CV:あずさ欣平(石黒版OVA)/ 北沢洋(Die Neue These)
概要
クロプシュトック家の初代当主アルブレヒトはルドルフ・フォン・ゴールデンバウムが銀河連邦議員として国家革新同盟を立ち上げて以来の同志であり、ルドルフが銀河帝国皇帝に即位して以降も財務尚書や内務尚書等を歴任してルドルフを補佐。以来クロプシュトック家はゴールデンバウム朝銀河帝国開闢以来の由緒正しき名門貴族となり、幾人もの尚書や皇后を輩出するなど権勢を振るっていた。
しかし、第35代皇帝オトフリート5世の後継者争いにおいて、クロプシュトック侯爵家当主ウィルヘルムはフリードリヒ皇子の弟クレメンツ大公の後ろ盾となっていたが、そのクレメンツ大公が前年に皇太子リヒャルト(フリードリヒとクレメンツの兄)に皇帝弑逆未遂の罪を着せて、リヒャルトを処刑させることで自身が皇太子に取って代わった陰謀が発覚。クレメンツ大公自身は自由惑星同盟への亡命を試みるが、乗っていた宇宙船が「事故」を起こしたことにより死亡した。
クロプシュトック侯爵自身がこの陰謀にどこまで関与していたかは不明であるが、クロプシュトック家の権勢は一気に失墜。さらに、新皇帝フリードリヒ4世(というよりも、フリードリヒ4世の後ろ盾であったブラウンシュヴァイク公爵とリッテンハイム侯爵)に疎んじられ、中央政界から失脚した。
その後は跡継ぎ(石黒版OVAでは「ヨハン」と命名)に先立たれるなど不運続きだったことから、ついに皇帝フリードリヒ4世及びブラウンシュヴァイク公爵に対する逆恨みで暗殺を計画する。ただし、石黒版OVAでは自邸の庭に設置されたルドルフ大帝の銅像に「帝室に弓退くことをお許しください」と謝罪しているため、少なくとも本人の主観では帝国の未来を憂えての行動であった。
クロプシュトック事件
原作では本編開始以前の帝国歴486年/宇宙歴795年に発生した事件となっている。
ブラウンシュヴァイク公爵が自邸で開いたパーティーにおいて、どういうわけか招待されたクロプシュトック侯爵が爆弾を仕掛けたケースをパーティー会場に持ち込んでフリードリヒ4世及びブラウンシュヴァイク公爵の暗殺をもくろむ。
しかし、フリードリヒ4世は体調不良を理由に欠席し、さらに偶然パーティー会場から爆弾が持ち出されたことからブラウンシュヴァイク公爵の暗殺にも失敗したが、ブラウンシュヴァイク公爵の身内等に多数の死傷者が出た。
このことからブラウンシュヴァイク公爵を始めとする貴族たちは大逆未遂犯として爵位剥奪・討伐の勅命を下されたクロプシュトック侯爵の討伐軍を組織し、正規軍と私兵の混成部隊でクロプシュトック侯爵領に攻め入る。
しかし、自領に帰還したクロプシュトック侯爵は金に物を言わせて多数の傭兵を雇い入れ徹底抗戦の構えを見せ、軍事の素人である貴族たちでは数の優位を活かせず苦戦した。
- この時に、正規軍から戦術顧問として討伐軍にミッターマイヤーとロイエンタールが派遣されていたが、貴族たちはこの二人の助言もろくに聞かない有様で、後のリップシュタット戦役の敗因が垣間見える。道原かつみ版コミックにのみ登場したレール・キャノン伯爵はその好例であった。
最終的には数に押されたクロプシュトック軍が敗北し、クロプシュトック侯爵は自決する(道原かつみ版コミックでは、旗艦の撃沈により戦死)。
石黒版OVAでは
黒版OVAでは発生時期を帝国歴487年/宇宙歴796年の、第7次イゼルローン要塞攻防戦(第7話「イゼルローン攻略!」)とベーネミュンデ侯爵夫人によるアンネローゼ暗殺未遂事件(第11話「女優退場」)の間に移して第9話「クロプシュトック事件」として映像化された。
石黒版OVAでは、ブラウンシュヴァイク公爵が自邸でパーティーを開催する理由が「娘エリザベートの誕生日祝い」となっている。
またクロプシュトック侯爵も、目的達成のためブラウンシュヴァイク公爵にクロプシュトック侯爵家の家宝であったルドルフ大帝の肖像画を献上するなどして、パーティーに招待してもらうために必死のご機嫌取りを行っていた。
また爆弾を持ち込む手段は、ケースの代わりに杖となっている。偶然ラインハルトと会うシーンもあるが、皇帝寵姫である姉の七光りによる成り上がりに対する反感からか、ラインハルトを見下すように鼻を鳴らしていた。
フリードリヒ4世が体調を崩して欠席したことや、爆弾が偶然パーティー会場から持ち出されたことでブラウンシュヴァイク公爵の暗殺に失敗する点は同じであるが、暗殺失敗の報を聞いた後はクロプシュトック侯爵家の命運が尽きたことをようやく受け入れ、、原作のように悪あがきはせずに帝都オーディンの上屋敷に自ら火を放った後に、拳銃自殺した。
このため、ミッターマイヤーとロイエンタールがラインハルトに忠誠を誓うきっかけは、クロプシュトック事件とは違う事件とされている(フレーゲルやアンスバッハは関与している)。