ニョーカとは、『鉄腕アトム』(TVアニメ版第二作、1980年放送)の登場人物である。
概要
グロッタ共和国で造られた美少女型ロボット。
登場はアニメ版第二作の最終回「アトムの初恋」である。
実はアトムの直前に、科学省の命令で天馬博士が設計・開発した中性子爆弾内臓ロボットの設計図からリンドルフ博士が製作したロボットであり、アトムに非常に近い設計である。
天馬博士はその設計図を没にして封印したが、リンドルフ博士に奪われてしまい、アトムはグロッタ共和国に潜入、奪還を試みて運命の出会いをする。
ニョーカの助けで地下要塞に潜入したアトムだが、リンドルフ博士に追い詰められ、それを助けようとするニョーカは体内の中性子爆弾の起爆スイッチを押されてしまう。
「アトム逃げて」
「僕は君と一緒にいるよ」
「どうして?あなたまで死んでしまうわ」
「僕は君と離れたくないんだ。君は可愛いし……この気持ちを人間は好きって言うんだね」
「アトム……」
彼女の中性子爆弾を解除するには、彼女を解体するしかない。
ニョーカは自分を解体するように言った。
「アトム、大好きよ。私あなたのこと忘れないわ」
彼女の手を握り続けるアトム。リンドルフ博士は残り1秒のところで解体に成功する。
残ったのは膝から上が原型をとどめずにバラバラに解体された鉄屑だけだった。
アトムは残った彼女の足を持ち帰り、自分に取り付けてもらうようにお茶ノ水博士に頼む。
「ニョーカ、いつまでも一緒だよ……」
アニメ第2作版の最後を飾る、手塚治虫自身の脚本によるオリジナルキャラクターであり、アトムの分身とでも言うべき存在で、悲しくも優しい結末が印象的であった。
但し、手塚自身が当初描いたデザインは「手塚キャラらしくない」というスタッフの意見があり、坂口尚がデザイン、クリーンナップしたものが使われている。
当時監督の石黒昇が主催するアートランドに所属していた美樹本晴彦がこの回の製作スタッフとして参加(本名の「佐藤晴彦」名)しており、ニョーカのデザインは後に『超時空世紀オーガス』のモームにインスパイアされている。
モームもまた、悲しい運命を背負った美少女ロボットであった。