概要
古来よりの日本語においては(婚姻関係に至っていない)恋人や「人を愛すること」を指す表現として用いられていた(後者の例として、西郷隆盛の座右の銘として知られる「敬天愛人(仁)」がある)。
現代日本においては、既に結婚している夫婦の片方が、恋愛(性愛)関係を持っている第三者を指すことが大半である。男の場合「間男」や「情夫」などと呼ばれ、女の場合「間女」や「情婦」と呼ばれる。
要するに浮気・不倫相手のことなので、勿論世間一般的に良い顔はされない。
なぜ不倫相手のことを「愛人」と呼ぶようになったかは諸説あるが、太宰治が『斜陽』にて不倫相手のことを「愛人」と表現していたことが一つの切っ掛けとなったと考えられている。特に戦後、他の作家たちも浮気・不倫相手を指す言葉として「愛人」を使い始め、テレビなどのメディアにおいてはテレサ・テンの「愛人」のヒットが決定打になった、と言われている。
いわゆる妾(男妾)と同じような意味だが、妾は「配偶者が愛人がいることを了承している」、「相手が経済的支援を行うのが大半である」のに対し、愛人は必ずしもそうとは限らず、隠れて不倫しているケースや愛人となる本人が独立した家計を持っているケースも多い。
富裕層の相手と「愛人契約」を結び、性愛関係を持つことで「給料」など経済的な支援を得ている(起業や就学などのパトロンになってもらう)人もいる。売春の一種と言えるが、あくまで個人間の関係であり「愛情表現の一環として」とすることもできるため、グレーゾーンとなっている。
中国語で「愛人」と言うと「恋人」「夫or妻」を指し、現代日本における「愛人」は「情人」と呼ばれる。韓国語でも同様に「愛人」は「恋人」を指す。
また、現代日本における男性の名前として「愛人(『あいと』など)」というものがあるが、上記の理由からDQNネームと見なされる事も少なくない。