「僕たちは家族5人で幸せに暮らすんだ 僕たちの絆は誰にも切れない」
「僕たちは家族5人で幸せに暮らすんだ 僕たちの絆は誰にも切れない」
概要
概要
鬼舞辻無惨配下の精鋭・十二鬼月の一人で、作中で始めて登場した現役の十二鬼月である。「下弦の伍」の数字を与えられ、席位に従い左目に「下伍」の数字が刻まれている。通称蜘蛛鬼。
漫画及びアニメ版第1期の「竈門炭治郎立志編」では事実上のラスボスとして立ちはだかり、物語序盤の大ボスに相応しい実力を見せつけた。
能力
能力
血鬼術『糸』
手から出す糸は生きているように自在に動き、敵を切り刻む鋭い刃にもなると同時に、鋼鉄並みの硬度を誇る攻防一体の武器となっている。全力を込めていない普通に繰り出している程度の糸の時点で、炭治郎の日輪刀を簡単に切断する事ができる程であり、並の鬼殺隊士では到底相手にもならない強敵として描かれている。
さらに糸に自身の血を吸わせる事で、下記のより強力な糸を操り相手を切り刻む事ができる。
- 刻糸牢(こくしろう)
蜘蛛の巣状の糸で相手を包囲し、切り刻む。
- 殺目篭(あやめかご)
刻糸牢より狭い篭状の空間に相手を閉じ込め、確実にトドメを刺す。
- 刻糸輪転(こくしりんてん)
竜巻のごとく渦を巻く最硬度の糸が相手に襲い掛かり、跡形もなくバラバラにする。
その他
彼の頸は彼が操るどんな糸よりも硬いらしく、即ち彼の糸を斬るだけの力量を持つ者でなければ、物理的にまず彼を倒す事はできない(しのぶの藤の花の毒のような例外もあるが)。
また自身の血を分け与えて他の鬼を強化できるだけでなく、能力を一部与える事さえも可能。その際は赤い蜘蛛の形で他の鬼の体に宿す。彼と類似した外見の鬼達は糸や毒液など同じく蜘蛛のような能力を持っていたが、これらは全て累が分け与えたものである。
同族嫌悪や「共食い」の性質を持つとされる鬼でありながら、わざわざ別の鬼を強化したり、自身の能力を分け与えたりするのは、彼が渇望する「家族の絆」への拘り故である。
だがその実態は恐怖によって縛りつけて従わせ、支配するという、到底「家族の絆」とは呼べないものであり、それを目の当たりにした炭治郎からは「お前の絆は偽物だ!!」と真っ向から否定された(実際に累の“家族”は、家族を演じる事と引き換えに彼に力を分け与えられているという状態であり、累がそれを果たせていないと見なせば容赦なく折檻・制裁されており、日光であぶられたり知性を奪われたりしている)。
彼等“家族”の容姿が似ているのも、元の顔を無理矢理引き剝がして、自分をベースとした外見に作り替えている為である。容姿は油断すると鬼の再生能力で元の外見に戻ってしまうので、彼等は外見が戻らない様に常に気を配らねばならず、気を抜いて外見が戻ってしまうとやはり累に折檻される。
活躍
活躍
那田蜘蛛山を縄張りとし、適当な鬼を集めては“家族”と称する群れをつくり、暴力と恐怖で取りまとめていた。
そんな累の思想と真っ向から対立した炭治郎と交戦し、十二鬼月に位列される実力を以て大いに苦しめた。
危機に陥った兄を守ろうと身を挺した禰豆子の姿に「本当の絆」と感動を覚え、彼女を妹にしようとする累に炭治郎は激昂。
命がけの猛攻撃で累を追い詰め、兄妹の絆が具現化したヒノカミ神楽と禰豆子の血鬼術『爆血』により、累の頚は刎ねられた。
――ように見えたが、実際は攻撃が届く直前に、累はすんでのところで自分自身の手で先に頚を斬るという荒業でこれを回避していた。そして自分の命を危機に曝した2人に対して激しい憎悪と殺意を向け、「殺目篭」で2人纏めて始末しようとする。既に体力の限界を迎えていた2人は当然ながら為す術もなく、最大の危機に陥ってしまう(ちなみに累の頸は本人曰く糸よりも硬いらしいので、「自身の頸を一時的に軟化させる」等の方法で切断したという説が有力視されている。その辺は自分の身体なので鬼の肉体操作能力でどうとでも操作できるのであろう。また、頸を斬るのに使用した糸については、最終手段として予め頸切断用の糸を仕込んでいたのだと思われる)。
しかし、間一髪のタイミングで駆け付けた鬼殺隊の水柱・冨岡義勇の水の呼吸・拾壱ノ型「凪」によって、自身の最硬度の糸の刻糸輪転をあっさりと切られ、動揺しつつも次の攻撃を繰り出そうとした刹那の瞬間には頸を刎ねられ敗北した(柱の剣速の前に、今度は自ら頸を斬って回避する暇さえ得られなかった。頸の再生に使った体力がまだ回復していなかった可能性もある)。
そして累は、体が崩れ行く中であることを思い出し、その生涯を終えることとなった。
こうして何とか炭治郎と禰豆子は事なきを得たのである。
それまで苦戦しながらも鬼を倒してきた炭治郎達が、死力を尽くし奥の手や新能力を発揮しても倒せないなど、十二鬼月の格の違いをまざまざと見せつけた上で、それを容易く葬る柱の強さを表現する相手にされるなど、作中における力関係を端的に見せる役を勤めた鬼ともいえる。
過去
過去
容姿は、鬼の累を黒髪にして顔と目の紋様が失せて、白肌から生気のある肌色になった風貌。
人間時代の累は生まれつき身体が弱い子どもだった。それは外を歩くだけでも、数歩進めばその場に倒れてしまうほどの虚弱体質。そのためか同年代の子どもと遊ぶなどの交流は、累本人が望もうとしても出来ず、殆ど寝たきりで家族と暮らす生活だったようだ。
父(CV:立花慎之介)と母(CV:桑谷夏子)の三人家族で不遇な少年時代を過ごす人間の累。
彼はどこからか知った『家族の話』が印象深く心へ留まっていた。それは川に落ちた我が子を命懸けで助けた親の話。その親は子を助けるために命を落としてしまった。悲しい結末であるが、人間の累は〝家族の絆〟が強い糸で結ばれたように頑な繋がりがあったから出来た行動に、心から感動し強く憧憬していた。親が子を助ける〝役目〟を果たした事。それは親の愛情であり尊い行いで、それはかけがえのない存在(きずな)なのだと感じた。
『家族の話』を今の自分と重ね、この窮地から救ってくれる相手(かぞく)を想って考え深くなっていたのかもしれない。
彼から「鬼」にならないかという提案、それが救いであるという誘惑の言葉を囁かれる。まだ幼い人間の累は、それでどういう結末になるか考えが及ばなかったのかもしれない。いや、それよりも〝今〟の不遇な身体・生活から救われる願望が強かったのだろう。
人間の累は「鬼」になった。
累本人は、満足に動ける強靭な身体や病に脅かされずにいられる事へ歓喜した。しかし喜んだのは累本人だけで、累の両親は一人息子の変貌を快く思わなかった。
それでも家族として、暫くは人間として暮らす累だった。
(余談だが、鬼となったばかりの鬼は飢餓状態となっている為、累は鬼となった直後に同じ家に居たであろう両親を喰い殺していてもおかしくは無かったが、そうはならなかった為鬼化後も一応の理性は保たれていたようである。)
だが〝人間〟の生活は唐突に終わる。
今の累は人間ではなく「鬼」で、人を食べなければ生きていけない生物。
ある日、一人息子が人を喰い殺している現場を目撃してしまった両親。母は泣き崩れ、父は慟哭しながら就寝中の息子を殺そうとし、目を覚ました息子(累)は激昂、両親を手にかけた…。
そして、もうこの場にはいられないと悟り、人間だった累は鬼の累として悪鬼羅刹の道を歩む。
それでも〝家族の絆〟に執着していた鬼の累は、鬼の主・鬼舞辻無惨から気に入られていた事(鬼化後も人間時代からの名前である累を名乗らせている事からも特別扱いであった事が窺える)や、その潜在能力が高い事もあってか、同族嫌悪や「共食い」の性質を持たされる鬼でありながら、他の鬼と『家族』になる特異な存在へとなっていったのである。
外部出演
外部出演
白猫プロジェクト
コラボイベントでは、同イベント内のラスボスとして登場。時系列としては義勇によって絶命した後の物語となっている。
白猫の世界の悪しき鬼であるクロタケが奪った「鬼門のルーン」というアイテムによって、白猫の世界で復活を果たしたが、これは炭治郎の過去の記憶を読み取って再現された幻が実体化した存在なので、厳密には本人が直接復活した訳ではない。この為に、復活後に対峙した炭治郎達の事を朧げにしか覚えていない。
自身を復活させたクロタケの事は眼中になく、それどころか「弱いやつと一緒にいるのは本当に不愉快だった」とまで吐き捨てる始末で、最終的には彼を抹殺して鬼門のルーンを奪い取り、完全復活を果たす。
今回の戦いで義勇は、近隣の村を白猫世界の冒険家達と防衛していたので不在だったものの、白猫世界の主人公や伊之助達の参戦もあり、優勢な戦況から少しずつ押し返されていく。
遂に敗北一歩手前にまで追い詰められた累は、かつてのように自分で頚を刎ねて事なきを得ようとするも、過去の戦いよりも格段に強くなっていた炭治郎がそれを見逃す筈もなく、最期は「ヒノカミ神楽・円舞」によって頚を刎ねられ敗北した。原作にはないゲームオリジナルのストーリーではあるが、義勇の助太刀がない状況下で炭治郎は累に打ち勝つという快挙を成し遂げた。
コトダマン
火属性・魔族のコラボユニットとして登場。
イベント期間中、降臨ボスとして登場するのを撃破する他、専用アイテムと交換する事で入手できる。進化できないユニットの一人で、育成難度は低い。
弱体マス無効化や魔族特効無効化の特性を持つ一方で、すごわざ発動の条件が動詞の言葉を作るといったもので、文字数の多いワードで動詞を作りにくい為に高火力を叩き出すのが難しい。
また、鬼滅コラボ出身ユニットでありながら「鬼殺の同士」の効果を持っていないので(鬼なので当たり前だが)鬼滅コラボの恩恵を受けにくいのが難点。
モンスターストライク
コラボイベント第一弾の闇属性星6降臨モンスターとして登場する。
周回前提のクエストの為そこまで難易度は高くは無いが、味方キャラクターを引き寄せて攻撃する行動ルーチンを取る事が多い為、上手く立ち振る舞わなければ思ったよりダメージを受ける事も。
クエストをクリアすることで入手が可能。魔法陣と地雷の2ギミックに対応出来るが、それよりも特徴的なのが友情コンボで、彼の血鬼術をイメージしてかプラズマという強力なものを貰っている。しかも累の戦型が砲撃型の為単純に威力が高く、しかも友情ブースト(友情コンボ威力1.5倍)という更なるバフも貰っている為、上手く敵に当たれば無課金キャラクターとは思えないレベルの火力を出せる。ストライクショットは勿論、刻糸輪転。
第二弾コラボでも追憶の書庫にクエストが期間限定で収録されている。
余談
余談
十二鬼月としての待遇と地位
無惨にとって累はかなりお気に入りの存在だったらしく、月に何度か彼の所に赴いては言葉をかけてやり、鬼達が徒党を組む事を阻む習性を故意に与えていながら、彼のこの『家族ごっこ』を容認したり、さらに後述する入れ替わりの血戦での昇格に興味がないという姿勢についても容認したりと、下位の鬼はおろか上弦の鬼と比較しても破格とも言える程の特別扱いを受けている。
これは、幼少期からの虚弱体質や『父母の代用品を求めている』『気に入らない代用品は捨てる』といった累の幼稚性など、彼自身に重なる部分があったからだろうとファンの間では考察されている。また、他の鬼に自身の血を分け与えて強化できるという能力も、無惨の(鬼を増やし強化させる事のできる)能力に通じるものがある為に、今後の成長性なども見込まれていたと推測される。
実際、本来の実力は、「下弦の壱」である魘夢や「弐」の轆轤などと同等で、彼よりも位が上だった鬼達より強かった事が公式ファンブックで明かされている(実際に、累の力を分け与えられた父蜘蛛は、炭治郎が十二鬼月だと勘違いし、伊之助に死を覚悟させた程の強さだった)。
……にもかかわらず「下弦の伍」という立場にいたのは、彼自身は「入れ替わりの血戦」により位を上げる事には興味が無かった為である(十二鬼月まで上り詰めたのも、家族を作るだけの自由裁量を無惨に認められる為だったと思われる)。
また、それ程の実力を持った累に、この時点の炭治郎がある程度拮抗できたのは、力の大半を家族に分けていた事と、感情的になっていて攻撃が単調になっていた事、同じく感情的になっていくつもの判断を誤った事が原因だった模様(家族に分け与えていた血鬼術を全て回収する事で、本来の彼の実力を発揮できるのだが、事前に殆どの家族を倒されて力を回収できなかったのも敗因だと思われる)。
下弦の壱や弐は、階級「甲」時代の煉獄杏寿郎や不死川実弥らですら苦戦するレベルの高い実力者であり(当然ながら彼等はこの時点で既に全集中・常中を習得済みである)、全集中・常中すら習得していなかったこの時点の炭治郎が、ヒノカミ神楽を使って禰豆子の力を借りても勝てなかったのは当然の結果だったと言えるだろう(それでも粘れたのは上記の要因があったからである)。とはいえ、作中では冨岡義勇に軽々とあしらわれているので目茶苦茶強いわけではないが。
累はまだ鬼としては二十年弱と若い方なので、この時点でこれ程の力を持っていた事からも実際に素質はかなり高かったのは間違いない。また性格的にも上述の無惨の欺瞞に満ちた慰めに従順だった事が気に入られていたと思われる(実際、パワハラ会議で粛清されたメンバーを見ても、素直な性格の者は一人もいない)。
この為に、彼の死後に開かれた所謂パワハラ会議も、お気に入りであった累が殺されてしまった事への当てつけもあったのではないかと考察する者もいる。
人気
作中で初めて登場した現役の十二鬼月としての圧倒的な強さや絶望感、上記の過去を含めた重厚なキャラクター性もあって非常に人気は高く、第一回人気投票では191票を獲得して16位になっている。原作完結後に行われた第二回人気投票では、物語初期で退場した敵キャラクターであるにもかかわらず、さらに票数を伸ばして236票を獲得して33位になった。
ちなみに本編で彼が殺したサイコロステーキ先輩は223票で35位であり、かなりの接戦だったが制している。
こうした人気からか2020年度のアニメの那田蜘蛛山編の特別編集版では、構成上の都合もあり放送終盤では主人公の炭治郎そっちのけで累の過去場面に大きく尺が割かれるという破格の扱いがされている。
「全ては、お前を受け入れなかった親が悪いのだ。己の強さを誇れ」
見出しの一文は劇中、鬼舞辻無惨が累に向けた台詞である。
これと、ほぼ同様の台詞を上司から掛けられた人物が敵の側にも存在する。
甘露寺蜜璃である。
病弱だった累とは異なり強靭な身体を持っていたが、それが常人離れしたものだった為、彼女自身それで損するどころか深刻なコンプレックスとなっており、それが鬼殺隊入りする一因となった。
条件は異なれど他者に理解されない疎外感に苛まれていた点で、双方は共通しており、そういう配下への上司からの励ましとしては、適切な物だったと言える。
その後の二人の明暗は大きく異なっていた。
蜜璃は最終決戦で戦死するまで、鬼殺隊員として活躍して多くの人たちを救い、その明るさ、優しさ、桁外れの強さを多くの人たちに愛された。
一方累は、彼が最後まで拘って求めた「家族の絆」を取り戻す事は出来なかった。
一応家族形式のコミュニティーの形成には成功したが、打算的に集まった寄り合い所帯に対する恐怖支配では真の相互信頼関係は構築できなかったのである。
「こんなものは絆とは言わない」
この炭治郎の台詞に全てがあった。
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