フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト
ふりっつよーぜふびってんふぇると
帝国暦458年2月29日生まれ。(3月3日生まれという説もある)
ローエングラム陣営の主要提督の一人で、黒一色に塗装された「黒色槍騎兵艦隊(シュワルツ・ランツェンレイター)」と呼ばれる宇宙艦隊を率いる「猛将」で、みずからも「猛将」と呼ばれることに強い誇りをもっている。乗艦は王虎(ケーニヒス・ティーゲル)。
「猛将」と言われている通り、彼の率いる艦隊の攻撃力と破壊力は「帝国の双璧」であるミッターマイヤー・ロイエンタール両元帥をも上回ると言われ、「帝国軍の呼吸する破壊衝動」とまで言われるほどであったが、その一方で、守勢に脆く、最初の突撃を持ち堪えられると後が続かないという弱点も併せ持つ。しかしその突撃を持ち堪えられる人物はそう多くはなく、後に反旗を翻したロイエンタールは彼と対決しても最初の一時間は押されるが、最後に戦場に立っているのは自分であると見ていたが、実際に目の前にするとその圧倒的破壊力に脅威を感じざるをえず、彼の猛攻を完全に減殺することはできなかった。
初期の頃からラインハルトの陣営で活躍しており、ラインハルトが初めて指揮した分艦隊の戦艦艦長として配属され、一隻で二隻の敵艦を沈める巧妙果敢な戦いぶりが彼の目に留まり、ラインハルトが元帥府を開くと幕僚に迎えられ同盟軍、はたまたは門閥貴族連合を相手に暴れ回った。
その攻撃力は凄まじく、ヤン艦隊のメルカッツ上級大将、フィッシャー中将を筆頭に同盟軍第8艦隊司令官・アップルトン中将(アニメにおいて)、第10艦隊司令官・ウランフ中将といった名将を戦死させ、数多く揚げられた戦果は同盟の滅亡に少なからず起因している。
アッテンボローから「連年失敗続きにもかかわらずその都度階級が上昇する奇跡の人」と形容されるように成功と失敗の落差が激しい所があり、その短気な性格がいらぬ失敗を招いてしまう事もしばしば。ただし完全な猪武者ではなく、ちゃんとした戦術・戦略を考える事が出来る男である。なお回廊の戦いが始まる前の時点で言われたことで、この時点で明確な失敗(=敗戦)と言えるのはアムリッツア星域会戦の時くらいで、作中で周りからは、ビッテンフェルトは失敗してばかりいる、という過大なイメージを持たれてたことが描かれている。
また、手柄を立てた部下に恩賞を与えることをラインハルトに命じられたおり、ビッテンフェルトは戦場で敵をなぎ倒した勇者ではなく後方で負傷兵を救護した病院船の乗員を推薦、この意外な返答にラインハルトは感銘して全艦隊の病院船の乗員に恩賞を当てることを決定、ビッテンフェルトの抜け目のなさを知ったミッターマイヤーとロイエンタールを苦笑させている。
OVA版ではコミカルで人間味のある描写が多く、彼の人気を後押ししている。
容姿
髪の色はオレンジ、筋骨隆々とした胴体の上にやや不釣合いな細面の顔をしており、ラインハルトの配下で最も武人らしい提督と言われている。OVA版でもこれらの要素が踏襲されており、頼もしくもどこか親しみのある外見となっている。
藤崎竜の漫画版では軍服を着崩した野性的なスタイルの男性として描かれており、時折袖を引きちぎってバンダナの如く額に巻いている。
能力
”ローエングラム王朝の武断的性質を体現した男”と称されるだけあって、とかく攻撃的な戦術を得意とする将である。迅速な機動力と火力を駆使した突撃戦法を得意としており、彼の指揮する黒色槍騎兵艦隊も「奇計や奸計を力でねじ伏せる」ような力業が得意である。
その反面、先述のように守勢に回ると途端にもろくなってしまうという弱点がついて回っており、この点をヤン・ウェンリーに突かれ一度ならず大敗を喫している。
なんともアンバランスで癖のある用兵家だが、その大胆にして剛毅な戦法は抜群の戦闘力を誇っているため、ラインハルトからも重宝された。裏を返せばラインハルト以外には扱えない人材であったとも言える。このように猪突猛進を得意とする猪武者のような印象を受ける(ビッテンフェルト本人もそう思っている節がある)が、意外にも補給や後方支援といった地味な役回りを大切にしている側面があった。ある時など戦線において自身の功績を誇らず、後方で負傷兵を命がけで救い続けた病院船を功績大と報告してラインハルトを驚かせた。
人柄
「粗にして野だが卑にあらず」をそのまま具現化したような性格をしており、「人を褒めるときは大きな声で、悪口を言うときにはより大きな声で」がモットーであり「家訓」でもあるらしい。
口が悪く短気な部分は否めないが、同時に素直で真心のある人物である。
これは回廊の戦いにおける彼の部下が進言した、ヤン・ウェンリー暗殺案を出された際に「陛下に無能者と呼ばれるのは、俺は耐えられる。だが卑劣漢と呼ばれては、今日まで命がけで陛下にお仕えしてきた意味がない!その程度のことが貴様にはわからんのかぁっ!」と激情した事からもその実直さが解かる。
オーベルシュタインに激高して掴みかかるくらいの激情家だが、その裏表のない人柄ゆえにどこか憎めない印象を人に与える。そのためか同僚や部下からも人気があり、先のヤンとの大敗でラインハルトから叱責を受けた際にはワーレンやメックリンガー達に慰められ、軍務尚書・オーベルシュタイン元帥と口論した際に激憤して階級が上である彼につかみかかって謹慎処分を受けたときなどは、それを不満に黒色槍騎兵艦隊の一部が暴動を起こしたこともあり、部下からの信頼も厚いことが窺える。
また、ラインハルトの本質である征服者としての波長ともよく合い、消極的になっていたラインハルトに「陛下はこれまで歴史を動かしてこられた。今回に限り、歴史に動かされるおつもりですか?」と進言し、「ビッテンフェルトの言や良し!」と目覚めさせるきっかけも作っている。
その為かラインハルトもアムリッツァ会戦での彼の猪突猛進ぶりによる失敗でヤンに壊滅的な打撃を受けた上に自由惑星同盟軍を取り逃した事には対してこそ叱責したが、後のマル・アデッタの会戦で遅れて戦線に到着して猛進するビッテンフェルトをロイエンタールが窘めた折にはビッテンフェルトはあれで良いとし、回廊の戦い緒戦でもその猪突猛進ぶりで敗退したが、ビッテンフェルトらしくもない敗北をするよりはマシと処罰せず本戦にも起用するなど、彼の行動に理解を示している。
作者の田中芳樹氏はあとがきにおいて、ポプランと同じく「殺すつもりだったのに最後まで生き残ってしまった」人物だったと明かした。平和な世ではさぞ身を持て余すことだろうと、氏は彼らのその後を案じる(?)コメントを残している。
また、本編には登場していない姉に小さいころから頭が上がらないという設定が読者から寄せられており、作者の田中芳樹氏にも苦笑まじりにその存在が公認されている。
作中屈指の強運の持ち主。ミッターマイヤーの旗艦『人狼』、ロイエンタールの旗艦『トリスタン』はもちろん、ラインハルトの旗艦『ブリュンヒルト』でさえ原作小説では被弾あるいは敵の襲撃を許しているが、ビッテンフェルトの旗艦『王虎』は原作小説中で一度も傷がついた描写がない。常に激戦の最前線にいるにもかかわらずである。(OVAにおいては第二次ランテマリオ会戦においてロイエンタール艦隊の砲撃を尽く弾き逸らしていた)
実際に死神の方が彼を避けているのかもしれない。
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