始めに
初出は漫画『鬼滅の刃』の公式スピンオフ「キメツ学園」にて堕姫(梅)の名前(フルネーム)として登場した。
これを便宜に、本稿では人物造形の基となった堕姫(梅)が人間であった頃についても解説する。
名前の留意
「謝花梅(しゃばな うめ)」は、公式スピンオフ「キメツ学園」に登場する(元は)鬼の堕姫(梅)へ与えられた名前。
この人物設定により「謝花梅≒鬼の堕姫が人間だった頃の名」という解釈もできる事から、ファンアート・二次創作では人間時代の堕姫(梅)へもタグ付けなどが用いられている。
だが公式ファンブック・弐だと、原作上で人間だった頃の名前は「梅」とされている。そのため「謝花梅」とは、キメツ学園にのみ登場する人間として用いられる名前なのかもしれない。
但し、これといった確かな規制・制限はないので、作品のタグ付けなどで「謝花梅」を用いる場合は、上記の経緯があると留意しておくぐらいの認識で用いればよろしいかと思われる。
キメツ学園の梅
プロフィール
氏名 | 謝花梅(しゃばな うめ) |
---|---|
性別 | 女性 |
年齢 | 16歳 |
所属 | キメツ学園2年菫組 |
兄・妓夫太郎と共に原作13巻で設定が公開された。
兄妹揃って学園随一の問題児で、竈門炭治郎ともよく衝突を起こす。
学園三大美女の一人で1日に20人から告白された記録という伝説を打ち立て、ファンからの貢物が絶えない。
兄といつも一緒にいるブラコンであり、学園きっての不良でもあるため制服を着崩しており、短いスカート丈と胸元をはだけた状態が特徴。
授業をサボることも日常茶飯事だが、なぜか煉獄先生が担当する歴史の授業だけはサボらない。
炭治郎の妹・禰豆子に人気があることが納得できず、竈門兄妹へ中指を立ててケンカを売っているが、兄に「女の子がそんなことするんじゃない」と常識的にたしなめられたことがある。
連載版の『キメツ学園!』では5話から登場。
善逸が提案した「学校でピザ作戦」の話を盗み聞きしており、翌日ピザの宅配にかまぼこ隊が成功したところで兄にピザを奪わせることに成功するが、その後のピザを奪取しようとするかまぼこ隊との騒ぎを感知した冨岡義勇が来てしまい、更に善逸が保身のため「謝花兄妹がピザを注文したのを注意していたところ」という嘘を冨岡に伝え(奪ったピザを持っていたため、言い訳が出来なかった)、ピザを持ったまま兄と共に逃亡。
だが結局冨岡に捕まったようで、兄妹揃って反省文を書かされることとなり、その後ピザは渡されたもののすっかり冷めており微妙な顔をしながら食べていた。
ちなみに、YouTubeの最強ジャンプチャンネルではこの5話の動画版が公開されており、遊郭編のアニメ版放送後の公開であったため、鬼滅本編では不幸極まりない過去の謝花兄妹がキメツ学園では不良生徒ながらも幸せそうであることへのエールが複数寄せられていた。
12話では学園イベント「ハロウィンパンプキンバトル(水風船の投げ合い)」に兄と共に参加、水風船に「むんむんニンニクエキス」を混ぜて相手の戦意を喪失させるという悪質な戦法によって(ちなみに20話によると獪岳もニンニクエキス風船の犠牲になった模様)単独参加の宇随天元と共にツートップに上り詰めるが最終的に敗退、賞品のカツカレー食べ放題チケットを逃して泣きじゃくるのを兄からなだめら、宇随からはラーメンをおごると言われた。
26話ではメイン格の一人として登場。
たまたま入った炭吉の骨董店に置かれていた商品のアンティークオルゴールに一目惚れするが、何万円もするため手が届かず、兄と共に恐喝しようと考えるも店のバイトである継国縁壱に適わなそう(巨大なタンスを片手で運ぶ怪力、飛んでいるハチを指2本で簡単に捕まえる動体視力)なため断念、同席していたカナヲから自分が予定している火男PIZZAの短期バイトに参加して購入費を稼がないかとさそわれ、バイトに励むこととなる。
バイトは勝手に店のソフトクリームを食べてカナヲに叱られる場面があるものの、怒らせると恐ろしい鉄穴森を怒らせないどころか褒められるくらい真っ当に働いた模様。なお、バイト時の梅は髪を後ろに結っており、意図したものかは不明だが堕姫の状態の髪型に近くなっている。
同話で梅は、クラスメイトのカナヲとはそれまであまり話はしなかったものの美人だからと彼女に注目していたことが明らかとなり、バイトを経てカナヲの事をすっかり気に入ったようで、30話(最終話)ではカナヲも参加するハイカラバンカラデモクラシー最強ver.の演奏に兄と共に駆けつけてカナヲにエールを送っていた。
最終エピソードである最強文化祭では、中編(29話)では兄と共に出店飲食店のパンフレットを見ており、後編(30話)では前述のとおりカナヲの応援に駆け付け、最後のコマでは兄と共にラーメンを食べている写真が写されていた。
人間の梅
堕姫との違いは目の色で、兄である妓夫太郎の人間時代と同じ青い目の持ち主である。
遊郭の最下層に生まれた娘で、母親の病名から梅(うめ)と名付けられていた。
当然実父が誰だったかも不明で、作中での描写かは、実母も病気の進行で兄妹が幼い内に死亡した模様。
母親からは兄同様に疎まれており、梅の髪と目の色を気味悪がった母親に赤子のうちに手に掛けられそうになったところを兄・妓夫太郎に救われた。
妓夫太郎にとっては自分を慕って回り、離れると泣き喚く妹・梅が可愛くて仕方なかったという。
その後も母親からは散々に扱われていたが、梅に暴力を振るった挙句剃刀で髪を切った事がきっかけでとうとう堪忍袋の尾が切れた妓夫太郎が怒り狂って暴れた日以来、親子の力関係が変わり、母親は妓夫太郎に怯えて距離を取るようになっていった。
醜い風貌の兄とは裏腹に、年端もいかないうちから大人をたじろがせるほどの美貌を持つ妹・梅は、道を歩いているだけで声をかけられ、笑ってみせれば物を貰える程美しかった。
それを自覚して上手く立ち回れるようになると飢えることもなくなり、美少女は「白梅ちゃん」と呼ばれるようになる。
しかし十三の時、兄妹に凄惨な時代(遊郭)の闇が襲う……。
妹は兄を侮辱した客の侍に激怒して、簪で目玉を突いて失明させる事件を起こした。
その報復として生きたまま焼き殺されるという非情な罰を受ける。
虫の息の梅は客の侍と自分達を売った店の女将を殺した妓夫太郎に連れられ遁走。その道中で童磨と出会った事で共に鬼となり、生き延びた。
生まれてから毎日、過酷な環境を兄と助け合って生きてきた過去から、兄・妓夫太郎を何より頼りにしている。すぐに泣き喚き兄に頼る性格も、精神年齢が鬼になった十歳前後の頃で止まっていると考えればわかりやすい。
妓夫太郎曰く、素直で染まりやすい性格。その為、良家に生まれていれば上品な娘として幸せに暮らせたのではないか、客の侍に従順にしていれば違った人生があったのではないか、「奪われる前に奪え」と教えて育てた為にこうなってしまったのではないか、自分といたせいで良くない方へと向かわせてしまったのではないかというのが、兄の唯一の心残りだった。
兄共々死後、黄泉路で再会する二人。そこで兄・妓夫太郎から突き放される言葉を投げかけるが―
自分を一人明るい方に行かせて地獄に落ちようとする兄の背にしがみつき、
「離れない!絶対離れないから」
「ずっと一緒にいるんだから!」
「何回生まれ変わってもアタシはお兄ちゃんの妹になる 絶対に!」
わぁぁあん ずっと一緒にいるんだもん ひどいひどい 約束したの覚えてないの!?
泣きじゃくり、兄に背負われたまま共に暗い地獄の中に進んでいく。
その姿は、どことなく彼らを倒した兄妹の在りし日の姿に似ていた。
余談
事件が起きた13歳の時というのは、妹・梅(うめ)とも兄・妓夫太郎とも言われていた。理由としては兄が物心をついてから妹が生まれているので妹はギリ10歳前後、この幼さで遊女は今より大人になるのが早いとされる当時の価値観でも流石にアウトではないかという説や、兄は自分の年齢も誕生日も知らないが妹の誕生日だけは数えて覚えていたという説があった為。しかしナレーションの背景に梅の顔が描かれている事もあり、兄妹のどちらが13の時かは長らく不明慮だったが、アニメ版11話での妓夫太郎の独白で妹の方だと判明した。
どちらにしても客を取らされる年齢としては昔の遊郭でも早い方であり(江戸時代の上質な店の新造でも16,7が普通だったが、漫画でも布団が敷かれており、アニメでは布団に二つの枕が描かれている)、侍を客として付ける段取りをしたと思わしき女将もタチが良くない人物だったことが窺える。