人物ッッ!!
本名:板垣博之(1957年4月4日~)
少年時代から格闘家に憧れ、高校時代には少林寺拳法に励み、二段位を取得した。高校卒業後は地元企業に就職するも退職し、二十歳の時に陸上自衛隊に入隊。第1空挺団に約5年間所属。アマチュアボクシングで国民体育大会に出場したこともあったが、病気のため退職。
退院後は職を転々としていたが、子供の頃から絵を描くことが好きだったこともあり、漫画家で身を立てようと小池一夫の「劇画村塾」に入塾し漫画の知識を学んだ。
その後、デビュー作「メイキャッパー」を経て、自身の出世作「グラップラー刃牙」にて人気漫画家の地位を不動のものとした。
1989年に始まった「バキ」シリーズは「グラップラー刃牙」「バキ」「範馬刃牙」の三部作全部を累計すると100巻を越え、その後も「刃牙道」、「バキ道」と連載が続いている。
この他にも夢枕獏原作格闘小説『餓狼伝』のコミカライズや、”土下座”をテーマにした異色作『どげせん』(企画全面協力という立場)などを世に送り出している。
少年チャンピオンでは夢枕獏『餓狼伝』とのコラボ小説?『ゆうえんち-バキ外伝-』も連載中。
作風~~~~~ッッ!!
「劇画村塾」塾生だっただけあって、リアルさよりもキャラ立ちを優先し、ファンタジー寄りの作風である。
スピード感のある戦闘シーン、実在の人物をモデルにしつつ人外に限りなく近く描かれたキャラクター造形、読む者の闘争本能をかき立てる熱い台詞回しなどが目を引く。
偏執的に筋肉にこだわっており、リアリティのある筋肉描写に定評がある。ただしこの筋肉描写はマンガ的なはったりをきかせたものであり、ボディビルダーをモデルにして解剖学を参考にしたもので、格闘家としてはいささか不自然なものである。谷口ジロー版の『餓狼伝』に寄せた解説によると作画のブレンドは谷口ジロー+池上遼一+鳥山明であり、そのブレンドを板垣恵介というフィルターに通してから描いたのが板垣恵介の絵だそうだ。
表現技法も独特であり、”体感”を絵にすることが出来る特異な能力の持ち主である。具体例を挙げれば、『アドレナリンが脳内で分泌され一種の覚醒状態に入る場面は、射精時の快感のように頭がとろけて拡散したかのような見た目になる』『オーラを放つ強者同士がにらみ合う剣呑な空気感の場面では、両者の間の空間がグチャグチャにねじ曲がる』など、目に見えない体感をこの上なく分かりやすい形で表現している。
また、あまり注目されていないが料理の描写にも力が入っており、漫画に登場する肉汁したたるステーキなどは読んだ後思わずステーキハウスに駆け込みかねないほどの飯テロぶりを誇っている。この辺は食べ物や食事の描写が下手な猿渡哲也と好対照を為す。
元自衛官だけあって作品内におけるミリタリー描写はリアルであり、自衛隊時代に培ったサバイバル知識なども豊富に披露している。一方で”軍事”というものを冷めた目線で描写しているのも特徴であり、こと戦争を描く際はその理不尽さ、残虐さを淡々と描いている。
が、そのあまりにも個性的な描写がギャグ漫画を思わせるようなものがある為、時折読者から「格闘技漫画の名を借りたギャグ漫画」と称される。ちなみに本人もそれを認め、「笑っちゃうような強さ」の描写を目指している。漫☆画太郎からは同業者と言われた。
この傾向は近年特に顕著になっており、(一応)真面目な作風の刃牙シリーズ以外の作品は突き抜けてバカバカしいノリのギャグ漫画と化しているものが多い。”土下座”というものに着目した『どげせん』『謝男』などは終始シリアスなギャグを貫き、自身の自衛隊時代を描いた回想録である『自伝板垣恵介自衛隊秘録~我が青春の習志野第一空挺団~』(タイトル長ぇーなオイッ!)では小っ恥ずかしい自身の黒歴史を洗いざらいぶちまける斜め上のギャグを描いている。
漫画というものについては、「乗り物に喩えるならジェットコースター。どこかに行けるわけでもなく、荷物を運べるわけでもない。乗っている時だけ楽しければいい存在」と語っている。
余談
- 同じ週刊少年チャンピオンに連載中の「浦安鉄筋家族」(浜岡賢次)でよくパロディにされているが、これは板垣恵介公認であり、酒の席で浜岡が酒の勢いでパロディの許可を求めたところ快諾されたとのこと。グラップラー刃牙の登場人物のパロディに始まり、作品そのもののパロディ、果ては板垣恵介本人までもパロっている。いいのかよッッ!?
- 同じ週刊少年チャンピオンで活躍する漫画家板垣巴留とは親子ではないかと噂されていたが、チャンピオン誌上の対談で実娘であることが明らかとなった(外部リンク)。なお、巴留本人のエッセイコミックによると、巴留は三人姉妹の末子(外部リンク)。
代表作・・・・ッッ!!
グラップラー刃牙 | 餓狼伝 |