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DQNネーム

どきゅんねーむ

「非常識な」親によって名付けられたおかしな名前のこと。「キラキラネーム」よりも揶揄的・侮蔑的な意味合いが強い。
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アウトライン(概要)編集

いわゆるキラキラネームに類する珍名(苗字ではなく、下の名前)の事。「DQN」とは「常識外れな」「教養に乏しい」「ヤンキー」といった意味合いのネットスラングである。


1990年代ごろから珍奇な名前が流行しだしたことを背景に、2000年代のインターネットで日本語の誤用知識不足に基づくと思われる名前や、虐待目的としか考えられないような名前との遭遇体験も多数寄せられるようになり、そうした命名を総称して「DQNネーム」と呼ぶようになっていった。


「キラキラネーム」にも記述があるが、珍名は親の意向で付けられるものであって名付けられる側には何の責任も無いので、「親の顔が見たい」などと言って揶揄嘲笑の対象とするのは間違いである。しかし、ネット上にはキラキラネームの児童や青少年が事故死したり犯罪に巻き込まれたりした話題を、親の無教養と結びつけて面白がる不謹慎なミームが流布してしまっている。


なお一見、奇抜な名前や読み方に見えても、外国人とのハーフ、昔から存在する名前や、理由があって異体字や変則的な読みを使っている名前などもあるので、見慣れない名前を安易にDQNネーム扱いすることは、逆に揶揄している側が恥を晒すことにも繋がりかねない行為である(後述)。



多意冨(タイプ)編集

DQNネームの種類には以下のようなものがある。

なお、具体例として挙げる名前は基本的にはすべて創作物中のキャラクターであり、作品内の世界観では「普通の名前」である可能性がある

また、その日本人キャラクターの名前がローマ字表記される場合、該当部分がローマ字ではなく英語のスペルにならった綴りがされることもある。

一部タイプが重複するキャラクターや同名キャラクターはまとめて紹介される。

また、DQNネームは誰かが人に名付けることで揶揄されるが以下には動物など人外や実名ではないものも例として挙げる。


1.意味のない当て字を使う編集

外国語や既存の名前を音だけ合致させて強引に漢字変換したもの。最もDQNらしいDQNネームと言える。

暴走族の「夜露死苦」のように、画数が多い漢字ほど、他人が使いそうも無い文字ほど「強い」「偉い」といわれる風潮がある。DQNをヤンキー(不良)の一種とした場合ある意味伝統的ともいえる。


ただし、「マリア→真理亜」や「ジョージ→譲治」など、キリスト教の洗礼名に字を当てたものが一般化していったという例が一定数あり(中には「ナオミ直美」のように完全に日本名として定着した例すらある)、その場合は一般的にDQNネームとは言われない。キリスト教に限らず、海外の文化や宗教にちなんだ名前を、日本風に漢字をあてて表現するのは珍しいことではない。

一方で、洗礼を受けてもいない人間までもがそうした名前を名乗ることに不快感を示す敬虔な信者が、各宗教に存在しているということも忘れてはならないだろう。


また、「亜」と言う漢字に「もどき、低級な」という意味がある(亜流二流)など、音に対して当てられた漢字の意味が問題視されることもある。もっとも、「亜」に関しては突き詰めると日本が属するアジア(亜細亜)全体がアウトになってしまうため、どこまでが人名として適切な表記か、というのは各人(名付ける側)の判断によるといえる。


そもそも外国語を無理矢理漢字に充てる「当て字」の文化自体は、飛鳥時代の渡来品から既に存在している(「南無阿弥陀仏」はサンスクリット語(古代インド語)に対する当て字である)ため、当て字そのものの文化はDQNネームに限った話ではないといえる。

暴走万葉仮名


※例


尾藤来夢(ライム):『すばらしきこのせかい』のように、日本語としても一定の意味が成立している場合にも判断が分かれる

「夢と人が訪れる場所」の意を込めたダブルミーニングとして、「来夢来人(ライムライト)」という言葉が1970年代後半ごろから様々な場所で用いられており、現代でもバーパブなどの名称に使われているほか、同名の楽曲漫画も存在している。


2.読みを途中で切って読ませようとする編集

漢字の意味は尊重するものの、特定の響きを作り出すために「(あい)」を「あ」、「(そら)」を「ら」などと一部分のみを読ませるもの。「キラキラネーム」の中核を成したのはこのタイプである。

また、「奏でる」から「(かな)」、「翔ぶ」から「(と)」など送り仮名を勝手に省略したり、「雪崩(なだれ)」から「(な)」など熟字訓を勝手に解体する場合もある。


※例

いずれのキャラも(斜字)は読まない。

ただし、このタイプは近年生み出されたものではなく、戦前から見られていた既に慣例化された用法であり、「人名訓」という用語も存在している。

例えば「広」の字を使った名前は一般的に「ひろし」と読まれるが、本来「広」の訓読みは「ヒロ-い」なので、厳密に適用すると不適切となってしまう。また「広司」、「広志」など送り仮名の代わりに漢字を当てている例もある。

あくまで極端な当て字や読みがDQNネーム扱いされるといえる。


3.外国語に変換する編集

漢字の「愛(あい)」を「ラブ」と読ませたり、「刃(やいば)」を「ブレード」と読ませたりするもの。酷い場合この変換が間違っていることも。

また、2.との複合で、「愛 → らぶ → ら」などと外国語さえ容赦なくぶった切ってしまう例も確認されている。

ただし親の出身地が漢字文化圏の場合、母国の発音で読ませる場合もあるので、一概に批判はできない。


※例

特記なき限り英語読み。


4.本来の読み方と関係ありそうで無い編集

「響(キョウ、ひびき)」を「おと」「ね」などと読ませる、「蝶結」と書いて「りぼん」と読ませるなど連想ゲームを行うもの。


名字としては「小鳥遊(たかなし)」「四月一日(わたぬき)」などが存在していることもあるが、名前の場合突飛な発想のものは受け入れがたいとされることが大半である。


※例

  • 春風千桜(ちはる):『ハヤテのごとく!』 - の連想か。
  • 折原臨也(いざや):『デュラララ!!』 - 単語自体は「イザヤ書」から。臨→臨む→いざの連想か。
  • 由崎星空(なさ):『トニカクカワイイNASA宇宙星空の連想か。
  • 星輝子(しょうこ)『アイドルマスターシンデレラガールズ』 - 一般的には「てるこ」と読むため、照る→輝るから、照(しょう)にかけての連想かと思われるが、同じく「しょう」と読む昭や彰など「輝く」に近い意味を持つ漢字に合わせて連想したとも考えられる。
  • 川島緑輝(サファイア):『響け!ユーフォニアム』 - タイプ3との複合系になっているややこしいパターン。日本語でエメラルドを「緑玉(りょくぎょく)」と書き、サファイアを「蒼玉(そうぎょく)」と書く。これらがこっちゃになった状態でさらに連想ゲームを行ってしまった結果、「緑に輝くエメラルド」ならぬ「緑に輝くサファイア」が生まれてしまったものと考えられる。ただし広義には「くないコランダムは全てサファイア」のため、間違ってないと主張出来なくもない。
  • 中野光輝(オーロラ):『アニメガタリズ』 - これもタイプ3との複合系になっているややこしいパターン。日本語でオーロラは「極光(きょっこう)」と書くが、オーロラが夜空に光り輝くイメージからこの読みが生じたものと考えられる。
  • 飴村乱数(ラムダ)『ヒプノシスマイク』 - 乱数ランダム(random)、さらに語感の近いラムダ(lambda)と詠ませたものである。
  • 夜神月(ライト)『DEATHNOTE』 - 英語「ライト」は「」の意であり、「」を意味する英語は「ムーン」である。おそらく「ムーンライト」からの連想なのだろう。劇中では本人も変な名前と認めている。夜神のは警察官僚であり教養があって当然なはずだが作中での命名経緯は不明。
    • これには連続殺人鬼のキャラなので、同名の子がいじめられないようにとの配慮から、意図的に現実であり得ないような名前が付けられたという背景がある。もっとも、同作の大ヒットに伴ってこの名前を付ける親が続出し、かえって「月」の読み方として「ライト」が半ば定着してしまうという皮肉な結果に終わっている。

5.人名として不適切な単語や、その同音異義語編集

悪魔ちゃん命名未遂騒動※」などによって、「キラキラネーム」以前から存在は認知されていたタイプ。

発想はタイプ1にも似る(物騒な単語ほど偉い)が、ぶっちゃけDQNでも誰がここまでやれと言ったとツッコむレベルのものがゴロゴロ見つかる。むしろ、異常さを認識した上での故意的な命名が多いと言われる。

例えば「悪」や「死」、「鬼」など、明らかに人名に適さない字はタイプ1の場合でも使われることはほとんどない。ただしこれらの文字でも、打ち消し語を伴っていれば使われることもある。(後述)

また、「目に見えない病魔のたぐいに『大事な我が子』であると悟らせないために敢えて不吉な名前を付ける」と言うある種の験担ぎとしてのケースもある。(これも後述)


名付け親の無知や思慮不足によって結果的にそうなってしまう場合もあり、一見普通の名前に見えても後から問題になるというケースもある。

例えば「心太(しんた)=ところてん」や「海月(みづき)=クラゲ」など。


※1993年に、ある男性が実子に「悪魔」と命名しようとし、出生届が「子供の福祉を害する可能性がある」として、親権の濫用を理由に不受理となった騒動のこと。届出者(実父)はこれを不服とし、市に対し裁判を起こした。別の漢字で「あくま」と命名しようとしたが不受理となり、さらに「あくま」に近い響の別の名前で届け出たところ受理されたため、申立を取り下げ未決のまま終結した。なお、この実父はのちに覚醒剤取締法違反で逮捕された。


※例


同音異義語


6.名前と性別が合致しない編集

男女どちらとも取れるような中性的な名前は「キラキラネーム」以前から一定数存在しており、一部保守的な思想の持ち主からは非難されることもあったが、ここで挙げるのはそのような「中性的」というレベルではない。

「ものすごいマッチョ(=力強く男性的)な名前を、当たり前のように女の子に付けた」といったようなパターンである。

男装の麗人として育てるような必要性があるわけでもなく、普通に女の子として扱っていたりするからわけがわからないよ

すっかり定着した実在の例としても、黒柳徹子の場合は「男児が生まれると思いこんでいたら女児が生まれたため、予め用意していた男性名の『徹』に慌てて『子』を付け足した」、というエピソードがあったりする。


また、タイプ1やタイプ3との複合で、外国の人名を「音の響きだけ」で日本人に付けようとした結果、本来の性別と食い違ってしまったというパターンも存在する。ただし、この場合はタイプ5と同様に偶然の一致という可能性も考えられるため、即DQNネームになるとも言い切れない。対照的に「みか」や「まるこ」など、日本の女性名として定着しているものでも、海外では男性名になるというケースもある。これについても双方の文化を尊重するべきだろう。


タイプ5同様虐待の可能性が高いものも含まれる(子の性別・性自認を無視し、価値観を押し付ける行為)。


※例

  • 麻里愛:『こちら葛飾区亀有公園前派出所』 - 元男性、現女性。男性名で「あい」というのは珍しいと言える。キックボクシングのコーチに惚れたことでニューハーフ(正確には性転換手術を行なっていないため女装のみであり、男の娘に近い立ち位置である)となり、本名の「あさと・あい」から「マリア」を名乗るようになった。後に魔法で本物の女性になっている。
  • 鶫誠士郎:『ニセコイ』 - 名付け親(育ての親)が性別を勘違いしており、女性体型に成長した今でも気付いていないというどうしようもない理由から訂正されていない。苗字については、せめて女性的なものをという友人の配慮である。
  • 藤波竜之介:『うる星やつら』 - 息子が欲しかった父親が無理矢理付けたもの。本人は大層嫌がっている。
  • 龍胆嵐丸:『貧乏神が!』 - 厳格過ぎる父親に男として育てられ、服装もバンカラを強制させられ、女性用の衣装およびメイクを禁止されている。
  • 猪野上進太郎:『すもももももも』 - 父親に男として育てられた。
  • 鉤生十兵衛:『ねじまきカギュー』 - 普段は男勝りだが、好意を抱いている教師の前では年相応の乙女になる。
  • 猿渡銀兵衛春臣:『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』 - 今でこそちゃんと女子らしい格好をしているものの、かつては家のしきたりのせいで男として育てられた。上記の十兵衛と同様にシワシワネームでもある。
  • アーデルハイド・バーンシュタイン:キング・オブ・ファイターズシリーズ - 逆に娘が欲しかったパターン。制作上の由来は『アルプスの少女ハイジ』のハイジから取ったとされ、開発スタッフが勘違いしていたため後付けで設定した可能性もある。ちなみに苗字もドイツ語読みの「ベルンシュタイン」と英語読みの「バーンスタイン」が混ざっている。
  • 草摩綾女:『フルーツバスケット』- 名前に「女」とつくのに子持ちの男性(女装するけど)。
  • 草摩慊人:『フルーツバスケット』 - 一族の当主になるために男として育てられ、幼少期に複雑な事情により性格が歪んでしまい、すぐに情緒不安定になって暴れたり、気に入らない言動をした相手を心身共に傷つける暴君になってしまった。
  • 宇佐美マサムネ:『まよチキ!』 - 名前はイケメン男子を連想させるが、性格は典型的なツンデレ女子である。
  • 絆播貢:『ぶらどらぶ』 - 中性的な顔立ちに加え、家庭環境の影響で「あたし」という一人称以外は少年的な言動をする。なお、父親も初登場の際「息子よ、じゃなくて娘よ」と言い直していた。
  • 夢見りあむ:『アイドルマスターシンデレラガールズ』 - ボクっ娘だが自身を女性として認識している。「リアム」(Liam)はアイルランド由来の男性名(「ウィリアム」の短縮形)だが、親がそれを意識していたかどうかは不明。本人は「親のセンスのせいでひねくれ者に育ってしまった」「キラキラネーム」と発言しており、変な名前であるという自覚はある模様。
  • 巡音ルカ:Vocaloid2 - ルカ」は聖書にも出てくる由緒ある男性名で、「リュカ」や「ルーカス」と同義。ただし、漢字で書くと「流歌」であり、「歌が空気中を流れ伝わる」という意味の命名とされているため、動機を加味するとセーフともいえる(現代では日本人の女性名として「るか(瑠香etc)」はそれほど珍しくない)。問題は、「ルカ」のアルファベット表記がローマ字の「RUKA」ではなく、男性名と同じ「LUKA」である所か。
  • アビゲイル:『BASTARD!!』、『ファイナルファイト』 - こちらも聖書由来の女性名だが、二人ともゴツイ男性である。濁音が多いことで勘違いしたのだろうか?特に『ファイナルファイト』の方は現代アメリカ人である。
    • なお、アビゲイルは日本でいう「セバスチャン」に近い、侍女の代名詞的な名前の一つとしても使われている。
  • 有栖川桜/草壁桜:『バーコードバトラー』/『撲殺天使ドクロちゃん』-前者は女の子にしか見えず、後者は作中で意図して女の子の名前をつけられたことが語られる。
  • 藤村大河/逢坂大河:Fateシリーズ/『とらドラ!』 - 同名だが特に関係はない。お互い「タイガー」=虎が名前のモチーフで、あだ名もそれに由来する。
  • キン肉真弓:『キン肉マン』 - キン肉マンの父親であり髭の生えたごつい親父。名前の由来は真弓明信であり姓が名前になった。ただし、もともと真弓は昭和以前は男性名として使われている。
  • あんさんぶるスターズ!の生徒の一部(仁兎なずななど)。
  • 咲-Saki- re:KING'S TILE DRAW』のほとんどのキャラ(宮長咲基など) - 原作シリーズにあたる『咲-Saki-』のキャラクターを名前の読み方以外を変えて男性化している。元より中性的な名前である片丘優季(ゆうき)などは別として、読み方まで変わっている竹居久史と染屋真工(「ひさ」、「まこ」ではなく「ひさし」「まこう」)などもいる。
  • アリス:『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて』 - シリーズおなじみのあらくれ。ただし彼が慕っているシルビアの本名はゴリアテであり、彼も本名はあるかもしれない。
  • 黒崎一護:『BLEACH』 - 一応発音は「シンゴ」、「ダイゴ」のそれであるが、男性でいちごは珍しいと思われる。

なお、「伊織」のように、かつて男性名として付けられていたものが、時代が下るにつれて(香織などと混同されて)女性に付けることも一般化していったという例もあり、そうした名前をどちらの性別のものとするかについては保守派の中でも争いがあったりする。「妹子」「馬子」で知られるように「○○子」も古代では男性名である。現代でも「皇子」(「王子」)や「息子」は基本的に男性を指す。


また「」、「ひかる」の様に、男女どちらにも用いられる名前だが女性のイメージが強い名前がDQNネーム判定される場合もある。逆の例は「」など。

漢字のイメージも関係するため、同じ「ひかる」の「一条輝」でも「軍」の字が含まれる漢字「輝」のためか男性的なイメージになる。「まこと」の場合も「真」ではなく「真琴」なら女性名扱いだろう(ただし、「橘真琴」は男性である)。


「中性的な名前が嫌であえてあだ名で呼ばせている」→ブタゴリラ(熊田薫)のように、それほど違和感のない名前でも本人が特別嫌がっていたり、カミーユ・ビダンのように「女性的だと馬鹿にされ続けてきたことでコンプレックスを抱いている」人物もいたりするが、「カミーユ」(Camille)も、本来男女どちらにも用いられる名前である。


7.極端に長い編集

寿限無」という有名な落語があるが、世の中にはそのネタを大真面目に実行しようとする人間が存在するのである。 漢字で5文字も6文字もあるだけならマシな方、中には名前なのになぜか文章になっているなんてものも。

書く手間を考えれば、虐待の手段としては頭一つ抜けた存在と言える。


フィクションでは割とよく見かけるが、日本での実例はあまりない。また、ピカソの本名のように、文化的に名前を長くつける風習によるものは除外される。


※例


本名が長いキャラ」では(文化的な理由を含めた)ありとあらゆる長名キャラクターが紹介されている。


8.仰々しすぎる編集

」・「」・「天才」など、極端に「強い」「偉い」存在を示すような名前の事。タイプ5とも類似するが、あくまでこちらは行き過ぎたポジティブな期待に由来するものである。


子供の大成を願い、少々大袈裟なくらいの名前をつけること自体はそれほど珍しくないもの、それが行きすぎた場合子供の将来の仕事や能力、評価を考慮していないということからDQNネームとして扱われることがある。後述の孫休も仰々しいのを嫌って漢字を創造したという経緯がある。


」などは現代日本でも時折使われるため(キャラクターでいうと立花姫子西木野真姫など)、やや大仰とは評価されるが比較的受け入れられることが多い。


」など幻獣の類をここに含める意見もあるが、龍(竜)や鳳は以前から名前に付けられている漢字、かつ瑞獣であるため特に問題無いと思われる。特に龍は干支にも含まれるため、生まれ年に由来して付けられることも多く、一概に身のほど知らずと断定するのは早計である。


※例

  • 竜ヶ峰帝人:『デュラララ!!』 - 読みは「みかど」なので2.の要素も入っている。
  • 垣根帝督:『とある魔術の禁書目録』 - 恐らく「提督」の要素もあると思われる。
  • 平戸ロイヤル:『めだかボックス』 - 英語で王室を指し示す。
  • 西園寺世界:『SchoolDays』 - ただし、もう1人のメインヒロインも言葉であったり、それ以外のヒロインも刹那だったりする。主人公の妹に関しては「父親にとって最後の子供」という意味で「(いたる、父と同じ読み方でもある)」など、かなり独特のセンスを持った名前が多い。
  • 高坂王子:『未来日記』 - 彼に限ったことではないが、大人になった後どうするんだというツッコミもある。
    • 現代の日本で「王子」と言えば非常に高いレベルの美少年や、特定の分野で優れた活躍を見せる若い(整った顔立ちの)男性を形容する言葉でもあるので、不細工に育ったらどうするんだという指摘がある。
    • 余談だが、『スレイヤーズ』のフィリオネル=エル=ディ=セイルーン王子など、「むさいおっさん(子持ちの40代だが父親が在位中なので王子)に、あえて耽美な名前を付ける」といったネタはDQNネームという言葉が生まれる以前から創作物中ではさほど珍しいことではない。
    • 2019年にはこれと同様の名前を付けられた人が改名したことが話題になった。
  • イケメン・マッスル:『キン肉マンⅡ世』- 暑苦しい顔の委員長の息子であり、父親も急に彼の顔を見たときに悲鳴を上げるほどで、とてもイケメンとは言い難い。
  • ディオ・ブランドー:『ジョジョの奇妙な冒険』- ディオとはイタリア語で神という意味である(一応イギリス人のはずだが)。
  • 竜千士氷:『こちら葛飾区亀有公園前派出所』

9.合体ネタ編集

複数人の名前を並べると一つのネタになると言うもの。

血縁であることが明らかでいいと捉えるか、名前で遊んでいると捉えるかは人それぞれである。

これに関連して、字は異なるが同じ読みをあてている(戸籍には読みを登録する必要がないため)兄弟・姉妹なども現実に存在するが、基本的には多胎児でない限り、創作ならではのものといっていいだろう。(弟や妹が生まれる前提で名前を付けたということになる)


また、変則的なパターンとして、名前自体では普通なものの複数人の並びで意味が変わってくるというケースもある。(「満(みちる)と駆(かける)」なのに、「満ちると欠ける」を連想されてしまうなど)


※例

  • あい、まい、みい:『ぽぽたん』他 - 英語の一人称(I,My,Me)を三姉妹。漢字で「愛、舞、美衣」と書けば日本人名としてもそれほど違和感がないためか、さまざまな場所で取り入れられており、創作物中ではもはや古典の部類である。まいん(mine)ちゃん、ゆう(You)ちゃん(くん)等を加えたパターンも確認されている。
    • 一方で『あいまいみー』のキャラは血縁でさえないので偶然の一致(と言う設定)である。
  • 春風どれみぽっぷ:『おジャ魔女どれみ』 - 作品テーマとも合わせて、音楽繋がりの命名と推測される。ただし、妹の名前が意味するところは「大衆」である(ポップス=大衆歌)。無理に姉と合わせて「そらしど」などなるよりはマシだったかもしれないが…それなら「そら」で良かったかもしれない。
    • ただし、「ポップ」には「弾ける様子」を表す同音異義語もあり、共にひらがな表記で読み間違いの可能性が無いという点は救いと言えるだろうか。
    • なお、どれみに対しては実際に付ける人が出てきたが「七音」と書いていた。「三音」じゃないんかい!
  • こころ、あると、いいな:『ココロ図書館』 - 三姉妹合わせて「心在ると良いな」……と思いきや、「こころ」は三女で長女は「いいな」の方である。ネタすら素直に読ませようとしない努力の方向音痴ぶりはまさにDQNネーム。
    • と言うか3人目が生まれなかったらどうするつもりだったのか我が子に心が無い可能性でも考えたのだろうか等と、色々と突っ込みどころ満載なネーミングである。
  • 大塚みことことみ:『アクアシューターズ!』 - 要はアナグラム。もし三女が居たら「とみこ」にでもなるのだろうか?
    • なおこの手の名前で有名なのが「くるみ&みるく」。ただし日本人名としてはミルクの時点でDQNネーム扱いになる為か、何気に姉妹の名前に使われる事は少なく、くるみの第二人格や謎の居候(宇宙人異世界人等)扱いが多い。そして当然と言っていいのか、ミルクの方がはっちゃけた性格をしている。

10.名前と苗字の合体編集

フルネームで読むと一つの言葉になる。この場合、ありふれた苗字と名前の組み合わせでもフルネームでは珍しい名前となってしまう場合があり、一例として「砂糖と塩」とも読める「佐藤俊夫」や「サトウカエデ」とも読める「佐藤楓」という名前は現実にも少なからず存在しているほか、「マリちゃんシリーズ」なんてのもある(水田マリ→水溜り、小田マリ→お黙り、等)。


単に偶然そうなってしまった場合や、名付ける側のダジャレの場合があり、後者は批判されることが多い。(特にタイプ5と複合する場合)


類似の事例として、声優の佐々木愛(会一太郎(會一太郎)と結婚し、現在の本名は「會愛(あいあい)」になっている)のように、結婚などで改姓した結果として珍名になってしまうという場合も存在する。もっとも、この場合は名付け親に責任は無いのでDQNネームには含まない。


※例



11.プレイヤーが名前をつけるゲームの主人公編集

これまでの「DQNネームの例」とは性質が異なり、非現実のキャラクターにのみ適用されるものである。そのため、本来の意味でのDQNネームには含まれないが、いくつか特徴的なものを紹介する。


※例

  • ああああ-ご存知適当な名前の代表。名前を考えるのが面倒な人がボタンを連打して作られる名前。ちなみにこの名前はゲーム業界も認知しているらしく、ドラゴンクエストの世界ではDQNどころか呪われた名前らしく、この名前のものは命名神マリナンの怒りを買って、変更できなくなり、『勇者のくせになまいきだ。』ではこの名前の勇者が登場する。
  • おっ゜てもょもと(『ドラゴンクエスト』、『ドラゴンクエストⅡ』) - 有名なふっかつのじゅもんにより、生まれてしまった名前。ランダムに生成されたため、正確な発音さえ困難である。もょもとのほうがマシなほうか。
  • 公式の主人公の名前 - ドラゴンクエストシリーズ初期では「えにくす」という自社の名前をそのまま付けて、取扱説明書や公式攻略本などでプレイ画像を公開していた。最近は「エイト」や「イレブン」などナンバリングをそのまま付けたものが多い。他社作品でも「ニンテン」、「すくえあ」など、社名やブランド名に因んだ公式でのプレイネーム(デフォルトネーム)は多く採用されている。
  • 里見の謎の主人公の名前 - 自動命名システムという機能があるのだが、1文字毎にランダム(乱数)で決定されるため、「-ふぁゑゎ」「ゃによょぇ」など人間には発音不可能な名前が命名されることもある。先述の「もょもと」など、ランダム生成による独特の名前自体はこの作品に限ったことではない。
  • パパスの考える女の子の名前(『ドラゴンクエストⅤ』) - 「こ」、「み」、「りん」で終わるのが女の子の名前らしく、「オーリン」、「マーリン」、「マルコ」のような男性名、呪文の「ホイミ」、はぐれメタルにつける「はぐりん」、「○んこ」、「ザコ」、「ゴミ」のような不適切な名前も女の子の名前らしい。

12.人名とは思えない生き物や物の名前編集

日本人の場合、1、2、3、4、5、の要素を併せ持つことも多い。

※例

リゾット・ネエロなど。 - 『ドラゴンボール』や『コロッケ!』など食べ物の名前のキャラの出る漫画はよくあるが、彼らはファンタジー世界の住人ではなくイタリア人である。


13.周りと比べて極端に浮いている編集

ある意味「DQNネーム」そのものが「周りと違う名前」の別称であるが、例えば家族の中で1人だけ全く違う命名法則に基づくもの(他の兄弟が「太郎」、「次郎」なのに、1人だけ「フェニックス」のような名前の場合)であることなどが挙げられる。

※例

  • 鬼太郎:『ゲゲゲの鬼太郎』 - 登場する妖怪は種族名をそのまま名乗ることもある。ただし、鬼太郎はその出自もあって数少ない個人名であり(種族は幽霊族)、妖怪としては浮いている。
  • フェニックスマンセイウチン:『キン肉マン』、『キン肉マンⅡ世』 - フェニックスマンの両親はフェニックス太郎とフェニックスシズ子、セイウチン家族は父のロバート、母のスージー、妹のドロシーであり、かなり浮いている名前である。ただし、キン肉マンの本名がキン肉スグルで、キン肉マンⅡ世の本名がキン肉万太郎である事を考えると、リングネーム(本名が別にある)の可能性も高い。
  • 泉キャロン:『チャージマン研!』 - 父は泉博、母は泉さおり、兄は泉研と普通の日本人の名前なのに、1人だけ外国人のような名前である。
  • 擬宝珠(両津)夏春都:『こちら葛飾区亀有公園前派出所』

- 彼女は両津家の出身であり、擬宝珠家ならともかく両津家では浮いている。更に言うと、他の擬宝珠家の人間はあくまで難しいだけの普通の単語の名前であるが、彼女はドイツ語の当て字でありその意味では擬宝珠家でも浮いている(檸檬も英語ではあるが昔からレモンの当て字に使われていた)。

  • 月野うさぎ:『美少女戦士セーラームーン』 - 父は月野謙之、母は月野育子、弟は月野進悟。第1子がキラキラネームで第2子が別に変わった名前ではないパターン。1人目の命名で後悔して2人目はちゃんと命名したのだろうか。

14.著名人やキャラクターの名前編集

特定のキャラクター偉人などを強く意識した名前

命名当時は尊敬を集めていた事物でも、時代と共に評価が変化して、下手をすれば「名前を呼んではいけないあの人」のようになってしまう危険性もある。日本では実際に「田中角栄くん改名裁判」と言うものもあった(ロッキード事件前後で評価が変わったため)。

もちろん一般的な名前の有名人の場合はこの限りではないが、それでも10.の要素が入っていればここに分類されるものと思う。

現実でもそれなりに見られるものではあるが、ペンネームや芸名、字(あざな)のように本名ではないことを利用した特殊な名前から取った場合は、ややDQNネーム的とみなされることもある。


一方で後述するピーチ姫の項にもある通り、欧米等では伝統ある名前以外はすべてDQNネーム扱いなので、神霊や有名人との名前被りは珍しくもない。欧米で使われるジェイソンヘレネヘクターパーシーギリシャ神話の登場人物、アーサートリスタンアーサー王伝説の騎士、ミカエラガブリエルは天使、イランで使われるアーラシュは同名の弓兵から、インドインドネシアではマハーバーラタラーマーヤナの英雄から名付けられる事もある。(有名なケースではスカルノ大統領など)




15.特定の職業や立場などの名前編集

その分野で大成すればよいが、別の分野で成功した場合はネタにされ、そうならなかった場合プレッシャーにしかならないだろう。

創作において、名前の設定されていないキャラが、作劇の都合で立場などをそのまま名前に当てはめた(例:「バカボンのパパ」→「バカボン パパ」という名前であるとする回がある)パターンも紹介する。


  • バカボンのパパ:『天才バカボン』 - 立場などがそのまま名前になってしまったケース。カメダス2(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』のファンブック)のコラボ漫画では「バカボンのパパ」が本名だと言及されており、警察に捜索願を提出した時も氏名の欄は「バカボンのパパ」と記載していた。しかも表札はバカボン。つまり、バカボンは「バカボン バカボン」となり、ママは「バカボン ママ」となり、結果として「はじめ」が家庭内では浮いた名前となってしまう。
  • 阿笠博士:『名探偵コナン』 -博士号を実際に持っているがそれほど話題に挙げられることはない。
  • 校長:『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』 -ただの役職名だと思われていたが、彼が校長をやめるとき名前が変わる騒動が起きたため、バカボンのパパのように校長が名前だと思われる。
  • 妓夫太郎:『鬼滅の刃』 - 名前すら付けられずに生まれ(には由来こそひどいものの、「梅」という名前があった)、「妓夫」という遊郭での下働きを意味する肩書が、いつしか本名になった。

17.その他編集

上記のどれとも言い難いもの。音の響きやフィーリングだけで決めてしまったり、何も考えていなかったり……。


※例

  • ア太郎:『もーれつア太郎』 - ただの記号で意味が無さすぎるという例。ちなみに父親も「×五郎」という名前の大概アレな人物として描写されており、来るべきDQNネームの時代を予言した昭和の怪作であったりする。ただし、ギャグマンガのため、苗字も含めてそれほど凝った意味合いではないと思われるが…。
  • 久留米美虹:『リンカイ!』- 美虹と書いて『つつじ』と読ませている。この作品に登場する女性選手は実在する競輪場(廃止された競輪場も含む)がある場所を名字および出身地としており、名前も比較的普通の名前が多い中、一人だけ特殊な読み方の為1,13の要素を持ち合わせている。
  • 小山むさえ:『クレヨンしんちゃん』 - 野原みさえの妹で三姉妹の末っ子。姉妹の名前がまみむめもの順+「さえ」でつけられているので、まともな感じのまさえやみさえと比べると珍妙な響きになっている。
  • 佐木咲:『カノジョも彼女』 - 両親の「姓と名が一緒なら可愛いかな。」という安直な理由で名付けられたことに本人は複雑な感情を抱いているが両親との仲は良い。なお、中学時代からの親友からサキサキと呼ばれているが、それに対して怒ったりしない。
  • 枝垂紅豊:『だがしかし』- 「しだれ べにゆたか」と読む。由来はおそらく(枝垂という苗字も含めて)桜の品種と推測されるが、変わった名前の多い本作の中でも一際不思議な名前であり、本人も恥ずかしがっている。「紅 豊」と偽名を使っていたこともあった。
  • マリオ・マリオ:『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』- ルイージが登場するもののマリオの拾い子という設定のためマリオブラザーズなのに血が繋がっていないというおかしなことになり、「二人してマリオという苗字をもつ」という設定が採用されている。宮本茂も一度は「マリオ・マリオが本名」と発言したが、のちに任天堂を通じて訂正しており、実際の苗字は不明(またはなし)である。
  • ポプ子ピピ美:『ポプテピピック』 - メタ臭丸出し。ポプ子とピピ美だからポプテピピックなのかその逆なのかは定かではない。
  • この素晴らしい世界に祝福を!』の紅魔族(めぐみんなど) - 紅魔族のセンスでは普通らしいらしいので、これを笑うのはニャホニャホタマクローオニャンコポンを笑うのと同義…とでも思ったのか?実は紅魔族を生み出した日本人の科学者が適当につけたあだ名が伝統になったのが原因である。

過ぎ去りし時を振り返る(歴史上のDQNネーム)編集

名前に対する感覚というものは時代と共に変化する。珍奇に思えても当時はごく一般的だったということはあり得る。


「ここで終わりにしたい」という願いを込めて「留」「〆」といった漢字を用いたり、父親が56歳の時の子供だったから「五十六」という名前にしたといった例も昭和半ばまでごく一般的に見られている。

これに関連して、女性名で時折見られる「あぐり」(円亜久里など)や「みつ」などが、「充満であること」が転じて「もうこれ以上(女の)子供はいらない」という意味で付けられることもあった。


一方で、当時の感覚から見ても変わった名前だったという事例は確かに存在する。

例えばドイツかぶれだった森鴎外 (本名「林太郎(りんたろう)」)は、子供達にドイツ語風の名前を付けている。全員を挙げると、於菟(Otto)・真章(Max)・富(Tom)・礼於(Leo)・常治(George)・茉莉(Mali)・杏奴(Anne)・不律(Fritz)・類(Louis)である。なおほとんどの者が学会や文壇へ進出し、名前を残している。

その理由が軍医として留学したドイツで自分の名前(本名の【林太郎】)をちゃんと発音してもらえなかった」 という、一種のコンプレックスによるもので、「子供たちには国際化した世界でも通じる名前にしたかった」という、彼なりの親心ともいえる。そして夏目漱石に、わかりやすい、普通の名前が良いと批判された。昭和平成になると茉莉、礼於、常治あたりは特段おかしなものではなくなっているが。

また、与謝野鉄幹晶子夫妻は、パリで出産したという理由で子供に「アウギュスト」「エレンヌ」なるフランス名を付けた。こちらは後に普通の日本人名に改名している。

なお、不律はのちにある同人ゲームで鴎外をモチーフに取り入れたキャラクターの名前に起用されている。

子供たちも父に倣って西洋風の名前を自分たちの子供(鴎外の孫)につけることがあったようで、例えば茉莉の息子は「𣝣(Jack)」という名前である。ただし、これは茉莉の元夫、山田珠樹がフランス文学者であったことも関係する。


さらに古い時代には、生まれてきた子に悪い意味の名をつけたり、男の子に女の子の名前をつけたりという事例が頻繁に見られていたが、当時はそうすることで病魔を遠ざける、不運を打ち負かすといった呪術的な効果を持つと信じられていたので、DQNネームとは意味が異なる。

さすがに子供に「奇妙丸(きみょうまる)」「茶筅丸(ちゃせんまる)」「三七(さんしち)」と名付けていった織田信長あたりになると、DQNネーム認定しても構わなそうだが。とは言え、存在そのものが非常識の塊のような人だったので、別の意味で評価が難しい所である。

また、戦国大名の松前慶広の幼名は「天才丸」という、確実にDQNネームに分類される類の名前であった。


そもそも、江戸時代以前は幼名・通称・改名が一般的であり、たとえ100%の悪意を持って名前を付けられたとしても、いくらでも取り返しが付いた社会であった。読みが同じであれば、成人後であっても漢字を変えても別に問題とはされておらず、認定基準自体が相当甘かったと言える。そもそも当時の庶民にまともな戸籍は無いうえ識字率も低いので、現代以上に響きや通称が重要視されていたといえる。

これらの比較的現代に近い例としては、明治生まれで昭和に活躍した俳人中村汀女が挙げられる。

汀女の本名は「破魔子(はまこ)」であり、「破魔矢」と同じく「魔を破る」という打ち消しの表現が使われている。しかし汀女本人は同級生にからかわれるなど恥ずかしい思いをしたことから、普段は「濱子(はまこ)」などの字を当てて名乗っていたという。


「キラキラネーム」「DQNネーム」に多い「強いこだわりからあえて読みにくい名前にして特別さを強調する」ような風潮に対し、吉田兼好は以下のように記している。

「寺院の号、さらぬ万の物にも、名を付くる事、昔の人は、少しも求めず、たゞ、ありのまゝに、やすく付けけるなり。この比は、深く案じ、才覚をあらはさんとしたるやうに聞ゆる、いとむつかし。人の名も、目慣れぬ文字を付かんとする、益なき事なり。

何事も、珍しき事を求め、異説を好むは、浅才の人の必ずある事なりとぞ。」

(意味:寺の名前やその他の物でも、名を付ける事を昔の人は少しも欲張らずに(こだわらずに)、ただ、ありのままに気安くつけたものだ。最近は、深く考え込んで、自分の才覚を表そうとでもするかのように聞こえる名が多くて、とても煩わしい。人の名前も、見慣れぬ文字を使おうとするのは、(読みにくいだけで)無益なことである。

何事でも、珍しい事を求めて、奇抜なものを好むのは、浅はかな才知を持つ人が必ずやる事だと言われている。)-「徒然草」第116段


昔の社会にあっても、読み難い名前に苦言を呈していた人間は一定数いたようだ。根本的なことを言ってしまえば、日本人の名前に漢字を使うのが適切なのかという点にたどり着く。


WWDN(ワールド・ワイド・DQNネーム)編集

現在わかっている最古のDQNネームは、三国時代の中国、呉の皇帝孫休が息子達に付けた名前だとされる。孫休は「名前がかぶらないように」「名前と実態が釣り合わないのは嫌い」と考えていたため、息子の名前のためだけに新しい漢字を作った

もっとも、中国社会では伝統的に「目上の人間と同じ字を使ってはならない」という意識が強く、皇帝が変わるたびに該当する字の改名が行われていたという点には留意が必要である。

ただし、孫休の件について注釈者の裴松之は「かぶられるのが嫌なら、名前なんてつけなければいいのに」とツッコんでいた。


また、マリオシリーズに登場するピーチ姫は、同シリーズが世界的ビデオゲームとなった後も長らくの間、海外版では「Princess Toadstool(「毒キノコ姫」の意)」に名前を変えられていた。その理由は「英語圏の人名として中途半端にあり得る名前だったので、それが一般化してしまうことを懸念して」と言われている。

海外には「聖書の記述や故事に基づいた100年単位の伝統を持つ名前しか認めない」という敬虔な信者がおり、「人間は万物の霊長」という教義から、他の動物等や植物の名を付けることもタブー視する向きもあった。ちゃん」はそのような場所では立派なキラキラネームなのである。

だが、今日では海外でも普通に「ピーチ」の名で呼ばれている。時代が追いついたのだ。


海外でもDQNネームに頭を悩ませているようである。例えばアメリカでは2014年の命名ランキング200に「Gunner(射撃手)」がランクインしたことがあり、いくら銃社会とはいえ、アメリカ国外でも問題となった。


また、スウェーデンでは日本の「悪魔ちゃん」騒動に近い性質の事件として、ある夫婦が1991年に生まれた自身の息子に「Brfxxccxxmnpcccclllmmnprxvclmnckssqlbb11116」(読みは"アルビン")とつけようとして裁判所に却下された上に、上告して「A」(こちらも読みはアルビン)という名前で届出を出し、これも却下された。

そもそもこの問題は夫婦が出生から5年経っても名前の届出がなかったことから、裁判所が罰金を科したことに端を喫している。夫婦は「DQNネーム」をつけることを禁止する内容の法律※に対する抗議としてこの名前をつけたとしており、判決に対する反論として「示唆に富む表現主義的な創作物で、私達は芸術的創造物の1つだと思っている」と発表している。

※条文には「命名しようとする名前で、それを使用する人に不快感をもたらすものや、名前としてふさわしくない何らかの明確な理由のあるものは受理されない。」とある。


ちなみに日本では問題なく通る名前でも海外の発音では別の意味になってしまう名前も残念ながら存在する。逆も然りである。例えば「カツオ」はイタリア語では「cazzo=アレ」に聞こえるため、「勝男」などの名前の人は驚かれてしまうだろう。


DQNネームいとをかし(DQNネームの何が問題なのか)編集

これまで挙げてきた名前からも分かるように、DQNネームには初見殺しが非常に多い。初見殺しは所詮初見殺しなので、2回目以降は確かに強い個性を演出できるのだが、それでは遅いという状況も世の中には存在する。


例えば一分一秒を争う救急救命の現場からは、本人確認に手こずることでのタイムロス(名前が読めないのでカルテが見つからない等)が発生しやすくなる危険性が指摘されている。珍しい名前故に患者取り違えこそ起こり辛いだろうが、「治療同意書の名前(ふりがな含む)が間違っている=治療同意書は無効」となっては医者も裁判が怖くて身動きが取れないだろう。つまりネタではなく本気で名前のせいで死ぬ可能性が存在する。


そもそも落語の『寿限無』も原典では「川に落ちた子供(寿限無)のフルネームを長々と言い合っている間に溺れ死んでしまった」と言うブラックなオチである(現代では『にほんごであそぼ』など子供向け番組や書籍で紹介されることも多いため、ブラックネタを避けて「転んでコブが出来たけど、名前を言い合っている間に引っ込んでしまった」「朝に友達が一緒に学校に行こうと誘いに来たが、名前を呼んでいるうちに遅刻してしまった」などに改編されている)。

他方、DQNネームとは言えない名前でも、読みにパターンが複数あって初見で正確に読むのは難しい名前や、旧字体と新字体を区別する必要がある文字が使われている自体は珍しくなく、そもそも本人の名前すら分からない状態で治療することも考えられるため、DQNネームの問題と言うよりもむしろ救急救命の現場の運用や、そうした運用を強いる法制に問題があるのではないかという指摘もある。


また、企業などの採用試験において、DQNネームの受験者は優先的に排除する、と話す面接官もいる。

非常識な名前を付ける親はモンスターペアレントの可能性が高く、むしろ本人の能力以前の問題として振い落とす判断基準にしかなっていないというのである。

特に有名私立幼稚園や小学校での面接は「(これからの教育で直しようがある)子供本人よりも、(悪く言えば既に手遅れな)親の態度の方を重点的に見ている」とされ、DQNネームのもう一つの意味「DQNな人がつけた名前」に関係すると言える。

普段ネットでDQNネームを叩いている人間も、リアルのどこかに必ず実在しているはずである。そうした人間が進学就職を左右できる立場にいない保証はどこにも無い。つまり、本人の人格や経歴、能力を無視して、単にDQNネームが嫌いだから落とす、というケースも想定される。

もちろん、DQNネームをつける親よりも、いじめや差別を行う者の責任が重大であることは疑いないだろう。ただ、そうした加害者の責任を追及したところで事態が解決するわけではなく、そうした標的にならないことを意識することは、子どもを守ることでもあるのである。


「DQNネーム」と親、子の能力に関連した話題として、女性の名前として「子」が付く名前を付けられた集団の学力は、それ以外と比べて優位に高くなるという研究がある。

もっとも、これは「しっかりとした名前を付けるだけの教養がある親は、それだけ子供にも深い教養を身に付けさせる傾向(常識)がある」と推測され、単に「子」を付けただけで絶対に頭が良くなったりするわけではない。「◯◯子」は現代日本において比較的古風な名前となっているが、それだけ名前や名付けに関する価値観が多様化しているともいえる。

逆に前述の森鴎外らのように、しっかりとした教養があったがゆえに逆に(一般人の知識では到底読めないような)凝った名前を付けてしまうといった例もまたある。


また、DQNネームをつけられた子供は名付けた親に対して恨みを覚える可能性が高く、過去には名づけが原因で殺人にまで発展してしまったという例も存在する。


組織などのDQNネーム編集

名前で損をするのは、学校企業側も同じである。例えば「東京都立大学」等4校を再編して誕生した首都大学東京は、当時の都知事が直々に文学的センスを発揮した命名を行ったほどの目玉政策だったのだが、その期待に反して従来より人気が低迷したと言われている。

具体的には、名公立だか私立だか名前からわからない、内部組織も「都市教養学部」などと何をやっているのかわからない、そもそも「大学」と既に印字されている書類への記入方法がわからないと、中の人(職員)からもたびたび異論が出るほどの名前である。結局、2020年4月に「東京都立大学」に戻ることが決定した。

一般的な法則から外れた名前が、いかに不合理かということがよくわかるエピソードであろう。


キラキラとした名前(センテンス)が天空(そら)から舞い降りてくる瞬間(とき)(DQNネームを生み出しがちな状況)編集

自分はDQNでもインテリでもアーティストでもないから普通の名前が付けられると思っているそこのあなた。それはただの慢心かもしれない。以下のような状況に陥った時、人は簡単にDQNネームを付けてしまうのである。


  • 出産産後にかけてホルモンが不安定になって、勢いが止められない。(マタニティハイ)
  • 外国や二次元が好きすぎるあまり、その世界基準で物事を考えた。
  • ↑と関連して、ハネムーンベイビーで、新婚旅行で行った国や土地にまつわる言葉を由来にしたい。
  • 少年少女時代に罹患した病気が完治していないことに気付いていない。
  • 姓名判断にこだわり、無理に縁起のいい事物や画数のいい漢字を入れようとする。
  • ペットを飼っており、それの名付けと同じ感覚で命名しようとした。
  • 子供の可愛らしさに、つい「いずれ老いて死ぬ」という残酷な現実を忘れている。
  • 友人や知り合い等に「〇〇パパ」「〇〇ママ」と呼ばれたい(所謂SNS上のハンドルネームと同じ感覚で)。
  • 名付け親が(地味だったり、他者と同姓同名だった等で)自身の名前に不満を抱いていた反動。
  • 個性や特別感を求めるあまり、誰とも被らない名前にしたい(オンリーワン志向)。
  • 無難な普通の名前を考えるのが苦手で、奇抜な名前しか思いつかない。
  • なかなか名前が決まらず、次第に「普通の名前」がゲシュタルト崩壊を起こしてくる。

現代社会は、後述の通り一度つけた名前を簡単に改名できるわけではない。子供はその名前と一生付き合っていくという点を今一度考え直して、できるだけ多くの人と相談しながら決めることを心がけるようにすべきだろう。



ジャッジメントタイム(裁判所の見解)編集

日本でDQNネームが生まれてしまう背景には、戸籍に漢字の読みを表記していないということが一因として挙げられる。上記タイプ2のような命名に配慮したための一応の措置である。


そもそも読み以前の問題(タイプ5、7)は受理しないことを認めた判例も存在している。その基準についてはこちらの解説が詳しい。


逆に言えば、こうした規定故にタイプ3、4を一般的な読み方に変更しようとする分には特に手続きは必要ない


それ以外の場合でも、所定の手続きを踏めば戸籍から漢字・かなを変更できる。

つけた当事者である親が反対してくる場合も少なくないが、15歳以上なら自分の意思で変更手続きを行うことが可能である。詳細は改名の項目を参照のこと。


ただし、多かれ少なかれ社会的混乱を招き、本人および周囲に負担がかかることは想像に難くない。DQNネームは消えた後までも迷惑をかけ続ける代物なのである。


余談編集

漫画キャラにDQNネームがつけられる理由編集

本項では基本的には創作における架空の人物の名前を例に「DQNネーム」を紹介したが、これらの名前は「おかしな名前」などと作中で言及されない限り、現代社会と同じ命名法則・価値基準によるものではないため、あくまで我々から見れば奇妙な名前というだけのこともある。

漫画などのキャラクターには、個性やインパクトが求められる。一発で性格がわかるダジャレネームや、普通の名前のモブキャラに比べて浮く、名前をメインキャラにつけるなど。他には、「夜神月」や「ジャイ子」のような、悪役や汚れ役のキャラについては、同名の子がいじめられないための配慮もある(夜神月は前述の通り現実に影響を与えてしまったわけだが…)。

実際そのようなキャラクターにありふれた名前を付けた事によって、同名の人から苦情が殺到したケースもある。


そのため、現実とは違い漫画やアニメのキャラに付けられる変な名前は咎められるものではない。


連鎖現像(関連イラスト)編集

幸子かな子仁奈オンリーお疲れ様でした名前、何がいいかなぁ


共同命題(関連項目)編集

キラキラネーム 言語 漢字

名前 人名 人名一覧 改名

常識/非常識 どんな名前だ 本名が長いキャラ

ネットスラング DQN 蔑称

名前というものをなめてるのか

西尾維新 鎌池和馬 奇妙な名前のキャラクターが多い作家として知られる。


特徴的な名前について、特記すべき内容がある人物

  • アドルフ・ヒトラー - 言わずもがなの所業からドイツ語圏ではDQNネーム扱いされている。特に「アドルフ」に関しては、命名をネタした映画ができたほど。
  • 鈴木一朗 - 世界的野球選手「イチロー」の本名。名前を個性にした好例としてよく引き合いに出される。なお、より普通らしい「一郎」ではないのは、そもそも「一」の字が彼の一族に代々伝えられてきた漢字であり、「長子」という意味が込められたものではないため。彼自身長男ではない。
  • 下條アトム - 俳優。なんと鉄腕アトムよりも前につけられた本名である。
  • 妹尾河童 - 舞台美術家・エッセイスト。元々は「妹尾肇」という名前であったが、ニックネームだった「河童」が仕事上広く浸透し、しまいには本名を誰からも覚えてもらえない・誰も知らない事があった他に私生活でも不都合な事があって自ら改名するに至った。数少ない普通の名前から珍奇な名前に変えた人である。
  • 菅止戈男 - シンガーソングライターとして活躍している「スガシカオ」の本名。芸名にしか思えない響きの名前だが、漢字をカタカナに変えただけで本名も同じく「すがしかお」と発音する。「止戈男」の「戈」は武器として使用されるホコや争いを表す漢字であり「戦争を止める男」という意味で名付けられているため名前の由来自体は決して非常識なものではない。なお、常用外の漢字である上に法務省が公示している人名用として使用できる漢字にも含まれていないため現在では「戈」を人名として使用することはできない。

外部リンク編集

キラキラ、DQNネームを集めた、DQNネームを語る際に必見とされるサイト。

「俺には読めなかったからDQNネーム」レベルのノミネートも多数あり、反面教師としても有用な存在。

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