※本記事は週刊少年ジャンプ「煉獄杏寿郎外伝」のネタバレを取り扱っている為、閲覧は自己責任でお願いいたします。
「復讐だ…! 復讐してやる! 煉獄杏寿郎!」
概要
「鬼滅の刃」の公式短編外伝「煉獄杏寿郎外伝」に登場した鬼で、
かつての「下弦の弐」であり、当時『甲』であった煉獄杏寿郎は彼を討伐した功績で炎柱に昇格した。
容姿・性格
十二鬼月では魘夢以来となる洋装の鬼。軍服のような服を着用し、頬に某組織の羽織のような黒いダンダラ模様があり、白目と黒目が反転した目をしている。
性格は激昂しやすく情緒不安定な節があり、「憤死してしまう」という口癖がある。
また激昂すると自分の頭や口の中を拳銃で撃ち抜いて冷静さを取り戻すという奇妙な癖を持っているが、このせいで記憶の損耗が激しくなっている(本人は自覚していない)。
かつて杏寿郎の父である煉獄槇寿郎とも戦ったが敗北し、何とか逃げ延びた佩狼は復讐を誓って槇寿郎を狙っていた。
能力・技
血鬼術『鹵獲腔(ろかくこう)』
影を自在に操る血鬼術。術の影響下にある影は内部が亜空間と化しており、触れたものを何でも取り込む事ができる他、立体化させたり、影を纏い防御したりする事も可能となかなか多芸。日輪刀で首を刎ねようとしても、体の一部を影にする事で致命傷を回避できる。
操作している影には、自身の体と同じ三角形の意匠が浮かぶ。
また影の中に拳銃・歩兵銃・ガトリング銃・ダイナマイトなど多数の銃火器を隠し持っているため、さながら歩く武器庫。
影から展開した銃火器で不意打ちしたり、相手に集中砲火を浴びせたり、時限爆弾を複数使用して罠を張ったりもする。
ただしこれらの武器は術で生み出した物ではないので、撃ち尽くしてしまうと弾切れになってしまうのが欠点。
血鬼術だけでなく近代兵器も用いるが、それが自身の血や肉体から生み出されたものではないという珍しい特性がいくつもある鬼である。
- 鹵獲腔・影狼(かげろう)
影から狼を出現させ、相手を襲わせる。下手な斬り方をすると、刀を逆に取り込まれてしまう。
- 鹵獲腔・戦禍陣狼(せんかじんろう)
全身に影を纏う事で、狼の獣人のような姿に変化する。
他にも人間時代の経験から拷問が得意であるらしく、本人曰く人体のどこをどのように痛めつければ人間を生きたまま壊せるかが、本能的に分かるとの事。
活躍
これまでの鬼達とは違って、帝都のあちこちに時限爆弾をしかけての大規模な無差別爆破テロを引き起こし、さらに影狼に人を襲わせたりと、町の人間を無差別に虐殺する事さえ躊躇なく実行する鬼特有の外道さをもって暴れまわる。しかし実際の目的は、後述する復讐対象をおびき出す為の陽動だった。
現場に駆け付け自身の前に現れた杏寿郎を見ると態度を一変させ、彼との戦闘に突入する。影の中から拳銃を出したり、陰に引き寄せたりする戦法で戦ったが、それでも弾をはじき返して迫ってくる杏寿郎に次第に追い詰められていき、やがて仕込んでいた武器の弾を全弾撃ち尽くした。
その覇気の様に驚きながらも目の前の杏寿郎を否定すべく必死で武器を探した時……彼の手には使い古された一振りの刀だけが残っていた。
過去
「惨めだなあ 武士道だの何時までも時代遅れな では武士道とやらで弾をうち落としてみろ」(※新政府軍と思われる人物が言い放った言葉)
かつて彼には共に目的を達しようと集まった仲間がいた(描写的に新撰組と思われる)。
「大丈夫ですよ 俺たちの剣は銃なんかに負けやしませんよ」
そう言って散っていった仲間達……そして彼もまた新政府軍と思われる兵士達に刀で抵抗していた。
完全に武士道を捨てて、佩狼から見れば本当に同じ日本人なのかと疑いたくなるくらいに刀も何もかも否定した政府軍に彼は射殺されかけた。
そして、鬼となって生き永らえた彼もまた武士道どころか人の道からも外れ、トラウマである筈の銃を大量に持ち、全てを否定する方向へと走ったのである。
完全に追い込まれ、蹲って命乞いしながらも、首ではなく手首を斬られるなど散々甚振られた挙げ句の果てに、なんとか逃げる事ができた際には「卑怯者」と罵倒された。この出来事で深刻なトラウマを植え付けられた彼はその炎柱への復讐を決意し、そして自身を愚弄した炎柱こと煉獄槇寿郎を殺す為に行動を開始する。
杏寿郎を見て激昂したのは、自身の復讐相手である「煉獄槇寿郎」と間違えたからであった。
ちなみにこの勘違いは上記した通り、本人の奇癖の影響で記憶が摩耗していたのも原因……加えて、煉獄家の男子は皆そっくりな容姿をしているので勘違いしてしまうのも無理はないだろう。
しかしかつての炎柱とは比較にならない程の覇気を纏う杏寿郎の姿に、佩狼自身も本当に目の前の男があの時の炎柱なのかと疑念を抱き始める。
結末
かつての自身の刀を見て過去の一部を覗いた彼は、武士としての矜持を取り戻したのか、はたまた銃を相手に刀一本でここまで粘った杏寿郎の姿に影響されたのか、目の前の敵を復讐相手の槇寿郎ではなく煉獄杏寿郎という一人の強者として改めて認識する。
そして自身も名を名乗り、「ここからは一人の武士として貴様を殺す」と遂に刀を手に取り、最終形態として影を全身に纏って黒い人狼のような姿となる「鹵獲腔・戦禍陣狼」を発動。真正面から杏寿郎と最後の打ち合いをする。
自身の影の能力もあって最初は圧倒しているように思われたが、炎の呼吸の奥義である玖ノ型「煉獄」の圧倒的な力で、影の血鬼術ごと切り伏せられて敗北する。
しかし、彼は最期に杏寿郎の剣の腕を「……いい太刀筋だ」と称賛し、どこか満足げな様子で消えていった。
この件の功績で、煉獄杏寿郎は新たな炎柱として就任する事が決定した。
余談
服装、重火器について
軍服のようなものを着ているのは、彼が兵士に紛れて日清戦争や日露戦争に赴いたからではという説がある。
彼が使う大量の重火器についてもそこで調達したか、あるいはかつて自分を殺した新政府軍の兵士達に復讐し、彼らの銃火器や軍の兵器庫等からも強奪したものなのかもしれない。
なお血鬼術・鹵獲腔の発動シーンには、本来ならまだ存在しないAKS-47が紛れ込んでいるというミスがあったが、単行本版では消去されている。
※AK-47
1949年にソ連軍が採用して以来世界的に使われた自動小銃(詳しくは項目を参照)。
『鬼滅の刃』の時代設定は大正時代初期頃なので、史実に沿えば30年以上も未来のシロモノである。
鍔コレクター
佩狼は殺した鬼殺隊士の日輪刀の鍔を奪ってコレクションとしているが、これも先述の過去に起因する行動と思われる。弁慶のように刀自体を奪わないのは、たくさんの陽光を吸い込んだ鉄でできた日輪刀が鬼である佩狼自身に危険だからというのもあるだろうが。
キャラクターとして
そのビジュアルや元新撰組という過去、その最期を含めた重厚なキャラクター性から、本作そのものも含めて非常に高い人気と評価を得ており、「外伝だけで終わらせたのが勿体ない」と評するファンも多いという。
また、最終的には人間である杏寿郎を一切見下さずに本心から対等の敵として敬意を払い、さらに最期には自分を倒した事への称賛を贈った鬼は彼が初めてである事も高い評価を得ている。
土方歳三?
考察で最も多かった説。
佩狼が思い浮かべた仲間達がよくイメージされる新撰組の姿であることや、設定的に拷問が得意だったということからこの説が出ている。
ただ、土方は新選組消滅後の旧幕軍としての戦いでは普通に銃を使っていたとも言われており、そこまで剣だけの武士道に固執していたわけではなかった模様(そもそも幕府側は維新以前から近代装備で固めた軍を組織している)。
関連項目
関連・類似キャラクター
- 轆轤:後の「下弦の弐」。こちらは鬼殺隊に倒される前に、無惨に粛清されてしまった。