『五等分の花嫁』を手掛けた春場ねぎによる、戦隊ものを題材にした漫画作品。週刊少年マガジン2021年10号より連載開始。英語版タイトルは『Go! Go! Loser Ranger!』ではあるが、『Ranger Reject』という別名もある（スペイン語版などはこれを使用している）。既刊16巻（2024年10月現在）。

飼い殺しにした怪人との戦いを毎週日曜日の朝に興行として開催する「正義の戦隊」に抗う戦闘員の物語である。

特撮に関連したメタフィクション要素を多く含むが、悪役の視点からそれらの概念・思想に突っ込みを入れることが目的の「戦隊パロディ漫画」ではなく、「戦隊という単語・設定を借りたバトルアクション漫画」である。武器や能力を駆使するバトル要素と、作者が得意とする「主人公が知らない所で何があったのか」を読者視点で追うサスペンス要素を特徴としている。

ストーリー

日曜決戦における大戦隊と悪の怪人軍団との戦いが恒例となり、その最前線の街・天ノ川市では、竜神戦隊ドラゴンキーパーと悪の怪人との戦いが13年にわたって続いている。

しかしその実態は、ドラゴンキーパーによってたった1年で幹部が壊滅させられ、生き残った戦闘員・ダスターらのみが人々を楽しませる興行として、八百長の戦いをさせられているという、やらせの茶番劇だった。

敗北を演じ続けるだけの悪役ですらない状況を覆すべく、戦闘員Dは打倒ドラゴンキーパーを決意し、大戦隊を相手に反旗を翻す。

用語

日曜決戦（にちようけっせん）

毎週日曜日に天ノ川市内のコロシアム行われる、悪の怪人軍団の侵略とそれから防衛する竜神戦隊ドラゴンキーパーとの戦闘だが、実態は上記の通りで、戦績は本作の開始時点で怪人側の0勝998敗である。

天ノ川市（あまのがわし）

本作の舞台となる都市。悪の怪人軍団のアジトである浮遊城が上空に浮かび、地上から五本の鎖で繋がれている（このことで日照権問題が発生している）。一丁目の浮遊城下交差点に日曜決戦の会場となるコロシアムがある。一方、市街地の外縁にはスラムが広がっている。

ちなみに、具体的なモデルは公言されていないが、作者の出身県の県庁所在地のランドマークとなる建物が多く描かれている。

パイロンの巣（ぱいろんのす）

大戦隊設立初期に作られた、パイロン（白竜）の名の通り無色の隊員候補生を育成するための訓練施設。

ウロボロス

廃校舎で「神隠し」と呼ばれる学生の失踪事件を引き起こしていたグループ。

怪獣（かいじゅう）

ウロボロスの事件の頃から天ノ川市に出現するようになった、極端に口が裂けたオオサンショウウオのような姿の怪物。作中年代の13年前にイエロー部隊が生け捕りにした個体があるが、実態はイエロー部隊の秘密実験の副産物であることが示唆されている。

天ノ川中央動物園（あまのがわちゅうおうどうぶつえん）

天ノ川市内の動物園。園内の動物が殺され怪獣が多数発生する事件が起きる。同事件で園地が破壊され、戦保怪戦後は跡地がショッピングモールとなった。

戦保怪戦（せんぽかいせん）

竜神戦隊ドラゴンキーパー率いる大戦隊と怪人保護協会及び怪人幹部との戦い。

チョップ

天ノ川市郊外のスラム街で流通していた、肉片の形状を持つ薬物。摂取すると怪人のように狂暴化する「チョップマン」となる。

登場人物

悪の怪人軍団

この世界における悪の怪人軍団。組織名不詳。宇宙より飛来し、地上を支配することを企んでいるが、ドラゴンキーパーによって幹部が1年目のうちに倒されたことから骨抜きにされ、八百長を強いられている。士気と征服の目的こそ健在だが、長引く戦いの末に自分が生かされた理由すら忘れた者まで存在する。地上から鎖で繋がれた滞空する浮遊城を拠点としている。

戦闘員

白い手袋・長靴・スカーフに、髑髏を模した顔が特徴で、「ダスター」と呼ばれる。出番はシフト制。個体の見分けは両肩のアルファベット1文字のペイントで、互いにアルファベットで呼び合う。黒づくめの不死身の身体は再構築によって自在に形を変えることが可能で、腕を刃物状にしたり怪人や人間に変身することができる。

悪役としての意識の高い一方現状に諦念も抱く本作の主人公戦闘員Dの他、容赦なきご意見番の戦闘員A(CV:石谷春貴)、比較的温厚な戦闘員F、少女趣味な戦闘員L(CV:真野あゆみ)、第1話の戦いでの必殺技で吹っ飛んだ戦闘員T、後述の虎怪人に変身した大柄な戦闘員Z、他にK、M、N、P、Q、Sが確認できる。アニメでは他にB(CV:室元気)、C(CV:虎島貴明)、G(CV:小笠原仁)、H(CV:八木岳)、N(CV:角田雄二郎)が登場する。

戦闘員D（せんとういんディー）

CV:小林裕介/演:富永勇也

本作の主人公。身体を再構築する能力によって人間への擬態を得意としており、人間態はどこか幼げな印象のある青年の姿（アニメでは人間態を「青年D」と称している）。

幹部がいなくとも悪の勝利を信じ、他のメンバーを鼓舞するが、その一方でこの境遇を受け入れてしまいそうな事も自覚している。

仕組まれた戦いによって度重なる敗北の末に自身が悪役ですらない事を痛感し、ドラゴンキーパーを倒すべく単独で行動し始める。

戦闘員F（せんとういんエフ）

CV:坂泰斗/演:エル・デスペラード

小太り体型の戦闘員。浮遊城から行方不明となったDを探しに地上へ降りたところをレッドキーパーに発見され、本物の神具によって消滅させられた。

戦闘員S（せんとういんエス）

アニメ版の監督繋がりの作品に登場するTV番組のような生中継バラエティ番組『バチ×バチ』の中継の前に天ノ川銀行支店で銀行強盗をしていた、臆病な痩せ型の戦闘員（但し、この犯行は別の者の指示によるもので、被害額は100円である）。

戦闘員XX（せんとういんエクスズ）

CV:羊宮妃那

1年目の戦いのさなかに地上へ降り、地上に潜伏していたはぐれ戦闘員。

幹部〔偽〕

毎週の日曜決戦で登場してはやられる役割の怪人。ドラゴンキーパーが支給した生物図鑑をもとに、戦闘員が肉体を再構築して変身する。

ウルトライガー

CV:左座翔丸/演:高橋光

第1話で登場。竜をルーツにしたドラゴンキーパーに対し、「竜虎合い討つ」というコンセプトの元、戦闘員Zが変身した虎怪人。この世の虎たちの怨みから生まれ(たという設定)、地上人への報いとして全ての動物たちを虎柄へ変えて世界を混乱へ導こうとする。奥の手として、「トラトラトランスフォーム」と叫んでトラック形態へ変身・突撃する。

幹部

干支を冠する12体の怪人。戦隊ものでの幹部怪人に当たるが本作では「怪人幹部」と称されている。そのうち7体（子、丑、寅、辰、未、戌、亥）はドラゴンキーパーに倒されており、残りの5体が地上に潜伏している。

ペルトロラ

CV:大塚芳忠

「酉」の幹部。残存幹部。

天使を思わせる4枚の羽がある不気味な怪人。兵器を飲み込み模倣する能力を持つ。パイロンの巣に潜伏していた。自ら神を騙り、怪人を信奉する新興宗教「怪人教」の信者を救済と称して虐殺した（この事件で桜間姉弟の両親は死亡している）。

マガティア

「巳」の幹部。残存幹部。

頭部の半分が筋繊維が剥き出しになっている風貌の怪人。幻覚の世界を作り洗脳する能力を持つ。過去に何度も自分を追ってきた大戦隊を廃人にしている。廃校内に構築した幻覚の学校で「ウロボロス」と呼ばれる組織を結成していた。

チャコブル

「申」の幹部。残存幹部。

「卯」の幹部と融合しており幹部2名分の力を持つ。「見えざる」「動かざる」など相手の行動を阻害する能力を持つ。

ヤケコカブ

「卯」の幹部。残存幹部。

「申」の幹部と融合しており幹部2名分の力を持つ。背後に浮かぶ輪を別の空間に接続しワープゲートを作成する能力を持つ。京言葉で話す。

フワリポン

「午」の幹部。残存幹部。

ズタ袋を被ったスーツ姿の怪人（容貌はこれが近い）。人間の死体を使役する能力を持つ。日曜決戦の実態を告発する動画を投稿していた配信者で、視聴者からはフワくんと呼ばれている。天ノ川中央動物園の事件では、怪獣を解き放った犯行声明の動画を配信している。

トドマスク

干支不詳。(見た目から「亥」の幹部である可能性)

巨大化する能力を持つ。グリーンキーパーによって討伐された。

アンデレガ

CV:蒼谷和樹

「寅」の幹部。

蛸と寅を組み合わせたような風貌の怪人。自身に対する攻撃を反射する能力を持つ。ブルーキーパーによって討伐された。

エメマタイ

CV:江越彬紀

「未」の幹部。

Dが「幹部の中ではまともだった」と語っていた怪人。再生と増幅の能力を持つ。チョップ及びチョップマンとの関連が示唆されている。

ユリメリダ

干支不詳。(見た目から「戌」の幹部である可能性)

戦いに消極的だったことから怪人軍団から追放された怪人。怪人保護協会の代表理事・薄久保薬師によってその存在が示唆されている。

大怪人デスメシア

大戦隊によってラスボスと比定されている怪人。怪人軍団の目的はその復活、大戦隊の大義はそれの阻止であると言われている強大な存在。

竜神戦隊ドラゴンキーパー

この世界における正義の戦隊。レッドキーパー、ブルーキーパー、イエローキーパー、グリーンキーパー、ピンクキーパーの各配下に部隊があり、部隊の隊員や一般の職員も在籍している。組織全体を指す場合は「大戦隊」と呼ばれる。

怪人保護協会

怪人の権利向上を主張している市民団体で、作中年代の10年ほど前にはその活動が見られる。

新戦隊（ジェネラルナイト）

戦保怪戦後、大戦隊、怪人保護協会それぞれの戦線離脱メンバーで結成された組織。

その他の人物

アナウンサー

CV:太田真一郎

日曜決戦やその他ドラゴンキーパーの戦いの実況中継を行う、眼鏡をかけた男性アナウンサー。原作では日曜決戦会場やヘリコプターから、アニメでは飛行船から実況を行っている。

我藤嶺（がとうみね）

「ウロボロス」のナンバーツーで、結界の効果により生徒指導教諭の役を行っている。眼鏡をかけた大柄な男性で、顔面左側に紋様のウロボロスのタトゥーが入っている。

西木有（にしきゆう）

「ウロボロス」に囚われていた少年で、刑事の西木正志が探していた行方不明の弟。

村上重信（むらかみしげのぶ）

警視庁捜査一課のベテラン刑事。「ウロボロス」の事件の捜査に当たる。

西木正志（にしきまさし）

村上とコンビを組んでいる警視庁捜査一課の若手刑事。「ウロボロス」の事件で行方不明になった弟の有を探している。年間100本のアニメを視聴するほどのアニオタ。

LG（エルジー）

「スラム王」の異名を持つ、天ノ川市外縁のスラムの裏社会のボス。チョップのブローカーでもある。スラムに潜入していた大戦隊ピンク部隊の黒子に殺害された。

重岡智茂（しげおかともしげ）

スラムに住む老人。元は夫婦で暮らしていたが、妻の死を契機にチョップに手を出し、段々と人としての感覚を失ってゆきチョップマンの一人となるが、最後に戦って敗れたピンク部隊正三位の萩野乃愛に看取られて死亡した。なおチョップの入手元は上記のLGではない。

テレビアニメ

2022年12月6日にアニメ化が発表された。

1st Seasonは2024年春アニメとして、TBS系28局、AT-X、BS11にて放送された。また、ディズニープラスでの独占見放題配信も実施されている。

なお、ディズニープラス独占という都合もあってか、講談社系のYouTubeチャンネルである『フル☆アニメTV』にて期間限定無料配信が実施された。

2nd Seasonは2025年春アニメとして、引き続きTBS系28局にて放送される事になったほか、ディズニープラスでの独占配信も実施される。

なお、地上波では1st Seasonは日曜夕方4時30分で放送されたが、2nd Seasonはアガルアニメ枠に変更となった。これに伴い制作ホスト局はTBSからCBCに変更される（かどうかはいまだ不明）。

スタッフ

監督・音響監督	さとうけいいち
副監督	いがりたかし
シリーズ構成	大知慶一郎
キャラクターデザイン	古関果歩子
メカ・クリーチャーデザイン	明貴美加
アニメーションスーパーバイザー	羽山賢二
アクション・エフェクト作画監督	酒井智史
プロップデザイン	中島政興
音楽	池頼広
音楽制作	松竹音楽出版
音楽プロデューサー	高石真美
アニメーションプロデューサー	石田貴久
アニメーション制作	YostarPictures
製作委員会	松竹 / 講談社 / TBSテレビ / ジェイアール東日本企画 / Yostar

主題歌

1st Season

OP：キタニタツヤ「次回予告」

ED：ナナヲアカリ「正解はいらない」

各話リスト

各話のサブタイトルは原作と無関係で、「本家」こと『スーパー戦隊シリーズ』の楽曲名のパロディとなっている。

話数	サブタイトル	元ネタ
第1話	俺たち正義さ！竜神戦隊ドラゴンキーパー！	俺たち無敵さ!!ダイレンジャー（五星戦隊ダイレンジャーED）
第2話	進め！戦闘員D！	進め!ゴレンジャー（秘密戦隊ゴレンジャーOP）
第3話	いつか、悪の花は咲くだろう	いつか、花は咲くだろう（ジャッカー電撃隊ED）
第4話	愛のソルジャー日々輝！	愛のソルジャー（光戦隊マスクマンED）
第5話	いま、大戦隊のなかで	いま風のなかで（忍風戦隊ハリケンジャーED）
第6話	1たす2たす散々だ！	1たす2たすサンバルカン（太陽戦隊サンバルカン後期ED）
第7話	ジグザグ最終試験ロード！	ジグザグ青春ロード（高速戦隊ターボレンジャーED）
第8話	訓練生、吼えろ！	ガオレンジャー吼えろ!!（百獣戦隊ガオレンジャーOP）
第9話	バトル！フィーバー！D！	バトルフィーバーJ（バトルフィーバーJOP）
第10話	全力全開！ブルーキーパー！	全力全開!ゼンカイジャー（機界戦隊ゼンカイジャーOP）
第11話	挑戦者 ON THE ROAD！	冒険者ON THE ROAD（轟轟戦隊ボウケンジャーED）
第12話	NEVER STOP D！	NEVER STOPチェンジマン（電撃戦隊チェンジマンED）