アスペクト比
あすぺくとひ
メディアごとに定められた画像や映像の縦横の比率のこと。略してアス比と呼ばれる。
解像度は俗に「縦横のピクセル数」(本来は画素密度を指す)を意味するのに対し、アスペクト比は画面サイズの縦横比(画面アスペクト比)、またはピクセル数の縦横比(ピクセルアスペクト比)を指す。
画素が正方形であれば、画面アスペクト比とピクセルアスペクト比は一致するが、DVD-Videoなどは画素が正方形ではないため両者にはずれが生じる。アナログテレビ時代のテレビ放送の画面アスペクト比は4:3であったが、日本や北米、中米、韓国などで使われたNTSCの画素は縦長なのに対し、フランスを除く欧州で主流であったPALの画素は横長であったので、ピクセルアスペクト比はNTSCとPALで大きく異なっていた。
画像や映像のアスペクト比が本来のものからずれていた場合、縦に引き伸ばされるか、横に潰れたようになってしまう(アスペクト比の歪み)。このような画像は、見る人に違和感や不快感を与える。
画面アスペクト比が4:3であったSDTV時代のコンテンツと、16:9が主流の現在の表示装置ではアスペクト比が一致しないため、通常は画像や映像の左右に余白(レターボックス)を設けて対処するが、上下部分を切り捨ててしまう「貧乏ビスタ」にされてしまう事も少なくない。
なお、2010年代前半のスマートフォンの普及初期にはレスポンシブ対応サイト(端末の画面サイズに応じてレイアウトを最適化するWebサイト)において、aspect-ratio(アスペクト比を固定するCSSの機能)がうまく設定されておらず、アスペクト比が崩れた見苦しい画像を見かけることがよくあった。
アスペクト比の異なるゲーム機への対応
近年のゲーム機はアスペクト比が16:9のものが多いが、上記のゲームボーイなどかつての携帯ゲーム機は特殊なアスペクト比のものが見られた。ゲームボーイアドバンス(GBA)はゲームボーイの上位互換機であったが画面アスペクト比は異なっていたので、GBAでゲームボーイのタイトルを遊ぶ際には画像が横長に引き伸ばされてしまった。
据え置きゲーム機でも、ファミコンなど昔の機種は画素が正方形ではないアナログテレビに合わせているため、エミュレータで遊んだりプレイ画面をキャプチャーする際に歪みを生じることがある。
スマートフォンでは、ゲーム機と異なりアスペクト比は統一されていない。Androidでは20:9や22:9、2:1などあらゆる種類のアスペクト比や画面サイズの機種があり(現在は2:1以上のワイド画面が推奨されているが、過去には正方形画面の端末もあった)、同世代のあらゆる機種で快適にプレイできるアプリゲームを作るのは厄介である。端末がAppleのみから出ているiPhoneでも、アスペクト比が16:9であるホームボタン付き機種(iPhone SEなど)と、19.5:9であるFace IDモデル(iPhone X以降のノッチ付きモデル)というアスペクト比が異なる機種が混在している。