概要
cv:渡部猛
カイゼル髭が特徴的な中年男性。一部では「髭が本体」と揶揄されることも。
ノイエ版公式では11月16日が誕生日である。
もとはラインハルト・フォン・ミューゼルの上司であったが、ラインハルトが「皇帝・フリードリヒ4世の寵姫の弟」だからといって甘やかすことがなかった代わりに、「門閥貴族にきらわれている」からといって不当に扱うこともなかった公正な人物として当初はラインハルトに評価された。
レンネンカンプの思想は「上官は部下をいつくしむ代わりに、部下は上官を敬愛する」という軍人としての枠に固まっており、それゆえに軍規にも厳しい人物でもあった。
当然、艦隊司令官として有能ではあり、ラインハルトが門閥貴族軍を破り、宇宙艦隊司令長官と帝国宰相を兼ねた折には大将として参加、ラインハルト元帥府幹部として名を連ねている。
帝国暦489年・宇宙歴799年、皇帝・エルウィン・ヨーゼフ2世が門閥貴族の残党によって誘拐、自由惑星同盟亡命後に「銀河帝国正統政府」が樹立されたことを機にラインハルトは惑星フェザーンから同盟を攻略する「ラグナロック(神々の黄昏)作戦」を発動、オスカー・フォン・ロイエンタール上級大将を司令官とする艦隊は陽動としてイゼルローン要塞に堂々と侵攻、レンネンカンプはコルネリアス・ルッツ大将とともに副司令官に就任する。
門閥貴族との戦いまでは同格であったロイエンタールが上級大将に昇進し、みずからは大将にとどまったことに対する対抗心からイゼルローン要塞攻略戦を指揮するが、戦術が教科書通りでもあることから「不敗の魔術師」といわれる同盟軍・ヤン・ウェンリー元帥に読まれて一敗地にまみれ、同盟領で再戦に及んだおりにも、ヤンに「ミスター・レンネンか」と軽んじられ、またしても苦杯を喫する。
帝国暦490年・宇宙暦800年5月、帝国と同盟の間に「バーラトの和約」が結ばれ同盟駐在高等弁務官の人選が問題になる。ラインハルトは「(レンネンカンプは)視野が狭い」との総参謀長・パウル・フォン・オーベルシュタイン上級大将の反対を「失敗したら切り捨てる」と言う理屈で押し切り、レンネンカンプを任命する。
これについては、ヤンに続けざまに苦杯をなめさせられたレンネンカンプに対し、名誉挽回の機会を与えたとする見方もある。
直後、カザリン・ケートヘン1世の譲位を受けてラインハルトは皇帝に即位し、ロイエンタール、オーベルシュタイン、ミッターマイヤーは元帥に、レンネンカンプら大将は上級大将に昇進する。
同年7月、ヤン・ウェンリー、フレデリカ・グリーンヒル・ヤン夫妻の年金生活に不信感をもったレンネンカンプはヤンと彼の部下たちの監視を強化、その一方で軍務尚書・オーベルシュタイン元帥からヤンを害することを教唆される。
レンネンカンプは自分とは対照的にまるで軍人らしくないヤン提督に敗れたことを根に持っており、「自分に勝った相手なのだから敵として尊敬出来る軍人であって欲しい」という若干屈折した願望すら抱いていた。ためにヤンにあらぬ疑いがかかった際も「ヤンならそれくらいしてくれるだろう」と勝手に決めつけ、事あるごとに言いがかりを付けるようになってしまった。(ヤンが兵力を隠していたのは事実であり、ヤンも完全な冤罪ではなかったが、レンネンカンプの疑いはそれと無関係な言いがかりであった。本文ではこの事を偏見の沼地と誤解の密林を盲目的に強行突破して、真実の城門の前にたどりついていたと表現している)
最終的にレンネンカンプは教唆のとおり、同盟政府に圧力をかけ殺害させようとするが、そのことを察したフレデリカとワルター・フォン・シェーンコップ中将率いるローゼンリッター連隊の反撃にあい、逆に拉致・監禁され、ヤン一党逃亡の人質にされる。
絶望を感じたレンネンカンプはその直後に自殺、彼の死は「帝国のためにならなかった」と判断されて元帥昇進を見送られ、またヤンに対する対応は帝国内でもレンネンカンプ側に問題があったと評価された(唯一、オーベルシュタインが「やむを得ぬ謀略」と庇ったが、大方の支持は得られなかった)。
レンネンカンプの死は帝国軍の同盟領再侵攻のきっかけとなったが、それはレンネンカンプの死そのものよりはそれを起点とする同盟政府のヤンに対する迫害行為が原因であった(再侵攻布告の際、ラインハルトはレンネンカンプの圧力が不当であったことを同時に同盟に告知している)。
なお、藤崎竜版では責任を感じて自殺という点は変わらないが、捕えられた際には正確な射撃で一人でローゼンリッター連隊を手こずらせ、また自殺の原因も絶望というよりは自らの死が同盟侵攻への口実、ひいては宇宙統一へのきっかけとなることを望み、「皇帝ラインハルト万歳!」と笑顔すら見せた上で積極的に自殺したかのように描かれており、若干ながら救いのある結果となっている。
レンネンカンプは艦隊指揮官としては有能で、ロイエンタールでさえその指揮に感嘆するほどであった。人事においても、部下の面倒見もよく、かつての部下であったラインハルトが上司となっても忠義を持って尽くす”良き軍人”であった。
裏返せば彼の能力はそこ止まりであり、軍隊の枠でしか物事が考えられない人物であった。ために視野の狭さから大局的な判断を見誤り、結果として望まぬ死を迎えることになってしまった。ラインハルトはかつての上司であったレンネンカンプを「人としては完璧では無かったが、こんな死に方を強要されるほど罪深い男ではなかった」と評し、その死を惜しんでいる。オーベルシュタインの人物評通りレンネンカンプに高等弁務官の地位は荷が重く、ラインハルトの人事ミスがこの結果を招いたとも言える。
また、レンネンカンプの麾下であったアルフレット・グリルパルツァーは、後に同じくレンネンカンプの教え子であるブルーノ・フォン・クナップシュタインを巻き込んで、ロイエンタールの叛逆軍に加わると見せつつ途中で裏切りを画策しようとする愚行を働いた。
結果としてクナップシュタインは戦死、グリルパルツァーは自殺を命じられる結末となり、レンネンカンプはラインハルト以外は教え子にも恵まれないことになってしまった。