概要
ウルトラマンネクサスが戦闘時に展開する戦闘用不連続時空間。命名は吉良沢優。
空間内部には赤土色の発光する物質が地面に存在し、空もオーロラのような光が満ちている。
空間の広さは異空間らしくかなり広く、飛行しての戦闘も可能。
ネクサスはジュネッスの形態になることで、フェーズシフトウェーブを用いてメタフィールドを展開することが可能となる。
ネクサスの右腕のアームドネクサスから放たれるこの光線は、地上での戦闘では上空に向けて発射され、上空で花火のように拡散、自身とスペースビーストを覆うように黄金の光がシャワーのように降り注ぎ、地表からは水泡のような光が立ち昇る。そしてフェーズシフトウェーブの中にいた者はそのまま現実空間からメタフィールドの空間へと移行する。ペドレオンとの空中戦では逃亡するペドレオンの進行方向にフェーズシフトウェーブをゲートのように展開し、そのままペドレオンをメタフィールド内部に追い込んで撃破したこともあった。
メタフィールドはウルトラマンの身体そのものから作り出され、ウルトラマンの身体を構成する物質の組成と同じものでできている異空間である。現実世界からは不可視かつ通常の手段では観測することはできない。(後の設定と比較するとインナースペースに近しいものかもしれない)
この空間にスペースビーストを引き込むことでウルトラマンネクサスは本来の能力を発揮することができ、必殺技の威力も大幅に上がる。
ジュネッスにはコアゲージがエナジーコアの上に出現し、メタフィールドの維持時間を示しているが、文字通りウルトラマンの身を削って生み出した空間であるためウルトラマンとデュナミスト自身の消耗も激しく、形成できる時間は僅か3分間のみ。そのタイムリミットを過ぎるとデュナミストは死亡してしまう。
そのためデュナミスト自身が消耗しすぎている場合、空間が保てず崩壊を始めたり(姫矢准(ジュネッス)のゴルゴレムとの戦闘時)、そもそもメタフィールドを展開できない(千樹憐(ジュネッスブルー)のイズマエルとの戦闘時)こともある。
ウルトラマンが有利に戦うための空間のようにも思えるが、後述のダークフィールドの存在やデュナミスト自身の消耗もあって有利に戦えることは少なく、妨害によって展開できずに戦いに突入したこともある。
この空間の最大のメリットはスペースビーストを隔離し、被害を考えることなく戦える点である。一旦フィールド内に隔離されたスペースビーストは容易には脱出できない。また、スペースビーストは下手に攻撃して肉片等が飛び散ると、それらが再生・成長して更に増殖する危険性があり、そのリスクを低下させるという目的もある。
そのため、ダークフィールドによって不利になることを自覚しながらもデュナミスト達は展開することをやめることはない。
この空間の存在もあり、中盤以降まで一般人にスペースビーストとウルトラマンの戦いが大々的に目撃されることはなかった。
ナイトレイダーは孤門一輝が乗るクロムチェスターαがたまたまメタフィールドに引き込まれたことで存在を認知したが、当初はメタフィールドに干渉できず、ストライクチェスターが投入可能になったことでようやくメタフィールド内に突入・参戦できるようになった。
『ウルトラマンX』
第20話で、橘さゆりXio副隊長がジュネッスに変身して使用。バグバズンブルードを倒すためにウルトラマンエックスと共にメタフィールド内で共闘。撃破に成功する。
闇の巨人が味方になってくれたケースはあったとはいえ、サブトラマンが登場しなかった為、今回初めて他のウルトラマンとのフィールド内での共闘が実現。ダークフィールドなどで苦戦することも多かったネクサスだが、今回は、2回目の変身とはいえウルトラマンの力にまだ慣れていない筈の橘副隊長と、メタフィールド内での戦闘に慣れてない筈の大地とエックスであるにもかかわらず、そのコンビネーションは終始優勢であった。
コーナー『大地の怪獣ラボ』では、エックスが「異空間を作り出して戦うなど、神秘の力に満ちたウルトラマンだったな」と言及しており、ネクサスのように空間そのものを生み出す能力を持ったウルトラ戦士の存在は極めて珍しいことが窺える。
ちなみに、エックスもホオリンガの花粉をまき散らさないために、「Xバリアドーム」というバリアで外部と内部を隔離するメタフィールドに少し展開する様子が似た技を使用したこともある。
『ウルトラギャラクシーファイト運命の衝突』
惑星バベルに現れたネクサスが使用。敵対するアブソリュートティターンのみならず周囲にいるウルトラ戦士をも巻き込もうとし、ウルトラフォースは離脱できたが逃げ遅れたリブットとティターンを内部に捕らえた。
フィールド内はネクサス以外の存在からエネルギーを奪い取る空間となっており、それまでウルトラフォースとリブットの4人がかりでも互角に戦ったティターンさえも苦戦を強いられたため、窮地に陥ったティターンはリブットと助けが来るまでネクサス相手に一時共闘するほどの事態にまでなった。
ソラの解析によりアームドネクサスを破壊することでメタフィールドを解除することができると判明し、リブットとティターンの同時攻撃によりメタフィールドの解除に成功する。
リブット達はネクサスが暴走したと推測していたが、実はある事を教えるために敢えて敵役を演じていただけであった(この事と、上記で孤門やエックスが平気だったことから、メタフィールドの効果はネクサス本人の意志である程度調節可能と推測される)。
ダークフィールド
ダークファウストやダークメフィストといったウルティノイドや黒幕たるアンノウンハンドが展開できる異空間。メタフィールドと比べて空の色は赤黒く、不気味な光が不規則に明滅している。
この空間内部では闇の巨人達とビーストが更なる力を発揮することができ、逆にウルトラマンは本来の力を出すことができなくなる。
メタフィールドが真水ならダークフィールドは泥水の様な関係で、闇の巨人達は簡単にメタフィールドをダークフィールドに書き換える事ができる(しかもその状態でのフィールド維持の負担はネクサスに掛かる)。理論上はダークフィールドをメタフィールドに書き換える事も可能ではあるが、汚水を飲料水に変えるのが大変なのと同じように、膨大なエネルギーを要するようで、劇中では若干の干渉は見せたものの途中で失敗に終わっている。
ダークファウストはメタフィールドを書き換える形でしか展開できなかったが、ダークメフィストは自力で展開することができる。さらにアンノウンハンドは強化版と言えるダークフィールドG(GはGeneratorの意)を使用する。こちらは自身から離れた場所にも展開でき、倒されたビーストの回復や強化再生さえも可能にする。
余談
様々な所で語られているが、このメタフィールドのアイデアは、「予算不足」から来ている。例えば『平成三部作』の頃は誰もかれもがどんぶり勘定で好き放題に作っていた結果、本来の予定の2、3倍の数千万円もの予算が毎回使われていたことが後の経理の調べで判明している。この頃の円谷プロは円谷英明主導の元、そんな赤字体質の見つめ直しに入っており、とてもミニチュア特撮に従来通りのクオリティを出すための予算が出るわけもなかった。その苦肉の策として考え出されたのがミニチュアを使う必要もなく使いまわすことができるメタフィールドであった。
ただ、それなりにこだわった結果そこそこの費用はかかったとのこと。
当初、メタフィールドの案には「時間軸を1000年先に移行し、滅びた世界(怪獣を倒さなければそうなるという暗示)で怪獣と戦う」「雲のようにものに包まれた空間」などがあった。また、イメージ案として「同空間ではあるが位相がずれているため人間には危害が及ばず認識できない」というものもあった。
『X』には当初、「メタフィールド」登場予定はなかった。しかし、「人命第一の橘ならメタフィールドを展開しないわけはない」という思いなどから、阿部雄一監督の希望(ワガママ)の元、スタッフの努力によって、当時のメタフィールドが再現された。背景の空を再現するための照明機材を当時品に加え新たに複数台制作したという逸話も。かつてはミニチュア特撮ファンなどから「予算削減フィールド」などと揶揄され批判の対象になったこともあったメタフィールドだが、「人知れず人々のために戦うウルトラマン」というこの作品のウルトラマンを象徴するものでもあり、『X』第20話放送時にはTwitterのトレンドに「メタフィールド」が入るなど、『ネクサス』ファンはこの再登場に大いに盛り上がったという。
『運命の衝突』ではミニチュアではなく合成によって再現されたが、その分空間の奥行きが増している。
なお、最近では『ウルトラマンネクサス』本編の再評価も進んでいることから、「予算削減フィールド」という謂われは鳴りを潜めている。
その一方、上記『運命の衝突』における使われ方から今度は「絆(ネクサス)しないと出られないフィールド」なるパワー溢れる愛称が広まりつつあるとか。ネクサスする(動詞)ってなんだよ
関連タグ
ディバイディングドライバー:『勇者王ガオガイガー』に登場する武器。周囲の被害を気にせずに戦える空間を作り出し、背景作画の省力化という制作側の都合で生み出されたという類似点がある。
樹海:『勇者であるシリーズ』に登場する、敵出現時に展開される異空間。敵を隔離する手段という点はメタフィールドと同じだが、展開するのは主人公ではなく世界であり、加えて内部の被害が事故や災害という形で現実に影響を及ぼすという違いがある。
デリシャスフィールド:『デリシャスパーティ♡プリキュア』に登場する、敵出現時に展開される異空間。現実世界に物理的被害を及ぼさないために展開されるが、敵に奪われた保護対象を持ち逃げさせないための幽閉空間という一面も持つ。