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「俺たちは二人で一つだからなあ」
「人は嘆く時天を仰ぐんだぜ 涙が溢れねえようになああ」

プロフィール

人間時の名前妓夫太郎
身長・体重不明
趣味不明
初登場話原作:第85話


概要

吾峠呼世晴による漫画『鬼滅の刃』の登場人物。
鬼舞辻無惨配下の精鋭、十二鬼月の一人であり、鎌鬼。
妹の堕姫と共に"上弦の陸"の数字を与えられている。

容姿

席位に従い右目に「上弦」、左目に「陸」の文字が刻まれている。

ボサボサの髪、猫背でガリガリに痩せ細った体と陰気な顔という醜い容貌をしており、顔には血の染みのような痣がある。これは先天性梅毒によくみられる症状であり、後述の生い立ちからみて母親から感染したものと思われる。

人物

『奪われる前に奪い、取り立てる』事を信条としており、人にされて嫌だった事、苦しかった事を人にやって返す事で取り立てるという歪んだ考えを持つ。

実は彼の名前の「妓夫」(ぎゅう)とは遊郭にて主に客の呼び込みや勘定徴収、またそれに伴う掛け金の回収などを担当していた下働きの者達の役職名である。人間だった頃の彼は親からも厄介者扱いされ、名前すらも与えられず、彼が「妓夫」の仕事をするようになり、仕事場での必要性からようやくその役職が名前となるという有様であった。
(公式ファンブックによると、彼の取り立て率は百二十%を誇るという驚異の仕事ぶりであったという)
遊郭の下働きとして地獄のような日々を過ごした彼は、全ての幸せそうな人間を妬み、憎み、暴力で取り立てる事で生き延びてきた。
その性質はとなった今でも変わらず、性格は陰険で嫉妬深く残忍。
一方で妹の堕姫の事は大事に思っているようで、彼女を泣かせる者は決して許さない。

「~なあ」「~なああ」とすごむような口調が口癖で、感情が高ぶると身体をかきむしる癖がある。
普段は妹と融合してその中で眠っており、頚を容易く斬られるなど、彼女が手に負えなくなった場合に姿を現わす。実力は妹とは比べ物にならないほどに高く、堕姫の七人に対し、十五人を葬り喰らってきている。

単純な戦闘能力の高さのみならず頭の回転の速さや戦術眼にも秀でており、作中では乱戦の中で的確に妹を援護したり、宇髄天元の放った火薬玉の迎撃に気づいて瞬時に攻撃の手を止める、妹から得た情報を的確に処理し、その場に応じた判断を素早く下すということをしている。
また能力も多岐にわたり、上述の妹との融合の他に、自身の片目を妹の額に移動させる事で彼女を操る事ができ、堕姫の方もこの状態になる事でようやく本来の力を発揮できる。加えて妹と同時に頚を斬られないと(厳密には二人の内、片方の頚が日輪刀で斬られた事で離れている間に、もう片方の頚を斬る)消滅しないという、上弦の鬼の座に恥じない非常に厄介な特性を備えている。
これらの特性からも分かる通り、彼等は文字通り二人で一つの鬼なのである。

ファンブックにて判明した無惨からの評価は高かったようで、「お気に入り。境遇と貪欲な性格を高く評価」。妹である堕姫が「頭悪い子供」とこき下ろされていたのに対して、破格の値踏みをされている(無惨は配下の鬼を基本的に信用していない為に「お気に入り」と肩入れされている事自体、かなり異例である)。

能力

血鬼術 『血鎌』

自身の血を鎌に変えて戦う。妓夫太郎の戦法の基本となる血鬼術。
この鎌には猛毒があり、通常の鬼狩りであれば掠っただけでもまず確実に死に至る。
元は忍で毒物全般に強い耐性のある宇髄でさえも、何とか即死を免れる程の高濃度であり、毒が回るにつれて、彼もまた刻一刻と弱っていった。
なお、後述の血鬼術全てにこの毒の効果が付与されている。

一方で上記の性格や信条故に、この毒もあくまでより相手を長く苦しませる為の物である側面の方が強く、毒を使うキャラにありがちな正攻法での戦いを避けるような卑怯な戦い方は意外にもあまり好んではおらず、むしろ相手を徹底的に叩き潰す為に、戦いそのものは真正面から挑んでくる傾向が強い。

  • 飛び血鎌(とびちがま)
薄い刃のような血の斬撃を飛ばす技。
妓夫太郎の意のままに軌道が変わり、何かに当たって弾けるまで敵を追い続ける。

  • 跋扈跳梁(ばっこちょうりょう)
血の斬撃で天蓋を作る防御技。
発動時間が早く、全方位への防御、至近距離の迎撃にも使える。
劇中ではこれにより雛鶴の毒のクナイを防いだ。

  • 円斬旋回・飛び血鎌(えんざんせんかい・とびちがま)
飛び血鎌を螺旋状、直線の軌道で放つ技。腕の振り、予備動作もなしに、その場で広範囲の斬撃を繰り出せる。
最大出力ともなると、辺り一帯を更地にする程の破壊力を誇る。

彼の過去と心残り

概要の項でも述べてある通り、彼の過去は凄惨の一言に尽きる。
100年以上前に遊郭街の最も劣悪な環境の中で生まれた彼は、食い扶持を減らすために生まれる前から親に殺されかけ、そして生まれてからも何度も殺されそうになった。
生まれた当時から醜い姿をしており、美貌が求められる遊郭街に生まれた故に親を含めて周囲の人間から蔑まれ、酷い扱いの元で暮らして生きた。
日常の食事はそこらで捕まえたネズミを食べて生き延び、何処かの客が忘れていった鎌を玩具代わりに使う毎日。

そんな中で、彼の生活を変えたのは妹の梅が生まれたことだった。

美しいモノか美しい者


 
梅という名前は死んだ母親の病いの名をもじって付けられたもので、その事を妓夫太郎は酷いものだと愚痴った。が、それでも年端もいかない頃からその美貌で周囲の人間をたじろがせるほどの彼女の存在は、その醜さから忌み嫌われていた彼にとって救いとなっていた。
また、母親は梅の髪の色を「気味が悪い」と散々に扱っていた様だが、梅の髪を剃刀で切った際に逆上し大暴れした事件をキッカケに彼ら兄妹に怯えて母親は近づかなくなった。
その頃に自身には剣才があり腕っ節が強い事にも気付き、幼いころから使っていた鎌を利用し妓夫として遊郭の掛け金回収の取り立ての仕事を始める事に。誰もが彼を気味悪がった為に仕事は上手く進み、今まで悪い事ばかりだった人生も何とか良い方向に向かい始めたかに見えた。

だがそうした幸福な時間は、唐突に終わりを告げる。それは彼が13歳のある日……
※妹が13の時とも言われるが、理由としては物心がついてから妹が生まれているので妹はギリ10歳前後、この幼さで遊女は当時の価値観でも流石にアウトではないかという説や、自分の年齢も誕生日も知らないが妹の誕生日だけは数えて覚えていたという説が有力。
 
梅は遊女としての仕事中に、妓夫太郎を侮辱した客の侍の目を簪で突いて失明させてしまい、その責めを縛り上げられた後に生きながら焼き殺されるという凄惨な報復という形で受けたのである。
妓夫太郎がその場に駆け付けた時、梅は辛うじて生きていたものの、全身が丸焦げになっている状態で息をするのがやっとの有様。変わり果てた妹の姿に、思わず彼は絶叫する。


「わあああああああ!!やめろやめろやめろ!俺から取り立てるな!」

「何も与えなかったくせに取り立てるのか!許さねえ!許さねえ!」

「元に戻せ俺の妹を!でなけりゃ神も仏も皆殺してやる!」


妹を抱きしめながら絶叫する彼の背後から、梅に目を潰された侍が襲い掛かり、遊郭の女将と共に彼を殺そうとする。実は女将は客に対してあまりに強引すぎる掛け金回収を行う妓夫太郎を陰で厄介者だと思っており、これを機に客である侍と共謀し厄介払いを行おうとしたのだ。
二人の姿を見て心の何かが切れた彼は、そのまま愛用の鎌に嫉妬と怒りを剥き出しにして反撃、その結果として彼らを手にかけることとなった。

結局、人間であった頃の彼を助けてくれる『人間』など、何処にもいなかったのだ。

瀕死の梅を連れ、冬の街の中を当てども無く歩き回り、やがて妓夫太郎も侍によって追われた怪我も相まって、力尽きて倒れる。そんな兄妹の前に現れたのは、当時から既に上弦の鬼(当時は"上弦の陸")として活動していた童磨であった。
命の大切さを説きながら遊女を喰っていた彼は、死にかけている梅と妓夫太郎に鬼になる様に誘いをかける、そしてその誘いに乗るままに、妓夫太郎は鬼となった。

童磨と妓夫太郎。



今際の際においても尚、彼は自分の人生において鬼になったことに後悔は無かった。

奪われるだけで与えられることの無かった自分が、幸せそうな他人から奪い、取り立てることのできる鬼という存在に成れた事は、生まれ変わっても鬼になる事を決意させるほどの人生だった。


しかしそんな彼が、鬼となっても捨てきれなかった唯一の心残り。



それは、妹の梅だった。

 

「奪われる前に奪え、取り立てろ」そんな教えで梅を育てたために梅は、客としてやって来た侍を簪で刺し、それにより復讐として焼き殺され、自分と同じ鬼になってしまった。

自分が育てた故にそうなってしまったが、素直で染まりやすい性格をした梅ならば、もっといい店にいたなら真っ当な花魁に、普通の親元に生まれていたなら普通の娘に、良家に生まれていたなら上品な娘に、あの時の侍の客に従順にしていればもっと違う道があったのかもしれない。

その思いだけが、彼に唯一にして最大の心残りだった。

そんな中、かつての人間だった頃の姿を取り戻した梅と共に二人で黄泉路に渡った妓夫太郎は、今度こそ自分と違う道へ行くように仕向けるため突き放つように梅と兄妹の縁を切り、一人で暗い場所に向かおうとするが、梅はそんな兄の背中にしがみつき泣きじゃくりながら訴える。

「離れない!絶対離れないから」

「ずっと一緒にいるんだから!」

「何回生まれ変わってもアタシはお兄ちゃんの妹になる絶対に!」

そう泣き喚く梅の姿に、かつて人間だったころに妹と一緒に過ごしたことを思いだした妓夫太郎は、背中にしがみついた妹を背負いながら暗い地獄の中へと歩いて行った(この時の後ろ姿のみ、彼も人間の頃の姿に戻っている)。

もう二度と 離れぬように



彼らの敗死により百十三年振りに上弦の不敗記録が破られ、上弦を無限城に集結させた際に無惨は「妓夫太郎は負けると思っていた 案の定 堕姫が足手纏いだった」「始めから妓夫太郎が戦っていれば勝っていた」「くだらぬ 人間の部分を多く残していた者から負けていく」と厳しい評価と感想を述べ、不快の絶頂に達していた。

またその過去から竈門炭治郎は彼を「道を踏み外し鬼となってしまった自分」として重ねて見ていた部分もあった。
そして敗北後、堕姫が「アンタみたいな醜いヤツが兄妹なわけない!」と罵れば、妓夫太郎は「お前なんかいなけりゃ俺の人生はもっと違ってた なんで俺がお前の尻拭いしなきゃならねえんだ!!」と言い返し、「お前なんて生まれてこなけりゃ…」と続けた際、炭治郎は彼が心にもない罵倒をしている事を察し、彼の口を押さえながらこう語りかけた。
「嘘だよ。本当はそんなこと思ってないよ、全部嘘だよ。 仲良くしよう、この世でたった二人の兄妹なんだから」
「君たちがしたことは誰も許してくれない。殺してきたたくさんの人に恨まれ、憎まれて、罵倒される。誰も味方してくれる人なんていない」
 
「だからせめて、二人だけはお互いを罵りあったらだめだ」
 
そして妓夫太郎も炭治郎に対しては「嫌いじゃねえ」「愛着が湧く」と評して鬼への勧誘を行っていたが、同じ様な誘いを最期まで拒み通した人から薫陶を受けた炭治郎が受け入れる筈もなく、頭突きを喰らわせている。
しかし、実際竈門兄妹と"上弦の陸"の二組の兄妹には、境遇や人生における転換期などに共通点も多く、大きな対比となっている存在である。

雪の日



キメツ学園

妓夫太郎おにぃちゃん(+宇善)Twitterまとめ


13巻で設定が明かされた。
学園随一の不良兄妹の兄で、問題児ではあるが兄妹仲良く学校に通っている模様。

詳細は⇒謝花兄妹

余談

その重厚なキャラクター性と圧倒的な存在感とインパクト、そして単身では柱でさえ対抗できない圧倒的な強さ、通常の鬼とは違いただ頚を斬っても殺せない理不尽さ、そして鬼になるまでに妹共々辿った目を覆いたくなるような凄惨極まりない生い立ち等、とにかく上弦の鬼というものを読者やファンに刻み付けた鬼であり、その最期も含めて高い人気を誇っているキャラクターである。
公式で行われた第二回人気投票では、退場から既にかなり期間が過ぎていた敵キャラクターであるにも関わらず、158票を獲得して42位となった。
ちなみに堕姫は180票で40位だった為に、2人合わせると338票を獲得している(票数で言えば25位のカナエ村田と26位の愈史郎の間になる)。

関連イラスト

妓夫太郎
誰も助けちゃくれない


2020/07/08
センシティブな作品



関連タグ

鬼滅の刃 鬼舞辻無惨 鬼(鬼滅の刃) 血鬼術 十二鬼月 上弦の鬼
堕姫 上陸兄妹 謝花兄妹 遊郭編 妓梅
鬼滅の刃の登場キャラクター一覧
哀しき悪役 サディスト 外道    
 
鬼いちゃん…ファンからの愛称。定義的には炭治郎や実弥も該当するが、鬼滅の刃で「鬼いちゃん」と言えば大抵彼の事を指す。

上弦の鬼
黒死牟(壱) 童磨(弐) 猗窩座(参) 半天狗(肆) 玉壺(伍) 妓夫太郎堕姫(陸) 

関連・類似キャラクター

  • 童磨堕姫獪岳"上弦の陸"繋がり。
  • 胡蝶しのぶ…妓夫太郎が「毒使いの十二鬼月」とするならば、こちらは「毒使いの柱」といったところか。童磨と因縁があるのも共通。
  • 魔王サイコ戦士サイコラーガルファゼロ…同様に「対になる二体を同時に斃されない限り、斃された方をもう片方が復活させる」形の不死身ギミックを持ったキャラクター達。
  • 薄皮太夫…同じく遊廓が生み出した怪物。
  • 安藤仁一…ジャンプ作品&兄繋がり。(こちらは弟持ちであるが)妓夫太郎と同じく毒親が原因で醜い容貌となって周囲の人間から迫害を受ける、などといった凄惨な生い立ちが原因で悪の道に走っていった。
  • アシュラ(漫画)…主人公アシュラとキャラクターデザインや悲惨な境遇、食人など類似点が多い。

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上弦の鬼 じょうげんのおに

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