※劇場版「無限列車編」未視聴及びコミックス未読の方は閲覧注意!
「どうせ大したものにはなれないんだ お前も俺も」
CV:小山力也
概要
代々優れた鬼狩りを輩出してきた名門「煉獄家」の現当主であり、元炎柱である。
既に亡くなっているが瑠火という妻と、そして現炎柱の杏寿郎と千寿郎という二人の息子がいる。
人物
かつては鬼殺隊の柱に選ばれる程の熟練剣士であり、柱時代は息子である杏寿郎と千寿郎にも熱心に剣の稽古を付けていたり、八丈島まで赴いて、鬼に虐げられていた人間を助けたりと精力的に働いていた。この時に彼に助けられた少年こそ、後の「蛇柱」になる伊黒小芭内である。
しかし、日の呼吸について書かれた二十一代目炎柱ノ書を読んでしまい、耳飾りの剣士の事を知ってしまってからは、かつての煉獄家先祖と同じく耳飾りの剣士の実力と才能との圧倒的な差と、そしてその彼ですら無惨を倒し損ねたという事実に、自らの才能の限界とこれまで積み重ねた努力の無為さ、己の無力さを痛感して打ち拉がれる。
加えて追い討ちをかける如く、同時期に最愛の妻を亡くした事もあって柱としての情熱も失ってしまい、以後は完全に酒浸りの日々を過ごすようになる。
この時によほど劣等感とやり場のない恨み辛みが募ったのか、上述の炎柱ノ書の「日の呼吸」について書かれている書面を読めなくなる程に引き裂いてしまっている。
また、この頃には隊士としての仕事もいささか怠慢気味になっており、任務中でも酒瓶を携帯していたり、追い詰めていた鬼をその時の気分で嬲った挙げ句に取り逃してしまったりといった問題行為が目立ち始める(後にこの鬼は下弦の弐となって、彼への復讐の為に大きな被害を出す事となる)。
そして最終的には他の柱達の引退要求も募り、杏寿郎の炎柱昇格に合わせて引退した模様。
こうして情熱を無くしてからは、日がな一日家に引きこもって昼間から酒を飲んでは息子達にも冷たく当たり、目に移る人間に片っ端から噛みつく態度を取るなど、武士としても父親としても人間としても見る影もない程落ちぶれてしまった。
杏寿郎がほぼ独学で炎柱にまで昇格した時でさえ喜ぶ様子を見せる事はなかったが、これについては上記した無惨と戦う事への絶望感と、残された家族までいなくなる事への恐怖心から、杏寿郎に鬼殺隊を辞めさせたいという思いもあったらしく、ドラマCD「煉獄杏寿郎の使命」では、これ以上鬼殺隊士を続けるなら家の敷居を跨がせないと言いつける場面もあった。
結果、杏寿郎が亡くなった事で更に荒れてしまい、竈門炭治郎がお悔やみと杏寿郎の遺言を伝える為に煉獄家を訪れた時にも、これまで冷たく当たってきた杏寿郎が残した遺言を聞く事への恐怖もあって、激闘の末に死亡した杏寿郎を侮辱する発言までして彼の怒りを買う。
さらに炭治郎の耳飾りから彼が日の呼吸の使い手だと勝手に勘違いし(それ自体は、結局間違ってはいなかったのだが)、自身の中に燻っていた炎柱ノ書に記されていた日の呼吸の使い手への劣等感から炭治郎に殴りかかった挙句返り討ちにされてしまう。
その後は一層不貞腐れて酒に逃げるかと思われたが、炭治郎が杏寿郎から託された「体を大切にしてほしい」というただ一つの遺言を千寿郎から伝えられ、今まで辛く当たったにもかかわらず、恨み言一つ言わず、それでも自身を気遣う遺言を遺した息子と、己自身の生活への後悔から酒を置いて涙を流したのだった。
この炭治郎来訪時の一件をきっかけに自らの在り方を見直して悔い改めたようで、後には鎹鴉を通じて炭治郎へ送った手紙の文中で、杏寿郎の遺言を伝えてくれた事に感謝し、大喧嘩の一件を丁寧に詫びており、炭治郎が知りたがっていた「日の呼吸」について千寿郎と共に改めて調べ伝えようとしている模様である。
鬼殺隊と鬼舞辻無惨との最終決戦が開始された際には、同じく元柱である宇髄天元、鱗滝左近次と共に若き当主産屋敷輝利哉の護衛と後方支援に当たり、鬼殺隊の一員として再び立ち上がった。
最終決戦後も、本人は遠慮していたが千寿郎や宇髄に後押しされて炭治郎の見舞いに訪れて、杏寿郎の鍔を付けて最後まで戦ってくれた事に改めて礼を伝えていた。
その後は千寿郎と手を繋いで家に帰るなど、無事に息子とも和解できた様子が描かれている。
アニメ版
TVアニメ版無限列車編では、20年前の柱時代の槇寿郎が回想シーンに登場しており、その時に助けたトミが後に彼の息子である杏寿郎に出会い、再び孫と共に息子の杏寿郎に助けられた。この時、外見が激似な上に納刀の所作が同じであったためトミは同じ人に助けられたと勘違いしていた。
ちなみにこの回想での彼は着物を着ており、20年前にはまだ現在の詰襟の隊服はなかった模様。
その後公開されたEDには、生前の妻と幼い息子達と一緒に、かつて炎柱として精力的に活動していた時代の精悍な姿の彼の一枚絵が複数登場しており、彼に対する大きな印象変化が起きた。
かつて柱として活躍するも後述の理由で挫折してしまい、映画版無限列車編では原作通りにだらしない姿を見せているだけだったが、上述の通り、アニメ版無限列車編ではEDや第一話の回想にて全盛期のかっこいい姿を多数披露しており、ある意味アニメ版で一番株が上がったキャラと言えるかもしれない(中には「昔と今とで落差が更にエグくなった」という声もあるようだが)。
TVアニメ版「遊郭編」の第一話では、息子の伝言を伝えに来た炭治郎に対し、原作通り暴言を浴びせ、合気道か柔術のような体術で組み伏せて、殴りかかってきた彼に対し腕を絡みとり拳を何度も浴びせている。
(炭治郎が体調を崩していたとはいえ)現役隊士の炭治郎から「素人の動きではない」と言われるまでの動きはとてもブランクがあったように思えない。流石は元・炎柱である。(しかもこの時、本人は酒が入っていた)
余談
公式ファンブックによると、柱は動物を飼育している者も結構いるのだが(しのぶ=金魚、不死川=カブトムシ、甘露寺・悲鳴嶼=猫等々で、他にも伊黒の鏑丸や宇髄のムキムキねずみなど、ただのペットではない動物を使役する者もいる)、彼が動物嫌いであった為に杏寿郎は飼えなかったとの事。
彼がやさぐれてしまった理由については、上記した通り日の呼吸の剣士の力を知った事によるどうしようもない無力感と、妻の死による心の拠り所の喪失という2つの出来事を短期間の間に連続して経験してしまったからであるが、ファンの間ではこれらに加えて、小芭内を助けた時の顛末を知った事による人間の汚さへの絶望もあったのではと言われている(実際に時期的には、上2つの件が起きた時期と小芭内を助けた時期はほぼ一致している)。いずれにせよこれだけの出来事が畳みかけるかのように立て続けに起きれば、絶望してやけ酒に走るのも無理からぬ事だと思われるが、同じく愛する母を亡くしながらも、彼女からの生前の言葉と弟・千寿郎のために鬼殺の剣士として心折れず、情熱を燃やし続けた長男・杏寿郎と比べると、より繊細且つ不器用な人物として描かれている。
関連タグ
主人(鬼殺隊当主)
産屋敷耀哉(97代目当主)
産屋敷輝利哉(98代目当主)
柱(活動当時)
悲鳴嶼行冥 宇髄天元 不死川実弥 冨岡義勇 胡蝶しのぶ (胡蝶カナエ)
関連・類似キャラクター
- 立花洸…こちらも辛辣な環境から酒に溺れ、家族に迷惑をかけた事で主人公から怒りを買った者同士。そして、最終的にはその家族と和解しているという点、元々本来は家族想いな父親であったなどという接点も持ち合わせている。
- セルゲイ・スミルノフ…こちらも妻の死が原因で息子との関係が悪くなった父親。ただし、彼の場合は家族想いでありながらも妻を死なせた事やそれを受け止める勇気が無かった自身の不甲斐なさが原因で息子から絶縁されていた。
キメツ学園!
門下生が次々やめていき、とうとうゼロへと落ちた剣道道場の師範。
現状に苦しみ息子に辛く当たってしまい、妻に励まされるも結果が出せず現状に苦しむと言う負の状態に陥っていたが、偶然出会った炭治郎と善逸と伊之助の目の前で取り乱したことがきっかけで彼らと協力体制を取り、道場再興に取り組むことになる。
現状もあり伊之助曰く「ガミガミうっせえ感じ」だが、本来は家族と剣道を愛する気にしがり。
宣伝の為に独学でホームページを作ったこともあるが、文字が多すぎて伊之助から酷評されてしまう。このことをきっかけに動画サイト(ユートゥーブ)に稽古風景をアップロードするようになる。