概要
- ギリシア文字の第 5 字母⇒ ε
- 漫画『鉄腕アトム』の登場キャラクター 本項で解説
- ゲーム『unlight』の登場キャラクター⇒ エプシロン(Unlight)
- 漫画『ツインシグナル』の登場キャラクター⇒ エプシロン(ツインシグナル)
本項では2の「鉄腕アトム」のキャラクターについて記述する。
鉄腕アトム
(全員、並行世界の同一機体です)
エプシロンは、原作でも屈指の名エピソードと名高い長編『地上最大のロボット』に登場するオーストラリア出身のロボット。プルートゥの暗殺のターゲットに選ばれた7大スーパーロボットの中では、最後にプルートゥと出会った機体である。
本家本元 元祖エプシロン
原作漫画でのエプシロンは、黒いボディとヒーロー然としたマント、長く伸びた角が特徴的なロボットだった。エプシロンは原子力ではなく光子力を動力源としたエコ・ロボットであり、太陽の光さえあれば無制限に活動が可能なハイテクメカを内蔵している。キカイダー01もびっくりだ。
アトム同様に優しく戦いを好まない性格であり、普段は孤児院で子供たちの世話をしている。
最初はプルートゥを倒すためヘラクレスに共闘を持ちかけるが断られ、彼の最後を見届けることになった。その後プルートゥとの対決に臨むが、ちょうどアトムが100万馬力に改造されたショックで暴走して海底に沈んでいた。アトムを助けたいプルートゥから協力を求められると快諾し、当初こそプルートゥを泥の層に突き落とそうとしたものの、結局仏心を捨てきれず彼を助けてしまう。
このとき自分の動力源が光子力であることを明かしてしまったため、再戦時にはわざわざ悪天候の夜を選ばれ、苦戦の末に逃げ遅れた子供を庇い「光を…ひか…り…!」と悲痛な声を浴びながら電磁波により爆破された。しかしその両腕だけは泣きじゃくる子供を抱きかかえ、最後まで決して離すことは無かった。まるで彼の優しい心を表すかのように。
アニメ2期(カラー版)では中村英利が声を担当した。こちらでは歌舞伎役者のような隈取が追加され、より外見が中性的なイケメンになっている。
そんなのありかよ!? 「AB版」エプシロン
2003年、アトム誕生の年に放送されたテレビアニメ『ASTROBOY鉄腕アトム』(以下AB)にもエプシロンは登場。その姿がブラウン管に映し出された瞬間、原作世代の親御さんは呆然となり、大きなお友達は熱狂した。それもそのはず、AB版ではエプシロンは女性型ロボットなのである。声優は平松晶子女史が演じた。
緑色の髪をショートボブにした彼女は、背中に羽を生やしたレオタードを基調としたアーマーを着用しており、パッと見「妖精」のように見えなくもない。あざとい。
孤児院の経営者という設定はなかったことになり、気象観測と災害防止のために働くロボットとして作られた。それに伴い、守るべき存在が孤児院の子供たちから海に生きる命に変わっている。武器は巨大竜巻をも消し去る光子砲。戦闘時にはその特性を生かした環境利用闘法を取るが、プルートゥとの戦闘ではそれを逆手にとられ、大規模な海底火山群を背後に構えられたために攻撃できず倒されてしまう。
なお、AB版では原作に登場したモンブラン・ノース2号・ブランドは登場せず(それっぽい劣化コピー品は出る)、ゲジヒトは彼をモチーフにした別機体「デルタ隊長」として登場し、こちらは半レギュラーとして東京の治安を守っていた。またプルートゥの戦闘目的はアトムとのそれが主体であったため、敗北はしたが元祖や浦沢版と異なり破壊は免れている。
GBA専用アクションゲーム『アトムハートの秘密』では人類と青騎士軍団が完全に袂を分かったのを受け、青騎士軍エリート部隊「地上最大のロボット」のNo.4の座に着任。アトムと戦い、敗北の後に和解する。なお、こちらではモンブランやノース2号も同軍団に加入しており、プルートゥがリーダーということになっている。
安定のリメイク 浦沢版エプシロン
CV:宮野真守
浦沢直樹の漫画『PLUTO』では、原作ともましてやAB版とも全く異なる、長い金髪を持った青年の姿として描かれた。
『PLUTO』では平和維持のために、人間のほかに「心」を持ったロボットたち(あのアトムですら)が中央アジアの紛争撲滅のために派兵されていた(注1)が、エプシロンは「この戦いに義は無い」として徴兵を断固として拒否。その罰として戦争の事後処理の雑用を命じられ、そこで知り合った戦災孤児たちを引き取って育てることを決意する。
当初ヘラクレスからは戦わなかったことを詰られていたが、後に彼はエプシロンの選択に理解を示すようになっていく。
非戦闘型ロボットだが光子力エネルギーを利用して戦争の際に出た廃棄物(注2)を処理しており、その破壊力は7体のロボットの中でも最高とされている。皮肉なものだ。
プルートゥとの一騎打ちでは一度は全く寄せ付けずに完勝するが、「何度戦っても彼は私の敵ではない」とトドメを刺さなかったために人質を取られ再戦することになり、
夜明け前であったことと不意打ちで苦戦を強いられ……
(注1)原作でも『七つの影法師』や『ロボット宇宙艇』などで「戦争のために作られたロボット兵器」は登場していたものの、彼等は現実世界における無人兵器や鉄人28号などと同じく極めて単純なAIしか持っていないただの機械兵器だった。
(注2)ロボットの残骸なども含む。エプシロンからしてみれば同族の死体に他ならない。