パウル・フォン・オーベルシュタイン
ぱうるふぉんおーべるしゅたいん
「何も生きてあることだけが、国家に報いる道ではない」
タグはオーベルシュタインのほうが多い。
「余はオーベルシュタインを好いたことは、一度もないのだ。それなのに、かえりみると、もっとも多く、あの男の進言にしたがってきたような気がする。あの男は、いつも反論の余地もあたえぬほど、正論を主張するからだ」-銀河帝国皇帝・ラインハルト・フォン・ローエングラム-
CV:塩沢兼人(石黒監督版)、諏訪部順一(Die Neue These)
ローエングラム陣営の参謀にして冷徹・冷酷なマキャヴェリスト。
劇中では、どんな問題も解決するが人体に悪影響を及ぼす劇薬、誰もが優秀さと正しさを認めながら決して近づかない絶対零度の剃刀、正論だけを刻んだ永久凍土の石板などと評された。
初登場時はイゼルローン駐在艦隊司令・ゼークト大将の参謀だったが、いたずらに名誉ばかりを重んじ、部下からの進言を聞き容れない愚鈍な彼を見限り、敵前逃亡する(司令部の消滅を見届けてから勝手に撤退した)。
その後、銀河帝国側の主人公ラインハルト元帥府の総参謀長となり、ローエングラム王朝成立時には帝国元帥となり、軍政を統括する軍務尚書に任じられた。
最期は地球教徒の自爆によって負傷。医師たちにこれ以上の治療は無駄だと主張して病院にも搬送されず、頓死した。
容姿
小説の描写から半白の髪、特に光って周囲の人を驚かせる義眼が特徴として挙げられる。
先天的な持病から眼を光学コンピューターを内蔵するサイボーグ義眼に置換しており、形骸化したとはいえ、本来なら「劣悪遺伝子排除法」の対象である。また、その無機質な眼光によって周囲からは威圧的で冷徹な印象を抱かれている。
ファンの間で義眼、義眼の参謀が彼の代名詞となる所以である。
藤崎竜の漫画版においては、義眼が光るどころか度々バチバチと電流のエフェクトを放っているという異様なインパクトである。
人柄
作中、最も徹底した功利主義、マキャヴェリズムの持ち主。
どのような事態を解決するにも倫理や感情より、解決の効率性のみを優先させる。多くの人命を救うためなら少数の犠牲を容認し、必要とあらば自分自身も犠牲になることを厭わない。ただし、決して人命を軽視している訳ではない。
「劣悪遺伝子排除法」を制定したゴールデンバウム帝国初代皇帝ルドルフと彼の子孫、そして彼の作った全てのものを憎んでいると主張する。彼の理想は、ルドルフが作った全てのものを破壊し、自分の手で新帝国を建設することであり、ラインハルトもそのための道具に過ぎない。
このラインハルトを自身の野望の道具のように利用する姿勢も周囲の人間から敵視される理由の一つになった。また彼の理想に相容れない、有害・不要と見做された人物は策謀の道具に利用されたり、排斥されるため、恐れられた。
これらに関してラインハルト自身も「オーベルシュタインにとって邪魔になれば自分も抹殺される」と冗談めかして語っている。
※ラインハルトを利用していると言ってもオーベルシュタインは劇中を通して決してラインハルトの配下としての立ち位置を崩してはいない。ラインハルトがオーベルシュタインの言論を真正面から跳ね除けた際にはそれを受け入れている。後述のヴェスターラントの件にしても結果的にラインハルトは彼の選択を受け入れており造反している訳ではない。
能力
彼が最もその力を発するのは政務と謀略においてであり、軍事的な才覚はラインハルトから期待されていない。他の登場人物が戦術面に優れるのに対し、彼は策謀や組織運営に力を発揮している。ただし全く戦術面の才覚がない訳ではなく第七次イゼルローン攻略戦における描写から戦術面の才能も人並み以上にある様子である。
大佐から2年で元帥にスピード出世したのは彼とキルヒアイスだけである。キルヒアイスは功績を認められて死後、上級大将から特進したのに対し、オーベルシュタインは周囲から嫌われていたにもかかわらず、誰も異論を挟まないことから彼の能力がそれだけ突出していることが分かる。彼が軍務尚書になると軍務省の官吏たちが次々に体調不良になるなど、彼の能力に部下が耐えられないという描写もなされている。また、その存在感から「帝国宰相のごとし」と揶揄された。
特に自由惑星同盟が崩壊し、平和な時代になると彼の能力は遺憾なく振るわれた。ハイドリッヒ・ラングは、彼以外の他の提督たちが政治的能力が欠乏している点から「オーベルシュタイン以外は軍服を着た木偶人形」と評した。
ラインハルトも彼を嫌っているが、キルヒアイスの亡き後は彼に勝る人材がいないため補佐役として重用、結果としてラインハルトの嫌うような陰謀を取らざるを得ないことを不満に感じていた。またオーベルシュタインの提案する策謀は、ラインハルトの名望を汚すことも多く、最期まで後を引いた。
※ラインハルトは政略が綺麗事では済まないことを重々承知しており、キルヒアイスが参謀役を名乗り出た際もそれを断っている。オーベルシュタインはラインハルトがその存在を最も必要とした時期にラインハルトの前に現れ、以後その面においてラインハルトの期待を裏切ったことは劇中において殆どない。
「閣下の覇業を成就されるには、様々な異なるタイプの人材が必要でしょう。AにはAに向いた話、BにはBに相応しい任務というものがあると思いますが。」
家族
三十代後半だが、独身であり、執事のラーベナルト夫妻と一匹の犬と暮らしている。
ナイトハルト・ミュラーによれば、拾ったダルマチアンの老犬を育てている。軟らかく煮た鶏肉しか食べないため、オーベルシュタイン自ら鶏肉を買いに出ることもあるという。諸提督たちが意外な一面に驚く中、ビッテンフェルトは「人間には嫌われても犬にだけは好かれるらしい。犬同士気が合うのだろう」と揶揄した。オーベルシュタインも遺言に、この犬に関して言及しており、数少ない関心事だったと思われる。
オーベルシュタインの担当声優だった塩沢氏は、この件に触れ、「犬しか友達のいない憐れな男です。イジメないでください(笑)」とコメントしている。
ナンバー2不要論
彼の持論を周囲の登場人物が端的にした言葉。
組織にナンバー2の存在を認めず、ナンバー1の下で数人のナンバー3が互いを牽制することで権限の均衡を保つことが望ましいと考え、ナンバー1に次ぐ1人の人間がナンバー2として権勢を握ることが組織に良くない影響を与えるという持論を持っていた。
この理論によりオーベルシュタインに敵視されたのがラインハルトの半身と言われた親友・キルヒアイス上級大将、皇妃・ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ、彼女の父である国務尚書・フランツ・フォン・マリーンドルフ伯爵、そして新領土総督・ロイエンタール元帥である。
結果的にキルヒアイス、ロイエンタールは死亡し、この事実にオーベルシュタインに敵視されれば破滅するという不信感につながり、一層の敵意を向けられることになった。(マリーンドルフ伯は皇妃の父親が要職に就いていることの害を考えて国務尚書職辞任を表明するが、皇帝が病床についたことにより、しばらくの間、現職にとどまっている)
ただし、この理論が必ずしも間違っているようなことはなく、ミッターマイヤーやロイエンタールからも一定の理解を得られている(うまくいっているものを無理に壊す必要はない、とも言われていたが)。
対人関係
ラインハルトの部下ながら、ラインハルトに個人的な好意を見せることはない。他の提督たちが崇拝にも近い、批判さえ認めない姿勢であるのに対し、彼は「帝国は皇帝(ラインハルト)の私物ではない」と公言した。キルヒアイスの死に際してオーベルシュタインの罪を問わないことに「私は貴方を見捨ててはいない」と語るなど、明らかに対等か、それ以下の存在として振る舞うことがある。(※この言葉はあくまで主君として見捨ててはいないということであり、オーベルシュタインがラインハルトを下に見ているということではない)
ラインハルトも「道具として利用し合っている」とお互いに人間性を否定しているかのように語っている。
それでもラインハルトを光、自分を影と例えており、抜き差しならない存在であると認めている節がある。
徹底した正論、マキャヴェリズムに基づいた行動を取り、尚且つ仕事に私情を挟まない「無私の人」であった。彼を嫌う同僚達もその点だけは認めていたが、それゆえに多くの反感を買った(フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト曰く「私心がないことを武器にしている」)。
ラインハルトの親友ジークフリード・キルヒアイス、矜持によってたつオスカー・フォン・ロイエンタール、首席秘書であり後に皇妃となったヒルデガルド・フォン・マリーンドルフは、彼がラインハルトの人間性を破壊し、単なる政治の道具に利用していると見做し、危険視していた。特にロイエンタールは、「ラインハルトがオーベルシュタインの道具に成り下がるなら仕える価値はない」と主張するまでに至っている。(※この言葉は「ラインハルトが配下に御される程度の器なら仕える価値はない」という意味でありオーベルシュタインの評価とはあまり関係がない)
彼の陰謀は、主要キャラクターの死の間接的原因ともなっている。
まずキルヒアイスは、ラインハルトを守るために身代わりとなってアンスバッハに暗殺された。これはオーベルシュタインの直接的な関与はなかったものの、それまでキルヒアイスが特権的に武器を所持していたことをオーベルシュタインが咎めて止めさせたことに原因があると周囲が見做し、また一切、謝罪しなかった点で憎悪された(しかも謝罪するどころか、キルヒアイスの死を逆手にとってリヒテンラーデ公を失脚に追い込ませた)。
次にキルヒアイス亡き後にナンバー2となったウォルフガング・ミッターマイヤー、ロイエンタール両上級大将を危険視し、カール・グスタフ・ケンプ大将にイゼルローン要塞を攻略させる事で上級大将に昇進させ、ミッターマイヤー、ロイエンタールの権力を弱めようと画策するも、ガイエスブルグ要塞派遣軍を率いたケンプは攻略に失敗して戦死し、其の目論見は失敗に終わった。(※両名の存在を危険視したというよりも両名の功績が突出し過ぎないようにバランスを取ろうとした)
また、ゴールデンバウム朝のもとで秘密警察の長官を勤めていたハイドリッヒ・ラングを新たに設立した内国安全保障局の長官に登用、ラングにロイエンタールを監視させたことで激発させ、帝国を揺るがす大反乱となった。オーベルシュタインはロイエンタールを「平和な時代に順応しない猛禽」と評していたがラングの暗躍を黙認、結果、反乱の後にロイエンタールは敗死、ラングはアドリアン・ルビンスキーとの癒着が発覚したことにより処刑されることとなった。(※オーベルシュタイン自身はラングが私怨によってロイエンタールを貶めようとしている点については看破しており「私を失望させるな。私怨によって王朝の基礎を弱めたりすれば不忠の甚だしいものとなる」とラングの行動原理に関しては強く牽制している)
オーベルシュタインは、また、新たな人材登用にも動いている。
ラインハルトの政敵・オットー・フォン・ブラウンシュバイク公爵の部下だったアルツール・フォン・シュトライト准将(後・中将)の高級副官登用に反対せず、アントン・フェルナー大佐(後・少将)を軍務省官房長に重用したほか、エルンスト・フォン・アイゼナッハ上級大将の登用を推薦するなど、ラインハルト陣営の人材登用にも意を尽くした。
「オーベルシュタイン家が断絶しても世人は嘆きますまい。
ですが、ローエングラム王家はさにあらず」
皇妃・ヒルダは、キルヒアイスと同じくオーベルシュタインがラインハルトの人間らしさを失わせる存在として危険視した。一方でローエングラム王朝の高級軍人たちがラインハルトと同じ価値観を持つ者たちで固まっているのでオーベルシュタインのような異質な人間は必要だと認めている(ただし、そのポジションはヤン・ウェンリーにやってほしかったと述懐しているが)、対するオーベルシュタインもローエングラム王朝を安定させるため皇妃を必要と考えていた。
オーベルシュタインはヒルダがラインハルトに接近することを注視し、ヒルダの父・マリーンドルフ伯に掣肘を入れたり、ラインハルトに進言している。ヒルダは、「オーベルシュタインが自分とラインハルトが結婚することによって皇妃の父であるマリーンドルフ伯が権勢をふるわないよう、警告したのだ」と告げている。
ヒルダとラインハルトの結婚式の最中にオーベルシュタインが事務報告に現れるという一幕があり、公然の場で二人に公人であることを誓約させるが如き場面になってしまった。結果としてヒルダは、ラインハルトに政治的な助言を控えるという姿勢を選んでいる。
イゼルローン駐留艦隊幕僚
イゼルローン駐留艦隊司令のゼークト提督の幕僚を務め、的確な助言を行うがことごとく却下される。そのため艦隊は要塞への帰還も果たせずに惨敗、トールハンマーの直撃を受けたゼークト提督は戦死。オーベルシュタインは敗北を見越して脱出艇にて艦を去る。しかし上官を見捨てての敵前逃亡によって問責され、ラインハルトに助けを求める。
皇帝は帝国軍三長官に責任を求め、空席をラインハルトに譲り渡そうとしたが、ラインハルトはオーベルシュタインの助命と引き換えにこれを辞退した。
この際、オーベルシュタインはラインハルト個人に対する忠誠を誓約している。
リップシュタット戦役
ガイエスブルク要塞に籠城する貴族連合とラインハルトの戦いの際、貴族連合の前線基地だったレンテンベルグ要塞で捕縛したオフレッサー上級大将の部下をことごとく処刑し、オフレッサーひとりを貴族連合に帰還させた。オフレッサーは、金髪の孺子(=ラインハルト)嫌いの急先鋒で通っており、その彼が無傷で帰ってきたことにラインハルトと裏切りの密約を結んだのではないかと思わせ、貴族連合に大きな相互不信を飢え付けるという、オーベルシュタインの策略であった。結局オフレッサーは、ブラウンシュヴァイク公に裏切りの嫌疑をかけられて逆上し、ひとしきり暴れまわった後、裏切り者の汚名を着せられて葬られた。
ヴェスターラントの虐殺
貴族連合軍の盟主であるブラウンシュヴァイク公が自らの荘園ヴェスターラントの反乱で親類を殺されて激発し、地球を破滅に追いやって以来の禁忌であった熱核兵器を使用しようとした際、オーベルシュタインはラインハルトに虐殺の黙認を進言した。オーベルシュタインはヴェスターラントの虐殺の映像を政治宣伝の材料に利用し、貴族の悪逆非道を世に訴えた。その結果、貴族連合軍内部で、平民出身の将兵たちの貴族に対する反感が表面化。あらかじめオーベルシュタインが連合内に潜入させておいた工作員が、そのタイミングを見計らってガイエスブルク要塞守備兵の離反工作に成功し要塞主砲を封じ込め、戦闘の短期終結に寄与した。結果、戦役が長引いた場合にガイエスブルク要塞が第二のイゼルローンと化し、さらに多くの人命が失われる可能性を予防した。
ラインハルト暗殺未遂
リップシュタット戦役終結後、ブラウンシュヴァイク公の腹心・アンスバッハ准将がラインハルトと謁見した際、ブラウンシュヴァイク公の遺体の中に隠してあった銃砲によってラインハルトを襲撃した。
それまで謁見に際しては、唯一キルヒアイスだけが、ラインハルトの傍らで武器の携行が許されていた。オーベルシュタインは他の将校に対して公正を期すため、この特権的な慣習を廃止するようラインハルトに進言しており、アンスバッハの謁見は、ラインハルトもその進言を容れた直後のことだった。そのため丸腰のキルヒアイスはアンスバッハの凶行を防げず、結果ラインハルトをかばう形で落命する。
その後オーベルシュタインは、いずれラインハルトの失脚を企むと予見されていた帝国宰相・リヒテンラーデ公を、ラインハルト暗殺未遂事件の首謀者に仕立て上げることを提案。ミッターマイヤーら諸将の賛同もありリヒテンラーデ公から国璽を奪う事に成功した。
皇帝誘拐
リップシュタット戦役終結後、フェザーンに亡命していたランズベルク伯アルフレットとフレーゲル男爵の部下であったシューマッハ大佐が帝国首都・オーディンに潜入、皇帝・エルウィン・ヨーゼフ2世を誘拐し、自由惑星同盟に亡命させるとの報がフェザーンのニコラス・ボルテック総督よりもたらされる。
ラインハルトはオーベルシュタインと協議し、あえて皇帝を誘拐・亡命させることにより自由惑星同盟を攻める口実を作ることを決定、皇宮の警備責任者・モルト中将に責任を負わせること、ペクニッツ子爵の娘・カザリン・ケートヘンを後任の皇帝に据えることもあわせて決定した。オーベルシュタインはこの時モルトの上司である憲兵総監兼帝都防衛司令官・ケスラー大将にも責任を取らせることを主張したが、ラインハルトはこの直前、ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフから潜入したランズベルク伯が皇帝を誘拐する可能性があるという話を聞いていたことから「ケスラーは得がたい人材だし、減俸ですませよう」と返答、これに対しオーベルシュタインは「時には部下に死を与えることも、部下にとって名誉であり、君主にとっても必要」であると説き、ラインハルトも割りきれないものを感じながらオーベルシュタインの見解が正しいものであることを認めるに至った。
同盟滅亡
バーラトの和約後、同盟領において高等弁務官を務めていたレンネンカンプに、ヤン・ウェンリーの謀殺を進言する。レンネンカンプはかつて戦場においてヤンに敗北した経験からオーベルシュタインの進言を容れ、同盟にヤン・ウェンリーの身柄引き渡しを要求する。同盟がこれを拒否すれば和約違反となり、帝国の介入を強める事態を招くため、同盟側ヤンがいなければ引き渡しようがないと考え、地球教のテロに見せかけてヤンの暗殺を企む。
ヤン艦隊一同は、自己防衛的措置としてレンネンカンプを人質にハイネセンを脱出するが、虜囚となる事を良しとしないレンネンカンプは監房で自害してしまう。
しかし結果としてレンネンカンプの死は、帝国が同盟を完全併呑する口実として利用される事になった。
ロイエンタールの反乱
ロイエンタールの反乱の際には、オーベルシュタインとラングが帝政を壟断する者であるとしてロイエンタールに名指しで非難されている。
オーベルシュタインはラングを連れロイエンタールの元へ処罰を受けに赴くという道を提案した。自らを犠牲にして和解の道を示し、兵の犠牲を最小限にしようとしたが、ラインハルトはこれを拒否。ラインハルトにかわりミッターマイヤーがロイエンタールとの戦端を開いた。
結果としてロイエンタールは斃れ、ラングも後に拘禁された際にルビンスキーとの癒着を自白している。
皇帝弑逆未遂事件
ヴェスターラント出身の男が皇帝弑逆未遂事件を起こす。オーベルシュタインはこの時、「皇帝をお恨みするにあたわぬ。なぜなら陛下にブラウンシュヴァイク公の蛮行を黙認するよう進言したのは私だからだ」、「ヴェスターラントの犠牲があったからこそ、さらに大きな犠牲を仮定の数字にすることができた」、「卿は陛下よりも私を狙うべきだった。邪魔する者もおらず、ことも成就したであろう」と淡々と語り、男の憎悪を皇帝からそらしている。
衝撃を受けたラインハルトは男の処分を保留、これに対しオーベルシュタインは男の処刑を、ケスラーは名誉ある自殺の権利を与えることを主張、翌朝、男は牢内において自殺した。
オーベルシュタインの草刈り
同盟滅亡後、旧自由惑星同盟の要人を政治犯として片っ端から逮捕し、これを人質にイゼルローンの明け渡しを求めている(この要人の中にはヤンの部下だったムライや、ヤンの上官でもあり士官学校の恩師でもあるシドニー・シトレ元帥も含まれた)。
この時オーベルシュタインは、「人質作戦などという卑劣な策など用いず、正面からの戦いでイゼルローンを陥落させればよい」と考えていたビッテンフェルトらと口論になった。その中でオーベルシュタインは、ラインハルトのことを「戦いに堂々と勝利することこそ美徳であるという私的な感情によって、これまで多くの兵を死地に追いやってきた」と辛辣に批判。それに加えてビッテンフェルトやその場にいたミュラー、ワーレンらの軍功に対しても「卿ら三人がかりで何度ヤン・ウェンリーに勝利の美酒を飲ませて来たかよく知っている」と言い放ったため、激怒したビッテンフェルトに殴り倒された。
ラグプール事件
先述のオーベルシュタインの草刈りで逮捕された旧自由惑星同盟の要人を収監していたラグプール刑務所で、暴動が発生。帝国側はこれを鎮圧しようと乗り出したが、オーベルシュタインの部下と、彼を殴り倒したことで軟禁されていたビッテンフェルトの部下との間で摩擦が起きていたため、指揮系統が大混乱し、逆に帝国の将兵に多数の死者、重軽傷者を出してしまった。ラインハルトはオーベルシュタインのこの失態を強く叱責し、オーベルシュタインとビッテンフェルトを和解させた。
その後、皇帝ラインハルトの布告によってラグプール刑務所に収容されていた全ての政治犯を解放する事となり、ハイネセン市民のオーベルシュタインに対する怒りや反感は、皇帝に対する好意的評価に変わっていった。ユリアン・ミンツはこの一件を、オーベルシュタインによる民衆の帝国に対する反感を自分に向けさせつつ、逆に皇帝の評価を高めて共和政府を追い込むための計算だったのではないかと読んでいる。
なおこの際、オーベルシュタインは逃走中だったルビンスキーを逮捕している。その方法は全宇宙の医療カルテを調べ上げるという気の遠くなる作業だった。
最期
ラインハルト崩御の夜、オーベルシュタインは地球教の残党をおびき寄せるためラインハルトが回復しつつあるという情報を流す。ラインハルトを暗殺せんとフェザーンの仮皇宮に乗り込んだ地球教徒の手榴弾によって瀕死の重傷を負う(OVAでは左脇腹が大きく抉られ、内臓、肋骨が露出していた)。医師達が緊急の手術を行おうとするも、すでに自分が手遅れである事を悟っており「助からぬ者を助けようとするのは偽善であり労力の無駄だ」と拒む。そして医師達に向け遺言を告げる。「ラーベナルトに伝えてくれ。犬には柔らかい肉を与えてくれ、もう先は永く無いから好きにさせてやるように……」と言い残す。『ラーベナルト』という聞きなれない単語に戸惑う医師達に「ラーベナルトは我が家の執事だ……」と事務的に告げて事切れた。
後日の地球教の証言から、オーベルシュタイン自身が、彼のいた部屋にラインハルトが伏しているという偽の情報を流した結果だと判明する。
誕生日は5月5日の子供の日。これはコミック版を担当した道原かつみが雑誌連載時に掲載していたキャラ紹介イラストに誕生日も記載しており、小説版で設定のない(設定されていたのはラインハルトやヤン、ユリアンくらいである)キャラについては原作者の田中芳樹と協議して決めていたが、オーベルシュタインに相応しい誕生日が思いつかなかったという道原かつみに、田中芳樹が「オーベルシュタインの誕生日に最もふさわしくない日」として選んだのが「子供の日」で、道原かつみが「それにしましょう」と決めたためである。
ラインハルト・フォン・ローエングラム アントン・フェルナー ダルマチアン オスカー・フォン・ロイエンタール ハイドリッヒ・ラング
銀河うまぴょい伝説:ウマ娘とのコラボタグ。トレーナーとして起用されることが多い。補佐役という立場がトレーナーとして噛み合うこと。策謀を弄する必要がないこと。なにより動物好きであることから、原作よりも幸せそうである。
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