曖昧さ回避
- 手塚治虫作の漫画『鉄腕アトム』のエピソードの一つ、『地上最大のロボット』に登場するロボット。本記事にて解説。
- 浦沢直樹が上記『地上最大のロボット』」をベースに、独自解釈も加えて作り上げた漫画作品『PLUTO』の表記ゆれ。詳細は当該記事を参照。
「地上最大のロボット」におけるプルートゥ
(以下ネタバレを含む)
サルタン(チョチ・チョチ・アババ三世)お抱えの学者、アブラー博士が造り出した100万馬力(アトムの10倍の出力)のロボットで、サルタンによって「プルートゥ」と名付けられた。アニメ第2期では森川公也がCVを担当する。
当初は追放されたサルタンが国を奪い返す目的で作ったが、「世界の王者」として世界の高性能7体のロボットを破壊するように命じられる。ブランドを倒すが重傷を負った後にサルタンの命令で負けた際に自爆する装置が組み込まれる。
角から放出される電磁波でモンブランやノース2号、エプシロンを破壊し、ゲジヒトの砲撃を弾き返す遮断ビームも備える他、ゲジヒトの身体を切り裂く怪力等凄まじい実力を持つ。また、腕を広げて回転することで竜巻を発生させ、それに載って空を飛ぶことが可能。
その一方、アトムとの1回目の決闘時にはお茶の水博士が出てきたことで引き下がり(作中で施行されているロボット法に基づいて「私は人間を傷つけるようには作られていないのだ」と発言している)アトムとの最後の決闘の前には「ここなら爆発しても人間に影響は出ない」と人間を傷つけまいとする態度やアトムに対して助けてくれた恩を返す等、騎士道精神も持ち合わせている。
海底に沈んだアトムを助けて連れてきたことでウランと仲良くなり、「あなたをつくった人間が悪い人なんでしょ」「あなたはかわいそうなロボットよ」と言われたりもした。このウランとの交流は、『PLUTO』でよりクローズアップされている。
天馬博士の改造で100万馬力にパワーアップしたアトムと戦う中で阿蘇山が噴火しそうになり、ためらった後にアトムと協力して噴火を食い止め、サルタンの命令に逆らってアトムとの決闘を取りやめた。人々を救おうと噴火を食い止める姿に「ほんとのロボットの心にかえってくれたのじゃ」とお茶の水博士から評価され、「おまえはりっぱなロボットだ おまえと戦うなんておれの恥だ」と、アトムとの間に友情も芽生えた。
その後、襲ってきたボラーに叩きのめされ敗北してしまうが、アトムによって腹部を貫かれたボラーと共に大爆発する最期を遂げた(作中ではアトムの攻撃後にボラーは爆発しているが、関連書籍ではプルートゥの自爆によるものと記載されているものもある)。
そして最後に、プルートゥを造ったアブラー博士と、ボラーを造ったゴジ博士は、かつてサルタンの召使いであったロボットの一人二役だったという真相が明らかになる(詳細はゴジ博士の記事を参照)。プルートゥにとっては壊れる以外の選択肢はなかったのであった。アトムは深く悲しみながら、ロボット同士が争わずに済む時代がやって来る事を願うのだった。
アニメ3期
リメイク作『ASTRO BOY 鉄腕アトム』(声:大塚明夫)では天馬博士が自分の知能を分け与えたロボット「シャドウ」に造らせたという設定で、アトムを成長させるための当て馬として登場。
濃紺の体色は深緑色に塗り替えられ、ガンダムヘビーアームズのように全身からミサイルを放つ能力を付与された。また、外見も全体的に武骨になっており、腕を回さずとも飛行可能となっている。
アトムとの前哨戦としてエプシロンと戦った際は説得に揺れ動き、最終的にとどめを刺さずに見逃す(ゲジヒトのリメイクキャラ「デルタ」やヘラクレスも戦闘後破壊されていないが、これは前述の目的からそこまでする必要がなかったため。ただしハム・エッグが興行目的で送り込んだ「モンブラン、ノース2号、ブランドによく似た刺客ロボット」は余程性能に差があったのか全員文字通り「秒殺」されている)。
アトム達と接していく内に成長する電子頭脳の中に「友情」「仲間」といった意識が芽生え始め、「闘う」ことに疑問を持ち始めたこと、それにより行動不能となっていたところに現れた「ダーク・プルートゥ」(原作のボラーにあたる存在で、プルートゥのこれまでの戦闘データを元に作られたためプルートゥ以上の戦闘力を持つが、一切感情を持たない)からアトムを庇い、諸共火口に消えた。
最終的にヘラクレス等とともに青騎士が率いるロボットだけの理想郷である独立国家「ロボタニア」の1員としてアトラス共々復活した後にアトムの説得に心を動かされ離反し、生き残っている。
「PLUTO」におけるプルートゥ
CV:関俊彦
大量破壊兵器となりうる世界最高水準のロボット7体を破壊して回る謎の怪ロボット。
当初は竜巻を伴っていたため容姿は不明だったが、その後明かされた容姿は原作版を踏襲しつつも部分的に絞ったシルエットをした異形の怪物。
怪力や角からの電磁波に加え、角を触手のように操ったり竜巻どころか天候を操作する能力を備えている。また、モンブランとブランドを破壊した際には角に見立てたものを現場に残している。
更に自身の放つ電磁波を利用して人工頭脳の抜けているロボットを遠隔操作することも可能。
その正体は植物学者を目指す青年ロボット「サハド」が生みの親であるアブラー博士によって人工頭脳を移設された環境改造型ロボット。この際、アブラー博士の怒りや憎しみの感情も組み込まれてしまったことで破壊兵器として暴れ回るようになってしまったが、本来は心優しい性格。また、プルートゥの名も元々はサハドが植物研究の過程で生まれた『周囲の花を枯らしてまで力強く咲くチューリップ』につけた名前である。