CV:戸谷公次(劇場版『わが征くは星の大海』)、 土師孝也(OVA版)、大場真人(Die Neue These)
概要
石黒監督版 | Die Neue These(右から2番目) |
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ゴールデンバウム朝(後にローエングラム朝)銀河帝国の軍人。艦隊指揮官としての能力もさることながら、後述するように芸術家としても一流の人物であったことから「芸術家提督」の異名で有名な人物。
第4次ティアマト会戦ではラインハルト艦隊の参謀長を務めている(当時の階級は准将)。その後、ローエングラム元帥府に中将の階級を持つ艦隊司令の一人として参加。
自由惑星同盟の帝国領侵攻作戦では、アップルトンの第8艦隊と戦っており、猛攻で追い込んでいる。
リップシュタット戦役における貴族連合軍との戦いで武功を立て大将に昇進、ローエングラム王朝成立後には上級大将に昇進し、帝国軍の最高幹部の一人となる。(なお、藤崎版では貴族連合軍との戦いからローエングラム元帥府に参加している)
座乗艦はクヴァシル。
皇帝・ラインハルト崩御後、獅子の泉の七元帥の一人として元帥に昇進する。
「食べるために軍人になった」という点では自由惑星同盟のヤン・ウェンリー元帥とまったく同じだが、ヤンが「趣味は昼寝すること」と言っているのに対し、芸術家を志向していた彼は散文詩人、ピアニスト、水彩画家としても一流と評価されている。
芸術家としても一流と評価されている現在、皇帝・ラインハルトという「比類なき生きている芸術」に仕えることに喜びを感じ、軍人をやめるつもりはないと語っている。
これらの芸術志向を持つため、アンネローゼの宮廷内での友人、ヴェストパーレ男爵夫人とも懇意である。そして後に男爵夫人を通じてラインハルトと知り合い、元帥府に招かれる事となる。
人柄
常に理性的・紳士的で、周囲には沈着な印象を与えるが、粗野な言行の目立つビッテンフェルトに対してしばしば苦言を呈することもあり、ロイエンタールの反乱の終盤には元凶の1人でロイエンタールを裏切ったグリルパルツァーを痛烈に糾弾している。
また、以前から原因不明の体調不良を見せていたラインハルトが、戦闘中に限界を来して昏倒した際は、それまで度重なる検査にもかかわらず病名を特定できていなかった軍医の胸倉をつかみ上げ「もはや原因不明では済まされない」と鬼のような形相で激昂したこともある。もっとも、ラインハルトが罹患していたのは人類史上初の奇病であり、強いて言えば膠原病に類似していることが分かっていた程度で比較できる臨床例もなく、そのため治療法も対症療法で時間稼ぎをしながら試行錯誤するしかないという全てが手探り状態であり、医師達としては『原因不明で、治療法もこれから研究して解明するしかないです』としか答えようのないもので、殊更に自らの責任を果たしていなかったわけではない。これはメックリンガーに限った話ではないが、『(軍医として)地位には責任が伴うのだから、もはや原因不明では済まされない』というのは、皇帝不予の動揺があったにせよ理不尽な恫喝ではあったといえよう。
前述のとおり、芸術家としても一流であることからアドリアン・ルビンスキーが起こしたテロ事件・「ルビンスキーの火祭り」で惑星・ハイネセンが大火災に陥ったおり、高熱にうなされる皇帝・ラインハルトが「どうせ死ぬならここ(同盟国立美術館)で死にたい」と駄々をこねたころを、ビッテンフェルトが美術品に目もくれずに無理やり救出。この事実を知ったメックリンガーは「ビッテンフェルトが芸術に興味がない男でよかった。もし興味がある男だったら、皇帝に危険が及んだことだろう」と芸術品の消失を嘆く皮肉をこめた感想を述べている。
能力
軍人としては戦術・戦略のいずれにも卓抜した手腕を有している。
一軍を率いる指揮官としても、帝国領侵攻作戦ではアップルトンを追い込み、リップシュタット戦役でも貴族連合軍に打撃を与えるなどその実力は一流と呼べる水準にある。
唯一、回廊の戦いでヤン・ウェンリーのハッタリに後退してしまったことがあるが、ハッタリでなければ帝国全体が危うくなりかねず、やむをえない対応であった(そもそも軍事でヤンの知略に勝てる者は作中にいない)。
ただし、艦隊指揮官としてよりも軍政家として非凡な能力を見せており、本人も軍政家としての立場を自認していた節がある。
- 統合作戦本部総長・ロイエンタール元帥が死去し、一個艦隊に勝る智謀と評される皇帝秘書官・ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフが結婚・妊娠のため軍を退役した後、帝国軍総旗艦・ブリュンヒルトに同乗、幕僚総監を務めている。
- ヘルムート・レンネンカンプ拉致事件の際には自らハイネセンに赴き真相解明にあたることを申し出ている。
- 憲兵総監兼帝都防衛司令官・ケスラー上級大将とともにオーベルシュタイン元帥の代わりの軍務尚書として宇宙艦隊司令長官・ミッターマイヤー元帥に推薦されている。
- ロイエンタール叛逆の際には「ウルヴァシー襲撃事件の黒幕はロイエンタールではなく、誇り高い彼は陰謀にはめられるよりはと自分から反乱を起こした」とほぼ真実を推測し、更に調査の結果アルフレット・グリルパルツァーの策謀の存在を解明して厳しく処断した。
ラインハルト崩御後のことは不明だが、皇帝・ラインハルトの生涯を客観的な目をもって記録・観察し史料として書き残したことで、いささか私情が入っているがヤン・ウェンリーの思想・信条を書き残したユリアン・ミンツとともに後世の歴史家に多大な影響を与えたとされている。
原作においても、彼の史書への記述が引用されることが多い。