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概要編集

ここでは、基本的に美容目的での形成外科手術(美容整形)について述べる。本来の意味での「整形」は調整や「整形外科」などを参照のこと。


概ね手術により人間肉体容姿)の形を整える(変える)ことをいう。


一般人はもちろん、俳優アイドルなど、特に「見た目の美しさ」を要求される芸能人の多くが整形手術を受けているとされる。また、手術を受けた中には自ら整形したことをカミングアウトしている者と、公表せずあくまで「疑惑」に留まっている者に分かれ、インターネット上などで話題になることもしばしば。


医療技術の発達に加え、海外渡航や海外での手術の容易化、インターネット上での情報共有、メスを(ほとんど)入れない「プチ整形」の流行、タレントなどによる整形のカミングアウトなど、さまざまな要因から、美容整形はより自分の理想に近づけやすく、体へのリスクが少ないものを選べるようになり、以前よりも身近なものへと変化してきている。


しかし、身近なものへと変化したことの一方で、整形依存や医療ミスによる失敗なども大きな問題となっている。

例えば韓国の女性、通称「扇風機おばさん」の事例は日本でもよく知られている。

元々は歌手を志す美しい顔の女性であったが、より美しくなりたいという気持ちから違法施術を受け、ついには整形依存となってしまった。顔に直接ごま油や工業用のシリコン、パラフィン蝋燭の材料として知られる)などを注入するようなこともあった。その結果、顔が何倍にも膨れ上がり、精神的にも追い詰められ、頭部に残った異物が原因で命を落とす程となった。

また、これ以外にも手術を重ね続けた結果、どころかの色まで変わってしまったマイケル・ジャクソン(※ただし、白斑の治療の一環で肌を白くしていったのがエスカレートしたという経緯がある)などが、極端な例として有名である。

もちろんこれらの例は極端なものであるが、整形依存に陥り高額な費用を捻出するために(特に、性風俗などの、比較的短期で多くの収入が得られるような)過酷な労働に従事する人や、医療ローンを含めた借金が膨らむことで普段の生活もままならなくなるような人も決して少なくない。

また、医療ミスで後遺症が残ったり、十分な手術前カウンセリングが行われなかったせいで本来の希望とは異なる結果になってしまったりという事例も、その程度に差はあるものの確認されている。

さらに、醜形恐怖症(身体醜形障害)や自己愛性人格障害境界性人格障害などの精神障害と整形依存が結びつき、過剰な整形を繰り返しているケースは少なくないと考えられている。(→参考


美容整形は万能ではなく、すべての人が自分の理想ぴったりな姿に少ないリスクで永劫的に変化できるわけではない。今後手術を受けようと考えている人は、自分の肉体面・精神面の変化を含めた将来のことを見据えた上で、自分に合う手術方法や理想のスタイルを探す必要がある。


現在のような整形手術が広まったのは、第1次世界大戦で顔や体にを負った兵士治療目的からとされる。

自発的に美容整形を施す要因として、以下のようなものが例として挙げられる。

  • 怪我や病気で負った顔・体・肌の傷を治療し、元の自分の容姿を取り戻したい
  • 醜形恐怖症や容姿への強いコンプレックスを克服し、自分の容姿に自信を持ちたい
  • とくに容姿に強い不満はないが、より自分の理想に近い容姿を手に入れたい
  • 憧れの人やキャラクターに似せた容姿にしたい

など


美容整形の種類編集

以下に挙げるのはあくまで一例である。

  • 重い一重まぶたを切って縫いつけ、ぱっちりとした二重まぶたにする
  • 鼻を高く、鼻筋を細く長くするため軟骨を削りプロテーゼを入れる
  • 胸を大きくするためにシリコンなどを入れる
  • 体の脂肪を吸引・切除し細身になる

何をもって「美容目的か」とするかは診察した医師にもよるが、日本の場合一つの基準に「自由診療」か「保険適応」か、という違いがある。

たとえば眼瞼下垂(皮膚が伸びたり筋肉が衰えることで、まぶたが下がって黒目が大きく隠れてしまう病気)や逆さまつげの治療をしたら、結果として二重まぶたの整形手術と同じ内容の手術であった、という場合、症状の進行度合いによっては「保険適応」での治療とされることがある。

そのため、美容目的であれば自由診療であり、日常生活での障害を治療する目的であれば保険適応である、というのが一つの違いと言える。

しかし、噛み合わせの悪さが原因となりうる虫歯や顎関節症、顎変形症などの治療・予防を目的に保険診療で歯列矯正を行うことは、小学生などごく小さい時期からでも当たり前にされている一方で、大人が(審美的な観点と同時に病気の予防を目的としているが、)自由診療で歯列矯正を行うことも当たり前にされている。

実際には、「治療目的の手術」か、「美容目的の手術か」は、保険が適応されるか(医師の診断)に加え手術を受ける本人の志向も大きいといえる。


日本においては、現在「美容整形科」という診療科は存在しない。そのため、多くは整形外科形成外科の技術を持つ医師によって診療が行われる。これに加え、皮膚科眼科歯科などが関係している。


アジアにおける美容整形編集

韓国編集

美容整形に対する抵抗意識が比較的薄く、多数の美容整形クリニックが存在する。

「世界で最も整形手術の技術が高い国」と言われており、多くの外国人が整形に訪れるという。

韓国の美容整形(形成)手術については、日本の技術の影響も大きい。これについては、日本の美容整形のパイオニア的存在である高須クリニック院長高須克弥が「(当時韓国では美容整形がタブー視されており、技術も発達していなかったため)日本に手術を受けにくる韓国人が多かったが、帰国後のアフターフォロー体制は充実していなかった。そこで、韓国内の医師に向けて講義を行ったり、手術を見学させたりなどして、技術力の向上に尽力した」と発言している。

また、高須はこれに加え「自身(のクリニック)が導入した技術がそのまま韓国で普及したため、韓国の整形美人は皆同じ顔になってしまった」と発言している。


中国編集

韓国同様、美容整形への抵抗は薄い傾向がある。

周りが見てわかるような劇的な変化を求め、初めのうちからいきなりメスを入れるようなことも少なくないという。また、10代、それも前半のうちから手術を受けるような人も目立つ。

しかし、中国国内の技術レベルはまだ発展途上のようで、日本や韓国へ手術を受けに行く人も多いという。また、芸能人やインフルエンサーによる医療ミスの告発も複数報道されている。


タイ、東南アジア編集

安価で美容整形手術を受けることが可能であり、外国人向けの「整形ツアー」を手がけるプランナー・ブローカーも存在するほどである。また、性転換(性別適合)の手術も盛んであり、性同一性障害の診断を受けた人がホルモン療法などを受けた上で性転換手術に加え美容整形手術を受けに行くことは一般的に認知されている。


タイを除く東南アジア全体では、美容整形のコストが非常に高いことから「やるのであれぱ徹底的に」とかなり大掛かりな整形が好まれる傾向にある。


日本編集

かつては「からもらったを傷つけるなんて」という意識が強く、一般市民の間では美容整形への忌避感があった。

昨今でも「顔面詐欺」という表現で、週刊誌等でアイドルや俳優といった芸能人の整形疑惑を糾弾する記事や、卒アル画像、扇風機おばさん等の整形恐怖エピソードの記事が載ったり、2000年代からはナショナリズムも絡んでインターネット上の匿名掲示板やSNSでもそのようなトピックスが多数取り上げられており、整形に対し抵抗を示す人は多いと考えられる。

一方で、メスを使わずにレーザーヒアルロン酸などの注射のみで行う医療行為が「プチ整形」と呼ばれ広まったほか、現在では芸能人やYouTuberのような人前に立つ職業の人が整形を公表することで、若い世代の間では少しずつ抵抗感や偏見が減ってきていると目されている。

日本では上記の事情もあってか、自分の元の顔を生かしたナチュラルな施術が好まれる傾向があるとされる。例えば、小さな施術を段階的に行い、最終的には元の顔からかなり変化があったとしても、周囲の人からは「メイクやダイエットで印象が変わった」と感じさせるようなパターンが挙げられる。


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