プロフィール
概要
『刃牙』シリーズに登場するキャラクター。
中国四千年の歴史の中でも最高の才能を持つ拳法家とされ、母国では「拳雄」「魔拳」などと称される。
かつて拳を交えた主人公の範馬刃牙から「世界中を探しても烈海王に勝てる人間など見つかるかわからない」と言わしめるほどの強さを誇り、流星錘や投げナイフ、青竜刀などの武器術にも長けている。
挌闘家のタイプとしては技巧派・速度派だが、手にはめた指輪を破摧する握力を持つ孫海王との力比べにおいて勝利するなど、素のパワーもズバ抜けて高い。刃牙曰く「どうやってあんな身体作ったんだ」とのこと。
本名は「烈永周」。「海王」とは、作中世界で拳法の達人に与えられる称号であり、彼以外にも何人か「海王」が存在するが、烈海王はその中でも群を抜いて優れた拳法家である。
中国拳法の歴史とその成果に対する絶対的な信仰を持っており、登場初期は他の挌闘技を見下す傲慢さが目立ったが、次第に角が取れ、義理人情に厚く面倒見の良い好漢としての面が見られるようになった。
拳法だけでなく料理も得意で、中華料理の腕はプロ並み。刃牙に対して滋味滋養の中国料理を出してもてなしたこともある。また時折天然気味な行動も見せ、読者にシュールな笑いを誘う事もある。
ネタの数々
- 買い物帰りにドイルと出くわした際、ドイルが何言っても頑なに「わたしはかまわん」の一点張り。
- ドイルを燃やしたかと思ったら、燃えるドイルに消火器をかけてあげる。
- ズボンの中から多節棍を取り出す。
- 人間を背負って10メートルほどの川を走って渡る。(背負う人間の体重込みでも15メートルまでなら可能)
- 発勁でバイクの後ろ半分だけを吹き飛ばす。
- 手作り料理を振る舞い、褒められて赤面する。
- 忍者の様な動きで自衛隊の基地に潜入する。
- 最終奥義が「グルグルパンチ」。(中国武術の名誉を護る為の足掻き)
- 師匠の会話中にチャーハンを口一杯に頰張る。
- 意外にもYouTubeを見ている。
ただし中国拳法への誇りはシリーズを通して常に持ち続けており、それを侮辱する者に対しては一切容赦しない。
活躍
第1部『グラップラー刃牙』
生まれは香港で、劉海王の元で少林拳を学び、メキメキと腕を上げていく。やがて海王の座を継承した烈は徳川光成主催の地下トーナメントに出場することを決意する。
第1回戦ではサンボのロシアチャンピオン・セルゲイ・タクタロフを圧倒し難なく勝利、続く2回戦でも、過去に刃牙を大苦戦させた東洋の巨人マウント斗羽を敵の攻撃と体重を利用し試合開始1分以内にギブアップさせる。3回戦では愚地克巳と対戦、伝家の宝刀・マッハ突きを真正面から崩拳の一撃で打ち破った。
そして準決勝では刃牙を追い詰めるも、勝利の目前で刃牙の範馬の血を覚醒させてしまい、盛り返してきた刃牙と激闘を繰り広げるが試合の流れを押し返せず、自身の技でもある転蓮華をかけられ敗北した。
トーナメント終了後は、他の選手と共に優勝した刃牙を笑顔で祝福した。
第2部『バキ』
地下トーナメント終了後、克巳の道場に食客として招かれ、神心会の更なる進化へと協力するが、神心会の道場に押し入り卑劣・狡猾な手段で克巳を襲った最凶死刑囚の一人ドリアンを取り逃がしてしまう。
その後、徳川により最凶死刑囚と対峙する5人の戦士として選ばれた烈は、24時間どんな時でもバトルを受けるという契約を結ぶ。
その後、ドリアンが末堂厚を倒した所に、愚地親子と共に駆けつけ、そこで彼が、かつて師匠の劉海王が「今のお前は彼には程遠い」と称した白人唯一の海王であった事を語る。
白林寺では同門の戦闘が認められていないため、当初はドリアンとの戦闘を拒んでいたが最終的には決闘を行い、敗北を認められなかった彼に挌闘家としての引導を渡した。(その後、精神崩潰を起こしたドリアンを引き取って白林寺一門で面倒を見ている。)
かつて恐れつつも尊敬した兄弟子の変わり果てた姿を見て、烈は涙を浮かべながらも微笑み、ドリアンに寄り添った事から、烈にとってドリアンの存在は大きなものであったのだろう。
続くヘクター・ドイル戦では、空手(中国武術から派生したものと烈は認識)を使う鎬を体に仕込んだ爆薬で戦闘不能に追いやったことに「キサマは中国武術を嘗めたッッッ」と激怒、鏢・青竜刀(柳葉刀)・多節棍あらゆる武器術の使用を解禁してドイルを死の一歩手前まで追いやったが突如現れたジャック・ハンマーに薬を打たれ、昏睡してしまう。目を覚ました烈が見たものは、カラスに目玉をつつかれそうになりながらも血まみれで仁王立ちを続け無防備な自分を酔っぱらいやチンピラから守り抜いたドイルの姿だった。敵ながら天晴なその姿に敬服した烈はドイルを抱えて神心会本部へと向かい、彼を治療させた。この際には、彼を背負ったまま15メートルの水面を渡りきるという超人技を見せている。
最凶死刑囚が全員再び収監された後、柳龍光の毒手により死に瀕した刃牙を治療すべく、刃牙らを誘い烈は中国へ向かう。そこでは100年に一度の武道の祭典、中国大擂台賽が開かれていた。刃牙もこれに参加し、結果的に参加したことで一命を取り留めることとなる。
烈は1回戦にて握力自慢の孫海王を難なく倒し、中国武術対日米挌闘家による5対5のバトルでは中堅を務める。日本人唯一の海王である寂海王を小細工を弄されながらも撃破した。寂海王との闘いでは、常に圧倒していたものの、中国武術史4000年 天才と呼ばれる者の全力を受けきって、なお両の腕に執念を宿している寂海王のことを「君こそが勝利者だ」と讚えている。
擂台賽終了後は再び日本へ飛び、克巳や加藤と共に刃牙の勇次郎を再現したエアシャドーを見守った。
第3部『範馬刃牙』
第3部になってからはしばらく出番が無かったが、原始人ピクルが発見されると他の挌闘家たち共々ピクルのケージに忍び込もうとするなど、世紀の一戦に立ち会いたいという情動に狩られることとなる。猛虎をも瞬時に屠るピクルに対し、「私がヤツのエサになる」と光成に宣言し、戦いを挑んだ。
人間どころか哺乳類の範疇を凌駕するピクルには、烈の技がことごとく跳ね返される。中国武術が負けるわけにはいかない、そう決意した烈は海王であることを捨て、一人の人間としてピクルに立ち向かう。そう、その技こそが「グルグルパンチ」だった。
勿論通じるわけもなく、生物としてピクルには勝てないのか、そう思い始めた烈だったが、その体に刻み込まれた中国四千年の技の数々は、彼に膝を突かせることを許さなかった。「武術家」烈海王は最後の最後まで戦い抜き、右足を代償として得難い経験を得たのだった。
その後は克巳の501年目に半ば無理やり協力して、郭の力もあり克巳の「真マッハ突き」を完成させ、彼の成長に大きく貢献し、また刃牙とピクルの最終決戦でも共に観戦していた徳川や花山に事細かに解説して見せた。
ピクルが去り、義足の身となってからも闘争心は変わらず、新たな戦いの場を求め、ボクシング界に殴り込む。ボクシングジムに入門したにもかかわらず、中国拳法より弱いボクシングのトレーニングなどする意味がないと、中国拳法のみで勝ち上がっていく。
ボクシングルール縛りの枷があっても、なおプロボクシングの猛者達を圧倒し、元チャンプ・ワーレフやマホメド・アライが高く評価するジョー・クレーザーを撃破し、遂には現世界チャンプであるウィルバー・ボルトに挑むまでに至った。
第4部『刃牙道』
アメリカのボクシング界でボルトに勝利していたことが語られる。その後、Youtubeで宮本武蔵復活を知ると再び来日。郭との修行で消力を習得し、本部以蔵に止められるも聞く耳を持たず、地下闘技場で武蔵との武器解禁戦に臨む。
苦戦を強いられる中、幾度と活路を見い出すも、戦況を覆すには至らず、捕縛され死に方も選べない有り様に涙する。勝負はついたとする武蔵に対し、プライドの高い性格から抗戦を続けてしまい、最期は消力を上回る武蔵の一撃にて胴を横薙ぎに斬り裂かれ、地に伏した。
若かりし頃の回想にて「たとえ斬られても私は即座に反撃してみせる」と言っていたが、一太刀にて臓腑を斬り裂かれ脊椎までも両断され、当然動く事など出来ず、切り口からは大量の血と臓物が飛び出していた。最期には今回の経験は「次に活かせる」と考えたまま意識を失い、二度と起き上がる事は無かった。長年刃牙ワールドを支え続けた偉大なる挌闘家・烈海王。その人生は、常に戦いの中にあった。
控え室で刃牙ら仲間達に囲まれた烈の遺体を前に、徳川は武蔵と戦わせた事で烈を死なせてしまったと後悔し「間違っていたと! 言うてくれっつ!!」と、涙を流し叫ばずにはいられなかった。
一方の武蔵も徒手挌闘から刃物や棒術・投擲までありとあらゆる武術を繰り出し戦う烈の姿から、その強さを「関ヶ原」と称し、「惚れてしまった」「その鍛錬に惚れ、その発想の飛躍に惚れ、その豪胆さに惚れ」「同時に畏怖(おそ)れた」と言わしめた。
その後、烈が斬られた現場を見ていた地下闘技場の観客の1人が警察に通報した事で物語は進展し、更に渋川や花山といった同じ環境で戦ってきた仲間達も動き出す事になる。
第5部『バキ道』
烈の死後、遺体は火葬されたが、火葬前、徳川は密かに烈の右腕を切断し保存していた。なんとかつてピクル戦にて右腕を失った克巳に移植しようと考えていたのである。
当然徳川を批難する克巳だったが、父・独歩の勧めや徳川の「この提案を喜ばない烈海王がどこにいる?」という言葉を受け移植を決意。
移植後、即座に馴染んだ烈の腕に驚く克巳だったが、同時に烈の守護霊を感じる様になった。
そして「片腕ブラックジャック」の肩書の元、復帰戦となる地下闘技場で行われた異種大相撲対決に参加し、横綱級の実力を持つ関脇・獅子丸と対決した。
滅多に異種挌闘技戦を行わない相撲を堪能する為に手を抜き最初は押され気味だったものの、それでも最終的には圧勝する。しかし脅威のタフさから中々ダウンしない獅子丸をこれ以上壊す事は出来ないとし、克巳は獅子丸に勝利を譲った。この行動に守護霊となった烈も克巳に拍手を送っていた。
- 烈海王復活ッッ……?
板垣氏非公認+本篇の末路とは異なる流れを辿るパラレル的なストーリーでありながらも、なんと「異世界転生」という形で復活を果たす。
スピンオフ作品となる『バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ』(原作:猪原賽 漫画:陸井英史)が月刊少年チャンピオンで連載される事になった。
余談
毒から復帰した刃牙に14kgの砂糖水を提供した事について、砂糖水で解毒しているわけではないのだが一部読者には砂糖水で解毒した、パワーアップしたと誤解されている。
砂糖水を飲ませたのは、衰弱した身体を酷使したことで涸渇したエネルギー源であるグリコーゲン等を補給する為に即興で作った言うなれば単なるエネルギー補給である。
パワーアップしたのは、身体を酷使してから完治させた事で肉体がそれまでの過酷な環境に耐えられるように耐性が身についたものであり、砂糖水及び直前の食事は衰弱した肉体を戻すのに必要な栄養等を補給させる為のもので、それ自体にパワーアップとは直接の関係はない。
また、解毒自体は李海王との戦闘中に完了している。
ドイルに提供した恢復料理は、作者の板垣氏曰く「適当に描いた」とのことで、ちゃんとした薬膳ではない模様。
また、白林寺に伝わる恢復料理とされていた事と料理の腕前から、白林寺にいた頃は炊事などもこなしていたのかもしれない。
白林寺での修行時代では比較的色白であり、以降色黒なのは日焼けと思われる。
神心会をドリアンが襲撃以降、克巳はドイルが道場に土足で上がる事を注意するが、烈は当然の様に土足で上がっており、それどころか組手で床板を踏み抜いたりしている。2度も。
しかも鍛錬で大量にかいた汗を撒き散らしたりしている。
加藤の救助の為とはいえ、備品のサンドバッグも切り裂いている。オイオイ…
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劉海王 - 師匠。
愚地克巳 - 最強トーナメントで対戦後、親友になる。
ヘクター・ドイル - 怨敵であり命の恩人でもある。
烈海王をモデル、または影響を受けたキャラクター
馮威:『鉄拳』シリーズに登場するキャラクター。容姿や挌闘スタイルまで酷似している。
牙刀:『餓狼 MARK OF THE WOLVES』などに登場するキャラクター。物腰や技などが共通している。またネーミング自体が範馬刃牙のもじりと思われる。
サクラバクシンオー(ウマ娘):『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するキャラクター。水上バクシン理論の動画にて、完全にオマージュしているかのような描写があった。