『よってたかって袋叩きにでもして空手の真髄を知ってもらおうというワケだ』(第一話。刃牙を袋叩きにしようとする弟子達に)
概要
CV:飯塚昭三(OVA版)/麦人(2001年TVアニメ版)/菅生隆之(2018年TVアニメ版)
年齢:55歳→56歳
身長178cm / 体重110kg
かつて地下闘技場の闘士として戦い、1対1で虎を倒すという荒業まで成し遂げた「虎殺し」「武神」「人食いオロチ」など数々の異名を持つ人物。その強さは生きながら伝説的存在と称され、空手家に限らず多くの格闘家から尊敬を集めている。江戸っ子気質で意外にお茶目でひょうきんかつユーモアのある一面もあり、多くの弟子達から尊敬されている。
本作では数少ない妻帯者であり、愛妻家でもある。カミさんの名前は夏恵。
夫婦仲は非常に良く、妻からは「独歩ちゃん」、「私のスーパーマン」と呼ばれている。
愚地克巳は彼の養子であり、実家のサーカスの興行中に父親をライオンに殺された克巳を引き取り空手家として大成させた。
基本的な身体能力などでは独歩自ら「自分より上」と太鼓判を押しているが克巳からは、「勝てる気がしない」、「この人を前を歩けない」と称されている。
チャンピオンRED2013年8月号より、彼が主人公のスピンオフ「拳刃」が連載中。
ケンガンアシュラとのコラボではかつて鎧塚サーパインの父と死闘を繰り広げた過去を持つらしい。
戦闘スタイル
長年の修練によって培われた空手が持ち味で、使用するのは空手の基本的な技だが、その威力は一線を画する。
他、長年に渡って修羅場を潜り抜けたことから「誰しもが思い浮かべる自身の鮮やかな勝利」のイメージを見せる催眠術が通じず、術にはかかったものの想い浮かべた動きが現実の相手のそれと同一のものだったために効果がなくなり、催眠術にかかっているという自覚さえないまま平然と戦うこともあった。
作中でも数少ない努力型の人物である。「空手の基本の型全てを一日1000本、それを数十年続ける事ができるバカなら誰でもできる」とは本人の弁。
蹴りの面は、その爪先は刃物と同じ効果を持ち、蹴られた場所は急所と化すとまで評されている。
突きの面では、寝起きに偶然蚊に放った正拳が菩薩像の手と同じように握られていたことから、真の正拳へと開眼している。この正拳は殺気や敵意を発さず、渋川剛気でさえ防ぐことはできない。独歩自身の技の切れと相まって防御不能の必殺技となる。
防御には前羽の構えから放たれる廻し受けをよく使用しており、炎すら防ぎきる鉄壁の守りを見せる。
鍛え上げた五体を武器と化すという空手の信念のもと、武器の使用を是とせず、武器として使えるのはたまたま身に着けていたものなどに限定している。最凶死刑囚編でのドリアン戦ではアラミド繊維によって手首を切断された後の再戦にて手刀でアラミド繊維を切断し、その空手の信念を見せつけた。
その一方で、戦闘自体に関しては「何でもあり」の精神性を持っており、相手の武器の使用を咎めることはなく、また自身も不意打ち・騙し討ち・奇襲などを敢行することも。「武道家は特攻隊じゃない 勝算のないケンカはせんよ(ハート)」。
外伝漫画「拳刃」では、盲目の格闘家に対し、なんとツボを突いて強制的に視力を与え、目をくらませて倒すという離れ業を見せつけた。
また、「虎殺し」の異名の元になったと思われる、飢えた虎との一騎打ちのエピソードも描かれている。
この虎との戦いでの「飢えは野生におけるベストコンディション」という考え方は後に刃牙道でも範馬刃牙と徳川のやり取りで語られている。
戦歴
外伝『拳刃』
第一話ではプロレスラー力剛山との戦いに敗れた範馬勇一郎の前に現れ彼が八百長をしていた事を指摘、また力剛山の攻撃を一方的に受け続けたのも強者の余裕からである事を見抜いていた。その鷹揚が好きとしつつも、日本武道を地に貶めたと批判する。直後勇一郎から試されるように掴み掛かられるも容易く脱し、顎を砕く一撃を見舞う。(ただし恐らく寸止め)
その後「勝手に仇を討たせてもらう」として、力剛山を地下闘技場に徳川光成を介して制裁の為に呼び出し、金的や鼻を削ぎ落とす掌底を食らわすなどして圧倒した末、正拳突きで撃破した。
第二話では剣法家佐部京一郎のもとへ果たし状を携えて現れ、空手対剣術の果たし合いに挑む。あくまで「武は修るもの」として対戦を渋る佐部に対して無礼な挑発を行い、剣客としての本性を引き出す形で対戦に引きずり込む。凄まじい殺気を前に圧倒されるも、貫手でめくり上げた畳を盾にしながら正拳突きを乱打し辛勝する。
第三話では本編でも語られた「虎殺し」のエピソードと思われる出来事が描かれている。(ただし、本編の回想では地下闘技場で行っているのに対し、こちらの舞台は無人島)
無人島に自身と虎の両方を放ち、島に自生する動植物等を食料としながら生活する。そして島の食料が尽き、餓えて本気となった虎と対戦、後に道場に描かれた絵と同じチョップで止めを刺して勝利する。
第四話では盲目の空手家繰神怜一と対戦。視力以外のあらゆる五感を総動員し盲目を感じさせない繰神の前に圧倒される。(繰神曰く「健常者との対戦が日常の自分に対し健常者は盲目の空手に不慣れ」とのこと)
ついに力尽きたように膝を着くも、一瞬の隙をついて繰神の視力を司るツボを突いて視力を無理矢理回復させる離れ業を披露し、暗闇に慣れきった繰神が混乱している隙に顔へ軽い突きを放って勝利を宣言した。戦後、繰神の懇願を受け入れ彼の両目をえぐり出し、彼を再び盲目に戻す。繰神からは「光をありがとう」と礼を言われた。
第五話では「代打ち」と呼ばれる裏社会の代理人決闘に参加、柔道家宗内巌と対戦する。間接蹴りや背負い投げしながらの胸骨への肘打ちなど、裏の格闘家としての容赦ない技の前にマウントポジションを取られてしまうが、一本指で宗内の眼窩(過去の戦いで盲目となっている側)を突いたり、睾丸を一つ握り潰すなど負けず劣らずのダーティな技で逆襲しマウントポジションを脱出。だめ押しに顎を外すダメージを与えた後、頚椎への飛び蹴りで意識を奪って勝利する。
戦後、宗内とバーで酒を交わしながら、健常な目玉と睾丸の一つを「カッコ悪いから」潰さなかったという、幾分の余裕を持って戦っていたことを打ち明け、宗内からはその両方を潰さざるを得ない程(容赦をしてられないほど)強くなることを約束される。独歩は再戦の時また弱かったら「優しく撫でてやる」として、いつかの再戦を約束した。
第1部『グラップラー刃牙』
かつて敗れた範馬勇次郎との再戦を地下闘技場にて行い、空手の技で応戦するも「鬼の貌」が表れた勇次郎の攻撃で右目を失う。それでも尚戦おうとする姿は勇次郎をして「武神の名に恥じぬ男」と言わしめ、彼の全力の一撃に敗れて心停止にまで追い込まれる。
しかし、そこに現れた鎬紅葉の手当てによって一命を取り留め、事なきを得た。
地下闘技場最大トーナメント一回戦、相手の攻撃を一度も避けたことがないと言われるタフガイリチャード・フィリスの前に背広姿で現れ(相手もタキシード姿だった)、両者普段着のままで壮絶な殴り合いを繰り広げる。
琉球空手に伝わる呼吸法・三戦(サンチン)で攻撃に耐え、喉への突きで彼をKO。
殴り合いを仕掛けた理由は「やってみたかったんだ一度は こういう相手とこういう喧嘩をな」とのこと。その戦いではジョン・ウェインが殴り合うような西部劇が好きで、そんな喧嘩がやってみたかったと独白している。
第二回戦では勇次郎推薦のボディガード・天内悠との戦いとなり、相手の得意とする空中殺法を封殺するも長い手足から放たれる関節技に苦戦。武術としての空手を解放しての攻撃で逆転、彼を圧倒するも関節技により左膝を折られる。
それでも尚独歩は試合を続行する意思を見せるも、相手の天内悠はそれを否定。攻撃を仕掛けようと近づく独歩であったが、勇次郎の乱入により天内悠をKOされてしまう。
第三回戦では渋川剛気と激突、柔と剛の達人同士の戦いを繰り広げた。合気の前に苦戦するも、真の正拳にて合気を封じ、ダメージを与えることに成功。
最後は合気に真の正拳で応戦し、激突の末に「長生きした分コンマ1ミリ」の僅差で敗れる。
第2部『バキ』
最凶死刑囚編ではドリアンと交戦し、アラミド繊維で手首を切断されるも、迅速な応急処置で壊死を防ぎ、病院で治療を受けて手首を縫合した後の再戦時には手刀でアラミド繊維を切断。そのままドリアンを圧倒し、満身創痍の手傷を負わせたところで最後は彼の手で重傷を負った加藤(独歩の見立てではドリアンと五分のダメージを負っている)に決着を譲った。
その後、独歩の自宅で待ち伏せしていたドリアンが最後に仕掛けた爆弾によって顔面を爆破されてしまう。
同じく最凶死刑囚の一人、ヘクター・ドイルによって道場を爆破された後に再登場、挑発での心理戦を仕掛ける。ドイルが烈海王との戦いで受けたダメージが完治していなかった可能性があるものの、一撃で彼を沈め、その身柄を息子の愚地克巳へ引き渡した。
神の子激突編ではマホメド・アライJrに敗れるも、リターンマッチで彼の拳を破壊し、勝利を収めた。
第3部『範馬刃牙』
ピクルに目を付けていたが、挑戦権を克巳に譲り彼を鼓舞。勇次郎と酒を飲み、克巳の成長やピクルとの出会いについて話した。その後も勇次郎とは共に飲んでいるようで、勇次郎が刃牙に”恋してる”ことを聞かされ、驚く。
そして刃牙と勇次郎の親子喧嘩の時も最前線で観戦している。
第4部『刃牙道』
序盤でクローン武蔵と対決。グラップラーの中では初めて彼と戦った。
徳川にせがまれて空手の技術を彼の前で披露し「愚地独歩です……」とドヤ顔で名乗るも、「武というより舞、舞踊だな」とコケにされてしまいキレるという導入で戦いへ突入し、噛ませ犬に終わる予感を当時の読者にビンビンと感じさせた。
そして結果としてはその通りに完敗を喫する。斬れぬように手加減されてなお制圧されてしまうという、圧倒的な実力差を見せつけられた。
この時、武蔵に挑発された際の「なんだァ?てめェ……」は、刃牙道を代表するネタコマとして、付随する「独歩、キレた!!」の煽り文などと共に愛されており、パロディイラストやコラ画像が多数つくられている。
完全に意気消沈し、「しばらく引きこもりてェ」と言い残して姿を消したが、後にバキの来訪を受ける形で再登場。いつぞやの「全盛期の力を維持できるのは今が最後」という発言はどこへやら、バキに「以前より増してるぐらいだ」と言わせるほどに体を鍛えなおしていた。
そのとき、とにかく功名心にまみれまくった武蔵の哲学をバキから聞き、その考えに同調して「功名心も突き詰めれば純度になる」と語った。
その後は地下闘技場での武蔵の戦いを観戦する姿が描かれている。
第5部『バキ道』
武蔵の騒動が終わった後、刃牙道は「相撲」に焦点をあてた新たな展開に突入しており、そこで独歩自身の「相撲」に対する考え方を刃牙に語るシーンがある。
大相撲との団体戦では徳川と金竜山からの招集を受けて参戦。次鋒として関脇・猛剣と対戦。
右肘を破壊されるも相手の力士としての本能を逆手に取ってこれに勝利。
その後、徳川の下に現れた古代相撲の力士・当麻蹴速の子孫である第101代当麻蹴速の対戦相手として呼び出され、試合では終始蹴速を圧倒し、見事勝利を納める。
刃牙vs宿禰の試合では克巳・花山と共に試合を観戦している。
関連タグ
大山倍達:元ネタ。……なのだが、ややこしい事に刃牙シリーズの世界には大山倍達も存在していた事になっている。