概要
銀河英雄伝説OVA版最終話のサブタイトル。
親友・ジークフリード・キルヒアイスの髪一房を銀のペンダントに納めた銀河帝国ローエングラム王朝初代皇帝・ラインハルト・フォン・ローエングラムが、死の床で姉・アンネローゼ・フォン・グリューネワルトにキルヒアイスを返し、「十分に夢を見ました」と告げるところからきている。
銀河帝国ローエングラム王朝初代皇帝・ラインハルト・フォン・ローエングラムは不治の病・変動性劇症膠原病(通称・皇帝病)に冒されていた。シヴァ星域会戦において、それは会戦に参加した帝国の重鎮達に知れ渡ることとなり、同会戦で講和を結んだユリアン・ミンツらも知る事となる。
今後の帝国に議会の設立と憲法の制定という立憲制度移行の提案をユリアンから受け取り、共に惑星ハイネセンからフェザーンへ向かったラインハルトはヴェルセーデ仮皇宮で療養を続けるが、もはや逝去は免れなかった。死期が迫ったラインハルトはユリアンらイゼルローン共和政府の代表者達も仮皇宮へ呼ぶ。
「ヤン提督、僕は貴方の代理としてこの時代に冠絶したもう巨大なコスモの終焉を確かめます。提督が来世においでなら、どうか僕の目を通して歴史の重大な瞬間を確認して下さい。」
ヤン・ウェンリーの後継者として、代理として一つの時代の終焉を見届ける決意をしたユリアンは仮皇宮へ赴く。そこで、ユリアンは全ての始まりとも言うべき女性を見る。ラインハルトの覇道の出発点にして原点、アンネローゼ・フォン・グリューネワルトである。
「あの人が…あの人がいたからこそローエングラム王朝が誕生し、カイザー・ラインハルトという巨星が宇宙に輝き得たのか。」
後の獅子の泉の七元帥と呼ばれる将官達とアンネローゼに見守られる中でラインハルトは息子に最初で最後の贈り物をする。それはかつて自分にもいた対等の友と同じように対等の友であった。
あの嵐の夜にゴールデンバウム王朝の打倒を誓った同志オスカー・フォン・ロイエンタールの実子にしてウォルフガング・ミッターマイヤーに託されたフェリックス・ミッターマイヤーであった。
ユリアンら共和主義者との交渉、今後の帝国の行く末を妻のヒルダに託したラインハルトの最期の言葉は………
「宇宙を手に入れたら、みんなで…」
それは新帝国歴3年、宇宙歴801年7月26日23時29分のことである。ラインハルト・フォン・ローエングラムは25歳。その治世は僅かに2年あまりであった。
生後2ヶ月のアレクサンデル・ジークフリードが父の死を感じ取ったかのように泣き出し、皇帝となる息子を抱く皇妃ヒルダは集まった重鎮達に告げる。
「カイザーは病死なさったのではありません。命数を使い果たして亡くなったのです。病に倒れたのではありません。どうかその事を。皆さん、忘れないで頂きとう存じます。」
「星が落ちたよ、カリン。」
この病は全く症例のない新しい病であり、最初の患者であり死亡者でもあるラインハルトに因んで皇帝病という呼び名が定着する。ラインハルトの生涯の好敵手ヤン・ウェンリーの死から僅か一年あまりでラインハルト自身もヴァルハラへ旅立つこととなる。
ラインハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリー…………二人の英雄は己の役割と願いを次の世代へ託し、この世を去った。そして、民主共和制の小さな芽を抱いたローエングラム王朝の元で宇宙は統一され、専制政治と民主政治の英雄の伝説は終わりを告げる。これからは、彼らの志を受け継いだ者達が歴史を紡いでいく。
……伝説が終わり、歴史が始まる。
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パウル・フォン・オーベルシュタイン…ラインハルト崩御直前に亡くなる。
ラインハルトの逝去に立ち会った者達
銀河帝国
ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ アンネローゼ・フォン・グリューネワルト ウォルフガング・ミッターマイヤー フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト エルネスト・メックリンガー アウグスト・ザムエル・ワーレン ナイトハルト・ミュラー ウルリッヒ・ケスラー エルンスト・フォン・アイゼナッハ
フランツ・フォン・マリーンドルフ アルツール・フォン・シュトライト