概要
大昔に初代野見宿禰と対戦し、敗死した当麻蹴速の101代目の子孫。
ジャックvs二代目野見宿禰の試合後、特に何の前触れも無く徳川の前に登場した。
(ただし、先祖については宿禰共々回想で触れられている為、別に登場する事自体は不思議ではないのだが)
強さ及び人物像
打撃を核とする古流角力道「蹴速」を継承で、蹴速の名が示す通り蹴り技を得意とする巨漢。
その蹴りは殺生石をぶち割る破壊力を有し、烈海王が使用した足拳や脚を用いた三角絞めなども使用するなど、スタイルとしては総合格闘家にも近い。
初代の因縁の相手である野見宿禰の子孫・二代目野見宿禰とは知己の間柄。
逃げを仕切り直しと捉えて恥とは思わず、強敵相手に追い詰められれば仕切り直しと称して敵前逃亡する事も辞さない。
「仕切り直せば負けではない」という考えの下、一族通して二千年間無敗全勝と標榜している。
要するに逃げるが勝ちという理屈である。
流石にこの理屈には徳川は勿論、読者も大いに困惑・呆れを抱き、連載時の煽り文でも「何言ってんだ蹴速」と突っ込まれるほど。
食は力
大柄な体格に違わずかなりの大食漢で、徳川との会食では大量の中華料理を平らげており、なかなかに見事な食いっぷりと食レポを披露し、シリーズ恒例の飯テロを見せ付けた。
- 作中で食べた料理とその食いっぷり
・ピータンをレンゲ一杯に掬い頬張る。
・北京ダックを2本纏めて踊り食い。
・焼きそばを「ソバババッ」と擬音を立てて食す。
・紹興酒をラッパ飲み。
その他、料理も得意らしく作中終盤では特大ちゃんこ鍋を刃牙達に振る舞っている。
戦績及び活躍
- vs範馬勇次郎
徳川邸を訪れた際、同じく徳川邸に訪れた地上最強の生物こと範馬勇次郎と邂逅。
その存在感を前に「超一流のハンマー投げの選手が金メダルを狙う勢いでこの部屋に鉄球を振るいながら入室」する程の衝撃と身の危険を感じたと称した。
道場での力比べでは初っ端から目にも止まらぬ速さの蹴りを鼻先に掠められ、鼻血を吹き出す羽目になる。
(早くも雲行きが怪しくなってきた・・・)
勝負はお互いに蹴飛ばし合いとなり、一度は勇次郎を蹴飛ばし、天井を突き破って吹っ飛ばすが、勇次郎は無傷で戻ってきた上に今度は自分が天井まで蹴飛ばされてしまった。
勇次郎と徳川は蹴速が戻ってきて試合続行と思っていたが、蹴速はまさかの逃亡。
後に徳川との会食ではこの逃亡を上述通り「敵前逃亡ではなく仕切り直し」と称した。
なお、勇ちゃんはこの有様に白けて完全に蹴速への興味が失せたようで、再登場した際は特に蹴速の事を言及したり思い出したりする事も無く、呑気に捕鯨砲で遊んでいた。
- vs愚地独歩
続く対戦相手は徳川の招集を受けた武神・愚地独歩。
初対面時は独歩を見て「切れッ切れのナタ」と評し、相手にとって不足無しとばかりに気合十分で試合を快諾。
東京ドーム地下闘技場にて対戦する。
試合開始早々、蹴りと拳で激突し観客を大いに沸かせたが、この一撃で右足の踵を破壊されてしまった。
独歩からはこれを看破されるが、右足を地面に突き刺して無事をアピールし、再び右足で蹴りを繰り出すがこれを足刀で返され、完全に踵の骨を粉砕され『幕引き(決着)』を宣告される。
これに対し蹴速は「幕を引くのはアンタじゃねえ」と激怒して独歩に襲いかかるも、正拳の連打を浴びて肋骨を骨折。直後に起死回生の三角絞めで独歩を締め付けるも、耳を引き千切られた挙句に貫手を打ち込まれてノックアウトとなり、敗北した。
- vs愚地独歩(2戦目)
試合終了後、控え室に戻った独歩の前に姿を現し、「仕切り直し」と称して再び襲い掛かる。
しかし、試合でのダメージは隠しきれず、動きは精彩を欠き、そんな状態でほぼノーダメージの独歩を相手に勝ち目など無かった。
やむを得ずとはいえ怪我人を痛め付けねばならない状況に「嫌な日」とぼやく独歩から指拳を鼻口にぶち込まれ、再び失神。
二度目の敗北を喫する。
- その後の活躍
独歩との対戦後は、オリバに敗北した宿禰と共に酒を飲み交わしながら現代闘士達の強さを認識し、範馬刃牙との試合に臨む宿禰を後押しした。
刃牙vs宿禰の決着後は、徳川邸にて互いの強さを讃え合う刃牙達の前に現れ、特大のちゃんこ鍋を振る舞った。
総評・考察
鳴り物入りで登場したにも拘らず、結果的に敵前逃亡やvs独歩戦での完全敗北と、読者からすれば『何しに来たんだお前は?』と言いたくなる散々な有様で終わってしまった不遇なキャラである。
一方で同じく独歩と対戦した力士・猛剣は独歩の片腕を折るなど、終始圧倒されていた蹴速と比べて善戦しているため、『蹴速<猛剣』と考察する読者も多い。
尤も蹴速の敗因は試合開始早々に自身の技の要である足を破壊された事にあり、それが無ければもっと善戦出来ていたかもしれない。
(ただし、いくら自信があるとはいえ、初撃でいきなり足を破壊されたのは、独歩の力量を見誤った迂闊さが否めない)
あるいは、如何に古代相撲と言えども、全てにおいて現代の相撲を上回っているわけではないという暗喩なのかもしれない。