概要
タイトルの「YELLOWEYES」とは、ウルトラマンの黄色い目と危険信号を意味する黄色のダブルミーニングとなっている。
内容は「ウルトラマンに変身する若者は元は正義の味方ではなく、戦いの中で正義に目覚める」というウルトラシリーズでは珍しい展開の作品だった。
ウルトラシリーズとしては異色的かつダークなシナリオ構想だった事が読み取れる。
また脚本家の長谷川圭一氏は「かなり過激なバイオレンス描写があった」と回想しており、ウルトラマンだけでなく人間の暴力的な部分も描写する予定だったという。
当時の長谷川氏は「恐怖の対象としての怪獣とウルトラマンを見つめなおし、ウルトラマンの中の闇の部分に踏み込みたい」という想いを持っていたことから、そのダークな作風が感じられるものと言えよう。
ところが、計画進行の最中にアメリカ同時多発テロ事件が発生。
『フィクションであるはずの出来事が現実で起きた』というショックは、スタッフに企画の白紙化を余儀なくさせた。
このテロ事件を経て、スタッフは今の時代に求められるヒーロー像について見つめ直すこととなる。
企画白紙化はテロ事件と主人公が対テロ組織に所属している善悪の区別がついていない青年というこの作品の内容的に色々とまずいという事情もあったのだろう。
そうして最終的に完成したのが「ULTRA_N_PROJECT」の一作『ULTRAMAN』だった(ただし、登場人物の一部の設定は『ウルトラマンネクサス』へも引き継がれている。)。
あらすじ
小学館から発売された『ヒーローピクトリアルULTRAMAN』掲載の資料によると、次のようなあらすじだったという
テロリスト特別対策チーム「HP」の隊長、伊吹瞬は政府要人を乗せた小型機行方不明事件を追う内に伝説の怪物、ハイドラのような光の蛇に襲われ、その中に取り込まれてしまった。
3日間の昏睡状態の後、病院で目を覚ました伊吹だがその夜、彼の病室に蜘蛛のようなモンスターが出現した。危機的状態の中、伊吹は異形の超人、「ウルトラマン」へと変身しモンスターを撃破する。しかしウルトラマンの力は手に入れた者の精神によって善にも悪にもなる力だった。やがて悪夢となって現れる「影」が伊吹を追い詰めていく。それはまるで伊吹の……人間の内に潜む欲望を解放させようとするかのように……
余談
これと関係があるかどうかは不明だが、ダークザギのソフビ人形は当初目の色が黄色だった。