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ナンバー2不要論

なんばーつーふようろん

「ナンバー2不要論」とは、組織を守るうえで「ナンバー2」を置かないこと。
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概要編集

「ナンバー2不要論」とは、組織を守るうえで、組織のトップである「ナンバー1」に権限を集中し、そのうえで「ナンバー1」の代替えとなる「ナンバー2」を置かずに複数の「ナンバー3」に権限を分散、「ナンバー1」に次ぐ「ナンバー2」にならないよう同格の「ナンバー3」に互いに牽制させ、「ナンバー1」に権力を集中させ独裁を確立させることを目的とした組織理論の一種である。

ナンバー2自身にその意思がなくともナンバー1を排除しようと目論む勢力によって担ぎ上げられるケースもある。有能ならナンバー1の対抗勢力の旗頭として機能し、無能ならナンバー1を攻撃する格好の材料になる。野心や能力の有無に依らず、どのような人物であるにせよ結果的に組織を害するのでナンバー2は不要というのがこの思想の根幹である。


この理論を用いるにおいて、帝国・王国では皇帝・国王の後継者たる(正当な)皇太子・王太子は権力を継ぐにあたって現在のナンバー1やその組織を害する必要はないため「忌むべきナンバー2にならない」が、皇妃・王妃の一族は権力を壟断するという理由で「忌むべきナンバー2になりうる」ため何らかの方法をもって権力を削る必要がある。


この理論の問題点としては「ナンバー1」が何らかの理由で意思決定ができず、さらにその時点で「正当な後継者」もしくは「副官」たるナンバー2が存在しない場合、「ナンバー3」以下の持つ権限が干渉したり、各種目標の設定を独自に行ったりして組織が混乱すると、意思決定権者を欠くために意思統一が困難になり、組織そのものが機能不全に陥るか、空中分解を起こして崩壊する危険性が高いことである。

これはナンバー1が急死した場合も同様で、複数のナンバー3が権力の座を争うことにより組織が一時的な機能不全に陥るばかりか、後々までの禍根を残す結果となる。

また「ナンバー1」の欠点を補う形で選出された「ナンバー2」が存在するタイプの組織にこの理論を用いた場合、「ナンバー2」を格下げもしくは排除してしまうことで意図せずして「ナンバー1の弱体化」を招く危険性が存在している。

よってこの理論を実行することはその組織の在り方を理解したうえで「現行のナンバー2」が組織に必要なのか必要ではないのかを判断していく必要が存在する。


余談編集

この理論が劇中で明確に登場する作品として『銀河英雄伝説』シリーズが存在するが、同作においてはこの理論を提唱した人物の進言こそが本来いたナンバー2を結果的に排してしまい、彼自身が(望んでなかったとはいえ)ナンバー2に限りなく近い立場と化しているなどこの理論は実行するのがかなり難しいものとなっている。

もっとも、彼自身にナンバー1たるラインハルトの権力を壟断する意思が全くなく、他勢力によってラインハルトの対抗馬として担がれるほどの人望がなく、オーベルシュタイン自身は基本的に正しいので表立ってナンバー1への責任を問えるほどのミスはほとんどなく、また問題がある場合もナンバー1自身やナンバー3たちによる自浄作用が働くため問題になりにくいと、ナンバー2不要論者である彼自身が『ナンバー2が不要である理由』がほとんど当てはまらない理想的なナンバー2を実現しているとは大いなる皮肉である。

同時に、本来のナンバー2であったキルヒアイスもラインハルトの概念上の存在として残り続け、永久に配された代わりに決してナンバー1を害せず、他者に担ぎ上げられることもなく、ただナンバー1の良心としてあり続けるというオーベルシュタイン以上に完璧なナンバー2を作り上げたという側面もある。

また、OVA版ではナンバー2となりえるキャラクターにオーベルシュタインが視線を送る描写がしばしば見られ、ファンからは「オーベルチェック」などと揶揄されることがある。


現実世界においても「圧倒的な求心力を持つ明確なナンバー1はいるがそれ故に対抗馬となりえるナンバー2が存在せず、腹心と言えるナンバー2は別の組織にいる」もしくは「ナンバー2は存在するが最終的な意思決定権を持たない」といった形態を持つ組織の場合、ナンバー2不要論のデメリットが企図せずして発生することがある。この場合、「複数のナンバー3」が共同で代表の座に就くことで当座をしのぐことも多いが、それだけの時間的余裕がない場合は組織が空中分解したり、連鎖的に別の悲劇を招くことも多い。

様々な派閥で構成される現代憲政においてしばしば見られ、本邦における直近の事例としては安倍氏急逝後の自民党安倍派などが好例である。

また、東日本大震災における「大川小の悲劇」は、学校としての行動を決定するにあたって全権を持つ校長が不在かつ連絡が取れない中で、最終決定権を持たない教頭と様々な意見を持つ複数教員、危機を訴える児童、更に別の権力者である地域の代表も同席する中で意思決定権と冷静さを欠いたまま議論に終始し、時間を無為に浪費してしまった点が原因の一端であると指摘する向きもある。


関連タグ編集

パウル・フォン・オーベルシュタイン ジークフリード・キルヒアイス

五大老:徳川家康の台頭を防ぐべく複数の「ナンバー3」と同列に叙したが、その目論見は大きく外れることになってしまった。

大老:複数人いる老中の上に置かれた役職だが、めったなことでは置かれなかった。

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