概要
「パブ」は、「public house」公衆が使える(特定目的用の)建物)」の略称。
英国>イギリスでは、中世には旅館機能が主体の「イン」、食堂機能が主体の「タヴァン」、酒場機能が主体の「エールハウス」があった。これらのうちパブは主にエールハウスの子孫にあたるが、街道沿いの馬車宿(コーチイン)を源流としたパブも多く、そういったものは「○○イン」と名乗っている。かつては男性労働者の社交場というムードがあったが、今は時代の変化と共にファミリー向けの明るい雰囲気な店も増えてきている。イギリスではどんな小さな村にも教会とパブはあるとも言われ、パブは地域の憩いの場ともなってきた。
パブの伝統的に主な飲み物は、ビールである。日本ではよく冷やして低温を保ちやすいジョッキで飲むラガービールがほとんどだが、イギリスのパブではグラスでちびちび飲む常温のエールがまだまだ多い。他にはサイダー(リンゴ酒)、ジントニックなどのカクテル、もちろんソフトドリンクもある。あまりアルコール度数の高い酒が出ないのは、19世紀前期にジンによるアルコール中毒が社会問題になり、「より害の少ない」酒としてビールが推奨されたからでもある。もちろん、店によってはウィスキーなどの蒸留酒も出す。ファミリー向けの店などは料理にも力を入れているが、伝統的なパブは軽食やおつまみぐらいしか出さない。代表的なメニューにはフィッシュアンドチップス、ハンバーガー(ただしイギリス流ではナイフとフォークで食べる)、牛肉や鶏肉のシチューなどを具材にしたパイなどが上がる。
内部にはカウンター席やテーブルと椅子の席があり、広いパブでは飲食以外の娯楽に使うスペースもある。
時代的に変化も多いので、詳しく知りたい方はWikipedia英語版「カテゴリー:パブ」辺りともにらめっこしてほしい。
パブの店名と看板には、識別効果を優先したせいで変なものも多い。ロンドンのエレファント・アンド・キャッスルにある同名のパブは有名だが、同地にあった刃物職人組合の紋章をそのまま取っただけであり、その程度では「変なもの」の部類には入らないかもしれない。起源は14世紀の国王リチャード2世が税徴収の都合から店名に因んだ看板を掲げるよう命じた事らしい。その後慣習化して各店は店名と看板を競い合うようになる。