努力
努力(英:effort, endeavor)とは、ひとつの目標を目指して修行や訓練を重ねること、そしてそれを成し遂げようとする意志(信念)のことである。
才能と対比されることも多くあるものの、実際には才能を活かすために必要なものでもある。
むしろ、現実に「天才」と称される人物は、常人ではついていけないほどの努力をしている場合が多い。
注意
成功に必要なものとされているがゆえに、努力は基本的に美徳とされるものではある。しかしながら、忘れてはいけないのは、努力だけで成功できるほど世の中甘くはないということである。
努力はあくまでも成功に必要な要素のひとつでしかなく、結果を出せたとしても誰にも認められなかったり他人に横取りされてしまうこともある。ほかにも、周囲の環境や本人の素質、突然の災難といった努力だけではどうにもならないことが往々にしてあるのもまた事実なのである。
確かに、人は結果よりも努力を誉めたほうが伸びるのは事実だが、まだ行くべき道がわからない子供ならまだしも、大人の世界は良くも悪くも結果主義であり、いくら努力しても結果を出さなければ何もしていないのと同じなのだ。結果が出なかった以上は、その努力はどこかでベクトル(方向性)を間違えているということなのである。
トーマス・エジソンの名言として有名な「天才とは1%のひらめきと99%の努力である」も、「1%のひらめきがなければ99%の努力は無駄になる」という意味の言葉であり、本人も「ただ努力だけという人は、エネルギーを無駄にしているに過ぎない」と発言したことがあるのだとか。
要するに、「努力がすべて」と過信するのは禁物である。
結果が伴わなかったのに「努力したんだからこれくらい認めてくれてもいいでしょ」と甘えた考えをするのはもちろん、「努力が足りない」という自己責任論だけで他者を非難・差別したり自己評価したりするのもあまりに短絡的なので注意しよう。
努力も過信すれば驕(おご)りを生み、弱者に冷たい実力主義に繋がってしまう(実際、実力主義社会で有名なアメリカでは努力を重視する一方で、労働者の権利が軽視されがちで社会保障が薄いことでも知られている)ほか、時には自分を責めて心を病んでしまうことにもなりかねないのだ。
もっとも、エジソン自身は勤勉だったことでも知られ、決して努力を軽視してはいない。上述の言葉も「ひらめきと努力のどちらも欠けてはいけない」ということなのである。
また、孔子の言葉にも「努力する者は楽しむ者には勝てない」というものがある。これは楽しいことなら努力も苦にならずにできる(逆に言えば、楽しくないことに努力しても苦労に見合わない結果しか得られない)という趣旨の言葉であり、努力を割く方向性の大切さを語っている。
努力が必ず報われるとは限らないが、生まれついた才能や運などでもない限り努力を始めなければいつまで経っても成功は手に入らないのもまた事実なのだ。
創作において
努力という性質は、作品のテーマとして、またはキャラクターの性格づけとして強調されることがある。とりわけ、漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』は、同誌のコンセプトに「友情・努力・勝利」を掲げていることから、そこに掲載される作品には努力に根ざした展開(根性、向上心、不屈の意志など)が多く見られる傾向にある。
しかしながら、2000年以降になると、インターネットの創作界隈を中心に「楽して強くなる」や「最初から最強である」ことがトレンド化していき、努力を重ねて前進するキャラクターについては「暑苦しい」「しょせんは二流」などといったマイナスイメージがまとわりつくようになってしまった。
理由としては、以下のような理由で「努力の価値」が希薄になり、「リスクを取りたくない」という考えが広まったことが考えられる。
- 根性論を通しても報われたほどイケイケドンドンな時代だった高度経済成長期から一転、バブル崩壊により長い不況に陥ったことで「成功に必要なのは努力より運やコネ」「どうせ努力しても報われないんだから楽して生きていきたい」という価値観が定着してしまったこと
- バブル崩壊と就職氷河期の結果として努力の果てに破滅に向かう人間や努力をしても生きる事すらままならない人間の存在が(努力をして結果を出した人間の存在や成果よりも)より大きく社会問題としてピックアップされる(遺族も声を上げる)ようになり、その過程で「誰かの努力の裏側」では「深く傷つき苦しむ他の誰かがいる」ことが、あからさまに広く露呈したこと
- ネット社会の到来(特にSNSの登場と普及)により、さまざまな人が情報発信できるようになったことで「努力が無駄になってしまった人」の声が多く上がり人々に届くようになり、上述の事例の傍証および実証の強化が成され続けていること
- 「文明の利器による便利さが優先される」世情へ移り変わり、「地道な努力よりも少ない対価ですんなりと終わらせることが文明人である」ことを、世の中が推進していることに誰しも大声で違和感を唱えなくなったこと
- 承認欲求が環境の変化で肥大化し、承認を動機に努力して自己実現するよりも、他人に認められることで欲求を満たすことが手っ取り早いと考える者が増加していること
こうした風潮もあってか、それらの考えに対する危惧として逆に便利さの裏に血のにじむ努力があったことを紹介するビジネスドキュメンタリーも増えており、決して努力することが陳腐な旧説でないことを提示してくれている。
なお、ゲーム『スパロボ』シリーズでは、使ったあとの1回の戦闘だけ経験値を2倍にする効果がある精神コマンドとして登場する。
関連タグ
友情・努力・勝利:漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』の掲載作品の基本となる三大原則。
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