概要
週刊少年ジャンプ(集英社)にて1984年49号・50号に読みきりとして発表されたあと、1985年14号から連載開始。1989年22号をもって終了・完結した(しかし、最終回でも誌面の中間に位置しており、一度も雑誌の末に廻されたことがなかった)。
連載当初は「怪盗とんちんかん」が大富豪の邸宅にあるゴミに等しいものをわざわざ予告状まで出して盗み出すドタバタなギャグストーリーだが、次第に学園もの・クイズ・各キャラクターに焦点を合わせた話などにシフトし、盗みに関する話は少なくなる。そのことを自身でネタにもしている(珍しく盗みの話が連続すると「2週続けて盗みネタが…」と作者・えんどコイチが出てきて言ったりした)。また連載当時同作の出版社である担当(つまり実在の人物)だった、茨木政彦、高橋俊昌と言った編集者をモデルにしたキャラクターも時折登場する(ただし4代目担当だった近藤裕は作者へのツッコミだけでキャラクターとしては登場しない)。特に茨木氏のイバちゃんはアニメにも登場している。
コミックスは全18巻、文庫版はそれぞれのテーマにしたものをセレクトして全6巻発売されている。なおジャンプ連載中にあった過激な下ネタ回、連載当時倫理上問題は無かったものの2019年時点で差別等の抵触するものがあった回、上記の高橋俊昌が汚れ役だった回は収録していない(これは高橋が2003年初頭仕事中に急逝、作者が故人に対しあまりにも失礼と考えたことから。ただしキャラクターではなく担当編集者として作者にツッコミを入れる回では登場する)。
ちなみに東風、珍平、甘子を足して『とん・ちん・かん』という組み合わせになっている(この組み合わせは両津の少年時代の友人(豚平、珍吉、勘吉)などもある)。また、名字も中、発、白と麻雀牌から来ており、愛称のレッド、グリン、シロンというのもそこから。
登場キャラクター
さすらいの格闘家。本名不明なので、自分で色々名乗っていたが、周りからは名無しの権兵衛からゴンベエとあだ名を付けられる。父親から名字は七志野(ななしの)だとわかると、そこでショックを受けてしまい、本名は聞かずじまい。ちなみに彼には名前が無い、彼の父親には決まった顔がない、母親には姿がないと言う人として重要な物が欠けている家族と言うギャグになっている。がめつい性格だが、極貧のため金銭感覚がわからず、どんなことでも10円で引き受けてしまう。
実は間抜作の女装(誰が見ても女装とわかるが、この時本人曰く心は乙女らしい)
- アンディ・ジョーンズ(CV:島津冴子)
怪盗あんぽんたんの首謀者。サンバイザーとタンクトップ姿が特徴の陽気なアメリカン。超能力を使えると発言しており、怪盗とんちんかんに張り合おうとするがそれはハッタリ。名前はインディ・ジョーンズのもじり。
本作のロリ担当。珍平のことが好きで、ひょんなことから恋人同士になる。
メガネを掛けたふくよかな女子。基本は無口。大家のババアと並ぶ劇中最強キャラで、肉弾であらゆる攻撃を跳ね返す。アニメ版ではダンプ松本をもじった「松本丹紅」(まつもとたんく)に名前が変更されている。
吉沢先生に片想い中。嫌味な性格で抜作を邪魔しようとする。名前の元ネタは夏目漱石の『坊っちゃん』に登場する赤シャツ。
元はおとなしく教師たちのマドンナ的存在だったが、抜作のことが好きで深すぎる愛ゆえに暴走し、また年齢不相応な行動も起こすことから、いつからかギャグキャラ化されてしまった。元ネタはど根性ガエルの吉沢京子からだが、アニメ版では「吉沢今日子」に表記変更されている。
熱血教師。名前の元ネタは青春活劇の代名詞的存在だった俳優時代の森田健作。
名前はひっぴみししっぴ
毒鬼警部の息子で、怪盗とんちんかんの正体を暴こうと白井甘子らに突っかかっている。「あやしい」が口癖だが、それを抜作が肥かごを担ぎながら「こやしい」と返すのが漫画のお約束だった。
苗字の読みは「いがらし」ではなく「ごじゅうあらし」である。名前をちゃんと読んでくれた抜作に一目惚れしてしまう。
名前はロリだが、どちらかといえばぶりっ子タイプの女子生徒。東風に惚れ込み、甘子の恋敵となる。当作品では珍しく名字が登場しない。
ホラー好きで、存在がホラー。名前はスプラッターから。
薄幸な深窓の令嬢を茶化したキャラで「庭木の落ち葉が全部落ちるとぽっくり逝っちゃう病」「海が見たいと言い出す病」など変な病気にかかる。最後には抜作によって顔まで薄っぺらにされてしまった。
抜作が暮らしているアパート「久荘」の大家。劇中最強のキャラで、どんな相手も、手に持っている箸一本で撃退してしまう。
ババアの孫。見た目は楚々とした美人だが、東風をあしらってしまうほど強い。抜作の見合い相手として現れ、彼に惚れてしまうがゴンベエに破れ、彼に乗り換える。
気が強いスケバンで、礼儀もわきまえているが家は貧しい。ゴンベエに惚れており、お互いいい関係になりつつあったが、最後には家族のせいで幻滅してしまう。
地球侵略を目論んでやってきた…はずだったが、怪盗とんちんかん(特に抜作)によって、ことごとく悲惨な目に遭ってしまう。後に茨木氏の会社の社員となっていた。
レギュラーの発山珍平より人気投票の順位が高かった脇役キャラ(?)
レギュラーの発山珍平より人気投票の順位が高かった脇役キャラ(?)
- トン吉(CV:古谷徹)
- 作者
- 茨木氏(CV:屋良有作)※モデルは当時の担当で後にWJ・ジャンプSQ編集長に就いた茨木政彦。企画会社の社長を務めていたが、抜作と天地のせいで赤字、倒産寸前にまで追いやられてしまう。
- 尚子夫人(CV:鶴ひろみ)
- 高橋氏
※モデルは一時期、作者担当で後にWJ編集長の高橋俊昌(2003年没。文庫版では名誉のためほとんどの登場回が削除された。)。痴漢犯罪が趣味という変質者扱いだったからそれもやむなしである。
- 近藤氏
- 東郷十三(CV:銀河万丈)
- シシリアーノ(CV:屋良有作)
- ジュリアン
- 鋼鉄の筋肉と呼ばれた男
- 不死身で幻の殺し屋
- 魔女
- サイボーグ
- 巨匠
- 金髪の大男
- 不気味トリオ
- 抜作の悪の心
- 抜作の良心
- アンネナプタンポポホフ
- ペッチョチョチョチョリゲス
- 苦労沢明
- 死神くん
同時連載していたヒューマンドラマ漫画『死神くん』の主人公。カメオ出演。
アニメ
1987年10月17日から1988年10月1日にかけて全43話がフジテレビ系列局(ただし一部系列局除く)にて放送された。また、系列外局3局でも、遅れネットで放送されていた。
当時同じジャンプで連載されていた「ハイスクール!奇面組」の後番組で、スタッフもそのまま続投。主題歌も「うしろ髪ひかれ隊」が担当した(後期は生稲晃子のソロ楽曲)。なお「うしろ髪ひかれ隊」の母体であるおニャン子クラブはTV放映開始の1ヶ月前に解散している。
本放送中の1988年9月19日、昭和天皇が吐血し、バラエティやギャグ番組が自粛となる中、当作品も影響を受け、その週(9月24日)放送予定だった第42話は他番組に差し替えられ放送されなかった。なお2008年にDVD-BOXが2巻が発売され、この第42話が映像特典として収録された。
主題歌
オープニングテーマ
『ごめんねカウボーイ』(歌:うしろ髪ひかれ隊)1話~16話
『ほらね、春が来た』(歌:うしろ髪ひかれ隊)17話~26話
『麦わらでダンス』(歌:生稲晃子)27話~最終話
上記3曲とも、作詞は秋元康、作曲・編曲は後藤次利が担当。『麦わらでダンス』はアニメ放送当時広島東洋カープに在籍していた、リチャード・ランスロッティ(登録名・ランス)の応援歌として使用されていた。
エンディングテーマ
『メビウスの恋人』(歌:うしろ髪ひかれ隊)1話~16話
『誰も知らないブルーエンジェル』(歌:うしろ髪ひかれ隊)17話~26話
『夢に逢いたい』(歌:生稲晃子)27話~最終話
連載終了後
1991年に『ブイジャンプ』(『Vジャンプ』の前身)で「とんちんかん2』として復活。既に完結していたストーリーはリセットされたが、天池くんに3人の子供がいる設定になっていた。
翌年には『とんちんかん2』の設定を引き継いだ読み切り作品『ミラクルとんちんかん』が『月刊少年ジャンプ』で掲載され、その後設定を変更して連載化された。また、『ミラクルとんちんかん』が連載されていた時期にはジャンプ増刊でロールプレイングゲーム世界が舞台の番外編『ORIGINAL QUEST』が連載されていた。
余談
作者のえんどコイチによれば、故郷の新潟に住んでいた頃に見ていた吉本新喜劇の影響があるという。
怪盗の構想はあったが、先にキャッツアイがジャンプで連載されていた為、それが終了した事で踏み切ったとのこと。