概要
水木しげるが集英社『週刊少年ジャンプ』にて1970年に連載した漫画。
『貸本版悪魔くん』のリメイクであり、続編というわけではない。
雑誌連載時には『悪魔くん復活 千年王国』となっていた。この『復活』というのは、貸本版が不本意ながらも打ち切りにより中途半端な所で終わったから、7年の時を経て雑誌連載で復活した、という意味である。その辺を勘違いして、『貸本版』(あるいは『週刊少年マガジン』で連載していた山田真吾版)の続編と誤認しないためか、単行本では本タイトルと同様に『復活』の部分が削除された。
現在、講談社水木しげる全集においては原題の『悪魔くん復活 千年王国』の名で収録されており、下巻は紙面が余ったということで『世紀末大戦』が収録されている。ややこしいことに『世紀末大戦』は『貸本版』の正式な続編であり『千年王国』とはパラレルである点に注意。
あらすじ
1万年に1人の天才児「精神的奇形児」と称される少年・松下一郎こと「悪魔くん」。彼は軽井沢の別荘に閉じこもり、悪魔を呼び出す研究に明け暮れていた。すべては、貧困や公害や差別に苦しむ人々を無くし、国境のない「千年王国」を築くために。しかし、あまりに突出した才は潜伏していた超人・仙人たち、更には凡俗の一般人にとって疎ましいものであった。悪魔くんの千年王国建国の為の戦いが始まる。
登場人物
悪魔くん一派
- 悪魔くん
本名松下一郎。千年王国樹立を目指す天才児であり、本作においては世界征服を目指す革命家である。
原作とは異なり、一人でいるところを警官隊の誤射で死亡。しかし仙界の協力で蘇生した。
悪魔くんの使徒。十二使徒と言っておきながら第9使徒がすぐ死んでしまったので全員揃ったことは無い。
序列 | 名前 | 備考 |
---|---|---|
1 | 蛙男 | 貸本版と同一。 |
2 | ふくろう女 | 悪魔を召喚するための魔法陣を知る者。そこらへんにいた梟に憑依させて顕現させたため、当初は「こんな姿イヤよ」と倦厭していた。 |
3 | ヤモリビト | 貸本版と同一。 |
4 | 占い杖 | 器物にも拘らず悪魔召喚に貢献したということで任命。一応自意識はある。 |
5 | ベルゼブブ | 貸本版の悪魔(世紀末大戦のロソン)に相当する本作のトリックスター。 |
6 | 家獣 | 家型の怪物。悪魔くん一派の移動要塞。 |
7 | 別荘番のおっさん | 貸本版と同一。本作では家獣に閉じ込められていた所を第8・9使徒と共に救出され使徒になる。 |
8 | 別荘番夫人 | 貸本版と同一。ベルゼブブに洗脳され魔女となる。 |
9 | 軽井沢の駐在さん | 蓬莱島へ向かう最中に脱出できずサメに食われて死ぬ。 |
10 | 幽霊 | 家獣の中にたまたま住んでいただけで任命された。 |
11 | 松下大平 | 一郎の父。太平洋電気の社長だが、悪魔に誑かされ無一文となり、一郎に救われる。しかし本作でも妻子に先立たれることに…。 |
12 | キリヒト | 貸本版と同一だが本作ではサタンの手下ではない。 |
- 子供たち
悪魔くんにより洗n…もとい洗礼を受けた子供たち。魔法の箒に乗り、軍隊をも圧倒する。
そのほかの人物
貸本版とほぼ同じ。ただし戦車戦は行わず、ベルゼブブに追われてダイヤの中に逃げ込み、悪魔くんからスフィンクスにつき返された。
サタンの黒幕。読切版では出てきてすぐに悪魔くんが射殺されてUターンするというさえない登場であったが、本作では東京まで進攻する。
悪魔くんの突出を懸念するが、次第に考えを見直し協力する。
最終回、射殺された悪魔くんにある「保険」をかけていたため、蘇生させることができた。
貸本版と同一。ただし本作では八大仙人が悪魔くんに協力するので味方になる。
関連イラスト
関連項目
DEATHNOTE:34年後に同じ『週刊少年ジャンプ』で連載された、「悪魔くんが千年王国樹立の為なら殺人を躊躇しなかったら?」というIfの姿ともいえる作品。