萌えと暴力について
概要
2022年6月24日に発表された、Cygames×P.A.Worksという、『ウマ娘 プリティーダービー』のテレビアニメ第1期に携わった2社によるオリジナルアニメ。
メイドとして働く、凸凹コンビの2人を描くいわゆる「お仕事アニメ」として発表された。『花咲くいろは』をはじめとした、「お仕事シリーズ」を手掛けてきた、P.A.Worksが得意とするジャンルである。
監督には、前述の「お仕事シリーズ」の1作でもある『サクラクエスト』の監督を務めた増井壮一、キャラデザ・総作画監督には仁井学など、P.A.Worksでお馴染みの人物がスタッフに名を連ねる。
それ以外では、『混血のカレコレ』などで知られる比企能博がシリーズ構成を担当するなど従来の「お仕事シリーズ」とは異なるスタッフも参戦している。
2022年10月6日から12月23日にかけてAT-X、TOKYOMX、サンテレビ、KBS京都のほかBS11にて放送。AT-X以外のネット局では毎週木曜深夜24時に統一。なお、Cygamesの創業者と因縁のある土地やP.A.Worksのメインスタジオおよび本社機能所在地でのテレビ局での放送は行われていない。
導入
それは、令和の秋葉原からおよそ二十年を遡った、世紀末とも呼ばれた時代。1999年、春。
憧れのかわいいメイドを目指して、東京・秋葉原にやってきた和平なごみ。
同時に配属された万年嵐子と、メイド喫茶「とんとことん」で新人メイドとして働くことになったなごみは、「とんとことん」のパワフルかつ個性的なメンバーたちに翻弄されながらも、メイドとして成長していく……。
……と、言いたいところだが。その実態は、「メイド喫茶を舞台にしたお仕事シリーズ最新作」として予想される「お仕事もの」からは大きくかけ離れた、ハードかつバイオレンスかつシュールなナニカ。確かにオタクは武器を持って闘う美少女メイドも大好きである。でも違う、そうじゃない……。見た目がメイドなだけで、やっている事は完全に昭和の任侠映画のノリであった。
突如、始まるメイドカチコミ! 飛び交う銃弾、煌めく白刃。無双系アクションゲームの雑魚並みの扱いで射殺されていく敵モブメイド達……。そう、メイドとは血と暴力と金に飢えたヤクザであったのだ。ザッケンナコラー!
前期のメイドもの作品との落差も相まって衝撃を受けた視聴者達からは、「汚いリコリコ」「深夜のドンブラザーズ」「メイド版アウトレイジ」「秋葉原だと思ったらロアナプラだった」「萌が如く」「おシノギシリーズ」などと、いろいろ評されるように。
秋葉原を舞台・題材とした作品は数多く存在するが、その中でも結構な異色作と言えるだろう。
(出オチだという意見もありつつ)鮮烈な第1話だったが、2話以降も毎話、メイド喫茶同士の抗争で必ず誰かしらの死者が出る展開が続いていく事になる……。
※これは決して誇張ではない。
スタッフ
原作 | ケダモノランド 経営戦略室 |
---|---|
監督 | 増井壮一 |
シリーズ構成 | 比企能博 |
キャラクターデザイン・総作画監督 | 仁井学 |
音楽 | 池頼広 |
音楽制作 | Cygames |
音響監督 | 飯田里樹 |
編集 | 高橋歩 |
アニメーションプロデューサー | 橋本真英 |
アニメーション制作 | P.A.Works |
主題歌
オープニングテーマ
「メイド大回転(第1話~第11話)」
作詞 / SHIBU、ケダモノランド経営戦略室 作曲・編曲 / SHIBU
歌 / とんとことんスタッフ一同
※第12話は冒頭のイントロのみ
エンディングテーマ
「冥途の子守唄」
作詞・作曲・編曲 / 磯崎健史
歌 / 万年嵐子(第1話~第4話、第6話~第11話)、和平なごみ(第12話)
※第6話では二番を歌唱
挿入歌
「純情メイドぶっころ主KISS(第1話)」
作詞 / nobara kaede 作曲・編曲 / 加藤裕介
歌 / 柊結夢(ゆめち)
※第10話でもノンクレジットだが、ゆめちが歌うシーンが一瞬ある
「一生女の子宣言☆(第5話、第12話)」
作詞 / nobara kaede、川崎智哉 / 作曲・編曲 / 川崎智哉
歌 / 万年嵐子(第5話)、和平なごみ(第12話)
※第5話ではエンディング位置で歌唱
「ゆえに背脂は輝く(第8話)」
作詞 / 古屋真 作曲・編曲 / 山下洋介
歌 / チームとんとことん
世界観
メイド喫茶が「暴力団」のような組織として存在している。構成員は実在のメイドと同じく、全員女性。ただし、取り立て屋のように、メイド以外の業務を行うメンバーには男性も少なからずいるらしい。
9話では「お萌」という明治時代のメイドが登場している。
お萌は、明治時代に秋葉原(あきはのはら)で、お店で女中(=メイド)をしており、様々なご主人様(お客)を接待していたのみならず、己も身体を張って戦っていた。
このお萌が、現在のアキバのメイドたちの始祖となっている。
それを記念し、現在も秋葉原では「お萌様祭」を開催している。
そのメイドの誕生以来、少なくとも2つのグループが常に存在し、並立・対立している。特に、1985年に起きた店長射殺事件で抗争が勃発。勢力が均衡し、徐々に情勢が悪化していた中の事件で、多くの死傷者が出る事態に発展した。現在は、当時に比べると沈静化している。
こういった背景がメディアで報道されている描写もあり、社会的には公然の事実と思われる。一方、地方から上京してきたなごみや、海外からやって来たゾーヤはこの実態を知らなかった。メイド喫茶が存在・営業しているのが限られた大都市圏のみである事や、99年当時はインターネット普及率も現代より遥かに低かったといった背景がこの辺りの認識のズレを生んだのだろう。
関連用語
- メイド喫茶
表向きは、現実のそれと同じ。しかし、その実態は血や汚い金が飛び交う裏稼業を担う猛者の集まり。元締め(=大手暴力団)の系列下にあり、現実社会における大手暴力団と下部組織に近い。実際のそれと同様、同系列でも組織間格差があるらしく、弱小だと、まともな場所でビラ配りもさせてもらえない。
- メイド
各店舗で店長のもとで働く店員、もとい構成員。狭義では上記の通りだが、グループの代表ポストにいる人物もメイド服を着用していることから、どのような地位であっても(建前上は)「メイド」という立場に代わりはないと思われる。
普段は接客業に従事しているが、有事となればカチコミなどに動員される。そのため各員、チャカあるいは刀剣類を所有していると思われ、ドスなどの刀剣類はもとより、ゆめちやしぃぽんの発言、他店舗メンバーの使いこなし様から、多くは銃火器類の取り扱いも経験済み、かなり手慣れている模様。ケダモノランドグループの各店舗が上納する義務を負う「おひねりちゃん」だが、メイドも上納しなければならない。「ご主人様(顧客)」との恋愛はご法度であり、発覚すればアキバを追放され、入ろうものなら命はないとされる。
何かしらの責任を取る時に自分の髪(例としてツインテールの片方など)を切ることがエンコ詰め(極道における指切り)に匹敵するけじめのつけ方となっており、作中では1話と11話に行われていた(11話は未遂)。
葬式への参列時は全身黒のメイド服、いわばメイド喪服を着用する。
- おひねりちゃん
ケダモノランドグループにおける上納金制度。ケダモノランドグループも参照。
- 姉妹の契り
この世界における、メイド同士のいわゆる「兄弟杯」。二人のメイドが互いの名刺を交換する事で、姉妹の契りを交わす儀式。
劇中ではなごみとねるらが、ラーメン屋「怒羅磨」にて、大将と「とんとことん」店長の見届けの元で行っていた。
その内容は、同じ丼のラーメンのスープを互いに口にする「ラーメン盃」を交わした後、互いの名刺を交換する、というもの。
ただし嵐子曰く、姉妹の契りは絶対的な物ではないとの事。また、過去には嵐子と凪も姉妹の契りを交わしていた様子。
豚をコンセプトとしたメイド喫茶。リンク先も参照。
アキバにある、多くのメイド喫茶を傘下に置く統括会社、もとい総元締め。「とんとことん」もここに属する。傘下のメイド喫茶は、動物をモチーフにしたもの。
リンク先も参照。
もうひとつのメイド喫茶大手、もとい総元締め。ケダモノランドグループと、兼ねてから対立関係にある。本部ビルには「秋葉外生命体」の看板を掲げ、傘下のメイド喫茶は宇宙人や天体など、宇宙関係をモチーフにしている。
リンク先も参照。
登場人物
メイドカフェ「とんとことん」
和平なごみ(わひら なごみ)
CV. 近藤玲奈
「アキバ」でかわいいメイドになることを夢見てやって来た女の子。ドジでかなり純粋な性格。
万年嵐子(まんねん らんこ)
CV. 佐藤利奈
寡黙な性格で笑顔を見せないという、メイドらしからぬ人物。誰に対しても敬語を使う。
CV. 田中美海
いわゆるぶりっ子系な性格の店員。「とんとことん」のエース的存在。ただし、接客時とそれ以外の時の落差が激しい。
CV. 黒沢ともよ
ギャルっぽい外見のメイド。見た目通りのギャル。自主性が高く、やりたいことは自分で決める性格。
CV. ジェーニャ
3話から登場。ロシアからやってきた外国人メイド。来日しアキバで体験入店しメイドになるも、笑顔を作れずにいた。ある出来事から嵐子と知り合い、それが縁で「とんとことん」へと移籍する。
御徒町(おかちまち)
CV. ???
パンダの着ぐるみを着用している人。ただしそれ以外は全くの謎。「とんとことん」の裏方担当。
八重樫靖子(やえがし やすこ)
CV. 高垣彩陽
三白眼が特徴的な「とんとことん」店長。やることが色々とゲスい。きっかけを作るのは大体この人。
「ケダモノランドグループ」
凪(なぎ)
CV. 皆川純子
「ケダモノランドグループ」の総帥。直営店「ギラギライオン」店長でもある。
CV. 内山昂輝
往年のオタクっぽい風体をした男。「とんとことん」が属する、「ケダモノランドグループ」本部からの取り立て屋。
佐野みのり(さの みのり)
CV. 小林ゆう
経営不振の「とんとことん」に派遣されてきた調教師。メイド教育のスペシャリスト。
「メイドリアングループ」
愛美・スーパーノヴァ・山岸(まなみ スーパーノヴァ やまぎし)
CV. ユリン千晶
現メイドリアングループの新代表代行。「赤い超新星」の二つ名を持ち、赤いバットを常に携えている。
7年間の服役を終えて娑婆に戻ってきた。非常に好戦的かつ凶暴な性格。
CV. 喜多村英梨
愛美に仕えている、メイドリアングループ所属のメイド(店舗は不明)。愛美ほどではないが好戦的で、チャカを携えている。
CV. 石見舞菜香
「メイドリアングループ」に属する「侵略カフェですとろん」に所属する少女。
宇垣和枝(うがき かずえ)
CV. 斉藤貴美子
「メイドリアングループ」の現代表の中年女子。
愛美が収監されていた間、前代表が死去したため後任としてグループのトップに立つ。その後「ケダモノランドグループ」に迫る勢いでグループを急成長させている。
その他
CV. 小山剛志
「とんとことん」下のラーメン店「怒羅磨」店主。
美千代(みちよ)
CV. 伊藤美紀
「とんとことん」所在地にあったメイド喫茶「侍女茶館」の店長。15年前の銃撃事件で命を落とした。
末広(すえひろ)
CV. 諏訪部順一
「とんとことん」の常連客で、嵐子推しと思われる男性。
赤井(あかい)、青田(あおた)、緑川(みどりかわ)
ねるら推しの「侵略カフェですとろん」常連客トリオ。「ですとろん」消滅後は「とんとことん」の常連になる。
お萌様(おもえさま)
CV. 釘宮理恵
明治初期に活躍した日本初のメイド。現代ではアキバメイドの偶像・象徴として歴史上の偉人のようにある種の神格化を受けている。
ナレーション
CV. 森羅万象
6話~7話、9話の冒頭を担当。中の人は、実際にヤクザものの映画やVシネマに出演したり、ナレーションなどを担当している。
死亡コメント枠
いわゆる各回のやられ役ゲストキャラなのだが、担当声優がやけに豪華なのにも関わらず1回限りの使い捨てという贅沢な使い方であること、公式サイト・Twitterに「死亡コメント」が掲載されるのがポイント。中には出オチ的に即死亡、というパターンもある。
……が、第6話でその扱いが一変することになってしまった。
話数 | キャラクター名(声優) |
---|---|
第1話 | チュキチュキつきちゃん店長(竹達彩奈) |
第2話 | ディーラーメイド(小松未可子) |
第3話 | 平伊達乃(生天目仁美)、木島(真殿光昭) |
第4話 | コンコンカフェ店長(高橋李依) |
第5話 | 薫子(小倉唯) |
第6話 | ねるら(石見舞菜香) |
第7話 | 愛美・スーパーノヴァ・山岸(ユリン千晶) |
第8話 | 宇垣和枝(斉藤貴美子)、みやび(喜多村英梨) |
第9話 | 取り立て屋(内山昂輝) |
第10話 | 末広(諏訪部順一) |
第11話 | 赤井(金子誠)、袋鼠役員(渡辺明乃)、 万年嵐子 (佐藤利奈) |
第12話 | 牛役員(仲村かおり)、熊役員(斎賀みつき)、獅子エースメイド(日笠陽子)、大将 (小山剛志)、凪 (皆川純子) |
各話登場メイドカフェ
- 侍女茶館(じじょさかん)
1話冒頭で登場。その後、5話の嵐子による回想で詳しく語られた。現在「とんとことん」となっている店舗に存在していたメイドカフェ。15年以上前に営業しており(看板によると1980年開業)、その頃には嵐子もこの店のメイドとして在籍していた。世間的にはメイド同士の抗争が激化する直前の時期らしい。
店舗そのものは、英国の伝統的な喫茶店を模したもので、内装もそれに準じている。メイド服もロングスカートの正統派。
店長は「美千代」という名の老女(上記も参照)。争う事に躊躇していた当時の嵐子の心情を悟り、「それでも構わない」といった主旨の言葉を彼女にかけていた。美千代が殺害された事で、メイド同士の抗争が激化したらしい。
当時はアキバのメイド喫茶としては異例の「非暴力」を謳っていたらしいが、事件後すぐに嵐子が敵討ちをしようとして逮捕された事で信頼が失墜して廃業。長らく空き店舗となっていたが、そこに「とんとことん」が開業する事となる。
- チュキチュキつきちゃん
1話に登場した、メイドリアングループに属するメイドカフェ。ただ、雰囲気はメイドカフェと言うよりは高級クラブなどに近い(これは同じメイドリアン系列の「侵略カフェですとろん」も同様)。モチーフは月の兎らしく、メイドたちはウサミミを付けた制服を着用。しかし店長は気が荒く、店では関西弁で店員に恫喝している。なごみと嵐子が訪れた時には、ある店員がドスでツインテールを詰めさせられていた。
経済重視路線の本部からは、素行不良が目に余ると見なされており、潰された際も一顧だにされていなかった。
外伝4コマでは店長は愛美を慕っていた模様であり、いわゆる「舎妹達」を殺された事が愛美の怒りに拍車をかけたものと思われる。
- 侵略カフェですとろん
ねるらが所属するメイドリアングループ傘下のメイドカフェ。モチーフは宇宙と侵略宇宙人らしい。
店長(CV:内山夕実)はメガネの理知的な少女であり、所属メイド人数も多い。
しかし、とある事件で離反者を出したことで、店長は離反者殺害の「犯人」として(口封じのためか、何らかの方法で廃人にさせられた上で)出頭させられ、同時に店舗自体も取り潰されたと思われる。
- メイドカジノ
2話に登場。闇金業者代表(CV:斧アツシ)と繋がっているメイドカフェで、店内ではスロットマシンやポーカーなどでギャンブルが楽しめる。ポーカーなどカードゲームのディーラーはメイド。店長もディーラーを兼ねており、イカサマで掛け金を巻き上げ、借金を増やし、海外に売り飛ばす……という手口で荒稼ぎしていた。劇中では「とんとことん」以外にも別店舗のメイドがポーカーに参加しており、負けてしまったためにどこぞの漁船へと送られていた。
- アキバふわふわぁすい~とくらぶ
3話に登場。オーナーは平伊達乃(CV:生天目仁美)。店内にはリングが設置され、そこで地下格闘試合が行われている。出場選手はメイドであり、このメイド同士のファイトによる賭けで収益を得ている。ゾーヤは、元はこの店所属のメイドであり、格闘試合の選手。
ゾーヤ以外にも、「ピュアミルキーまさみ(〈CV:和氣あず未〉無敗の絶対王者。三連覇を賭けてトーナメントに参加したが、嵐子に1Rで瞬殺されている)」といった様々な選手メイドが在籍・参加している。この試合目当てで、足繁く通う常連も多い。
試合が行われる際には、店名のネオンが一部消え、「アキバふぁいとくらぶ」と点灯する。
- メイドシープ
5話に登場。「とんとことん」と同じ「ケダモノランドグループ」傘下。羊をモチーフにしたメイド喫茶で、店員は語尾に「ふわりん」を付ける。
店員の薫子は、キュートな雰囲気が特徴的で固定ファンも多い。しかし、その実は腹黒。自分と同じ誕生日のメイドを、店舗地下のトマトジュース鍋(椅子に縛りつけた状態で巨大な桶に入れ、そこにトマトジュースを大量に注ぎ込み溺死させる。ついでに本物の子羊も投げ入れている)で殺害してきた。その体で嵐子も殺害しようとするが、御徒町の活躍で「とんとことん」の面々にカチコミを受け、奪還され店も壊滅させられた。
薫子は、グループ内でも一二を争うメイドのようで、能力や順列としてはゆめちや嵐子よりも上らしい。
その後も幹部クラスの中に店長らしき姿がある事から、すでにメイドを確保・営業再開していると思われる。また、作中で示された図式によると、萌え萌え序列でも上位に位置しており、店長がグループ幹部の地位にあるのはこれに基づくものと思われる。
- 忍者カフェ
7話に登場。自分のせいでねるらが死んだと茫然自失になったなごみがとんとことんを出て行き、メイドを捨てて世を偲んで働くために就職した店。店員は忍装束で接客する他、苦無ダーツなどを設置しており、アトラクションの一環として店員も苦無投げをはじめとする忍者スキルを修得するようになっている。店員が生活する寮もあり、カプセルホテルのような箱型の寝台で寝起きする模様。なごみはこのカフェで鍛錬を積んだ結果、身体能力が向上した他、忍者スキルも修得した。
また12話ではこの店と思われる店でケダモノランド役員達(牛・熊・猫の3人)が酒を飲み交わし現状について語っていた。
ちなみに「忍者をテーマとして秋葉原に店舗を構えるコンセプトカフェ」は実在しており、取材協力としてクレジットされている。
- ギラギライオン
9話に登場。「とんとことん」と同じ「ケダモノランドグループ」傘下。ライオンをモチーフにしたメイド喫茶で、店員は語尾に「ガオー」を付ける。
総帥・凪の直営店でもあり、百獣の王であり生態系の頂点に君臨するライオンと同じように傘下の中では頂点に立つ。ゆえに非常に優遇されており、開催された「お萌様登り」では「ギラギライオン」を出来レースで優勝させるように他店舗に八百長が指示されていた。
だが、そのことを全く知らない底辺の「とんとことん」に敗れて頂点から落とされて生態系を崩されることとなる。
一見、凪の寵愛を受けているばかりに傲慢さがあるように見えるが、所属メイドらは全員、凪の期待を裏切らないよう日々精進しており、お萌様登りでは出来レースであっても気を抜かずに走っている他(結局は「とんとことん」に敗北したが)、「とんとことん」がギラギライオンに襲撃した際も、人質にされた獅子エースメイドは臆すること無く死を選ぶなど、グループへの忠誠を誓っている。
メディア展開
4コマ漫画
10月10日から12月24日にかけて、4コマ漫画「冥途人生(めいどらいふ!)」が、不定期に公式Twitterへ投稿された。全6話。本編の裏話などが描かれる。ストーリー構成は、本編のシリーズ構成も務める比企能博。
タイトル一覧
話数 | タイトル |
---|---|
#1 | 萌え萌えメイドマガジン |
#2 | メイドのお部屋事情♡ |
#3 | 店長の接客だブー |
#4 | 先輩メイドへのメッセージ♡ |
#5 | 上野への道のり |
#6 | もういくつ寝ると |
動画配信
放送直前の9月29日より、「激録 メイド密着 24時!!」と題する動画を不定期に配信。メイドに扮した、なごみ役の近藤玲奈を密着する……という体裁のもの。
舞台化
最終話放送後の2022年12月25日に舞台化が告知された。
舞台「アキバ冥途戦争 ~浪速喰い倒れ狂騒曲~」
期間:2023年9月6日(水)~9月10日(日)
会場:東京都 博品館劇場
ストーリー
1999年、和平なごみは、憧れのメイドになる為に秋葉原にあるメイド喫茶「とんとことん」で働き始めるが、メイドの世界は殺るか殺られるかの世界であった。
メイド同士の抗争にドキドキしながらも、少しずつメイドの仕事に慣れて来たなごみ。
同室の万年嵐子とも少しずつ打ち解けつつあった。
そんなある日、なごみが福引で大阪団体旅行を当てる。
勝手に秋葉原を出る事が許されない「とんとことん」一同は半ばあきらめかけるが、ルールに納得のいかないなごみは、「とんとことん」に置手紙をし、たこ焼きを求め大阪に。
なごみの大阪行きが取り立て屋にバレた為、大事になる前になごみを連れ戻しに大阪に向かう「とんとことん」一同、
しかし、大阪の日本橋にもメイドの一大勢力があったのである・・・・・。
スタッフ
原作:ケダモノランド経営戦略室「アキバ冥途戦争」
脚本・演出:川尻恵太(SUGARBOY)
キャスト
和平なごみ:佐藤日向
万年嵐子:野本ほたる
ゆめち:長澤茉里奈
しぃぽん:橋本梨菜
ゾーヤ:護あさな
富美代:上西恵
虎飼キズナ:古賀成美
取り立て屋:反橋宗一郎
店長:鳥居みゆき
御徒町:森田眞礼
余談
- 念のために触れておくと、時代設定が1999年で、秋葉原の街並みもその当時の物を再現してはいるが、秋葉原に史上初のメイド喫茶・キュアメイドカフェが開店したのは2001年3月である。前身のPiaキャロレストランも1999年7月開店なのでぎりぎり劇中の時代に入るが、この時はまだコスプレ喫茶の走りでしかない。つまり時代的に虚構の秋葉原として見るしかないわけである。まあメイド同士がドンパチしている時点で今更ではあるが……。
- ちなみに、1999年当時の秋葉原は現在のように萌えが主体というわけでなく、パソコンやそのパーツを扱う店舗が主力となっていた。またオタク文化が浸透し始めた頃で、コンピュータゲームから派生する形で徐々にアニメやホビー関連の専門店が進出し始め、オタク街になり始めた時期でもある。もっと言うと第1話冒頭は1985年だが、この頃の秋葉原はまだ純然たる電気街、メイド萌え文化に至っては影も形もない状況である。
- 一方秋葉原にメイド喫茶やコンカフェが雨後の竹の子のように乱立するようになったのは2000年代後半以降。特にぴなふぉあが2003年、@ほぉ~むカフェが2004年、めいどりーみんが2008年と、現在の萌え系の潮流を作った店舗はキュアメイドから少し遅れての開店である。
- ※この辺りの歴史については「アキバ」「メイド喫茶」に詳しいので、そちらも参照を。
- ほかにも、第1話で嵐子の35歳という年齢を聞いたしぃぽんが「ウケんだけど。アラフォーじゃん」と発言するが、「アラサー」「アラフォー」という単語が世間に浸透するのは『異世界おじさん』等でも指摘されているように2006年頃だったりする。もしかしたら、本作の世界でこの言葉を最初に考案・使用し始めたのが彼女であったのかもしれない。
- 名古屋では暴力団幹部がメイド喫茶を無許可で経営し逮捕、秋葉原ではみかじめ料を要求していた山口組幹部がコンセプトカフェ経営者に刺殺される事件が起こっており、誇張はあるものの「任侠とメイド喫茶」という取り合わせは、完全なる創作とも言い難いものがある。
- 不可抗力だろうが、第7話放送時にTwitterでトレンド入りした際に、それを見ると大阪で半グレのメンバーがガールズバーの店員同士を決闘させた罪で逮捕されたという、ある意味作品にあったような記事も表示されたりした。
- 本作のタイトルが、しばしば「アキバ冥土戦争」と間違われることがあるが、正しくは「アキバ冥途戦争」である。この誤記がトレンドに上がることもあり、公式アカウントも注意を促すツイートをしている。
- メインキャストは全員Cygames作品に参加している共通点があり、Cygamesも制作に参加していることからゾンビランドサガやウマ娘のようにサイゲ内コラボが来るのではと噂されている。
- 上記のようにお仕事シリーズに関わってきたスタッフが参加し、公式サイトにおいても『Cygames×P.A.Worksが送る渾身のお仕事アニメ』と銘打たれているが、2023年11月劇場公開予定のお仕事シリーズ作品「駒田蒸留所へようこそ」の特報ムービーにおいて、これまでのシリーズ作を羅列する場面で本作は除外されている。
- 本当はシリーズ作品ではなかったのか、あるいはシリーズから逸脱した作風の本作をあえて外したのかは不明だが同PVを見た者からは「アキバ冥途戦争はどうした」というツッコミが相次いた。
関連動画
本PV
users入り
関連タグ
外部リンク
最終話のネタバレ注意
“私たち”が夢見た世界(アキバ)へ…~萌えと暴力との闘いの果て~
「とんとことん」壊滅を狙う「ケダモノランドグループ」に対して、なごみにより仕掛けられた「メイド戦争」
幹部の理解は得ることが出来たが、凪は最期までなごみの「平和で楽しいメイド」の願いを受け入れることなく、他者の手に掛かり死亡した。
それから19年後、暴力と血でまみれた時代の面影はなく、なごみ(とその理解者、先人たち)の願ったアキバが、そこにあった。
そして、そのアキバの片隅にある、メイド喫茶「ニューとんとことん」で、凪の銃撃の後遺症で車椅子生活になりながらも、メイドとしてご主人様のお出迎えをする、なごみの姿があった。
「アキバ冥途戦争」ーそれはメイド、萌え文化が、私たちが知る姿となるまでに、流された血と涙、そして願いの軌跡…。
アキバの片隅の路地裏で、車椅子姿で「お散歩」しているメイド服姿の女性がいたら、彼女はもしかすると…
「おかえりなさいませ、ご主人様!」
余談(ネタバレ)
- 「1999年」という舞台設定は「メイド喫茶」(の前身)が誕生した時期に当たるが、本作はその「実史」に繋がるようになっている。
- さらに、最終話Cパートに登場した「2018年」のアキバにはその年にアニメ化された「ウマ娘 プリティーダービー」TVアニメ第一期(原作:Cygames、アニメ制作:P.A.WORKS)のポスターが掲示されており、これは単なる架空史ではなく、視聴者のいるこの世界の歴史であることを示唆する仕掛けとなっている。
- 加えて、「1999年」という舞台設定は、「ウマ娘」アニメ化の年(「2018年」)にちょうど、なごみが嵐子の亡くなった年齢である36歳となるようにもなっている。
- これらはどこまで意図し、どこまでが偶然なのかは分からないが、いずれにせよ視聴者に対する感動的なサプライズとなっている。
- 前述通り、血と暴力に塗れた異色のメイドものである本作だが、「己の仕事に誇りを持ち、それを貫いた女性の成長と活躍を描く」という点では紛れもなく「お仕事シリーズ」であった。