七瀬ふたたび
ななせふたたび
七瀬三部作の第2作。人気・知名度は三部作中最も高い。1976年に星雲賞を受賞。
美貌のテレパシー能力者・火田七瀬を主人公に、さまざまな超能力者との出会いや、超能力者を淘汰する目的で暗躍する秘密組織との対決を通して、「異なるもの」としての超能力者の孤独や疎外、悲哀を描く。
ホームドラマ仕立てであった前作『家族八景』とは雰囲気が一変し、サスペンス感あふれる物語となっている。
その人気ゆえに、1979年のNHK少年ドラマシリーズを初めとして、現在に至るまでTVドラマ・映画を合わせて都合5回映像作品化されている(ただしアニメ化されたことは無い)。
漫画化では「NANASE」(作画:山崎紗也夏)がある。
主人公。生まれながらにしてテレパシー能力を持つ美女。物語開始時点で20歳。前作での住み込みの家政婦の仕事をやめ、バー「ゼウス」にホステスとして勤務する。詳細は彼女自身の記事を参照。
- ノリオ
七瀬がひょんなことから保護することになった、同じくテレパシー能力をもつ男児。当初は3歳で、その能力ゆえに気味悪がられ、継母から虐待を受けていた。七瀬にとって初めて出会った超能力者の同胞である。その能力ゆえか知的発達は早く、4歳ですでに10歳児程度の知能をそなえていた。
- 岩淵恒夫
予知能力を持つ青年。職業はイラストレーター。作中で23-24歳。七瀬の乗る列車の事故を予知したことでめぐり合う。自分の身に起こることはほぼ完全に予知できるが、それに反する行動をとることは自身の存在否定につながるとして、徹底して避けている。
初対面のとき、七瀬をテレパシー能力者と知らずに抱いた妄想を読まれたことを恥じており(七瀬の方は気にしていない)、彼女と直接に顔を合わせることはその後二度と無かった(映像化作品では一緒に行動することも多い)。彼女とは互いに淡い恋心を抱いていた。
- 西尾
透視能力を持つ青年実業家。28歳。バー「ゼウス」の常連客。邪悪な心の持ち主で、透視能力を私利私欲のために役立てていたため七瀬と対立することになる。
- ヘンリー
七瀬がホステスを務めるバーでバーテンダーとして働く黒人の青年。強大な念動力を持つが、自らが慕う誰かの命令が無ければ使うことができず、かつてそれは父親だったが死去。命令者たる上位自我を求めて来日し、その役割を七瀬が務めることになった。七瀬に心酔しており、自らを七瀬の「賛美者」「崇拝者」と呼ぶ。七瀬の超能力者仲間たちのなかで戦闘に直接有用な能力を持つのは彼だけであり、何度も七瀬の危機を救ったが……。
- 漁藤子
時間遡行能力を持つ。客観的には17歳の女子高生だが、その能力によって、それよりもはるかに長い時間を生きてきているため、外見および精神年齢はずっと高い。他者とともに時間移動することも可能だが、「その相手と一緒にいた時点にしか戻れない」という制約がある。陽気な性格だが、生まれ持った超能力のせいで特有の孤独感を抱いていた。自身の時間移動によって多元宇宙が生じたかもしれないことで苦悩したこともある。七瀬とは年齢も近い同性であるため、親友といっていい位置づけになる。
- 真弓瑠璃(ヘニーデ姫)
七瀬が資金稼ぎのために足を運んだマカオのカジノで知り合った金持ちの娘。七瀬が心通わせた数少ない非超能力者の友人だったが……。
七瀬たちをつけ狙った謎の組織については、もっぱら彼女の視点に映った限りでしか描かれておらず、次作を含めて正体や全貌が不明なままであった。「超能力者は人類にとって邪魔な存在で、淘汰されるべきという思想を持つ」「メンバーは対超能力者用の特殊訓練を受けている」「既存の警察組織を抱き込むほど大規模なものである(→同様に狩りの対象となっている超能力者が他にもいるらしい)」「自分たちの使命のために一般人が巻き添えになることも厭わない」といった断片的な情報を、七瀬がテレパシーを通して知りえただけである。
映像作品ではそれぞれで原作と異なる設定や人名、オリジナルキャラも取り入れられている。
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