概要
帝国軍の指揮官としては若手でブルーノ・フォン・クナップシュタインと共に次代の「双璧」と期待され、軍人としての才能はもとより、学術面においては地理学に秀でて帝国地理博物学協会の一員となっている文武両道の俊英で「探検家提督」とも呼ばれた。
当初はヘルムート・レンネンカンプの幕僚で、レンネンカンプの死後はクナップシュタインと共に新領土総督となったオスカー・フォン・ロイエンタール麾下に属して艦隊を率いた。
しかし、皇帝ラインハルト・フォン・ローエングラムが襲撃されたウルヴァシー事件が勃発した際、ロイエンタールが疑われる中で調査を行い地球教の関与の証拠を得るも、それを敢えてロイエンタールに報告せず、クナップシュタインを誘ってロイエンタールの反乱に同調するという行動にでる。
自由惑星同盟が滅亡、ヤン・ウェンリーも死亡したことで、帝国軍の若手の将官達は出世の機会が失われることを焦っていた。
それ故、グリルパルツァーはこれを好機と捉えて土壇場でロイエンタールを裏切り、帝国軍に寝返る事によって勝利に貢献して多大な戦功を得ようとする野心からの行動であった。
しかし、いざ帝国軍とロイエンタールが砲火を交えた第2次ランテマリオ会戦では、前線で帝国軍と相対した為に寝返れば自らが戦死しかねず、好機は得られなかった。
それどころかロイエンタールを裏切ることに後ろめたさとためらいがあったクナップシュタインは戦死。
ランテマリオ会戦後、撤退するロイエンタール軍を帝国軍が捉えた際に寝返るも、クナップシュタインの同調を知らなかったクナップシュタイン残存艦隊からは激しい攻撃を受け、更に自らの麾下の艦隊も意外な命令に統制を失い大損害を被ることになった。
最終的に、帝国のワーレン上級大将に降伏したが、これも「ロイエンタールの親友であるミッターマイヤーに降伏するのは危険だから」という小狡い打算を印象づけた。
ロイエンタールに至っては、グリルパルツァー攻撃を主張する部下に対し「皇帝もミッターマイヤーもああいう輩を許しておかない」「生き残った方が不運」と放置していた。
ウルヴァシー事件の真相を隠蔽した行動や、ラインハルトとロイエンタールに対する二重の裏切り行為はエルネスト・メックリンガーやラインハルトの怒りを招いた。
戦死したクナップシュタインをはじめ、ロイエンタールへの加担者のうち、ロイエンタールに従った末の死者や自殺者は階級をそのままとされたが、グリルパルツァーは大将の位を剥奪され自決を命じられるという悲惨な末路を遂げた。
なお、彼がヘイトを集めたことは、ロイエンタールへの他の加担者には同情を集め、寛大な対応を引き出した一面もあった。
能力・性格
艦隊指揮の能力的に見れば、帝国軍の上級大将以上の将帥たちと比べて劣っていたことは否めず、マル・アデッタ星域会戦では同盟軍の名将アレクサンドル・ビュコック元帥の老練な指揮の前に大きな損害を被っている。
それでも、ミッターマイヤーもバイエルラインに「グリルパルツァーの視野の広さを見習うように」と諭し、同じく評価していたメックリンガーも「策を弄さずともより高い地位と強い権限を得られたであろう」と言い、一連の行動によって彼が将来を失ったことを惜しむなど、視野の広い戦略家タイプの将帥として将来を嘱望されていた。
作中に登場して大将以下の階級にとどまった帝国軍の将帥としては特に有能だったことは間違いない。
しかし、上昇志向が過ぎる傾向があり、ねじれた形で発揮された上昇志向がロイエンタール叛逆事件への加担という形で現れ、身の破滅につながっていった。