アドリアン・ルビンスキー
あどりあんるびんすきー
銀河帝国と自由惑星同盟に続く第三勢力「フェザーン自治領」の第五代領主。
ダース単位で愛人がいる快楽主義者的な側面を持つ一方、冷徹冷酷な謀略家としての面も併せ持つ男。庶子としてルパート・ケッセルリンク、愛人の一人にドミニク・サン・ピエール、補佐官にニコラス・ボルテックがいる。
本来、自治領とは言っても帝国の支配下にあるフェザーンだったが、ルビンスキーが自治領主に就任して以来、フェザーンの経済力と、同盟と帝国を結ぶ回廊宙域に存在するという地形的条件を利用して、内政干渉を許さない独自の政治路線を形成した。
「警戒されるほど強からず、侮りを受けるほど弱からず」を国是に、銀河帝国と自由惑星同盟の勢力均衡に加担してきた。その優れた政治的バランス感覚から、政治家としての彼を知る者からは「フェザーンの黒狐」と呼ばれる。
その正体は、帝国と同盟の共倒れを狙うカルト宗教「地球教」のエージェントであるが、内心では教団に反発心を抱いており、逆に自分が教団を飲みこむことを狙っている。
策謀としてラインハルト・フォン・ローエングラムの下に腹心の部下であるニコラス・ボルテックを送り込み、優秀さを見込んで庶子ルパート・ケッセルリンクを新たなる補佐官に迎えるが、結果的に彼等は離反。フェザーンも帝国軍の侵略に遭う。この時期に叛逆したルパートを返り討ちにし殺害。ボルテックも後に謀略で始末している。
その後は地下活動でテロ行為を散発させる、危険かつ厄介な謀略家だが、かつての国家レベルの実力者からすれば竜頭蛇尾と言われてしまう体たらくへとなっていく。
一方で逃亡生活中に脳腫瘍を患い、それを和らげるために酒量が増大したことも一因と思われる。
新帝国暦3年/宇宙暦801年、軍務省による大規模な捜索網(宇宙中の医療施設から実在しない患者を洗い出して見つける)によって潜伏先のハイネセンで逮捕されたが、脳腫瘍は末期状態にあり6月(シヴァ星域会戦後)に死亡した。しかしこの際もラインハルトがハイネセンに滞在しているのを見計らって行った自殺であり、その死と連動して脳内に仕掛けられた起爆装置が作動し、ハイネセンポリスの各所で大火災が発生した。「ルビンスキーの火祭り」と称されたこの大規模テロでもラインハルトを仕留めるには至らず、最後の策も失敗に終わった。
道原かつみ版の漫画では性別が変更され、アドリアーナ・ルビンスカヤという名前の女性キャラクターに変更されている。ただしハゲなのはそのまま。