「必要か?純度」
「出世したいのだ!!誉め讃えられたいのだ!!」
「逃げも隠れも出来ぬ身となりたいのだ!!」
刃牙道の方の概要
『刃牙道』での初登場キャラで、日本最強の剣豪・宮本武蔵その人。
非常に大柄な体躯と、シリーズでも屈指の鋭い眼光(三白眼)の持ち主。
目下バキ達の最大のライバルとも言える存在で、作中で最高峰に位置しているグラップラーたちを凌駕する実力を持つ。
作中では基本的に「宮本武蔵」の名で呼ばれる。
勇次郎いわく「宮本武蔵というブランド」であり、それを口にしながら勇次郎は汗を流して震えていた。皆が恋い焦がれた相手であるため、刃牙道においては武蔵を巡った超濃厚な超多角関係が始まった。
また、「なんだァ?てめェ……」のネタコラの発祥でもある。
元々第1部『グラップラー刃牙』幼年編や第3部『範馬刃牙』ブラックペンタゴン編でも「最強の武人」として武蔵の存在は語られており、まさかの蘇生に登場人物一同も驚いていた。
2015年年末から2016年年始までチャンピオン本誌で行われた「刃牙シリーズ最強ランキング決定大投票」では範馬勇次郎、範馬刃牙に次ぐ第3位となった。
なお、勇次郎と刃牙だけで8割以上の票をかき集めており、勇次郎は刃牙よりも4000ポイント以上の大差を付けていた。結果は銅メダルとはいえ、読者評価はかなり厳しい結果と言える。
人物
プロフィール
年齢:32歳6ヶ月(肉体年齢)
身長:不明
体重:不明
容姿
肉体こそクローンだが、死の直前までの記憶を保有する、武蔵本人である。
徳川光成配下の科学者達により、遺骨から採取した体細胞を基に、クローン人間として作り上げられた。
肉体の完成した当初は文字通り「仏作って魂入れず」な状態であったが、光成の姉にして霊媒師である徳川寒子により、冥界から本物の魂が呼び戻され、これを吹き込まれて誕生した。その時、魂が入るまでは無傷だったが、急に創が身体に走り、眉毛も形が変わるなどの変化が置き、科学者達もその風貌に驚かされた。
- 魂を入れる前の容姿については、寒子は「甘い」「武蔵が人を殺さずに生きていればこういう顔になっただろう」と評している。
蘇った時は裸だったが、徳川達から事情を聴く際、武蔵本人に合わせて仕立てられた青い服を受け取っており、以降も普段着としてそれを着続けている。普段は徳川の屋敷に居候している様子。
性格
超然とした性格で、適応能力も高く、自身がクローンとして呼び戻された説明にもすぐに納得し、現代の生活にも数日でなじむ。だが、さすがに高層ビルが立ち並び自動車や電車が走り、煌びやかな恰好の人物が多い現代の東京の風景などには圧倒されている。
初めて触る拳銃をバンバン撃つなど、好奇心も強い。特にライターを気に入った模様で「なんと、なんと、なんと♡」という台詞はネット上のコラ画像にも使われた。
また、軟膏を自作出来るなど、戦に関することであればかなり博識と思われる。
一方で自動車はいまいち慣れない模様で、作中で何度か乗車した際は必ず「もそっと(もう少し)ゆっくり走れ」と漏らしていた。
戦闘狂であり狂暴な面があることは否めないが、その一方で結構フランクな性格であり、諧謔味のある面もある。しかし一方で礼節もわきまえており、格闘術を磨いて挑んでくるグラップラーには、たとえその実力が自分より下でも敬意を表す。烈海王に勝利した後も烈を褒め称え、烈の武闘家としての実力やそこに至るまでの努力、そして矜持を気に入り「惚れてしまった」と述べている。不意打ちを食らわしてきた渋川剛気に対しても、直接やり返すわけでなく「エア斬り」に止めていたりしている。自分に負けたピクルを気に掛ける場面もあり、後に友情に近い関係を築いた。
戦闘欲が刺激されると悪魔的な闘気を放つ。一方で、科学の発展を含め現代に居場所がないことを気にしており、刃牙の言葉を元にすればこの時代では「斬り」上がっていくことができないことも自覚している模様。
戦いに関する価値観も現代のそれとは違い戦国時代特有のものであり、『決着=どちらかの死』と捉え、相手の命を奪う事に一切の躊躇が無い。
本部以蔵とはこの「武」や「兵方」に関する価値観を共有しており、勇次郎も「武蔵の出現によって本部は報われた」としている。
また、上記の発言の通り、武闘家としての「純度」よりも「俗的な欲求」がかなり強く、「宮本武蔵というブランド」に羨望していた勇次郎を失望させた一方で、これは「俗物的な純度の境地に至ったゆえの強さ」を示唆する描写ではないかと指摘する読者の声もある。
- 武蔵の強さが「俗物を極めた」ものだとするならば、かつてバキに「毒も食らわば」の精神を語った勇次郎が武蔵の「俗物さ」に失望するのはどこかおかしいのではないかという指摘も存在する。
戦闘力
生前と全く同一の身体能力と技を持つ(最盛期の肉体に老年まで培った記憶と技術を併せ持っている為、正確には強化されていると言える)。
当時としても現代としても大柄な体躯を持ち、激しい鍛錬と過酷な戦いの結果、骨格が大型の猫科動物のように変貌するなど、強靭な肉体の持ち主である。
作中13話において、徳川寒子が宮本武蔵の肉体に関して「十分とは言えん」「出来ればインシュリンとアミノ酸……ビタミンPZを各20パーセントずつ調整すれば完璧じゃった」などと言及している事から、もし完璧な肉体で蘇っていればさらなる強さを発揮していた可能性もある。
パワー
非常に強靭な肉体とパワーを持ち、とくに握力の異様な強さでグラップラーたちを驚愕させている。たとえば、烈海王を片手で楽々と持ち上げ、刃牙を刀剣の如く軽々と振り下ろしている。
ピクルとの握力・腕力対決でも壁を支えにし、身長差を活かしたとはいえ張り合い、油断した隙を突いて勝利し、素振りのみで日本刀の茎をへし折り破壊し、青竹をささらにしてしまう。烈海王との試合の際には、振った遠心力だけで鎖を千切って郭海皇その人を驚愕させている。
手刀「無刀」で勇次郎の髪や皮膚を裂いており(しかも、この時の勇次郎の髪は空中にあった)、本部以蔵のアラミド繊維製の服を裂き、本部を失神させている。
防御力
独歩の足刀で顔の皮膚が切れている。
しかし、烈海王や刃牙が超至近距離で投げた手裏剣や日本刀を素手で掴んでも肌が切れない(単に刃に触れなかっただけと思われる)し、ピクルのジュラルミンの壁へのタックルにも平気で耐え、勇次郎の急所蹴りからも短時間で回復などしている。
また、烈の髪の毛には目を痛めるが、烈が放った連続砂利弾を顔面に受けても砂利か歯の破片が目に刺さっても瞬き一つせず動じない。
恐らく、来ると判っている攻撃には耐えられるが、予想外の攻撃には怯むのだと思われる。
スピード
覚醒状態のピクルを上回るスピードを見せている。
烈海王との試合でも、烈の投げたクナイのような手裏剣を刀で一刀両断したり、烈を有無を言わさぬ速度で捕縛しているなど、武蔵の素早さを示唆させる描写は細部に見られる。
勇次郎との戦いの際には、行動開始→接近→斬撃命中というプロセスでありながら、「0.000……?秒」というとてつもない速度を披露している。
仮に3mの距離を0.00000003秒で詰めたとしたら、落雷のリターンストロークと同じ速度である。人間じゃねェ(奇しくも突如の落雷をも回避し得るとされた勇次郎に掴み止められたが。)
剣術
その余りに優れた剣術は人知の域を超えている。
烈の投げたクナイのような手裏剣を刀で一刀両断し、空を舞う木の葉を4つに切り裂き、羽毛をも両断できる。
愛刀の「無銘 金重」を手にしてからは、刀の性能も相まって更に拍車がかかり、防弾のボディーアーマーを易々と両断し、勇次郎を除けば作中最高峰の頑強さを誇るピクルですら最終形態になっても凌ぎきれないほど。
また、なんと刀を持たずとも、指一本動かさずともその気迫でダメージを再現させる域にまで達しており、現代人たちは愚か、本能の赴くままに戦うピクルですらその激痛で動きを封じられてしまい、挙げ句の果てにはテレビの画面越しからですら一般人が質量を体感し視認できてしまうほど。切り処によってはこれで失神させることも可能。ただし勇次郎は自意識が強すぎるからかほとんど通じなかった。
また、勇次郎が冷や汗をかいて回避に徹する場面もあった。
上記の手刀の「無刀」は、武蔵なりの持論が編み出した「剣術の到達点」としている。
その他
剣術のみならず武芸百般に秀でており、その卓越した身体能力に加え技も超一流。警官を相手に披露した徒手格闘は、あまりの完成度のため、その映像を見たグラップラー達に衝撃を与え、彼が武蔵本人であることを確信させたほど。
関ヶ原の合戦を負傷しながらも生き延び、現代でも機動隊や警官の集団を翻弄するなど、隠密性や対多数戦の戦闘技術も優れており、「戦争」における技術や知識も現代のほとんどのグラップラーとは一線を画している。
挑発を含めた心理戦も戦いの一部であり、本部に至っては、武蔵の前では地上最強の生物範馬勇次郎でさえ守護されるべき存在に過ぎないとし、勇次郎をはるかに超越するという強烈な評価を下している。
本部いわく「武のレベル」が違う。
縄を使った縛術や、瀕死状態を演出する擬態術など、いかにもルール無用の時代の住人らしく、戦うための様々な技能を剣術以外にも備えている。
知能、洞察力も極めて高く、高層ビルを目にしても「あれだけ巨大であれば四隅の柱を落とせば一人で崩せる」と豪語するほど。
なお、強すぎたためだろうか、相手の次の行動を電波受信し察知するという渋川の上を行く危険予知ができる設定は死んだ可能性があると思われてたが、後の刃牙との試合にてそれが復活し、さらには「撒き餌」と呼ばれるダミーを発することもできると判明した。
- この能力は、「敗北が死に直結する」時代の猛者は普遍的に習得していたと作中で解説されている。
趣向
初めて体験する現代の格闘術(極限まで速さよりも迅さを追求した「左ジャブ」、江戸時代には存在しなかった「合気」など)には面食らうことも多いようで、しばしば感心しながらダメージを喰らう。
また、ダメージを喰らった事すら偽装するだけでなく好奇心からかわざとダメージを喰らう(しかも可能な限り体験しようとする)節がある。また、ダメージを偽装して敵の隙を捉えることもある。
また、ピクル戦で見せた様に、なるべく斬る回数を増やして楽しみたいためにわざと関節などへの浅斬りなどを繰り返す(本人いわく「悪い癖」らしい)。本部戦では、剥き出しの部位を狙わず、防具の厚い部位を切って皮一枚で繋ぎ止めるといったこともしている。
これらの「趣向」のために、作中の試合でも
- どこまで本気でやっているのか
- どこまでが本当にダメージを受けているのか
- 本気を出せば避けられるはずの攻撃をわざと喰らっているのではないのか
などと読者が勘ぐる羽目になり、
- 勇次郎とのバトルも果たして100%の本気なのだろうか
- 「純度」云々の発言すら勇次郎への挑発だったのだろうか
- 本気ではない事を察知した勇次郎が「図に乗るな」と発言したのだろうか
という意見まで出るほど。
- そもそも、「純度」を気にする勇次郎が今まで自分が散々やらかしてきた事は棚に上げているのは勇次郎らしいという指摘まである。
しかし、一度見たそれらに対して出がかる瞬間を読んでジャブを放つ前に止める、相手が一歩踏み出す前に一瞬で間合いを詰める、などでこれらを破っている。
活躍
劇中では、ババアのディープキスにはじまりババアのディープキスに終わった人(比喩表現抜き)である。
愚地独歩や範馬刃牙を子供扱い同然のレベルで圧倒し、立ち会った渋川剛気相手には最初こそ合気に面を喰らったものの、眼前が溶岩の海(実際に立ち会った際は火山の大噴火)に見えるほどの危機感を与えた。肝心の主人公は水爆の爆発を思い浮かべ、部屋の外からも存在を感じていた。
宮本武蔵と言う蘇った強者に惹かれた烈海王は、郭から刃物にも対応した消力を伝授され、武器使用可能ルールの下で挑まれる。現代故に未知で予想外の攻撃を受けながらも擬態から纏っていた襷で烈を縛り上げ、死も覚悟した烈に斬られる自由も選択もないと告げて、拘束から解放して戦いを続行。烈の義足を切り落とし、消力も胴の両断で受け流させずに下すが、彼を殺害。
劇中でも非常に高いレベルにあるキャラ達を次々と打ち破っている。
本部の評価をよそに、基本的な戦闘力では勇次郎には及ばず、一方的な気絶や悶絶を味わい、未完成の奥義にて勇次郎を倒そうとする。しかし、本部以蔵が戦いに乱入した事により決着は付く事はなかった。
その後、起き上がった本部はなんと自分が武蔵を斬ると断言。まさかの本部戦に突入する。
しかし本部が戦いに出る直前、東京の川岸で野獣を喰らって生きていたピクルが久々に再登場を果たし、科学の力でよみがえった古の猛者二人…本作を代表する「刃」と「牙」が会いまみえることとなった。同時に、「生きるため」というよりも「死なないため」に闘争能力を究めた、「強さに純度を求める事すら拍子抜けに捉え得る」という、現代人には到達できないレベルの者同士でもあったのだ。
ピクルの圧倒的な「野生」に苦戦するも、攻撃の瞬間は脱力することを見越し、関節を瞬時に斬り裂くことで応戦。これによりピクルからは「蝶の素早さを持つ蜂、すなわち煮ても焼いても食えぬ者」と認識され、撤退にまで追いやってしまった。
なりふり構わぬ逃走に転じたピクルの先で、本部は怯えるピクルを宥めて、自分が守護ると本部が武蔵の前に立つ。
本部との戦いは原作者である板垣恵介がベストバウトにすると語っており、意外や意外、本部の善戦が示唆された。
そして、いざ本部VS武蔵が開戦すると、本部は不意打ちやあらゆる武具を使い武蔵を追い詰める。しかし、脳を揺らす狙いの針付きのメリケンサックの打撃は、逆に針の痛みが気付けとなり、ダメージを受けた擬態で、一瞬の隙を突かれ、本部は武蔵の斬撃を胴に受けてしまう。本部は鎖帷子をつけていたため致命傷には至らなかったもののそれでも深手を負い、更には手足も切られてしまう。防具で切断こそ免れたものの、まともに動けないと見えていた本部は食い下がり、不意のタックルを食らわせたのちに裸絞め(武蔵の剣で骨折してまともに動かせないので、自分の腕を噛んで巻き付いた腕で締め上げた)で落とし、武蔵は敗北。本部が刃牙たちを守護った瞬間だった。
しかし、本部曰くこの死闘は武蔵にとっての練習試合に過ぎず、武蔵が斬った処は全て防具がついている箇所のみで、その気になれば首を斬るなどできたはずと指摘した。
武蔵はそれに対し「それでもお前は勝っている」と言い残し本部の肩に刺さった刀を抜き、去っていった(本部の言う通り、武蔵にとっては練習試合に過ぎなかったかもしれないが、戦い=殺し合いという命を奪うことで決着とする時代に生きていた武蔵にとって「敵の目の前で気を失う」というのは「殺された」のと同義であるため。言い方を変えれば本部がその気になればそのまま武蔵を殺すことができたはずだということ。また、防具によって結果的にもっと斬りたいと言う武蔵の悪い癖へと誘導して、切断を免れたことで戦闘不可能の擬態からの飛びつきに使えないように思えた腕による絞め技が勝因であり、駆け引きで急所を斬らせなかったとも言える)。
人を斬っても成り上がれない、それでも挑んでくる相手は叩きのめして殺傷は避けると言う道を選べば挑戦者達は手心は侮辱だと斬らねば納得しないと言わんとするが如く挑まれ、では斬って殺しても何も手に入らぬ現代。
そこで本部との敗北を機に、現代に居場所がない自分、と言う張り詰めた糸が切れたのか、死に場所を求めて治外法権の徳川邸を出て警察を相手に戦と挑み、放浪。
ピクルには下水道内で言葉が通じぬながら長く語らい、無理矢理蘇った現代への孤独を共有する。
多くの警察官を斬り、花山との対峙を経てバキが居場所のない武蔵に引導を渡すべく地下闘技場で最期の戦い…かと思いきや、バキを囮に徳川寒子のキスをされ昇天し、現代から解き放たれた。