにも虚しさとやりきれなさの残る結末になってしまった)
ラインハルトの民衆からの絶大な支持も決して真実ではなく、英雄の存在に熱狂し何も考えようともしない民衆から不満や反感などが向かわないようにした工作の産物で欺瞞だというそれは奇しくもかつてのルドルフの独裁が罷り通ってしまった時と同じとする見方もある。

これらの汚点がフェザーンを通じて同盟に漏らされていれば、それこそトリューニヒトが銀河帝国正統政府樹立を認めた演説にも正当性がもたらされることになり、民衆を一人の犠牲も出さなかった英雄のヤン・ウェンリーがヴェスターラントの一件を知れば彼との融和も不可能にしていた可能性もあった。

またラインハルトが外征を繰り返し戦争ばかりして人命と国費を浪費していることは事実で、主だった戦争が終わった後も新たな要塞建設を続けたり軍縮をしないことから民生尚書のカール・ブラッケは度々辛辣な批判をしており、帝国軍将兵の中には「皇帝は戦いではなく流血を望んでいるのか」という不平不満を述べたこともある。
帝国軍将兵にも当然家族がおり、戦争によって多くの犠牲が出るのはむしろラインハルトの手足となって働く彼らで、ゴールデンバウム王朝の時代には戦死した将兵の遺族が皇帝を恨んだのを不敬罪として逮捕された過去もあることから、積極的に戦争ばかりしているラインハルトも当然そうした遺族達から不満や恨まれるのも不思議ではない。

これらは正論ではあるが戦いによって成り立ってきた軍人であるラインハルトにとっては不敬罪にあたるものであり、戦争を非難する者は罰せられ、戦いは永遠に終わらないという危険な風潮でもあった。

こういったラインハルトの負の一面から地球教の大主教ド・ヴィリエは死の間際に「ローエングラム王朝を倒そうとする者は他にもいる」と言い残していることから、民衆の不満や反感が顕在化していなかっただけで他にもラインハルトの親政の汚点に対して不満や恨みを抱く者が数多く存在していたことが示唆されている。

逸話

銀河史上比類無き活躍を成した英傑だが、ラインハルトは私生活においては質素で素朴な人間であった。名ばかりの貧乏貴族に生まれたこともあって贅沢な暮らしに馴染みが無く、大将に出世しても、キルヒアイスと共に二人の老婆が運営する下士官向けの下宿で暮らしており、皇帝になってからも宮殿はおろか邸宅の一つも建てなかったほどであった。

趣味道楽にも無縁で、もっぱら仕事を楽しみとしているワーカーホリックの傾向があった。悪く言えば「戦争」こそがラインハルトの唯一の趣味であったと言え、回廊の戦いの様な起こさなくていい争いを起こしてしまったのも、無意識的に争いを求めてしまっていたからである。
「皇帝」という目標の地位につきながらも、その過程に過ぎなかったはずの「軍人」としての気質を最後まで断ち切れなかった事が、ラインハルトに本末転倒と言える行動を起こさせてしまう事になったのは否めず、その為の彼に必要以上の戦いを起こさせないようブレーキ役だったキルヒアイスの存在が喪われたことが最も響いている部分と言える。

女性関係にも淡泊であり、ヒルダと結ばれるまでは浮いた話の一つもない有様だった。このためヒルダと関係を持ってからは迷走と言えるような行動(ヒルダと一夜を共にしたその直後に抱えきれないほどの大量の薔薇の花束を携え、一夜の関係の責任を取るために顔を赤らめながらプロポーズしに行って、ヒルダの父であるマリーンドルフ伯に丁寧な態度と言葉で追い返されたのを皮切りに、自分の気持ちを持て余し、それまでまったく興味がなかった音楽や演劇、古典バレエの鑑賞をしたり、詩の朗読会に出席したりした。後にこの行動は「芸術の秋」と呼ばれたが、付き合わされた提督達は芸術に興味がなかったため大不評だったという(※))が見られ、読者に笑いを提供することとなった。

※特にミッターマイヤーからは「そもそも皇帝はご自身が優れた芸術品でいらっしゃるのだから、わざとらしい芸術に興味をいだかれる必要はないのだ」と評されている。

奇しくも私生活が簡素で淡泊な点はヤン・ウェンリーも同じであった。常勝の天才不敗の魔術師も人の子であると共に、並外れた軍事、政治の才覚と引き換えにそちらの才覚は皆無であった。もっとも、ラインハルトは姉が皇帝の寵姫として連れて行かれた過去による忌避、ヤンは父が死亡するまで宇宙船暮らしであった身の上でそうした事例に無縁だったのも理由の一つだろう。

台詞

「平和というのはな、無能が最大の悪徳とされないような幸福な時代を指して言うのだ」

「夢の大小はともかく、弱い奴は、いや、弱さに甘んじる奴は、おれは軽蔑する。自分の正当な権利を主張しない者は、他人の正当な権利が侵害されるとき共犯の役割をはたす。そんな奴らを好きになれるわけがない」

「キルヒアイス、お前は優しい。が、言っておく。お前は姉上とおれにだけに優しければいいんだ」

「名将というものは引くべき時期と逃げる方法とをわきまえた者のみに与えられる呼称だ。進む事と戦う事しか知らぬ猛獣は猟師の引き立て役にしかなれん」

あいつらは今日の地位を自分自身の努力で獲得したのじゃない…権力と財産を、ただ血がつながっていると言うだけで親から相続して、それを恥じらいもしない恥知らずどもだ。あんな奴らに支配されるために、宇宙は存在するんじゃない 」

「蒙昧にして臆病なる貴族たちよ、実力に伴わぬ自尊心など捨てて降伏するがよい。命を助けてやるばかりか、無能なお前達が生きていくのに困らぬ程度の財産も残してやる……先日、リッテンハイム候はその卑劣な人柄に相応しく惨めな最後を遂げた。同じ運命を辿りたくなければ、無い知恵を絞って考えろ」

「吾に余剰戦力無し、そこで戦死せよ。言いたいことがあればいずれ天上(ヴァルハラ)で聞く」

「彼女たちは、皮膚の外側はまことに美しいが、頭蓋骨のなかみはクリームバターでできている。おれはケーキを相手に恋愛するつもりはない」

「百戦して百勝というわけにもいくまい。一度の敗戦は一度の勝利によって償えばよい。いちいち陳謝は無用である」

「私を倒すだけの自信と覚悟があるなら、いつでも挑んできて構わないぞ」

「卿らの為に割く時間は予には貴重過ぎる。最後に一つだけ聞いておくが、卿らが議長を殺害した時、卿らの羞恥心はどの方角を向いていたのか」

「誰も彼も……も味方も皆、予を置いて逝ってしまう……なぜ予のために生き続けないのか!?」

「撃つが良い! ラインハルト・フォン・ローエングラムはただ一人で、それを殺害する者もまた一人しか歴史に名が残らないのだからな。その一人に誰がなる!」

「もしフロイライン・マリーンドルフに……あ、あのような事をして……一切の責任を取らないのであれば……予はゴールデンバウムの淫蕩な皇帝どもと、同類となってしまう……予は、彼等と同類になる気はないのだ……」

「戦うにあたり、卿らにあらためて言っておこう。ゴールデンバウム王朝の過去はいざ知らず、ローエングラム王朝あるかぎり、銀河帝国の軍隊は、皇帝が必ず陣頭に立つ。予の息子もだ。ローエングラム王朝の皇帝は、兵士の背中に隠れて、安全な宮廷から戦いを指揮したりすることはせぬ。卿らに誓約しよう、卑怯者がローエングラム王朝において、至尊の座を占めることは、けっしてない、と… 」

関連イラスト

ラインハルト
ラインハルトとキルヒアイス


ラインハルト
ジーク・夫妻!



関連タグ

銀河英雄伝説 銀英伝 銀河帝国(銀河英雄伝説)
ジークフリード・キルヒアイス アンネローゼ・フォン・グリューネワルト ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ アレクサンデル・ジークフリード・フォン・ローエングラム
ヤン・ウェンリー ウォルフガング・ミッターマイヤー オスカー・フォン・ロイエンタール パウル・フォン・オーベルシュタイン 
ブリュンヒルト
金髪碧眼  皇帝 ライヒル

関連記事

親記事

銀河帝国(銀河英雄伝説) ぎんがていこく

子記事

兄弟記事

pixivに投稿されたイラスト pixivで「ラインハルト・フォン・ローエングラム」のイラストを見る

pixivに投稿された小説 pixivで「ラインハルト・フォン・ローエングラム」の小説を見る

このタグがついたpixivの作品閲覧データ 総閲覧数: 642024

コメント