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「これはこれは猗窩座様!いやはやお元気そうで何より 九十年振りで御座いましょうかな?私はもしや貴方がやられたのではと心が踊った…ゴホゴホン!心配で胸が苦しゅう御座いました ヒョヒョッ」


無惨様の手が私の頭に!いい…とてもいい……」


プロフィール編集

人間時の名前益魚儀(まなぎ)
身長身長(壺入り状態):150〜170cm
体重(壺入り状態):40〜80kg
趣味壺作り、生き物改造
数字十二鬼月 上弦の伍
血鬼術
一人称私(わたし/わたくし)
初登場話原作単行本12巻 第98話「上弦集結」
公式人気投票第2回:52位(49票)
CV.鳥海浩輔

概要編集

吾峠呼世晴による漫画『鬼滅の刃』の登場人物。


鬼舞辻無惨配下の精鋭、十二鬼月の一人にして“上弦の伍”の数字を与えられた上級のであり、その席位に従い上目に「上弦」、下目に「伍」の文字が刻まれている。


の中に身を潜め、壺と繋がっているという姿はどことなくランプの魔神を彷彿とさせるが、本体は屈強ながらも腕が無い白い上半身とヘビミミズのように細長くうねる黒い下半身、本来両目がある部分に緑色の唇がついた口(アニメでは普段は片方ずつ動き、激怒したときなどは同時に動いている)、本来口がある部分と額に目があり、頭などから小さい腕が複数生えているという非常に個性的なビジュアル。


比較的人の姿を保っている者が多い鬼においては珍しく完全な人外の姿をした鬼で、ここまで人間離れした姿の鬼は他には手鬼父蜘蛛兄蜘蛛蛇鬼くらいのものである。


公式ファンブックによると現在の姿は趣味の人体改造による産物との事。


玉壺


人物編集

慇懃無礼な性格だが、本人は芸術を愛する芸術家としての一面を合わせ持っており『至高の芸術家』を自称。

人間を殺害する際も上弦の陸の片割れとは違った形で美しさに拘る一面を見せる。

 

また様々な物事に対して「それもまたいい」と肯定的で、無惨に切り落とされた頭部を手で掴まれたり、情報を得ながらも無下に扱われたりした事にも「いい…とてもいい……」と恍惚気味に興奮するなど、どこかコミカルな印象も抱かせる。


センシティブな作品

 

これだけだと訓練されたドMのようなギャグキャラにも見えるが、その本性は多くの鬼と同じく下劣にして非道

後述の独自の『芸術』が物語っている通り人命や死者の尊厳すら平気で踏み躙る、鬼の中でも類を見ない異常性の持ち主である。


また、自分が強者であると認めた相手に対してはその実力を素直に称賛する黒死牟や猗窩座とは違い、芸術家気取りの割には芸術家としてのシンパシーを感じた相手(作中では鋼鐵塚蛍)に対して敬意を払う等といった事は一切しない。


それだけならそれ程までに自分の実力に自信があると言う事で片付くのだが、鋼鐡塚の並々ならぬ集中力を目の当たりにした彼が取った行動は「私とてこれ程集中したことは無い……芸術家として負けている気がする!」と敵愾心を燃やすあまり、殺すのではなくその集中力を削ごうと卑劣な妨害に徹すると言うあまりにみみっちい物であった。


『芸術家として負けている』という自覚はあるようだが、それでその人物を認める訳でも、努力して相手の実力を上回ってやろうとする訳でもなく、創作活動を妨害し、その人物が挫折する様を見る事で自分のプライドを守るという行いは、芸術家に限らず言語道断且つ卑劣な行為であり、この事からも彼は『自分以外に腕の立つ芸術家などこの世に必要ない』と言う考えの持ち主である事が窺える(ある意味では人間らしいと言えなくもないが)。


しかし結局の所、鋼鐵塚は仮面を割られただけでなく片目を潰されるという重傷を負わされつつも、それでもなお動じる事なく刀を研ぎ続けたために妨害は失敗した挙げ句、自身は水獄鉢から脱出した無一郎の反撃を食らってしまう。しかし困惑しながらも「逆に言えばそれだけ私が集中していたということだ!!よし!!と肯定して開き直る有様であり、良く言えばポジティブ、悪く言えば自分自身を顧みたり反省したりと言った思考は皆無。


なお、玉壺の言う"芸術"とは人類の感性とはまず相容れないもので、人間の死体をおぞましく飾り立てたり挙句その死体が断末魔の叫びを上げる様に細工をしたり、逆に人間を傷つけ喰い殺す化け物を作ったり悪趣味極まりないものばかり


鍛人の断末魔

そのおぞましさには、基本他者に無関心な態度を取っていたことが多かった当時の時透無一郎ですら怒りから口汚く罵った程である。

 

しかし、玉壺自身は自らの行いを下らない生命を高尚な作品にしてやったと認識しており、嫌悪や不快を示す相手に対しては『審美眼のない猿』『脳まで筋肉でできていると罵倒して逆に見下す始末。

加えて追い込まれると余裕も冷静さも失って激昂したり、上記のように鋼鐵塚への嫉妬から無一郎にトドメを刺さずに放置したりと、なまじプライドばかりが高い故の狭量さや詰めが甘いところが随所で窺える。


これ等の事からも、彼は『他者の命を利用する』という身勝手な美意識に基づいた悪趣味かつ不愉快な作品ばかり作り、同じ芸術家に対しても競い合うどころか蹴落とそうとし、その言動や態度も自己中心的で胸糞悪いと言う、芸術家はおろか生物の風上にも置けないような人物だが、それ等もこのキャラを単なる面白変態キャラに留めない魅力でもある。


また、どうやら普通の芸術作品も作れるようで彼が作った壺は劇中では"上弦の弐"の童磨から「綺麗だねえ」と称賛されており、無惨からも『壺がなかなか綺麗。高く売れる』という理由で『わりとお気に入り』という評価を受けている。無惨が青い彼岸花を探索すべく、人間社会に溶け込んで生活していくための資金源として重要な役割を果たしていたようだ。


本人も己の作品にはかなり強いプライドがあるらしく、無一郎から『下手くそな壺』と評された時には「それは貴様の目玉が腐っているからだろうがアアアア!!!」と大激怒していた(実際に壺が高く売れている実績がある事から、無一郎は玉壺を挑発するためにわざと思ってもいない事を言った可能性が高い)。


作中の行動を見返して考察すると、財源をかねて有益な情報を入手できる能力を持ち、自前で考えられるという、鬼側勢力においてそこそこ重要な存在だった可能性もある。


芸術のモチーフとしては『』を題材に取る事が多く、血鬼術も魚の形をした物が大半。


過去編集

原作漫画、アニメ版ともに過去回想の類は一切描写されていない

後に公式ファンブックによって本名が益魚儀(まなぎ)である事や、鬼となる前のエピソードが明かされた。

少なくとも、人間時代からその悪趣味極まりない性根は健在であったようだ。


詳細は益魚儀を参照。


能力編集

後述の血鬼術により、情報収集や探索・探知を得意とする鬼。

外見が外見なだけに接近戦は厳しいようで、戦闘ではもっぱら自らの血鬼術や使い魔を活用し、相手との距離を保ちつつ様々な搦め手を駆使して戦う。

血鬼術によって存外に高い機動力と広範囲への多彩な攻撃能力を獲得しており、一度はをすら完封しかけた実力は流石上弦の一角と言うべきか。

とりわけ、いくつかの術の性質は露骨なまでに鬼殺隊士への対策となっている点が特徴的である。


なお、先に斃れた妓夫太郎や同行していた半天狗とは異なり、

首を斬られた時に発動するギミックは有しておらず日輪刀で斬首されればそのまま死んでしまう

使い魔や血鬼術での中距離戦を基本としているのは、その弱点を補う為だろうか。



血鬼術 『壺』編集

【鬼多めの】鬼滅絵集め

壺を使った空間転移を得意としており、それを利用した『情報収集能力』や『探知探索能力』に長けている鬼。


自分が転移したい場所に壺をあらかじめ転移させておき、そこから出入りを行う事で移動して敵を翻弄する、搦め手を用いた戦いを基本とする。


また壺の中はこれ自体が一種の異空間になっているらしく、壺に近づいた人間を中に引きずり込んで中で殺し、その人間の死体を材料にした芸術作品を生み出す。


加えて壺を媒介として使い魔を産み出す能力を持っており、

さらには玉壺自身が手のひらから小さな壺を産み出し、絵柄に対応した多種多様な術を繰り出すことが可能。


対象を脱出不能な塊の中に閉じ込めて殺そうとしたり、眷属を生み出して自在に操ったり、下記する脱皮による強化など、全体的に那田蜘蛛山で登場した蜘蛛鬼達の上位互換と言える能力が多い。



  • 水弾(仮称)

アニメ版で使用。青い壺から水流を撃ち出して攻撃する。

水流の軌道を操作できるらしく、命中した相手に切り傷を生じさせる威力がある。



  • 使い魔作成

ニシキゴイに人の手足を生やしたような姿の使い魔を使役する。刃物のように鋭い牙とツメを持ち、凶暴。


背中側に本体と思しいひっくり返った壺が付いており、そこさえ壊せればあっという間に消滅する。

反面、壺を破壊しない限りはどんな外傷もまたたく間に再生してしまうため、それを知られなければ一方的に広範囲へと継続的な被害を与え続けられる。

その弱点も正面からでは狙いにくく、高さもある背中に配置している辺りが実にいやらしい。


作中では複数の個体が作成され、刀鍛冶の里を襲撃。

また複数の壺を使って強化された個体も登場し、常駐していた一般隊士を返り討ちにした挙げ句鉄地河原鉄珍をも殺しかけた。



  • 千本針 魚殺(せんぼんばり ぎょさつ)

金魚鉢のような絵柄の壺から巨大な2匹の金魚を生み出し、その口から無数の麻痺毒が含まれた大量の毒針を発射させる。


妓夫太郎のような致死性のものではなくじわじわ痺れさせ身体の動きを奪うもので、恐らくは対象を生きたまま芸術作品に仕上げるための技。


アニメ版では5匹召喚するシーンが追加された。


  • 水獄鉢(すいごくばち)

波の絵が描かれた壺から放出させた大量の水で出来た壺の中に対象を閉じ込める。


液体ゆえに柔らかくグニャグニャと変形して内部からの破壊での脱出を防ぎ、同時に水責めで敵を溺れさせる。

更に鬼殺隊士に対しては、全集中の呼吸を封じられるというメリットも存在するため、もし鬼殺隊士との一騎討ちでこの技が決まればその時点でほぼ確実に玉壺の勝利が確定する。


アニメ版では壺を2つ持ち水獄鉢を発射するシーンが追加された。


  • 蛸壺地獄(たこつぼじごく)

波模様の壺から巨大なの脚を出現させる。


大質量による攻撃は言わずもがな、蛸足の肉は柔らかい上で強い弾力を持つため、斬撃にも強い。並の刃物では切断するどころか逆に搦め捕られ、へし折られてしまう。

水獄鉢同様、鬼殺隊士との戦闘を強く意識した技と言える。


  • 一万滑空粘魚(いちまんかっくうねんぎょ)

空を滑空するサンマのような計一万匹を10個の壺から同時に放つ術。


群がって相手を食い殺す他、たとえ日輪刀で切り捨てられたとしても死の間際に有毒の体液を大漁に蒔き散らす。


この毒は経皮毒で、口から吸い込まずとも皮膚から毒を吸収してしまう恐れがある。


真の姿編集

釜底游魚

普段の姿は仮の姿であり、奥の手として『脱皮』を行う事でこの姿に変身する。

本人曰く、この姿を見せるのは無一郎で3人目との事(残りの2人も柱だったと思われる)。


大まかな体型はそのままだが額の模様が変化したほか、頭やボディの両脇から生えている腕が無くなり、代わりに人間と同じ位置から水かきのついた逞しい腕が出現。

また、のような下半身にはウロコがあり、半魚人ラミアが合体したような印象を受ける。ちなみに髪も増量。


以下、真の姿となった際にのみ使用した能力・血鬼術について記載する。


  • 神の手

生物・無生物を問わず、拳に触れたもの全てを無数の生きた鮮魚に変化させる能力。


見てくれこそ手品か何かのようにも見えて滑稽だが、

わずかにでも喰らえば最後別の生物に変換されてしまい、事実上の死に至るという凶悪なシロモノ。

下手に防ごうものなら正にまな板の上の鯉と成り果てるほかない、事実上のガード不能即死技。

無一郎以前に真の玉壺と戦った前述の2人も、おそらくこの技に敗れてしまったのだろう。


但し日輪刀だけは対象外なのか、アニメ版では無一郎がこの神の手を日輪刀で受け止めている描写がある。



ちなみに玉壺は神の手で産まれた魚達に愛着でもあるのか「愛くるしい鮮魚」と呼んでいる。

また、僅かな服の切れ端がサンマ大の鮮魚数匹分に変換される様子から、

単純な物質変換というよりは『手で触れた物質を媒介に、鮮魚の使い魔を産み出す血鬼術』という方が正確なのかもしれない。




  • 陣殺魚鱗(じんさつぎょりん)

金剛石よりも硬いという全身の鱗の波打ちを利用し、超高速で四方八方へと飛び跳ね、宙を泳ぐように駆け回る移動・撹乱の技。

敵の周囲を跳び回って翻弄しつつ、死角から上述した「神の手」による攻撃を仕掛ける。

一度でも被弾してしまえば即死同然。仮に鮮魚となってなお意識が残っているとしても、

身動きの取れない鮮魚の体では回避などできるはずもなく、木々をへし折らんばかりの猛スピードな玉壺に轢き潰されるのが関の山であろう。



活躍編集

上弦の陸”である堕姫妓夫太郎兄妹の敗死を受け、他の上弦の鬼たちと共に無限城へ召集された。


無惨が求める情報を得たと喜び勇んで無惨に伝えようとするも、不確定な情報を話そうとしたという理由から頚をもぎ取られた(先述の通り、当の本人は興奮していたが)。


その後、情報の真偽の調査と本物の情報だった場合、半天狗と共に出撃するよう命じられた。


彼が入手した情報とは隠匿されている筈の日輪刀を鍛える刀鍛冶の里の所在であり、無惨の命令通り完全に探り当てたことで満を持して里に侵入。


不用意に自身が宿る壺に近づいた里の人間を壺の中に引きずり込んで喰らうも「不味くて喰えたものではない」と吐き捨てると、里を壊滅させ鬼殺隊に致命的な打撃を与えるべく半天狗と共に強襲を仕掛ける(アニメ版では、喰らった里の人間が不死川玄弥の刀を担当していた刀鍛冶だったことが示唆されていた)。


そこで自身の鍛錬の為に偶然里を訪れていた無一郎と対峙。

上記の通り、刀鍛冶達の死体を『芸術作品』としておぞましく飾り立てた事で無一郎の逆鱗に触れる。


無一郎「いい加減にしろよクソ野郎が」


玉壺の悪趣味極まりない言動に激昂する無一郎に対し、玉壺は嘲笑うかのように彼を翻弄、『千本針 魚殺』で無一郎に毒を浴びせ、更『水獄鉢』に閉じ込め溺死寸前にまで追い詰めるなど、当初は優勢であった。

しかし、自身を無視して刀を研ぎ続ける鋼鐵塚蛍に同じ"芸術家"としてのプライドから対抗心を燃やし、殺害せず妨害に執心する。

…が、その結果無一郎が懸命に自分を助けようする小鉄に触発されて復活することを許してしまう。


さらに無一郎が過去の記憶を取り戻してを発現させた事で形勢は逆転。


鬼滅ログ4

痣の効果で絶好調となった無一郎に、「君には尊敬できる所が一つもない」「見た目も喋り方もとにかく気色が悪い」と貶されまくる。

彼自身も負けじと(アニメでは苛ついた口調になりながらも)無一郎を「無教養の貧乏人」「便所虫」「ちんちくりん」などと貶し返したが、自慢の壺を


「なんかその壺 形歪んでない?左右対称に見えないよ下っ手くそだなあ」


と侮辱され…


「それは貴様の目玉が腐っているからだろうがアアアア!!!」


「私の壺のオオオオ!! どこが歪んでいるんだアアア!!!」


余裕綽々の態度から一転して激怒した(ほぼコレである)玉壺は無一郎に対し、「一万滑空粘魚」を繰り出すがそれすらも軽くいなされてしまい、かくなる上はと「真の姿」になって猛攻を仕掛ける(この際、玉壺は自分の真の姿を見ても、特に驚く様子を見せずノーコメントを貫く無一郎に対し、「何とか言ったらどうなんだこの木偶の坊が!!!本当に人の神経を逆撫でする餓鬼だな!!!」と、お前が言うなとしか言い様の無い事を喚きながら激怒していた)も、霞の呼吸 漆の型 朧で己の速度を上回る速さで頚を斬られる。


しかし上弦の鬼なだけにすぐには死なず、斬られた頚から徐々に肉体を再生させながら、


「人間の分際で!! この玉壺様の頚をよくもォ!!」


「貴様ら百人の命より私の方が価値がある 選ばれし!!優れた!!生物なのだ!!」


「弱く!!生まれたらただ老いるだけの!!つまらぬ下らぬ命を私がこの手!!」


「神の手により高尚な作品にしてやったというのに」


「この下等な蛆虫共…」


と敗北を頑なに認めずに散々罵詈雑言を吐き散らした所で、無一郎から「もういいからさ、早く地獄に行ってくれないかな」とさらに頭部を横半分に斬られて黙らされ、アニメではさらに完膚なきまでに微塵切りにされ、そのまま消滅した。


敗因編集

その最期から「上弦の鬼にしては拍子抜け」と言われる事もあるが、

無一郎との一戦目で見せたように「鬼殺隊特効の血鬼術を駆使し、柱でさえも手玉に取って完封する」実力は紛れもない本物であったのも事実。真の姿の戦闘力も「『触ったら即死』という凶悪な状態異常を超スピードでぶつけてくる」という常人では対処のしようがないものとなっており、上弦の鬼に叙されるにふさわしい実力者であった事は確かなようだ。


そんな彼の大きな敗因は、敵地に対するリサーチ不足だと言える。


まず初登場の時点で、「刀鍛冶の里」に関する情報をまだ把握しきれてない段階ながら嬉々として報告しようとした事を無惨に咎められた有様からも判る通り、推し進める物事を踏まえるべき手順等を省略して結果を出そうとする悪癖があった。

これは遊郭に対し、入念な事前調査と情報収集を行って計画を立てた上で挑んだ宇髄天元とは対照的である。

おそらくは人外の鬼、それも十二鬼月の上弦としての驕りや慢心……要するに「所詮は人間、如何なるも物の数ではない」という認識がその根底にあった事は、想像に難くない。

そういった軽視がなければ、上弦から脱落者が出るという異常事態の直後に「里内に二人の柱上弦討伐の参加者が滞在している」という危険なタイミングで里の襲撃を実行しようなどとは考えなかったはずである。というより、「人間など敵ではない」という慢心からそもそも里に出入りしてる人間の動きをまったく把握していていなかった可能性も大いにあり得る。


里の場所を特定した上で自らの使い魔に蹂躙させた手腕は見事だが、実は里の襲撃の殆どを自律行動する使い魔に任せっきりで、本人がやっていた事といえば里のはずれで刀匠達を好き勝手に甚振っていただけ……という杜撰で不真面目な部分も目立つ。

共に出撃した半天狗についても「里への攻撃」という目的にさほど貢献があったわけではないが、あちらは竈門兄妹や不死川玄弥恋柱といった実力者を一手に引き受けての大立ち回りだった事を考えれば、玉壺はその間に里を率先して攻撃し、被害を拡大させるのがベストな行動だったはずである。

例えば、すんでの所で甘露寺に助けられた里長の鉄地河原鉄珍。柱専用の刀を作刀する彼をここで抹殺できていれば、鬼殺隊への被害はより深刻なものになるはずだった。玉壺自らが使い魔の指揮を執るなど、積極的な姿勢で里の襲撃に臨んでいれば、これは容易に達成できていただろう。


致命的だったのは時透無一郎との一戦目直後の一連の行動である。

柱相手に殆ど一方的に勝利を収め、あとは衰弱死を待つだけという所まで追い詰めたのは良かったのだが、

ここで自分の興味を優先してトドメを刺さず、挙げ句戦闘員でもなんでもないただの刀鍛冶を相手に自身の芸術家としての(みみっちい)プライドを刺激され、

「さほど脅威でもない相手にちょっかいをかけ続ける」という無駄の極みという他ない行動にかなりの時間を浪費してしまっている。

そのせいで無一郎が復活、刀も新調した上パワーアップするチャンスを与えてしまったのだが、一度下した相手という事もあってか、この期に及んで玉壺は相手を侮り、その力量を完全に見誤っていた。

奥の手の『真の姿』なら、確実に柱も倒せるという自信があったのだろうが……本気を出した無一郎の「霞の呼吸」による高速移動と回避能力で逆に圧倒され、返り討ちの憂き目に遭った。

しかしそれもそのはず。「効果こそ凶悪だが、回避されるとその効果が発揮できない『神の手』」、「首の弱点がそのままなのに接近戦を仕掛けるため、超スピードに対応できる相手からすればむしろ攻撃、必殺のチャンスでしかない『塵殺魚鱗』」と、『真の姿』の強みは「霞の呼吸」との相性の悪さ故に、むしろ玉壺最大の弱点と化していたのだった。


一連の行動を見るに、芸術家と称するだけあって着眼点自体は悪くないのだが、同行した半天狗共々、その目的と目的遂行の為の手順等がキチンと理解、認識出来ていたのか疑わしい所が目立つ。

そして最期の断末魔がありありと示すように、彼に敗北と死をもたらした根本の原因は、

「人間を下等な存在と見下し、舐めくさっていた事」、この一言に尽きるだろう。








キメツ学園編集

17巻にて判明。


生物室の壺の妖怪として学校の怪談になっている。


目をつけられた人は延々とマウンティングされ、よくわからない自慢話を無視すると全ての手でくすぐってくるうざみの持ち主。


生物教師のカナエが赴任して以降パッタリと目撃証言がなくなった模様。


除霊されたのだろうか?


小説版では、実際にカナエに除霊されて強制的に成仏させられた事が明らかになった。


キメツ学園!

普段は居住用の壺を作っては高等部の校舎(場所は問わない)に置いたり、壺の中に潜んで通りかかる生徒を転ばして楽しんでおり、宿直教員に見つけられる度に無料提供の御札で祓われている(数日すれば復活する)。

作品のためなら相手の迷惑を考えないタイプだが、高い材料は代用で対応したり拾い物(宇髄と煉獄の私物)を使ったり、人のアドバイスを聴いたりと柔軟なところがある。

尚十二鬼月の概念のないこの世界においても、目には変わらず上弦と伍の字が描かれている。



余談編集

  • 冒頭の台詞の通り、猗窩座に対しては遠回しに嫌味を言う等あまり快く思っていなかった模様だがその直後に自身に話しかけてきた童磨から「お前の壺に女の首を生けてるよ」と言われた際には「あれは女の首を生けるものではない」と真顔で返していた事から猗窩座への嫌味は親しさ上の軽口だった可能性もある。

  • 無限城の決戦において他の空席だった上弦の座は後任が就任したものの、彼の上弦の伍の座のみ人材不足により後任が最後まで不在のまま終わった。

  • 前述の通り彼の本名は益魚儀だが、童磨や半天狗の人間の頃の名前は最後まで不明だった中、彼のみのかつての名前が明らかにされている。

  • 公式ファンブック鬼殺隊最終見聞録・弐の霞の呼吸の斬られ心地について、地獄で「生意気な子供ですよ」と怒りに震えながら述べていた。斬られ心地というより無一郎本人への罵倒であった。

  • 公式で行われた第2回人気投票では、票数が僅か49票で52位という半天狗に次いで圧倒的に低い順位だった。これは「サイコロステーキ先輩」や「半天狗を裁いたお奉行」といったネタ人気の高いモブキャラはおろか、伊黒の鏑丸や宇髄のムキムキねずみといった最早モブとすら言えないようなキャラ以下の順位であり、朱紗丸等の最初期に退場した十二鬼月ですら無い鬼達とそれ程変わらない票数だった。作中でしっかりと見せ場や戦闘シーンなども存在した十二鬼月のキャラの中で、票数が3桁にすら遠く及ばなかったのはコイツと半天狗だけである(鳴女は能力的にも派手な見せ場や戦闘描写は余りなかった)。因みにシスター・クローネと同率である。

  • 2020年の週刊少年ジャンプ6・7号に書き下ろされた4コマで、無惨から「初日の出に集まる人間を皆殺しにしてこい」と命令される。だが玉壺は鬼なので初日の出を浴びたら死ぬ。それに対する無惨の返答は「別に死んでもいいじゃないか」。お気に入りでもこの冷たさ。上弦の闇は深い(無惨に対してはドMな玉壺も流石にこの発言には呆然としていた)。

  • 死後は響凱の鼓と同じく、彼が作った壺は消滅したと思われる。無惨が売った壺を買った人々は、壺が突然消えてパニックになったであろう。

  • 上記の通り、人間を『下らない生命』と蔑み見下していた彼だが、人間時代の記憶が無いとは言え、自分もかつては己の言う『下らない生命』である人間であった事は知っている筈なので、恐らく肉体改造を施して異形の姿となったのは名実ともにその『下らない生命』である人間の要素を捨てるためであった可能性が高い。

  • 担当声優の鳥海浩輔氏は『トリコ』のマッチや『NARUTO』の犬塚キバなどを担当しており、数多くのジャンプ作品と縁がある声優である。また叫び声に定評がある。ちなみに玉壺が血鬼術で生み出した魚の化物も演じている。

  • 彼の退場回であるTVアニメ「鬼滅の刃 刀鍛冶の里編」第9話放映後は、妙なキャラクターの濃さ、無一郎の悪口に対する煽り耐性の低さ、そしてあっけない末路と最期が影響してか『玉壺さん』と何故かさん付けでTwitterのトレンド入りを果たした(トレンドワードは4文字以上しか掲載されない)。

  • 2023年7月に開催されたゲーム「モンスターストライクとのコラボイベントでは究極の降臨キャラとして実装されたが、今現在、彼以外の上弦の鬼達(猗窩座妓夫太郎&堕姫半天狗)は皆、超究極が実装されている。ここでも少し残念な扱いを受けている。
    • また、2024年5月に「白猫プロジェクト」とのコラボイベント第三弾でボイス付きで出演するも、一緒に出演した憎珀天がイベントのラスボス扱いでプレイヤーが直接戦うことはなかった。

関連イラスト編集

玉壺ぎょっこちゃん

生きているだけで褒めてくれる上弦の伍・玉壺さん近代芸術に目覚めた上弦の伍 玉壺さん


関連タグ編集

鬼滅の刃 鬼舞辻無惨 鬼(鬼滅の刃) 血鬼術 十二鬼月 上弦の鬼

鬼滅の刃の登場キャラクター一覧


芸術家 サイコパス 猟奇 小物 傲慢 極悪人 人外のクズ マッドアーティスト 水属性/毒属性


上弦の鬼

黒死牟(壱) 童磨(弐) 猗窩座(参) 半天狗鳴女(肆) 玉壺(伍) 妓夫太郎堕姫獪岳()


タンノくん(南国少年パプワくん)…玉壺が生み出した巨大な金魚の鬼が、彼に似ているとアニメ放映後話題になった。それに関して作者の柴田亜美氏は、Twitterにて「時透無一郎くん、君は南海に浮かぶ絶界の孤島に来ちゃダメだ。秒でタンノくんがタタキにされてしまう。」と、この文書と共に無一郎とタンノくんのイラストを投稿した。

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