概要
1963年生まれ。出生は三重県の東京都出身。脚本家の小中千昭は兄。
成蹊高等学校在学時、映画研究部の先輩である手塚眞制作の『FANTASTIC★PARTY』に出演。82年に自主製作映画『地球に落ちてきたくま』を製作。立教大学卒業後、メディアワークショップで映像を学び、1986年『星空のむこうの国』で商業映画デビューを果たす。
1989~90年、兄・千昭とともにウルトラシリーズの新作を構想していたが実現しなかった。しかしそれがきっかけで円谷プロと縁ができ、『電光超人グリッドマン』を演出。以後、円谷プロ作品を中心に特撮の製作を担当する。実現しなかった新作案も『ウルトラマンG』のベースになっている。
1992年には兄・千昭や妻の明子とともに「有限会社こぐま兄弟舎」を設立する。
2003年のテレビアニメ『ASTROBOY鉄腕アトム』にてアニメーションの監督も務めた。
人物・作風
兄の千昭が『ウルトラセブン』『ゴジラ』などのホラーの分野に長けていたのに対し、和哉自身は『セブン』よりも『ウルトラマン』『ゴジラ』よりも『ガメラ』といった牧歌的な作風を好んでおり、徹底してジュブナイル・SFファンタジーに傾倒していた。
同じく平成ウルトラシリーズの監督として知られる原田昌樹と並んで少年少女をメインに置くことが多い。
もっともホラー・ハードSF展開も得意であり、『ウルトラマンダイナ』最終章や『ウルトラマンネクサス』ではトラウマを植え付けた。『ネクサス』については書籍にて「僕らは『ウルトラセブン』とかでトラウマを植え付けられてそれを未だに背負って生きていて、そういうことが『ネクサス』でやれたらすごいことだと思っていました。今の子供たちがそういう意味でのトラウマを背負って生きていくことができるならそれはそれでやる意味がすごくあるなって。僕も第11~12話は確信犯的にね、子どもにトラウマを背負ってほしいと思って撮っている。世の中っていうものを子どもが段々知っていくときに、こういう世界もあるんだってウルトラを見て気付かされて、その時は深くは理解できなくても、心に刻みつけてもらいたい。普通にドラマとして撮るなら、この話だったらここまでやらないといけないよね……っていうことで演出しただけなので、そこで手加減するよりは、普通のドラマとして提示して子どもを含めた視聴者がどう認めるか、拒絶するかは、それはそれでいいんじゃないかと思ったんですよね」とコメントしている。
『グリッドマン』ではテレビシリーズ初監督ということもあり思い通りに出来なかった部分も多く、『ウルトラマンゼアス2』以降はこの時のリベンジという思いで力が入ったという。
上記の考え方の違いからか兄とはウルトラシリーズでは一度も組んだことがないものの、ウルトラシリーズ以外の作品では兄と組んでいることもあるので不仲という訳ではない模様。
藤子・F・不二夫作品を愛読しており、『パーマン』『流血鬼』の実写化を構想し生前のF氏と対談したことがある。F氏本人は実写化は快諾していたが、結局実現しなかった。
『ウルトラマンダイナ』第2話にて、ウルトラマンの名前候補の中に「ウルトラマンジャイアン」とあるのはこのためである。
脚本家の長谷川圭一とコンビを組むことが多く、『ぼくが処刑される未来』では、長谷川が行き詰っていたところで呼ばれ東映での初仕事となり、これがきっかけで2013年の『獣電戦隊キョウリュウジャー』を演出している。
また『キョウリュウジャー』のメイン監督である坂本浩一に声をかけられ、翌年坂本がメイン監督をした『ウルトラマンギンガS』にてウルトラシリーズに復帰している。
実は同人映画仲間だった小林弘利を商業脚本家の道へと推し上げた張本人である。と、いうかそもそも『星空のむこうの国』を同人脚本家(でジュブナイル愛好家仲間)だった小林に執筆させたのが小中である(なお小林の方が年上)。ゆえに『星空のむこうの国』を知るファンからはタッグの復活を期待される事は多いものの、その割にスタッフとしてタッグを組む機会には恵まれない。ただ『ウルトラマンオーブ THE_ORIGIN_SAGA』においては、このタッグが復活している。
デビュー作となった『星空のむこうの国』の初出時「キネマ旬報」誌上において映画評論家より「少女がしみじみ美しい」と評価された上で「これは『尾道三部作』(大林宣彦)ですらも成し得なかった事」と手放しの絶賛を受けている。
また『星空のむこうの国』は「SFマガジン」2017年10月号の特集記事「オールタイム・ベストSF映画総解説」の解説作品のひとつに選出されている。
作品
ドラマ
太字はメインディレクター
『電光超人グリッドマン』1993年
- 第10話「おこづかいは10万円!?」
- 第11話「怪盗マティにご用心!」
『学校の怪談』「逢いたい」「妖怪テケテケ」「絶叫ハイスクール」1994年
『さんかくはぁと』1995年
『Alice6』1995年
『ウルトラマンダイナ』1997年
- 第1話「新たなる光(前編)」
- 第2話「新たなる光(後編)」
- 第33話「平和の星」
- 第34話「決断の時」
- 第49話「最終章I 新たなる影」
- 第50話「最終章II 太陽系消滅」
- 第51話「最終章III 明日へ…」
『ウルトラマンコスモス』2001年
- 第7話「空からのプレゼント」
- 第8話「眠りの乙女」
『オルファクトグラム』2002年
『ウルトラマンネクサス』2004年
- Episode.01「夜襲 ―ナイトレイド―」
- Episode.02「異生獣 ―スペースビースト―」
- Episode.11「人形 ―マリオネット―」
- Episode.12「別離 ―ロスト・ソウル―」
- Episode.26「憐 ―ザ・サード―」
- Episode.27「祈り ―プレーヤー―」
- Episode.28「再会 ―リユニオン―」
『ウルトラマンメビウス』2006年
- 第27話「激闘の覇者」
- 第28話「コノミの宝物」
- 第39話「無敵のママ」
- 第40話「ひとりの楽園」
『恋する日曜日』第3シリーズ「レンズ越しの恋」2007年
『ケータイ刑事 銭形海シリーズ』2007年
『MAGISTER NEGI MAGI 魔法先生ネギま!』2007年
『ULTRASEVENX』2007年
- Episode8「BLOOD MESSAGE」
- Episode10「MEMORIES」
『ケータイ捜査官7』2008年
『東京少女桜庭ななみ』第3話「おウチに帰れない」2008年
ドラマW『6時間後に君は死ぬ』2008年
『満福少女ドラゴネット』2010年
『獣電戦隊キョウリュウジャー』2013年
- ブレイブ7「いかれ!ダイゴのだいピンチ」
- ブレイブ8「ココドコ?めいろをぶっとばせ」
『ダークシステム 恋の王座決定戦』2014年
『ウルトラマンギンガS』2014年
- 第13話「分裂!UPG」
- 第14話「復活のルギエル」
『イタズラなKiss2~Love in OKINAWA』2014年
『イタズラなKiss2~Love in TOKYO』2014年
『太鼓持ちの達人~正しい××のほめ方~』2015年
『南くんの恋人~my little lover』2015年
『いいね!光源氏くん』2020年
映画
『星空のむこうの国』1986年/2021年
『卒業プルーフ』1987年 - 牛山真一との共同監督
『四月怪談』1988年
『あなたの知らない世界』1991年
『あなたにここにいて欲しい』1992年
『夢を追いかけて』1993年
『くまちゃん』1993年
『毒婦 プワゾン・ボディ』1995年
『THE DEFENDER』1997年
『ウルトラマンゼアス2 超人大戦・光と影』1997年
『ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち』1998年
『なぞの転校生』1998年
『ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』1999年
『ULTRAMAN』2004年
『ミラーマンREFLEX』2006年
『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』2006年
『東京少女』2008年
『七瀬ふたたび』2010年
『篤姫ナンバー1』2012年
『ぼくが処刑される未来』2012年
『赤々煉恋』2013年
『VAMP』2019年
『海辺の映画館―キネマの玉手箱』2020年 - 脚本
その他
『YUPPIE』「エイリアンハンターP」1986年
『赤いカラスと幽霊船』1989年 -「横浜博覧会 YES'89」テーマムービー
『脳内潜在麻薬物質リポート ドラッグレス』1991年
『ブラック・ジャック』1996年 - 実写版オリジナルビデオ
『ASTROBOY 鉄腕アトム』2003年 - アニメーション監督
『ウルトラマンオーブ THE_ORIGIN_SAGA』2016年
- episode1「きらぼし~煌星~」
- episode2「えにし~所縁~」
- episode3「こだま~谺~」
- episode7「くるる ~眩る~」
- episode8「ひびき ~響~」
- episode11「かげろう ~陽炎~」
- final episode「まほろば ~新世界~」