概要
各作品でのCV
主な出演は鉄腕アトムだが、アトム大使など別作品に出る事もある。共通点はアトムの作成者であり、科学省元長官であり、天才であること。
来歴
1966年、高田馬場にて生を賜る。没設定ではハーフで髪や髭を意図的に染めているということになっていたが、現在の単行本では普通の日本人。家は代々馬具店(馬鈴薯栽培もやっていた)を営んでいたらしい。
一人息子の天馬トビオを溺愛していたが、彼が37歳の時に交通事故によりトビオを失う。愛する者の死により正気を失った天馬博士は科学の力で絶対に死なないトビオを作り上げようとして、10万馬力や常人の1万倍の聴力などといった7つの威力を組み込んだスーパーロボットを作り上げた。
【「アトムの誕生」を原案とした短編漫画映画:『ASTROBOY 鉄腕アトム ~特別編:アトム誕生の秘密~』】(2003年4月6日上映:アトム誕生の秘密)
※手塚プロダクション公式YouTubeチャンネルより転載(詳細はTEZUKA PRODUCTIONS 公式サイト『ASTROBOY鉄腕アトム アトム誕生の秘密|アニメ|手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL』(外部リンク)を参照の事)。
しかし幸せな日々は長く続くものではなかった。天馬博士はあることに気が付いてしまったのだ。ロボットであるトビオは、一切成長しなかった(※)のである。トビオは所詮自分が作り上げた人工物にすぎないこと、そして本物のトビオはもういないことを改めて思い知らされた天馬博士は暴走してアトムを迫害、挙句の果てにサーカスに売りとばしてしまう。
その後学会を追放されたらしく(原作漫画ではちゃんとした理由があるのだが)天馬博士は表舞台に出なかったが、アトムを助けるために何度かサングラスをかけて正体を隠し、「息子」の危機を救ってきた。
そして『地上最大のロボットの巻』にて、とうとう天馬博士は正体を隠すことなくアトムと再会する。100万馬力のプルートゥに苦戦するアトムに対し、天馬博士は10倍のパワーアップ(つまり100万馬力に改造)を行い、アトムを奮い立たせた。
しかし、その100万馬力になったアトムですら、青騎士は葬り去ってしまった。天馬博士はお茶の水博士に依頼されてアトムを修復したが個人的な野心のため、あろうことかそれにかこつけて人格面を改悪して騒動を巻き起こす。しかし、結局失敗に終わった末に己の心の醜さを痛感。アトムの前から姿を消し、その後も再登場すれどアトムの前では変装して顔を隠し、決して素顔を見せることは無かった。
※成長云々の補足
単行本12巻ではロボットが進化して成長や生殖といった人間並の機能を獲得した機械生命体「ロボイド」が登場しており、アトムが彼らに会っている。正に天馬博士がアトムに求めていた理想・到達点ともいえる存在だが、皮肉にも天馬博士本人が彼らを知る事は無かった。
アニメでの設定
第1期
サーカスへ売り飛ばす所までは原作と同じだが、その後は完全に縁を切ってしまい二度と姿を現す事はなかった。
・・・と思われたが、「アルプスの決闘」で再登場。サーカスに売り飛ばしてから息子を二度失ったと、しばらく正気を失ってさまよえるほど精神的に病んで後悔する。そこでスカンク草井と取引して、電磁ロボを作ってアトムの両親とウランをさらうように頼み。再びアトムと一緒に暮らそうと企んだ。だが、スカンクはアトムを自分たちの仲間にしようと要求してたと知り。電磁ロボの弱点と武器を与えて姿を消した。
第2期
性格は他の作品と比べて一番まともになっている。
破壊するよう命じられていたアトム(トビオ)を完成させた事がばれてしまい、科学省を追われアトムと共にアメリカへ渡航しようとするが、力加減ができないために旅客船の中で物を壊したり食事の席で無茶苦茶にしてしまったアトムと喧嘩になり、「お前は息子じゃない、ロボットだ」と怒鳴ってしまう。
直後、旅客船をアトラスが襲撃。アトムの身を案じて船内を探し回ったが、旅客船の救助やアトラスとの戦闘でエネルギー切れに陥ったアトムはロボットサーカス団団長のハム・エッグに誘拐されてしまう。結局アトムとは再会出来ず、自分自身の愚かさを後悔しながら物語からフェードアウト。そのまま二度と登場することは無かった。また、アトムはサーカス団入り後にトビオとしての記憶を失っており、天馬博士の存在も忘れてしまったと思われる。
大人げない喧嘩をしてしまったとはいえトビオに対する愛情は持ち合わせており、離別のシーンも悲劇的に描かれている。そして第2話で物語から退場後は安否すら不明な状態であるなど、最もまともだったのに一番不憫な扱いの天馬博士と言える。
第3期
性格の描写が他のと比べて大きく異なっている。
原作よりも傲慢かつ自己中心的な性格になっており、極度の人間嫌いになっている。そのためアトムだけではなく、息子であるトビオにも「誰も愛していない」とさえ評されている。
今までの作品同様に息子に代わるロボットであるアトムを作り出すが、次第に心が成長していったアトムに恐怖を感じ、連れて行った廃棄ロボットの処理施設「第7プラント」の光景を見て、怒りを覚えプラントを破壊したアトムに恐怖を感じ、ロボットを強制ダウンさせる「キルリング」を使いアトムを停止させ、開発中のロボットを全て破壊し消息を絶つ。
その後お茶の水博士によって復活したアトムが自身が作り出したアトラスに勝利した(この時のアトラスはアトムより戦闘能力が上だった)所を見て「進化したロボットは、人間を超える可能性がある」を結論を導き「アトムをロボットの王にし、自分自身もロボットになり、ロボット達の神になる」という狂気の夢に取りつかれたマッドサイエンティストとなっていく。
そしてアトムを進化させる為に自分の陰としてロボット科学者・シャドウを作り出す。そしてシャドウの手によって生み出されたプルートゥや青騎士などを戦わせるなどをしてアトムに試練を与えていく。
しかしアトムに試練を与えてからも彼がピンチの時は遠くから助けるなど、自分の目的があったとはいえ、アトムに対する愛情はあった。
だがそんな彼の野望も、ロボタニアの事件でロボットの王になるのをアトムから拒否された上に、自分自身の分身として作り出したロボットであるシャドウからも「あなたは神ではない、人間です」と拒絶されてしまい潰れてしまうことになる。
その後ロボタニアを庇って大破したアトムをトビオの記憶に変えて復活させ、強奪に近い形で失われた息子との時間を取り戻そうとする。だが彼に逆恨みするアセチレン・ランプの襲撃をきっかけに記憶を取り戻したアトムがお茶の水博士の元に戻る事にした結果に失望する。
その後科学省を乗っ取り「アトムを連れて来なければ、科学省を爆破する」と予告を出し、全てが始まった「第7プラント」でアトムを誘惑。アトムを捨てた真実と自分自身の野望を話し、自分の元へ戻るように言うが、トビオの時と同じようにアトムから「トビオも僕も愛していない」と否定されてしまう。
しかしこれは自分自身の暴走を止める為の行為であり、息子に再度否定される事で全てを終わらせて自分を犠牲にするつもりだった。最終的には犠牲になろうとする自分にアトムから「死なないで、お父さん」と告白された事で、改めて父として和解。しかし敢えて「アトムの父親としての資格」をお茶の水博士に託し、全てを償うため自首。
ラストシーンでは、完全に監禁されてもスカンクやランプと違って永久に服役している姿が見られたが、その顔には未来への希望が満ちた清々しいものとなっていた。
そのほかの作品
『アトムザ・ビギニング』ではお茶の水博士と同期という設定が明かされた。
天馬博士の結婚相手、トビオの母親については一切出てこなかった為、前日談の中でその相手が出て来るのではと注目されている。
もっとも、今度は失恋した結果の養子という可能性も出てきたが…
『GO!GO!アトム』ではエピソード「フュージョン博士の危険な実験」で登場、天馬博士名義では無くフュージョン博士ではあるが容姿は天馬博士そのもので天才科学者とお茶の水博士に評されているが「自分が一番正しいと思うと周りが見えなくなる」とのこと。
エネルギー問題を解決するために反物質を利用した研究をしていたが電力を恐ろしく消費するシロモノで街中が停電しており、チームアトムが解決に向かったときには爆発しかねない状態だったため街や住人に被害が出かねないと説得された際に割りと素直に研究を止め事なきを得た。
『PLUTO』では原作に比べて格段に落ち着きがあり、外見も『新世紀エヴァンゲリオン』の碇ゲンドウに酷似している。本作では成長しない事に気付く以前に、アトムの人格や嗜好があまりにトビオと乖離していたため、アトムを見捨てた設定になっている。『地上最大のロボット』同様に、プルートゥに敗北したアトムを修復するが……?
『手塚治虫が消えた!? 20世紀最後の怪事件』では今までの悪役の面影は全くなく、自分が生み出したアトムやお茶の水博士達のことも快く迎え入れるなど温厚な性格で恐らくシリーズで一番友好的な人物に描かれている。手塚先生のお芝居に協力するために開発していた人工皮膚のマスクを貸し、彼を自身に成りすませ、事件の様子を見守り、最後にネタばらしをし、他の手塚キャラと共に21世紀を迎えた。
科学の子(アトムハートの秘密での設定)
ゲームボーイアドバンス版の設定では、アトムを手放した理由が更に異なっており、
アトム誕生後、天馬博士はアトムをトビオとして扱い、アトムもそれを受け入れ暮らしていたが、
ある日の事、天馬博士はアトムは自分の失った息子の代わりではなくかつてトビオに語った
広い宇宙にたった一人で科学と言う名の火を振り回している人類に対する
決して切り離せないパートナーとして作った事を思い出し、アトムに対して自分の息子ではなく、
人類が超えられない壁や、作り出したくだらないものを人類と共に超えていくための『科学の子』として生きる事を望み、記憶を奪ってお茶の水博士に預けた。
ちなみに、本作ではアトムの名前は上記の切り離せないパートナーの意味から、ギリシャ語のアトム(切り離せないもの)から名付けられている。
手塚スターシステム
『ブラック・ジャック』ではモブとして医者役でたびたび登場するが、メインを張った場合はだいたい家庭環境に問題があるという因果な役を担っている。
- 118話「きみのミスだ!」
- 136話「金!金!金!」
- 173話「おとうと」
- 零細出版社の社長とその長男・英一役の2役。父をガンで失った英一は弟の英三に医者の道に進んでほしいと思っていたが、英三はカバのサカダチと言われるほど勉強が出来ず、英一は刻苦勉励して学費(と裏金)を稼ぎ英三を医大に行かせる。が、英三は緊張のし過ぎで家出してしまい、英一は全てを諦め稼業に精を為す。それから数十年が経ち、英三は何故か才能が開花して大手出版社の社長になっていた。英一は父や自分との約束を裏切った弟が許せず…。