ヘラクレス(鉄腕アトム)
へらくれす
『鉄腕アトム』「地上最大のロボット」に登場する世界七大ロボットの一人。
ギリシア神話最強の英雄・ヘラクレスの名を冠した戦闘ロボットで、古代ギリシアの兵士を思わせる鎧に身を包んでいる。ピノキオのように長い鼻をしている。出力は40万馬力(プルートゥ戦に同席したエプシロンの台詞より)。
武器は竜巻「スパークシャワー」を起こす盾と伸縮自在の電磁槍ライトニングスピアで、二頭立てのロボット馬車を駆り高速移動するというお国柄がよく表れたロボット(技名はAB版から抜粋)。さしずめ風神の盾と雷神の矛とでもいうべきか。
性格は極めて好戦的で誇り高く、エプシロンからの共闘を打診された際には「私が一人で片づける! 邪魔するな!」と突っぱねている。
プルートゥの宣戦布告を受け、一騎打ちを望むも、槍を奪われて投げ返され左腕を切断される。しかし「敵に奪われた武器を二度も使う気はない」と自ら槍をへし折った上、「昔トロイアの戦士たちは敵に情けをかけられるくらいなら死を選んだのだ!」と開き直り、首と右腕をロケットパンチとして飛ばし、プルートゥにぶつけ地面に叩き付ける。そして角の上に飛び乗って全エネルギーを放出し、プルートゥの身体に逆流させて爆破しようとするも、「見ろ! 私こそが地上最大のロボッ…」まで言った途端に逆流合戦に敗北し大爆発。跡形もなく消し飛んだ。
80年版アニメでは赤一色の鎧に身を包み、顔は彫像のように銀色に輝いている。
原作や新旧アニメではぼかされていたが『ASTROBOY鉄腕アトム』ではロボッティングの世界チャンピオンと公式に断言された(海外展開を見越してか出身国は「アテネニア」と呼称)。こちらは目を除き全て銀色の甲冑で覆っている。アニメ版では完全破壊されずに敗北後も放置されたが、姫川明によるコミカライズ版では木端微塵にされている。
普段は均整の取れた体つきの男性の姿をしており、ブランド同様首だけを取り外して巨大なパワードスーツ(古代ギリシャの鎧に酷似した姿)にはめ込むことで戦闘を行う。レスリングの達人で、武器は一切使わない。
性格は原作以上にストイックで、他の七大ロボットたちのように人間の真似事に過ぎない「家族」「恋愛」といった繋がりを持とうとせず、自らを「殺人マシン」と嘯く。
しかし、(他の七大ロボット同様)中央アジア戦線に赴いてからは、無意識のうちにパンクラチオンで相手を完全破壊できなくなったことに疑問を感じ、感情らしきものに戸惑うようになる。
親友ブランドが「プルートゥ」に破壊されたのを知ると、私財をなげうって破片(遺体)回収に尽力。ゲジヒトとの協力で、プルートゥの足跡を掴んだ。
以前は生まれるはずもなかった「嘆き」「怒り」のままにプルートゥへの仇討を目論み、プルートゥこそが中央アジア戦線の「亡霊」であることを確信し戦地に向かう。
アトムの前日譚である『アトムザ・ビギニング』には兵器会社としてヘラクレスの名が登場している。本作においてはゼロニウム合金はヘラクレス社が開発したとされ、なぜか日本で開発されたはずのマルスにも搭載されている。