家族八景
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かぞくはっけい
筒井康隆によるSF小説である。
高校卒業後、七瀬は住み込みの家政婦としていくつもの家庭を渡り歩く生活を送っていた。だが彼女は生まれながらのテレパシー能力の持ち主であり、人の心を読むことができる。そのため、平穏で幸せそうに見える家族のなかに潜む暗部をもたびたび見通してしまう。それがきっかけで彼女自身がトラブルに巻き込まれそうになったり、表面上保たれていた家族の平衡がかき乱されたりすることになる。
ホームドラマ風の設定でありながら、それぞれの家庭のなかに渦巻く欺瞞や愛憎を、テレパスという特異な視点からブラックユーモアを込めて暴き出す作風が特徴である。「複数の人間の主観を同時に描く」という、リアリズムの小説では絶対に不可能な手法が七瀬のテレパシーという特異な設定によって成立しており、これによって各家庭の交錯する人間模様が立体的に描き出されている。
何度か一部のエピソードが映像化されており、直近では2012年に毎日放送製作の深夜ドラマとして放映された。原作全編のエピソードが映像化されたのはこれが初めてである。
漫画化では「ハウスジャックナナちゃん」(作画:赤塚不二夫)、「家族八景」(作画:清原なつの)等がある。
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