不律
ふりっつ
「……斬る!」
同人サークルSUBTLESTYLE制作の対戦型格闘ゲーム『アカツキ電光戦記』及び『エヌアイン完全世界』に登場するキャラクター。
経歴に謎の多い、元軍医の老人。キャッチコピーは「彼岸の剣客」。
紫の着物に帝国陸軍士官の外套をまとい、白髪をオールバックにしている。
電光機関に深い造詣を持ち、さらに秘密組織ゲゼルシャフトについても通じるなど、物語の根幹と深い関係性を持つ人物である。また、アカツキとは陸軍に所属していた当時の同僚である。
その正体は、かつて複製體の研究に従事していた医学者であり、エレクトロゾルダートを誕生させるきっかけを生んだ人物。
さらに言えば、アドラーやムラクモなどの狂人を暗躍させる遠因を生んだとも捉えられる、『アカツキ〜』の世界観の出発点に深く関わる存在でもある。当時の詳しい経歴ははっきりしていないが、これらの点を裏付けるようにムラクモの彼に対する台詞や新しいヨリマシ(複製體)を製造するべく利用を試みたり、後述の彼自身の行動理念から、複製體の研究において重要人物であった事が窺える。
自身の研究がアドラーやムラクモに悪用されている事を掴み、自身の研究が成した悪態の始末をつけるべく、軍刀を手に独り立ち上がる。
ただでさえ燻し銀な『アカツキ〜』世界でも、老齢ながら強い眼光を放つ出で立ちと、軍刀一本で勝負を仕掛ける剣客に恥じない潔さから、その渋さがいっそう際立つキャラクターである。
また、言動も落ち着いており、行動の動機も実に実直なため、イロモノだらけの『アカツキ〜』における貴重な常識人枠に属する。かと思いきや…(後述)。
一撃必殺の剣術で戦う、「剣客」の肩書通りのキャラクター。
軍刀による斬撃は隙が大きく回転こそ悪いものの、わずか1〜2発で他キャラの基礎コンほどの火力を出す事が可能。さらに、ガードされても体力を削る(ただし『エヌアイン』では削り能力は削除されている)。
剣による攻撃が持ち味のように見えるが、実際は高性能の投げも持つ荒らしキャラ。
対空で落としにくい低いジャンプ軌道からの投げ、後述の必殺技を絡めた移動投げ、性能の良過ぎる前後ステップからの投げ、ステップと見分けがつきにくい5Cによる奇襲…等など、投げキャラである筈の鼎二尉のお株を奪う性能を持つ。
不律の最大とも言える特徴は、必殺技が最終特別攻撃を除きすべて移動専用技という異質な設定。
その移動の際には「コッチジャッ!」という非常に耳に残る台詞を連呼するため、遂には「λ=3<コッチジャッ!」という文字絵まで作られることになった。
特別攻撃は、発生から硬直が終わるまで完全無敵のまま一定距離を移動する技。ゲージが必要なものの、壁際に追い詰められても脱出可能という性能は非常に強力。
最終特別攻撃の「必殺切込刀法」は、同人版アカツキでは斬られた相手から大量に血が吹き出す過激な演出であったが、アーケード版からは木の葉が舞い散る演出へと変更された。
ちなみに、同人版『アカツキ電光戦記』前に発表されたパイロット版である『アカツキ試製一號』においてのみ、攻撃時に電撃が発生している。この演出に加え、手袋や靴のデザインがアカツキのものと似ている事から「不律も電光機関を使用しているのでは?」という説が浮上しているが、詳細は不明。
電光戦車とは非常に相性が良い。
同人版、アーケード版、さらには『エヌアイン』とシリーズ全作品で戦車の持つアーマーを一撃で破ってしまうため、戦車側はその強みを全く活かす事が出来ないまま鉄クズにされてしまうのである。 \キューン…/
このように癖が強くも扱いやすい性能から、初心者向けかつ強キャラとして認識されている。
前述の通り『エヌアイン完全世界』では通常技から削りがなくなってしまった影響が大きく、上級者向けになっている。ただ、やはり一発が重いのは変わらず完全神殺の「鉄一文字」は補正最大で背後ヒットだと9割5分を吹っ飛ばす火力となる。
前述通りシリアスな設定の不律だが、常識人枠として認知されているかと言えばそんな事は全く無い。
その理由の一つが、ファンから「不律語」と呼ばれる妙な言葉遣いである。
- 「寄らばシュナイデン(斬る)」
- 「あいやヴァルテン(待たれよ)」
- 「我が身すでにアイゼン(鉄)!」
など、ドイツ語と日本語が中途半端に混ざりあった独特の言葉をしゃべる。
そこへ先述した「λ=3<コッチジャッ!」の件が合わさり、一時期は『萌えじいちゃん』として、プレイヤーからマスコット扱いされていた時期もあった。
近年はエレクトロゾルダートや電光戦車に萌えキャラとしての立場を奪われ気味ではあったが、いまいち萌えないとされる女性陣のせいか、一部のファンからは萌えキャラ勢の一員として相変わらず親しまれている様子。
また、上記の萌えポイント以外にも、ストーリーモードでは手漕ぎ船で日本から中国まで渡っていたり、ゲーム内での名前表記が"Fritz"だったりと何処かおかしい。
とは言え、名前に関しては文豪・森鴎外の次男である「不律」氏が同様に外国名である"Fritz"から命名されているため、これが元ネタとなっていると思われる。
そのほかにも森鴎外とは共通点が多く、
- 元軍人である
- 医者である
- ドイツへの留学経験がある
など、インスパイア元となった可能性は高い。