「謝りたいと感じている」
「だから感謝というのだろう」 「これを感謝というのだろう」
CV:藤原啓治/ 幼少時:前川優子(2001年TVアニメ版)/川原慶久(2018年TVアニメ版)
概要
空手の組合、神心会の師範。同会の会長・愚地独歩の養子。
幼少時は実父とともに「ミズノサーカス」で働いていた。当時わずか5歳でありながら、象との綱引きや空中ブランコなどで驚異的な身体能力を発揮するが、実父が団のライオンに殺された事件を契機に、独歩に引き取られる。現在は凄まじい鍛錬の末にベンチプレス300キロ、100m10秒台という規格外の体力を持ち、「空手を終わらせた男」「空手界の最終兵器」などと称される。
独歩のなし得なかった技術を早期に習得し、また正拳突きに使用される関節の回転を完璧に連結し加速させることによって音速を超える拳「マッハ突き(音速拳)」を開発するなど、独歩自らが「俺より強い」と太鼓判を押すほどの人物。
ただし、野試合を若いころから繰り返し、その過程で様々な技術を習得し卑劣な手も悪びれず行う独歩と異なりエリート教育を受けた正統派の空手スタイルである。それに加えて人格的に穏やかで優しいために独歩と比べて勝負ごとに甘い傾向が強く、奇襲や騙し討ちを多用するトリッキーな相手に対処できないうちに敗北するという失態を幾度か晒している。
その反面、精神的に成長してからはあと一撃で相手を再起不能にできる状況で、「もうこれ以上できない」(≒壊せない、命や人生を奪う様な真似はできない)と言って自ら勝ちを手放すなど、スポーツマンシップに則ったようなあり方を貫こうとする高潔な精神を見せることも。
外伝の「ゆうえんち」で、主人公である葛城無門は克巳の兄で、作中では実父と言われていたサーカスの団長とは血縁関係は無く、二人の実父は葛城渡流という男だったという設定が明らかになった。
バキキャラには大抵モデルがいることで知られているが、彼のモチーフとなったのはボディビルダーの山本義徳氏とされている。外見も克巳に似てなかなかの男前である。名前は同じくボディビルダーのマッスル北村こと北村克己氏から。超人じみた身体能力は彼からとられた可能性が高い。
性格
あの郭海皇すらが認める天賦の才を持っているが、その才能に慢心して驕れている部分があった。しかし、花山薫という生れながらの強者と戦って自分の弱さを知り、烈海王に負けたことで指南役として彼を神心会に呼ぶなど、すぐに自分の欠点を改めようとしているあたりただの慢心家では無い(ドリアンに負けた後は空手を道具と考える加藤清澄に師事し自身のスタイルを忘れ空手家じゃなくて良いと言うなど、迷走してしまったこともある)。
ピクル編で範馬勇次郎に自分の未熟を指摘されたことで、己を見つめ直して周囲に感謝するように精神的に大きく成長。マッハ突きを超える新たな技を見出し、ピクルに喰われるという場面でも約束通りに自らの身を明け渡した。父である愚地独歩もピクル編での彼の成長には喜ぶ。
その後も、隻腕となった己の身を嘆いたり後悔したりせず、むしろ新たに『隻腕』と言う個性を手に入れたと肯定的に考えて自分を磨いていく意気込みを刃牙に語っている。
来歴
「グラップラー刃牙」編
初登場は神心会女子部の井上さんがラガーマンにちょっかいを出されたため、これを粛清しに行き、5対1にもかかわらずこれを圧倒。
その後最大トーナメントにて独歩推薦の元出場。試合開始前に、同門の加藤清澄と世界トップレベルのプロボクサー・ラベルト・ゲランを破った程の実力を持つ「熊より強い」とされた夜叉猿Jr相手に、『桃太郎(夜叉=鬼と猿を掛けている)』の鼻歌を歌いながら楽々勝利。
続く1回戦では関節技のエキスパート・ローランド・イスタスを相手に、外された関節をいとも簡単に戻し、ホールドされたときも規格外の腕力で抜け出して、これを撃破。
2回戦では最強の喧嘩屋・人間兵器花山薫と対戦。圧倒的な怪力に押され、右足を握撃で潰されて圧倒されてしまう。しかし、加藤や末堂の声援を耳にして立ち上がり、伝家の宝刀「マッハ突き」で強敵・花山を打ち破る。
3回戦では烈海王と会いまみえ、この戦いのキャッチコピーは「核兵器対竹槍だ」嘯くが、烈の目潰しと超スピードのカウンターパンチにより敗れ去る。竹槍は克巳の方であった。だが後にこの試合について語った烈曰く「マッハ突きは烈海王でも実戦で使えるものではなく、内心驚きながら奇策を講じて勝利したが、実力差自体は両者の間で結果の見た目程に開いてはいない」らしい。
「バキ」編
最凶死刑囚編では烈と共に修業に励んでいた所をドリアンに襲撃され、重傷を負う。
続いて徳川光成邸をドリアンが襲った際にはいち早くこれに対応し、ラフプレイに定評のある加藤清澄と共に彼を攻撃。挙句「こいつに勝てりゃ、オレはもう空手家でなくていい」とまで吐き捨て、ドリアンにガソリンを浴びせて退散させた。その後加藤は逃げたドリアンを追いかけて瀕死の重傷を負い、責任を感じた克巳は神心会総出でドリアンを追い詰め、遊園地に追い込んで独歩・烈と共に対峙、逮捕に貢献する。
続いてヘクター・ドイルが神心会本部を襲撃した際には、粉塵爆発に巻き込まれて大火傷を負う。しかし、ドイルは独歩に負けて神心会に連れ込まれ、再び克巳と戦うこととなるなる。この時にドイルと二人きりで闘いあい、お互いともに敗北を認めることで奇妙な友情が生まれた。
ドイルを送り出す際には、空手の代名詞と言える正拳突きと黒帯を授けている。
「範馬刃牙」編
ピクル編にて、ピクルとの戦闘を待ち望んだ克巳は、烈&郭海皇と共に特訓を行い、関節を増やすというイメージ、身体の脱力、独歩が会得した菩薩の拳、といった要素をマッハ突きに取り入れることで、音速をさらに超えた最強の打撃「真・マッハ突き」を習得する。
晴れて克巳は東京ドームへ向かい、神心会の会員や関係者や家族が総出で彼に声援を送る中ピクルと相対し、戦闘を開始。マッハ突きとその応用による連撃を繰り出し、烈でもつかせることの出来なかったピクルを地に俯せた、しかしこの真マッハ突きは己の肉体が耐えられる威力を超えており、攻撃を放った手足は打撃の反動で圧潰。
そんな捨て身の攻撃でも無事のピクルに克巳は真・マッハ突きをさらに超える克巳のオリジナルにして、現在で最も進化した打撃技でもある最終技「当てない打撃」をぶつける。攻撃をした側の右腕の肉は弾け飛び骨がむき出しになり、2度と右腕が使えなくなるほどの衝撃波。その一撃をくらったピクルは起き上がらず、試合を観戦してた独歩や刃牙を驚嘆させ、郭海皇からは「ものの数日で武を50年は進化させた」と言わしめ、克巳は勝利を確信する。
だが、克巳はピクルは受けたダメージを回復するために一時的に眠っただけであるという残酷な事実を理解することになる。自分が食われる事を覚悟して自身の死を受け入れた上でピクルに右腕を噛み千切られ、克巳は敗北した。
しかしピクルは克巳を捕食することなく、それどころか倒れた彼の前で彼の右腕を置いて祈るように両手を組んでからその場を去っていった。
かくて克巳は隻腕の身となるが、剣術の一刀流の思想にも通ずる新たな武の追求を続けている。
「刃牙道」編
クローン武蔵の存在を知るものの、武蔵に挑むことはなかった。隻腕の個性を追求し続けておりり、隻腕のままで道場に居る描写はあるが、目立った活躍などはせず、ギャラリーとして武蔵の地下闘技場の戦いを観戦している。
「バキ道」編
「相撲」を中心とした本作では、力士に挑む格闘家として徳川から声がかかっている。一度は自身の隻腕空手が未完成であることから、大相撲との他流試合は出来ないと断るも、徳川から「烈海王との共闘ならどうかと提案される」。
徳川が密かに保管しておいた、刃牙道において落命した朋友・烈海王の右腕を見せられ、徳川と独歩から烈海王の右腕の移植を提案され、悩んだ末に右腕の移植を決断。右腕の移植手術を受けてから、右腕を試したところ本来ならあるはずの違和感が無く、むしろ失った自身の右腕に負い目を感じるほどであった。そして大相撲との対抗戦では4回戦の獅子丸と対戦。当初は獅子丸の猛攻に慣れぬ両腕で戸惑っていたが、立ち会いの中で右腕が自身の意図しない行動や無意識に行った「中国的」な手の握り方を見ると、烈の存在を右腕から感じ取った事で奮起、ピクル戦から研鑽を続けて磨き続けていたピクル戦時よりも完成度の高い『骨格の鞭化』や「中国的な戦闘スタイル」を獅子丸にぶつけていく。終盤は獅子丸を圧倒するも、自身の蹴りで四つん這いになった獅子丸にトドメの下段蹴りを放つが寸止めで止めて、そのまま闘技場を出て行って、自身の敗北扱いで闘いを終えた。
直後の刃牙との会話で、試合を辞めた理由を「充分に思い知った」「興味本位ではあれ以上出来ない」と語っており、闘いの中で大相撲と力士の凄さを充分に体感しており、もし試合を続けていて下段蹴りを止めずに撃ち込んでいた場合、相手の獅子丸を殺していたかもしれない可能性があったからであった。
刃牙によると克己の後ろにいる烈もその判断を正しいと拍手をして評価しているとのこと。
余談だが、獅子丸戦が掲載されたのと時同じくして烈を主役とした非公認外伝『バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッ』が開催されており、作中の時系列はともかく現世と来世で同時に烈の魔拳が炸裂している。
ちなみに
先ほどちょろっと紹介した神心会女子部の井上さんは、グラップラー刃牙内でも屈指の美貌で知られている。だって、余りに比較対象が少なすぎるんですもの。
余談
よく読者に間違われるが『克巳』であって『克己』ではない。
愚地(オロチ)なので『大蛇』にちなんで『巳』とすると覚え易いかもしれない。
作画の変化によるところもあるが、他のキャラと比べても特にシリーズ毎に容姿が変わる事を読者に度々ネタにされる。
コラ等に範海王がそっくりさんネタとして扱われる事も。
髪型もよく変わり、初期から順に『七三分け調のオールバック→真ん中分けのオールバック→オールバック→火傷で丸坊主→ツーブロックのオールバック→角ばったオールバック→ツーブロックの角刈りオールバック』
まさに克巳七変化。
ピクルとの戦いで結果的に敗れる事となったが、ピクルは致命傷を負って反撃の余力も無い克巳に対してわざわざ回復の為に睡眠をとってダウンし続けた事から、カウント制の『試合』であったならば克巳は勝っていた事となり、レフェリーの裁量次第ではコールで勝利判定を受けれた可能性がある。
また、真マッハ突きで潰していない手足を1つでも多く残せていたなら当てない打撃でダウンしたピクルに追撃してよりダメージを与えられた可能性もあり、立ち回り次第ではかなり勝算があったと考えられ、結果に見るほど実力差は大きくなかったと思える。
事実、ピクルは地下に戻ってから号泣して咆哮を上げる程に彼にとっては激戦であった事が示唆されている。
第6部である刃牙らへんにて、独歩が針金切りについて「克巳には出来ない」との発言に対して「やったことが無いだけ」と答えているが、単純に手刀の速さが成功の秘訣となるとした場合、マッハを超えられる克巳なら造作も無く出来る可能性が高い。
刃牙シリーズのキャラの中でも特に私服のファッションセンスが独特だったりする。
稀にまともな服装の時もあるが、加藤や末堂が服装指導しているんじゃないかと推測する人もいる。
鎬昴昇との会話中にてコーヒーにミルクを注ぐシーンがあるが、良く見るとミルクではなくシュガーポットに入った砂糖をザバァーッと流し入れている。
もう、飽和溶解度を越えてジャリッジャリになっているだろうという程に流し入れている。
甘党なのだろうか?(格闘家などの運動をする人は炭水化物を多く必要とする為理に適ってはいる)
ドイルとの食事シーンで食べていたのは、お茶2本に具入りのおにぎり(梅、ツナマヨ?、何か一つ)に餃子、そしておそらくコールスローサラダ。
ドイルが起きる合間に食べていたのも全てコンビニおにぎりにペットボトルのお茶であった。
ドイルには食事を作って提供していた事から、克巳の好みという可能性が考えられる。
関連タグ
範馬刃牙 - 烈と3人でつるんでいることが多い。