概要
物語開始時点でのゴールデンバウム王朝の門閥貴族筆頭で、国政を左右するほどの影響力を持つ名門貴族の当主。皇帝フリードリヒ4世の娘(皇女)アマーリエを妻に娶り、一人娘であるエリザベートの父でもある。
性格は極めて尊大かつ横暴。自分に対する指摘や忠告は全て誹謗中傷に聞こえるらしく、部下の諫言に怒鳴りつけるようなシーンもある。
フリードリヒ4世の崩御後、娘(皇帝の孫)のエリザベートを女帝に擁立し、自身はその摂政として国政の実権を握ろうと目論むも、国務尚書クラウス・フォン・リヒテンラーデ公と銀河帝国軍宇宙艦隊総司令官・ラインハルト・フォン・ローエングラム元帥が幼帝・エルウィン・ヨーゼフ2世を擁立。それ激しく反発し、他の門閥貴族たちを集めて「リップシュタット盟約」を結び、リヒテンラーデ公およびラインハルト陣営と対抗する。その際ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ上級大将を総司令官に迎え入れようとするが、陣営入りに難色を示すメルカッツに業を煮やし、家族に危害を加えることをほのめかし、半ば脅迫に近い形で無理やり引き込む。
部下のアルツール・フォン・シュトライト准将、アントン・フェルナー大佐は「ラインハルトを暗殺し、無用な戦乱を防ぎつつ実権を奪還する」という提案をするも、前述の性格のためか、また、ライバルであるリッテンハイム侯との政争を考慮し、それらを退ける。
フェルナーは独断でラインハルトの暗殺を謀るも失敗し投降。シュトライトも捕えられる。そして二人の主君であるブラウンシュバイク公は帝都を脱出する。
ラインハルトとの対面で両者はすでにブラウンシュバイク公を見限っており、フェルナーは参謀長・パウル・フォン・オーベルシュタイン中将の部下に、シュトライトは帝都に留まる。
ブラウンシュバイク公はガイエスブルク要塞に立てこもり、かくして「リップシュタット戦役」が勃発するも、圧倒的大軍を率いながらラインハルトの巧みな用兵と、無能な部下たち、そして尊大な貴族たちの横暴が相まって徐々に追い詰められていく。
ついには長年の暴政に苦しんでいた自領のヴェスターラントで反乱がおこり、甥が殺された報復として核攻撃を行い民衆の支持を失ってしまうという大失態を演じる。これには敵対するラインハルトもオーベルシュタインの献策を入れてブラウンシュヴァイク公の暴挙を黙認、後にアンスバッハ准将によるジークフリード・キルヒアイス上級大将殺害事件と、「皇帝委弑逆未遂事件」のきっかけとなる。
要塞内部も離反者が相次ぎ、やけになって最後の一戦を決意する。このとき、貴族連合軍に身を投じていたファーレンハイト中将は「ラインハルト軍は長征していることもあって、補給線が延びきっている。ここはガイエスブルグ要塞に籠って、敵の士気が落ちるのを待つべきだ」と献策したが聞きいれることはなかった。その結果、貴族連合軍は完膚なきまでに叩きのめされ、最後は忠臣のアンスバッハ准将に自裁させられてしまう。
物語中一貫して暴君としてふるまうが、メルカッツ上級大将からは「ブラウンシュバイク公は病人」と評される。彼がそうなったのは500年続くゴールデンバウム王朝における特権がそうさせたのであって、彼も王朝の被害者なのであり、今という時代に生まれたことが不幸なのだ、という。
もっともそのメルカッツの擁護も部下のシュナイダー中佐からは「なるほど、ブラウンシュバイク公は不幸なのかもしれない。だが、その不幸な人に従わなければならない我々はもっと不幸ではないのか」と評されている。
3年後、ヴェスターラントの虐殺事件の生き残りの男が、皇帝となったラインハルトの弑逆を謀るも捕えられる。その際男は動機として「ブラウンシュヴァイク公と共謀した貴様（ラインハルト)は生きている」が「ブラウンシュバイク公は死によって罪を償った」と発言している。生きていれば戦争犯罪人として裁かれたのはまちがいなく、彼はむしろ死んでよかったのかもしれない。
二次創作での登場
近年の二次創作では開明的ではないものの愚かではないといった方向で美化される傾向があり、数々の行動も相応の理由があって行っていたと説明されることもある。
絶大な権力を持っていたとはいえ油断できない政治闘争で頂点にいたということもあって政治能力は侮れない人物として描かれることも。
