「可愛くなって、初めて世界が動き出したみたいだった……」
「もう生きながら死ぬのは嫌ーーーー!!」
CV:ゆかな
概要
6期鬼太郎第15話『ずんべら霊形手術』に登場するゲストキャラ。
黒い姫カットの長髪とピンクの甘ロリファッションが特徴だが、顔立ちは細い目に低い鼻、下膨れというコッテコテの(不細工な)水木キャラ顔という衝撃的なビジュアルで強烈な存在感を示した。また、名前が鬼太郎シリーズには珍しいいわゆるキラキラネーム風だという事でも話題になった。
犬山まなの同級生の少女で、男性アイドルのユウスケの追っかけを行う、ごく普通の中学1年生である。
お世辞にも美人とは言えない容姿をしている為、その事に苛立って母親を怒鳴り散らしたり、自身の顔を映した鏡にハサミを突き立てる程に強いコンプレックスを抱いている。
クラスメートからは名字の房野をもじった「ブサノ」という侮辱的かつ差別的な仇名を付けられ、近所の子供にまでブスとからかわれるなど、イジメを受けていた。
その為に非常に屈折した性格になってしまい、その性格から起こす行動が状況をより悪化させるという悪循環も窺える。
劇中では、荷物を届けに来た配達員が思わず顔をしかめるという大変失礼な態度を取る描写もあり、容姿を巡る環境は悲惨であった。
ただし、声は可愛い。更にスタイルも悪くなかったりする。
人物
上述の通りどちらかと言えば不細工ではあるが、実際には他人から酷評される程醜い顔でもなく、また、初対面の人がビックリする様なショッキングな顔でもない。
周囲がドン引きするのは、むしろファッションを始めとする、ミーハーで派手好みな感覚が大きな要因となっている様である。自室のインテリアはいわゆる『姫系』で、使う小物のデザインの色合い、装飾の雰囲気からも、人一倍華やかさを求める傾向が窺える。また、学校の制服にも派手な小物類を付けるなど、悪目立ちする方向に自分で持っていってしまっている点もある。
もっとも、現に甘ロリというファッションのジャンルが存在し、ネットを見れば『姫系』の小物や家具を取りそろえた専門店が溢れている事からも分かる様に、華やかな服や小物に憧れるのは年頃の少女として普通の事である。
更に、表情もしかめっ面が多いうえ態度も暗く、それも周囲に好感を持たれない一因である事は間違いない。しかし、いじめや差別は絶対に許されるものではなく、そんな目に遭い続ければ表情や態度が暗くなってしまう事は仕方がないとも言える。
先の配達員の失礼な態度も単に顔立ちだけを見ての反応ではなく、きららが普段着としては派手過ぎるピンクの甘ロリ服で玄関へ応対に出た事と、しかめっ面で暗い態度とのアンバランスさに驚いてしまったと考えられる。
彼女にそっくりな顔立ちの母親は、見たところ優しそうな女性の様で、特に親の育て方に問題があった様な雰囲気も無い。少なくとも母親に対する暴言は、流石に言い過ぎだろう。
なお、同級生全員から疎外されていた訳ではなく、まなの様に優しく声を掛けてくれた友達もいる(まなの純真で誰にでも親切な性格も大きいと思われる)。
とは言え、まなの親友でもある桃山雅も表立って疎外こそしていなかったが「あの子暗いよね」と発言するなど、どちらかと言えば好感を持っていなかった様で、学校でも浮いた存在であった事が描写されている。
作中の動向
周囲から孤立し、コンプレックスに苦しめられていたきららの心の闇に惹かれるかの様に現れた謎の老婆=ずんべら(本作ではのっぺらぼうの亜種ではなく、素顔は非常に美人となっている)の誘いを受け、自らの意思で『霊形手術』を受けて、美少女の貌を手に入れる。
この時の顔はぱっちりした目元にシャープな輪郭で、表情も明るくなっている。
やがて、周囲がきららを見る目は羨望の眼差しに変わり、彼女に対する態度も劇的に変化した。
しかしきららの心は晴れず、せっかく美しくなれても残ったのは満足感や優越感ではなく、見目麗しい自身の美貌に掌を返す人間への不信感だけであった。
しかも霊形手術の実態は、人魂のてんぷらを食べて剥がされた(食べられた人魂はやがて体から抜け出すが、これにより食した者の顔を剥ぐ事が出来る様になる)本来の顔の代わりに、死人の顔を張り付けて手に入れた仮初の顔であり、手術の効力が無くなるとのっぺらぼうになってしまうという後遺症が待ち受けていた。
のっぺらぼうになってしまったきららを救おうとまな達が手を差し伸べるが、きららは記事冒頭の台詞を叫び、これまで容姿で傷つけられてきた悲しみと、ようやく自分に自信が持てる様になった想いを吐露する。
そして、彼女の変化に気づいていたユウスケからは
「他の子は僕を顔でしか見ていない でもきららさんだけは心から自分を励まし 支えてくれた」
「きららさんを支えたい 全てを受け止めたい」
という心からの言葉とともに抱擁され、既に自分は幸せを手に入れていたと悟り、本来の顔を受け入れて元へと戻った。めでたしめでたし………………………。
…の筈だったのだが、そこは恐ろしく醜い人間の部分を容赦なく描いてくる6期鬼太郎。
物語の終盤において、何と再び美麗な顔貌となり、しかも女優としてハリウッド映画デビューを果たしたきららが登場する。
この顔は本当に整形手術やメイクをして手に入れた顔なのか、それとも未だにずんべらの所に通い続けているのか。その真相は闇の中である。
ずんべらの「私は何もしないさ、女が私を必要としない限り」という台詞や、これまでのきららの心の傷の大きさ、更に手術費や保護者の同意書といった現実的な問題を考えれば、後者の可能性が高いと思われる。
ラストシーンにて、きららは追いかけて来たユウスケに対し、名前の通りキラキラとした表情でアッカンベーをしてみせた。
ハリウッドデビューを果たしたきららに比べ、ユウスケは相変わらずテレビ俳優にとどまっており、また以前と同じメンツの取り巻き(つまり、彼を「顔でしか見ていない」はずの人達)を引き連れて満更でもない表情で歩いていたので、その点をきららが皮肉っての行為とも受け取れる。
先述の台詞を踏まえると、ユウスケもおっかけ部隊と多少の距離は置く事も出来たはずだが、そういう努力をした形跡は全く無かった。
何ともいえない後味を残したラストとなったが、霊形手術に手を出した末に強欲の余り石化してしまった、第2期の月子よりはまだましなのかもしれない。少なくとも本編中ではきららが道を踏み外したり悲惨な目にあったりする様子は描かれず、手放しで喜べるようなハッピーエンドではないにしろ、きららにとっては以前より良い結果を手に入れたといえる。
もっとも、どんなに美しい顔を手に入れたとしても、それだけでハリウッドのレッドカーペットを歩ける様な大女優になれる訳もない。
例えば海外で活動するための語学力はもちろん、俳優としての演技力・肌や髪・体型といった、顔以外の美しさを磨いたのは紛れもなくきらら本人の努力の成果であろう。
また、この記事の冒頭に記述されている彼女の台詞などからは、表現力が豊かであり文学的な素養がある事が推察される。
詳しい描写こそないが、学業の成績の方は良い部類だったかもしれない。
作中では、自分の容姿にコンプレックスを持ち、終始イライラして心に余裕が無い面ばかりが目立っていたきらら。しかし生粋の日本人女優がハリウッド映画に出演し、受賞するという現実でも滅多にない快挙を成し遂げたラストシーンは、彼女のそうした美点、優秀さが結実したものだと言える。
何はともあれ、このきらら会心のアッカンベーは予定調和な流れをぶっ壊して視聴者の度肝を抜き、ネット上にその選択の是非をめぐる大論争を引き起こしたのだった。
余談
- 彼女の名前である“きらら”は「輝かしい」と言う意味を持つが、雲母の呼び名でもある。美しく光り輝くが薄く剥がれやすい雲母は、彼女がずんべらから与えられた偽りの顔を連想させる。
- CVを務めたゆかな氏は『ふたりはプリキュア』の雪城ほのか/キュアホワイト役が特に有名。なお、同キャラクターはこの回の前週に後継番組の『HUGっと!プリキュア』でスペシャルゲストとして14年ぶりに登場している。また、4期や5期にもゲスト出演経験があり、本作の前番組だった『ドラゴンボール超』のケールも演じていた。本エピソードの衝撃性も相まって、ゆかな自身についても話題となった。更に本作27話からの『西洋妖怪編』では、西洋妖怪の魔女アデル役で準レギュラーとなる。
- きらら本来の顔も、本編に登場した一般のモブキャラよりは少々見劣りする程度で、決して「二目と見られぬほど醜い」「まともな人間の顔をしていない」といったものでは無い。そのためネット上では「表情を明るくし、メイクを工夫するだけでも可愛くなれたのでは」という意見も少なくなかった。
- 「公式サイトが××年代懐古ウィルスに感染しました」としてエイプリルフール限定画像が配信されたが、主要メンバーらの姿は、1期(60年代)と変わらず、ヒロインのまなもきららと然程大差ない顔になっていた。
- ネット上では本来の顔そのものを「愛嬌がある」「ブサかわいい(地味かわいい)」とする意見もある。pixivでも数こそ少ないものの、本来の顔の彼女を愛でるイラストも投稿されている。更にはR-18作品まであったりする(※)。
※…こうした反応は3期の猫娘など、他の水木作品に登場する様々な似たタイプの顔をした女性キャラ達に対しても存在する。R-18作品についても同様。
関連イラスト
本来の顔
霊形手術後